希望の星をつかめ

希望の星をつかめ

 就職氷河期と言われる昨今 時代は繰り返すのだと思いながら

その中にあっても、 一筋の光明となってほしい そう願いながら

人生に翻弄される主人公二人の物語

 生き抜くちから

  朝子! 不意に自分の名前を呼ばれ 我に返ると、次の瞬間肩を軽く叩かれた
 万理!振り向くと高校時代の親友がそこにいた。  「何考えてたの? ボーっとして ごめんね 待った?」  「うん 久しぶりだね 元気だった?  3年ぶりかな…」 朝子は地元に残り、実家の手伝いをしながら介護の資格を取り、老人介護の仕事をしていた。2日ほど前に
万理からメールが来て、久しぶりに会わないかと言うので、何かあったのかと内心心配していた。と言うのも、昔から万理は、困った事や、悩み事があると、私に相談していたからで、「ねえ 万理 何かあったの?」歩き出すや否や朝子は言葉を切り出した。 探るように万理の顔を覗き込む私に、少し困った顔をして遠くに目をやると 「実はね…」と話し始めた。
 東京の大学に進学した彼女は、生活環境の違いに苦労しているようで、田舎の暮らしと違って、のんびりと暮らす事も出来なくて、最初のうちは 見るもの聞くものただ珍しく、刺激的な都会暮らしを楽しんでいたが、 一人の男性との出会いによって大きく人生が変わったと
話してくれた。   いわゆる援助交際 仕送りも少なく貧しい暮らしが一変した。それまでの地味で寂しい暮らしが、派手で 華やかなものとなったのは 想像がつくところだ、今回帰省したのも少なからず関係があるのだろうと思っていたが、  次の彼女の言葉に腰を抜かしそうになった。 「実は…赤ちゃん出来たの  だけど、 誰の子供かわからなくて…」「え! どうするの?」 「う~ん  困ってるの朝子 どうしたら良い?」「子供の父親に心当たりは無いの?」「なくはないけど…」 「万理 来年卒業でしょ?本当なら就職活動時期なんじゃないの?」危惧していたことが、現実のものとなってしまった。朝子も経験がないので、答えようがない、ただ言えるのは、友として彼女の体を気遣う言葉しかない。
 後で考えると あの時彼女の中では答えは出ていて、私に背中を押してほしくて 相談を持ち掛けたのではなかったかと ただただ悔やまれる       続く

 朝子の実家は昔から続く造り酒屋で2歳違いの兄が本当なら後を継ぐはずだったが、
東京の大学に行きそのまま東京で就職してしまった。そんな事もあって、進学を考えていた朝子はやむなく実家の手伝いをする事となった。 親の考えとしては、手元に置いて
早々にお嫁にやろうというもので、まさか 介護が必要になろうなどとは考えていなかったようだが、朝子が家の手伝いをし始めて1年経ったころ 母が急に物忘れが激しくなり、不審に
思った父が母を連れて受診したところ アルツハイマーと診断された しばらく父はショックで
落ち込んでいたが、とにかく 病気に関しての知識が無いので 朝子が、病気に関して
勉強することになった。

希望の星をつかめ

  どんな苦境にあっても、たくましく生きて欲しい
生き抜く力を持ち続けて欲しい エールを送りたい

希望の星をつかめ

時代の波に呑まれながら、それでもたくましく荒波を乗り越え 生き抜く力を身に着けてゆく 二人の異なった生きざまを 小説に書いてみました。弱い事は悪い事ではない 堅実に 生きる巧みさや、強く流れに抗いながら生き抜く力を失わない強さを 持ち続けてほしい

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 成人向け
更新日
登録日
2014-01-17

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted