アンドロイドの嘆き

はるのいずみ

  



       あなたが一生懸命になって私を作ってくれるの嬉しいし
       
       私を創りたい気持ちもわかるけど

       ちょっと手を休めて考えてみてよ。

       あなた、あの人に似せて私を創るつもりでしょう?

       だって背の高さだって あの娘と同じだし

       おかっぱヘヤーにしてもそう

       今作ってる手の形や指の太さも、あの娘とおんなじサイズじゃん?

       そばの机の上にあるのも あの子の顔のスケッチ

       ソファーの上に転がってる 古い携帯電話の音声メモリーも

       組み入れるのよね 私の声にして

       そして あの時の記憶も一緒にプログラミングするんだ

       でもさあ そんなにあの娘に似た私を創って どうするつもりなの  

       二人で町に出て 想いでの場所を歩くつもりなの?

       それとも 私をここに閉じ込めといて 毎日お帰んなさいって
       
       笑顔で 迎えてほしいのかな CMの女の人みたいに

       けど あなたは 完成した私しを気に入って しばらくの間は

       あの娘と同じように  愛してくれるかもしれないけど 

       そのうちにきっと 作り物の私に嫌気がさして いま作ってくれてる

       その優しい同じ手で 金槌かなにかを握り 力任せに私の身体を 

       最後のネジの一本まで 粉々に打ち砕くことに なるのよ

       
       でも あなたはそんな事考えもしないで 昨日も 今日も そして明日も

       ただあの娘を取り戻したい一心で 私を創りつづけるんだよね

       一番幸せだったあの頃の あの娘の笑顔をこころに抱きしめながら

       今もこの私を 希望に満ちた笑顔で 創りつづける あなた・・・。  
       

           


    
 

    

アンドロイドの嘆き

アンドロイドの嘆き

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
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