短歌集/ 鶺鴒の囀り

はるのいずみ

【歌集タイトル改名のおしらせ】

愚作にもかかわらずお付き合いくだされる
皆様ありがとうございます。次作からタイトルを
『短歌集/草雲雀(くさひばり)の歌』と改名させて頂きまして
気分を新たに性懲りもなく、詠い続けたく思いますので、
この歌集同様に愛して頂ければ、筆者にとってこれ以上の
喜びは御座いません。どうか相変わらぬお付き合いの程
宜しくお願い申しあげます。

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〔2016年(平成28年)10月2日筆者敬白〕


我これからもわが子孫チヨヨロズヨも
継ぎ育て我が(さえず)りをば伝え残さん


嵐に傷きしリンゴ手の中にありて唄うは
花開きし春の思い出か既に次の台風近し

ビニールに詰められしリンゴ哀れなり
嵐に揉まれて人に揉まれて

先人の名は残れども古き峰
未踏の峰にぞ我が名を刻まん

風と雪波荒(ゆきなみあ)れ狂う(ちまた)をば
三味を(いだ)きて渡りし糸の()

身にしむは不二を超えゆく鶴よりも
庭の草陰に鳴く虫の声

停止(ちょうじ)を知るや君かの茶の道の
湯加減の奥ゆかしきをそれが芸なり

日月に空をゆく影を裏山路 
野に咲く名もなき花を愛して

我君と腐れ縁とは言えども互い
無ければ困るよ仲良く生きん

野に生きる物日々餓えに苦しむを
ひと平然と食物を捨てり

【 運動会で 】

アスリートの魂を持ちしわが妻は
リレーの時には眼の色を変え

先生も生徒も変わったね運動会
ダンスなんかもまるで違う
時代かな

ダンシングひときは目を引く女の子
可愛いくてリズム感よく動きもグー

運動会蒼きミカンの香りして
親子みんなでお弁当食べて
昔はお祭りだったよね


バカじゃないこんなにサイン出してるのに
ほんとあいつって鈍感なんだから

でさあどっちと出かけるつもり?
だよねもしあたしでもあの子はパスかな

男の子ってさあ割と単純なんだよね
 真剣になられたらちょっと引くかも

思いっきり空に向かって叫びたい
何度も見返す彼女のメール

気まずさに震える心を隠しても
 顔は火照って見ればあの娘も

この先は分からないけど君と僕
 繋いだ両手を振りて歩こう


寂しさに胸の扉を開かなば
 セーラー服の君が手を伸べ

若き日の緑の髪の花乙女
 忘れ得ぬ日は今もこの胸

老いる身は捨て置きせめて心のみ
 蒼き春をば保ちゆきたや

老いぼれて狂いゆくのも業ゆえか
 成した罪をも思い出せぬまま 

色恋の道にはずれし成れの果て
 寂しく逝くや見とる者なく

火と燃える熱き命の輝きを
 いつ忘れしや気付きもせずに

小夜更けて目覚めし心の隅ずみを
 探れど見えぬ愛のかけらも

秋雨のそぼ降る夜道を帰り来ぬ
 重き心も傘で覆いて


ただひたすら眠りたしと妻言いぬ
 父を預けた秋の日の午後 

百近い義父心乱れて入院す
  気の毒なれど周りの安堵感よし

きりきりと辺りに響く百舌鳥の声
 途端に小鳥は呼び合うを止め

馬肥える秋の空には程遠く
今日も朝から曇りて降りぬ

わが父はまだ50の若さで世を去りて
義父は百に近く今も病に苦しむ
人の一生とは思いどうりにゆかぬもの

あの人も変わりはしない華やかな
  暮らしに慣れて心通じぬ

我が妻よ命は自然に尽きるもの
 永遠を願うは分かれども
  君が父すでに百に近し

昔は怖き賓頭盧尊者(びんずるそんじゃ)
  今は笑顔で我を迎えり

墓地の裏手一面に太陽パネル
  先祖らはさぞ度肝を抜きしや

故郷の釜飯庵に客多し
  我が古き友の健在なる証拠

涼きし朝よ今日こそはこの濛々たる雑草を
   苅生(から)んと思えども我が腰重く

異境の地でわが師の三弦如何に響けりや
   それよりも無事の帰りをただ祈るのみ

驟雨のあと秋深まりし畑の朝
  孤老の声高らかに響きて

秋雨(あきさめ)(かす)む夜空を行く(かり)
  (しるべ)なき道をゆく恋路かな 

吹き(すさ)ぶ秋の嵐の直中(ただなか)
  身を守る(すべ)なく生きる物たち

桔梗花(ききょうばな) 過ぎゆく風の心根(こころね)
  知らずや空ゆく雲を(なが)めて


我が友は*ハエトリグモのモック君
指先やマウスに止まりてジャンプ!

モック君潰しちゃうかも知れないよ
  危ないから傍に近づかないでよ

*ハエトリグモは5ミリにも満たないけど
雄は、かなりのファイター、飼いならして
戦わす競技にのめり込む人がいる。
家や草むらにごく普通に見られる。
毒もないし、噛んだりしない。よく見ると
ちっちゃくて可愛い。縄張りをパトロール
して小バエや小さな虫を食べながら暮らして
いる。詳しくは名前で検索すればヒット。(筆者)


白き髪を束ねし孤老は朗々と
  三線(さんしん)い抱きて謡うは恋唄
  
嵐吹く南の島に住む人は
  ヤシの如くに強くしなやか

台風の南岸かすめて過ぎゆけば
   残暑ゆるみて秋深まるやも

何時かは消えゆく隣人たちとの立ち話
   悠久の時間限られた命

長き夜を朝まで虫のラブソング
  素敵な相手を見つけたのかな

餌やり忘れて死んじゃったメダカくんごめんね
残りの仲間大事にするから許してね

あああまた今夜も遅くまでテレビ見ちゃった
  疲れたから牛乳飲んでもう寝ようっと
    外は虫の声 でもうるさくないの不思議

我歌人なりとカッコつけずに
  解る言葉ですらすらと詠むべし

暗き電車の窓に雨降りて
  車内に揺れる疲れし人々

華やかな光を浴びる世界をば
  羨む心の浅はかさを知る

邪念なく野望なく心の赴くままに
  自分に素直に正直に感じるままを
  
我がちっちゃなアイドル来訪
  もっとお菓子買っとけばよかった

爽やかに空晴れ渡りて鰯雲
   足軽やかに人は過ぎゆく

禁破り猫に餌を与える老婆あり
   咎めずに過ぐその笑顔を見れば

ひとり寝の寂しき夜をばなき明かす
   虫も濡れるや涙の朝露

彼の一休禅師は幸せ者よ
  老いの身で明妃に巡り合うとは

真実の愛を求めて彷徨いぬ
  枯淡の境地に入りてもなお

平和を求めるデモに無関心な人多し
  命があってこそのお金や人生なのに

我の落ち度を喜ぶ人あり
  精進の足りなさを痛感す

焦らずにと師の言葉あり
  なれど我すでに老いの坂にありては

雷鳴轟来て涼しき帰路に
  日は既に落ち秋分近し

長生きをして人は果たして幸せなのか
  我を介護士と間違う母を見て思う

金銭よりも人は心と思えども
  我が暮らしを見れば苦しくもあり

麗しき人傍らに座りて語りぬ
  優しき心に触れた束の間の至福

美しき人は語りて夕陽射し
  裾の乱れも忘れて一途に

若さは遠のき身は衰えていく
  でも僕の心は自由だ

真実の愛を求めて彷徨いぬ
  幾つに成っても何処にいようと

国会のデモにはシニヤが多いとか
  我も行きたし東京は遠し

長生きも元気でいてこそ意味ありや
  床に伏してはその甲斐もなし

やりぬればなかなか苦しアンチエイジング
   なれど子や国は頼りにならず

優しいうえに麗しくもある介護のひと
  あなたのような人と結婚したかったなあ

裾乱れ空より落ちし仙人の
   悔やむ白髪を知る歳となり

恋の瀬に立つ影追いて踏み迷う
  石ゆらぐ夏は早々と過ぎ

礼服に頭脳の良さをば振り被れども
  中身は愚かな裸の人間

100歳の孤老の眼は爛々と
  輝き平和の尊さ訴え


我等には重ねる代も歳さえも
  叶わぬだろうと古木は語りて

マヤしかりワットの遺跡を見よこの地上
  いつかは我等の緑が被うわ

荒れ狂う異常気象をものともせずに
   種は地中で時を伺う


生きる意味など考えずとも
  ただ生きればよいのさと老師は言った
     
師の芸に遠く及ばぬ未熟さに
  撥置けば闇の彼方に花火上がりぬ

8月の焼け付くような陽射しをば
  受けて影さす木々の優しさ

暖かき良き隣人に囲まれて
  生きる日々の有り難きかな

地の唄を語れど通じぬ人前に
   座るは虚しと思い知らされ

三味の音に乗せて語るは哀れなる
   苦界に生きた遊女の心根

そんなの知らぬは関係なしと
  言い切る人の心の冷たさ

慈悲の菩薩は説き給えり
  他を慈しみ思いやる心あらば
    自他ともに至福を得んと

幸せを享受している人々に
   慈悲を乞うのは難しきことかな

東京は台風の日なりと電話ぐち
   外の陽射しに眼も眩む大阪

雷と土砂降り雨の夕立に
   逃げて帰りし幼き日の夏

その草は貧乏蔓(びんぼうづる)なり切れよと隣人
   それにしても切っても切れぬは腐れ縁よな

何処にでも憎まれ口を利く者ありや
   嫌われるも知らで世の中を闊歩す

台風が日本で生まれて東から西へ
   驚きもせじ天変地異に慣れしこの頃
  
田舎では毛布もいるかの涼しき夜と
   語る笑顔に大粒の汗

送り火は江戸の花火に京大文字
   境に夏は静かに過ぎゆく

生憎の雨の夜空に大文字
   火守りの苦労の証の輝き

玉鍵の声消え久しき隅田川
   今も夜空に大輪の菊

都より寄せし作務衣を装束に
  芸の一歩を踏み出しにけり 

外に座す びんずる尊者に部位いわば
  そりゃ触れぬわいと笑い飛ばされ

故郷に仏送りての帰り道
  慈悲の菩薩に出無精を詫び

暑き中ただ黙々と稲の防除をする夫婦
  我が父母の昔の姿よと暫し佇む
  
ベンチでただ一人ギターを弾く人あり
   話せば暑さ忘れて供に青春の日々へ



【 ごぜの暮らしを生きた人々に 】

ごぜさんも琵琶の法師も同じよに
  三味を支えに世を渡りしや 

ただ一椀の糧を求めて旅暮らし
   浮世の風を如何にやごぜ殿

背に指の列を連ねて旅から旅へ
   ごぜの暮らしはいつ終わるやら

習い覚えたごぜ唄の
  三味を背負いて旅暮らし
    暑さ寒さの道一列に

三味の音と生きた(あかし)のごぜ唄残し
  時の彼方に消えしその影



生きる道を失いかけてい抱きたる
  三味(しゃみ)の響きにただ浸る日々

軽々と抱いて夜店の盆踊り
  今は昔の我が孫とのひと夏 

猛暑続けど我が懐の寒々として
  少なき孫への小遣いに気をもむ

氏寺の門を潜れば浄土かや
  蓮の真白き花の見事さ

故郷の生家は夢と変われども
  慈悲の仏の御心(みこころ)変わらず
  
故郷の慈悲の仏に挨拶もせず
  許し給え送り日には詣でん

帰りたる先祖の霊も戸惑いぬ
  貸家の仏間に子孫涙す

蓮の葉の上の朝露束の間の
   命の雫か陽昇りては消ゆ

盆来たりなば亡者帰りて
  冥途の鬼もほっと一息

あな忙しや三途の川の戻り船
   亡者で溢れて臨時便出し

涼しき朝に親しき人との世間話
  平和なればこそ今日も猛暑か

燃え盛る夏の陽は落ち打ち水の
  残りし庭に早や秋虫の声
   
盆近し日暮れて賑わうスーパーの
  無花果(イチジク)を手に母を想いぬ

打ち合わす撥の響のその如く
   心も一つになりて寄り添い

きみに贈る歌に秘めたる我が想い
  知られはせぬかと読み返す夏の夜

なるほど影かそう影だよね
傍にいても誰も気づいてくれない影

峠越え 鳴くヒグラシの声響き
  刹那に子供の頃の情景
  
立秋と聞いて歩けばもうツク法師
  蝉にも我と同じ性格いるらし

その弾き手自在に三弦操りて
   唄うやこれぞプロの技よと

プロの技か天才肌かは知らねども
   心打たぬはただの見世物

地の唄の魂知らずして聞く人の
   心の糸を揺るがすは(かた)

夕立の過ぎゆく都の庭石に
   腰掛けロダンの真似かと人見ん

彼の人のその心根を測りかね
   京も空這う曇晴れぬまま


【 夜鳴く鳥に 】

知らぬ間に浮き世に浮かぶ流れ草
  い抱くい草の運命(さだめ)哀しや

今宵また契り求めて灯をともす
  柳の影に蛍の我が身か

一夜契りの(あかし)をば
  残して世を去る蛍の(うら)まし

何時の日かこの身の果てるその時こそは
  哀れと仏よ我を救えや



人の世とはそういうものだと諦めず
  明日を信じて為すべきを為す

好物の無花果含みて我が母は
  我を確かに息子と見しかや

降り歩く白き手拭持たずして
  出逢いし顔に白き口髭

隣人の歩みは次第に遅くなり
  振り向く顔に深き老影

打ち水に舞う蝶俄かに現れて
  土の香のなか虹を潜りぬ

庭先の煩き蝉を追い払いても
  変わらぬ暑き今年の夏よな

嘆くな忘れよ我が心
  彼女も生身の人間だあな

ただそれだけの事に囚われる君ならばと
  想う心をそっと隠して
  
孫二人にフラれて寂し宵宮の
  屋台に誘いし天満の川沿い

長年の心の絆をベルトにつなぎ
  涼しき朝に無言で歩む影ふたつ
   
ふんわりと白き綿毛を夏風に
  アザミの種は無限の彼方へ

梅雨明けの蝉の時雨の直中に
  ひと息置いてまた歩き出す

感染予防のマスクをしながら平然と鍬を振るう人
  その心の強靭さに燃え盛る頭上の太陽も唖然か

リコちゃんお使いご苦労様お菓子をどうぞ
  ママにいつもありがとうって言っといてね

歩き語らう友よその人と仲直りしたら
  顔見合わすのも互いに辛かろうに

無償なれど三味(しゃみ)のオファー舞い込みて
  芸人気分もまあ悪くもなしか

蝉しぐれ落ちし鳴き(がら)踏み越えぬ
  短き命よ我は果たして

年老いてゆく身憂いて日々歩く
  三人の影梅雨明けの道


清らかに慎ましくただ一人で
 人知れず野に咲く一輪の花の如くに

人の心を自然とつなぎ
  ともに生きる互いを慈しむ
    茶事の旅を続けるあなたに幸あれ
  (半澤鶴子さんに捧ぐ)


殺戮の果てに見ゆるは底なしの暗闇
  武器を捨て話合いてこそ射す希望の光

まだ望みありと憂うる同志をば
  励ますアピール市民連合 
  
殺生はせぬと口では言いながら
  釣りしイサギを差し出す隣人

真昼間フェンスを(くぐ)りてアライグマ
  夫婦で廃屋後(はいおくあと)何処(いずこ)
  
アライグマ捕獲かよく目を凝らしてみれば
  待ち兼ね顔の黒き野良猫

更くる夜に寄る妹に振る舞いぬ
  粗食の他に為す術なしとは

名をそれに代えよかと思うほど好きなのと
   いう桃の実を贈る梅雨晴れ

穢れ無き瞳輝く君たちの
  手に握らさん平和の未来

我が娘想う心は多々あれど
  親を慕うは止みがたきかな

はや四十超えし娘ならばと事問えば
  返す言葉にただ沈黙す

ただ生きて今あるごとの有り難さ
  気付かぬ人の言葉哀しや

幸せの影で苦しむ人々の
  想い知らでは世は救われじ

嬉しげに贈りし者のその前で
   封斬るきみをばただ見つめている我

地位も名誉も財力も
   備えし者の羨ましきかな

粗末なる物を携え通うほかに
   心の想いを伝える(すべ)なく

止めよかな無駄な努力を重ねることも
   愚かな自分を憐れむことも

新しい希望の光を掲げて明日の扉を開こうとする者達よ
  現れ出でて、再び暗黒の世に戻そうとする輩の陰謀を打ち破れ

幾代重ねても変わらぬ人の世
   壊してやろうと焦る者たちの衝撃

暗闇に霞む赤いテールランプを追う
   この日常の向うに何があるのだろう

人の世の愚かな成り行きにうんざりすれば
   穢れ無き小さな瞳がお菓子を手に行き交い

梅雨明けでもないのに熱風の中
  地唄への道に迷えば師のアドヴァイス有り難し

子供達もう慣れたかなと通学路
  途中まで向かいに来てるよ優しい先生
   
回収に戸惑うバイクのハチの巣を
 除く晴れ間に殺虫剤の煙霧


響合う互いの心は言わず語らず
  琴三弦の(ひそ)かなる愛

打ち逢いて一つに溶けゆく心のままに
   恋の調べをともに謳わん 

五月雨の座敷に琴の音うち止みぬ
  撥を合わせし束の間の安らぎ

きみなくば生きる甲斐なしこの世には
  琴の音ともに三味(しゃみ)も消えなん

独り舞台の難しさを嫌と言うほど知らされた今日
  プロの世界の厳しさを体感出来て大収穫 

失敗を怖がるな肥やしにせよとの師の言葉
  ようしもっと稽古して次の舞台でリベンジを


【 地唄『海人小舟』をテーマに 】

われ残し波の彼方(かなた)の故郷へ
   呼べど帰らぬ海人(あま)の舟影

天の原北斗の星を艫綱(ともづな)
  掛けて戻したやあの海人小舟(あまおぶね)

澄む秋の月夜の海に帰り来る   
   その日を胸に耐えて忍ばん

おぼろ月掛かる松影たつ(ひと)
   振る袖遠く霞みて艪を漕ぐ

来る秋に浜漕ぎ寄せて待つ人を
  駆けてや(いだ)かんその(いと)しき身をば 
    
   
【 地唄『ゆき』をテーマに 】

捨てた世に残りし未練の足跡を
  被うが如くに雪ぞ降りける

過ぎし世の逢瀬の夢に目覚むれば
  松戸の雪の音ぞ寂しき

針ごとに(いと)しさ込めて縫い上げし
  衛門に残る一重憎らし

春には花冬には雪をば払うよに
  袖にされしや浮世の夢ごと

あの日々もゆうべの夢とあきらめて
  忘れてしまえば済むことさねと
     (うつ)る鏡の顔が(うそぶ)

深々(しんしん)と雪は積りて一人寝の
  枕の夢よ永遠(とわ)に覚むるな


【 地唄『夕顔』をテーマに 】

夕顔の(ころも)(まと)いし麗人の
  つま弾く琴の その美しさよ

黄昏に通い来ぬ人待ちかねて
  花は開くや御簾(みす)の裏影

玉の露消えて寂しや敷き衣
   残る一重の花は夕顔

― 浅ましき心いつしかその身を離れ 
  ひと夜の花を愛でるも許さず ― 

通わんとすれども哀れ夕顔の花
   一夜(ひとよ)限りの夢と果てなん
   
垣間見(かいまみ)し花は夕顔 (ちぎ)りては
  朝露に消ゆ恋は悲しき



横恋慕分かっているけど止められぬ
 それスイスイスーダララッタすらすらすいすいすいーっと!

降り止みぬ間に慌ててゴミ出せば
  電線の上カラス鳴きたり

雨の中込み合いたるバス停の
  人待ちきれずタクシー拾う

雑踏の音をかき消すの雨の中
  我を追い抜く都人(みやこびと)の傘

しっとりと濡れし御苑を横ぎりぬ
  門影遥かに砂利を踏みしめ

五月雨のひとしきり降り(あわ)ただし
  賀茂の流れも人の流れも

うっかりと町を歩けぬ世になりし
  国の内外いずれも変わらず

利潤を尊び人心を軽んずる世の中を
  改めぬ限り悲劇は続く

世を恨み人憎みての所業とや
  被害に合われし人の無念さ計り知れず 

せっかくの天の計らい晴れ間をば
   無駄にしてはと買い物に出る

スーパーの特売日なれど降りやまぬ
    雨に二の足有る物を食べよか

(はな)やかに(ほまれ)(しるし)(まと)うより
   人知れず咲く花よ(いと)しき

餓えに耐え生き抜く野生の厳しさを
   人知らずして食う物を捨て

無理もなし蝶よ花よと育てられ 
   尽くす誠の心知らぬは

色恋の夢叶わずば教え乞う
   心の絆を信じて生きん

嘘ぶそと吹く浮世風その中に
   誠の心のあるを信じて    

彼の人の想い遥かに遠の峰
   恋うれど届かぬ落葉影の身

五月雨に目覚めて寂しや一人寝の
   傍に君の寝息ありせば

生命の進化とはいえこの(うお)
   水を離れて(くう)を飛ぶとは

子育てに疲れしママを老母とともに
   声かけ癒しぬエレベーターの中

喪の明けぬ内に君と契りなば
   地獄の責め苦を受くるも止む無き

何気なく結ぶ髪をば(ほど)きたる
   その可憐(かれん)なる君の仕草よ

人の気も知らずに君は他の人に
   贈る品をば自慢げに見せ

返し文待ち草臥(くたび)れて更くる夜に
   五月雨かすかに夜烏(よがらす)の声

何もかも得られし姫のようならば
   有り難き身を分かるはずなし

欲しやなあ君の心の一隅に でも
   我気に掛ける情の一片(ひとかけ)

返信の遅き理由はなんとまあ
   来たる息子にメロメロの母

名門の身を裏山路振り向けば
   富士の岩嶺に雪は溶けゆく

宿借りの羨ましきかな気のままに
   家を変えては生きるその身を

宿借りの身に沿うように背負う殻
   脱ぎては拾う芸の道かな
   

五月雨の都の空の黄昏に
  琴の調べ もゆかし夕顔

その可憐なる姿恋しと通い路の
   御所の車に紫陽花の雨

響き合う弦の合間を今はただ
  歌の流れにその身任せて

琴の糸切れぬと信じ合いの手の
  恋の調べは付かず離れず

悩み多き乙女となりし我が孫に
  電話する夜五月雨の音

六十路をとうに超えし身に
  いまだに迷う己の愚かさよ
 
今日も何時の間にか2時になっちゃった
  明日ゴミの日だからもう寝ようっと

ああ嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!
  何もかも、もう嫌だ!くたばっちまえ!

君が香に酔い痴れる夢の愚かさに
   目覚めて切なし音もなき夜

忌まわしい人を(いぶか)る夢を見て
   覚めれば気重き曇る空なり

五月雨のはしりかほめく風もなき
   今宵も心は空虚なままよ

緑風に吹かれて泳げど一人鯉  
   寂しき空を何時までさまよう
    
美しき姿はあれど夫婦鯉
   緋鯉の舞は絶ちきれぬ夢

突風に切られて迷う緋鯉なら
   我が棹に固く結びて離さぬものを 
   
   
【古都の風 2016/5月京都にて】

賀茂河原萌える若葉の息吹受け
   阿国よ踊れ血を通わせて
(京都三条河原の阿国の像に)
   
大道芸どうせやるなら古都らしく
  今様阿国(いまようおくに)を舞う人もがな

葉桜に陽は(きら)めきて賀茂の川
  きょうも命の水を(たた)えて

千年の古都の川辺をゆく人の
  優しき笑顔に涼しき緑風

我が文の涙の跡を覚られまじと朝露に
濡れし若葉を添えて送りぬ 

今小町筆をスマホに持ち替えて
  文を交わせり賀茂の葉影で

緑風に吹かれて開くは京弁当
  匠の味は隅々にも満つ


【風に揺れる花に】

緑風の渡りて揺らすその花は
  今日もひたすら蝶を迎えり  

美しき華よ汝は誠は()がために
  香りを放ち蜜に誘うや

その花は香りに誘われ訪れし
  蝶の好みを秘して語らじ

千年の時を超えとどけや我が想い
  響もゆかし三味の音に乗せ

ただ忍び言わず語らず我が恋は
  末の契りさえも朧げなる花に 



朧夜の刹那き一夜の夢覚めて
  床に消えしは 花の捨て(ぎぬ)

花と萌えし昨夜の(ひと)は素振りなく
  内戸開かば陽は輝けり

緑の野にツツジの花を愛でる(ひと)
  そは誠に昨夜のあの君なりや


霞み消え澄む蒼空の大海に
  狭しと泳ぐは仰ぎ見る鯉

新緑の風爽やかに吹き抜けて
  誘えどツツジの花は(なび)かじ

眩しさを増す陽の光に細やかな 
  葉の狭間にぞ躑躅(ツツジ)や目覚めん
  
華やかな宴の後の葉桜の
  脇ひっそりと 咲く躑躅かな


この地上に生きる者たちは
 天変地異を乗り越えて
  今なお明日へと命を繋ぐ

命さえ有れば明日は何とかなると
  震える体にそう言い聞かせたり

大地の鳴動に為す術なしかと
  涙を拭いて瓦礫を見つめる

救われし赤子は無垢故か
  何事も無き顔で現れ出でり

大地の揺れはまるで収まる気配なく
  身体の芯をば揺さぶり続けて

眼の前に崩れし家に唖然とし
  悪夢なら醒めよと続く余震に


やさしあなたが植えた青い小さな花
  へえ~忘れな草って言うの
     名前まで優しいんだね

桜散っちゃたけどほらツツジの蕾 
  いろんな花が咲くよねこれから

可愛い子供たちの笑顔とすれ違いながら
  眩しい朝日の中を歩く「お早う!」


永遠の命を求めて迷う人々よ
  輪廻転生死は一時のみ

衣を変えるが如くその身を変えて生は続く
  死とは来世への短きトンネル恐るに足らじ
  

さすが商都と言われる大阪や
  忙して花見もさっさと通り抜け

死ぬ前に行っときなはれ通り抜け
  この世にも極楽浄土がおまんにゃで

豪華絢爛咲き誇る
  桜のトンネルくぐらんと
   春はきまへん浪花っ子
  

嵐に散りて泥に(まみ)れし花びら哀れなり
  国を追われし人々にも似て

散り初めし花よ汝も短き春に
  別れを惜しみて涙するかな

羨まし今は散りてもこの櫻
  又来る春に花や開かん

毎朝の我を迎える公園の
   花の便りを挨拶代わりに

お疲れ様一番乗りのツバメさん
   旅の話は後て聞かせて今買い物に行く途中

若きテニスプレーヤーの人気の秘密
   ヒヤヒヤさせて勝つことにあり

―  我捨てて春風ともにゆく人 に
     泣くな涙よ何故に流れる
  
  ひと枝を払いて花の落ちるなか
     恨みの涙を後に去りゆく ―

この後も年金頼りのこの身には
今をおいて他はあらじと大枚叩いて

窓を打つ春雨の音の優しさよ
  芽吹くものへの想い籠れり

妹も歳の差あれどお互いに
  老けゆく事に変わりないわな

孫娘の成長していく様
  まるで蝶がその身を変えるが如く

道に倒れし老婆起こせば
   その吐く言葉の強きことよ

願わくば君の心の奥の奥
   誠の一字を消さず移さず

(はぐ)れ鳥 花と朧の月かすめ
   鳴く声侘し一人寝の窓

一筋の見えねど見えぬ恋の糸
   切れぬと信じて辿る日々かな


半額のサンドイッチ片手に赤信号
  暮れなずむ春の通りの向うに夕陽

亡き父の友に逢えども声かけず
  その髪の白さに我が父もかと

食べ方を忘れて混ぜる母の手を
  止めれど次の為す(すべ)もなく

我をまた他人と間違え礼言う母に
  言葉もなくただ微笑み返しぬ


鳴る鐘に心狂わす程の恋
  燃えて残るは桜木の寺

日高川流れる花の行く先は
  狂う早瀬を越えて海へと 

戯れな恋はすまじと道成寺
  清き流れにも潜む深淵(ふかぶち)


堅固なる平和の砦と侮るなかれ
  千里の堤も蟻の一穴から崩れ去る

安保法施行されたるフェンス内
  迷彩服の歩み揃わず


覚めてる心は死んじゃってる心
  燃えてる心は生きてる心
きっと彼は燃える心が欲しかっただけかも

見聞きするだけじゃあ面白くない 
  その主人公にならなくちゃあね

(いと)しさを(つの)らせ駆けゆく恋月夜
  袖引く枝の桜散らして

若いママに連れられたちっちゃな可愛いお二人さん
  でもすぐに大きくなっちゃうんだよね僕の孫みたいに

選挙前毎に顔を見に来る同級生
  互いの歳を話題にはせず 

一枝に紅白混じりて(あで)やかに
  咲くは花桃その名も源平(げんぺい)

暖かき明日こそ母の車椅子押し
  お好み焼きでも食べに行こうか

杖をつく危うき歩みに気を使い
  歩をば緩めてそっと抜く朝

きょうもまたいつの間にか日が暮れて
  気怠き我が身を持て余しけり

AM6:00~pm10:00の時報のもとに
  規則正しくとあがいたけれど難しい~!

もしかして人は宇宙のバクテリア
  それが世界を知ろうとしている?

じゃあ他に何をすればいいの
  スマホ片手にその人は言った

三味線の糸を(はじ)けば幾百年の
  昔の我を知る夕べかな

自爆して大勢の命を奪うも人
  その身を犠牲に大勢の命を救うも人

この星の遥かな未来に(うごめ)くは
  人消え去りてただ機械のみ
   
戦場を目指し国を出る者あり
  生き地獄と知ってか知らずか 

人は皆スマホいじりて無口なり
  そのうち言葉を話せなくなるかも

朧月かかる桜の木の下で
  瞳うるませ君は待ちたり

欲しくば来いと腕擦り抜けし一重着を
  追う春の夜の桜木の影

朧夜の草の(しとね)(むつみ)ごと
  花に(まみ)れし君が髪なで

久しく待ちし薄紅の枝垂れの花の膨らみて
  我楽しませる春やすぐそこ

送られしメールに渇きし心癒され
  明日を生きる力湧きなん 

君もまた母なるや疲れを忍びて
  ただ息子娘に尽くす休日

沈みゆく夕陽の心根を測り兼ね
  迷う背後のおぼろげなる月

愚かなる想いを抱きて年甲斐もなく
   叶わぬ夢に生きる日々かな

三弦の糸道辿ればいずれかに
   着くを信じてい今は凌がん

眼の前に続く道しかなければ
   今はただ歩くほかなし

初音より色艶も良き鶯の
   声響きたり庭の薮影

近所のチビちゃんたち引越して
   寂しい春となりにけり

師の舞台見終えて出れば足元に 
   木蓮の白き花風に散りたり

やはりただの生き物か憎み殺し奪い合う
   愚かな種にとなり果てるとは

年老いて狂う人をば見るにつけ
   長生きもまた一つの苦かな 

中学に入いる孫の名呼び違え
   それは娘と妻に笑われ

この陽気昨日の雨も相俟って
   何の桜の開かいでか

麗らかな春の日差しに誘われて
   畑に出ずれば笑い顔待つ

整えし畝の上にはなけれども
  心に見ゆるは夏の菜園

逢う度に二人の絆深まりて
   身は離れても心は通えり


ー 明けぬまに移り香残して去る人を 
    偲ぶひと夜のおぼろげなる夢

夢ならぬ君を褥の恋月夜
   散らぬ花なり今宵また見ん ー 
  


― 今宵また霞みに紛れて桜影
   裏の臥所(ふしど)をそっと開きぬ

忍び寄る影を照らすは朧月
  花の香りとともに()るひと —



ー 春や春春来たりしに
  花よなぜ硬き蕾を閉じて開かぬ

春くれど気まぐれ風に惑わされ
  あくに開けぬ我が恋心 ー 


うららなる春の陽気に誘われて
  花はほころび鳥や謳わん

寒き日の続きて桜の蕾も硬し
  希望の春やいつ訪れん

彼の人に逢うも冷たき素振りして
  覚めて哀しや春の夜の夢

早春の光の中をひた走る
  バイクの響きのこの心地良さ
   
逢い寄りて桜の影や月明かり
   草の褥の甘美なること

咲くを待つ花に恵みの夜の雨
   我が心にも春の息吹を

彼の人の心の奥をはかりかね
   一人想いに耽る春の夜

葦原の花のいわれを聴かんとや
   知らぬが仏よこんな浮世に

君やがて花の違いに気づかなば
   この葦原を抜け大和へ登らん

み吉野のやまとは遠い葦の原 
   花は散れども送る川なく
    
三味の音に乗せて語るは涙花
   葦の原なる苦海に舞い散る

ただ咲きぬ咲きぬ君をば恋い焦がれ
   散るを知りなば枝揺すりはせじ 

涙落つ花散る郷を想うれば
   いずれの人も今も昔も

雪溶けて淡きピンクの花咲けば
   凍てし心に温む春来る

我が歌に桜よ汝がなかりせば
   色艶失せて情も流るる

日のもとの誉は雪を頂く富士か
   はたまた心を揺さぶる桜か

世を捨てたはずのつもりが
    静々と櫻を描く寺の軒下
   
川浪に泳ぐ鯉も焦がれずや
   水面に映るあの櫻花

千年の時を越えずばこの桜
   今の私に人は契らず

花の下薩摩おこじょの紅の頬  
   猪口盃もなく匂うのは何故

白秋の桜の花はいずれの人か
   偲ぶ窓辺の面影の人

久米の桜は初恋の乙女心か
   純白の淡き心にのち薄紅の差す

望みの日々を送れぬもどかしさよ
     ああ我何のために此処にありしか

心ならずも贈りし歌に涙するとは   
     ああ君なればこそ

世の評判など知ったことか
     ただ我心の儘に書く

穢れ無き心を持ちて逝きし人
   至福の世へと早や送られ給えり

日を追うごとに幼子の
  命の光は輝き増し
   見守る人の心にも春

心癒えし微笑む人の姿や嬉し
   紅き枝垂れの梅輝く日

妻ともに厄除け寺に詣でけん
   親の介護の気晴らしも兼ね

外に出ぬ我を案じて隣人の
   声ありがたや明日は節分

幼さを抜け出て間も無き心にも
   生きる苦を見て爺は戸惑う

春を待つ芽吹きの枝にこの陽気
   冬過ぎにしかと迷うかに見ゆ

孫比べ 育つ喜び見ておれば
   己の老いの行方どこえやら

寒風にカラスの群れの争いて
   啄ばむ細き遺骸遠のく

餓えと寒さに野生の者は
  日がな一日目を皿にして
     ただ食う物を探し求める

この世の闇を照らす光が見えぬなら
    自らの手で灯すしかなし

バーチャルなお伽の世界に酔い痴れて
    他方で逃げ惑うこの世の現実


お母さん!見つけてくれてありがとう!
   お菓子を片手に涙を浮かべ
       微笑むちっちゃな女の子
    (師走のスーパーで)

もはやこの地上に希望の光は見えぬ
   それは仰ぐ銀河の彼方に

この闇を裂き希望の光に包まれて
   未来に向かう手立てや何処に

今日もまた心細き身を三弦の
   糸に託せど暗き行く末

真実の愛を求めて儚き夢と
   知るも懲りずにおう我が身かな

愚かなり年甲斐もなく色恋の
   想い抱きて眠れぬ秋の夜

育てても男子(おのこ)は甲斐なし婿養子かな
  新居は遠く孫も(いだ)けず

宮参り孫抱こうにも嫁の母
  譲らぬままに日暮れ帰りぬ

スマホに微笑む孫遠く
   夫寝入りたり時雨降る窓


【 観心寺にて 】

住給う慈悲の菩薩は生き仏かや
   御身の艶も息聞こゆほど

深山の緑開きて観心寺
   過ぎゆく影や具足の揺れ音

出陣の声高らかに雲の峰
   人馬を連ね表舞台へ

修羅場へと立ちゆく人を御仏は
   如何なる想いで送り給いし

山深き郷に生れてひと世の夢に
   眠るは(みなと)永遠(とわ)宮城(みやしろ)

(初めて河内長野市にある南北朝時代の英雄
 楠正成公ゆかりの観心寺を訪れました。
 威風堂々たる伽藍のとても立派なお寺でした。)


囀りに目覚め夕闇虫の音に
   変わりて見るは何れもまた夢
   
身に纏う衣や時代は違えども
   色は変わらぬ男と女    

文化とは苦役の上に成り立てり
   下が騒がば忽ち崩れん

股引を藁屋の者は身体に纏い
   貴人は大事に枕に用いる 
   
紫を尊ぶ歌仙の住まうは高嶺    
   俗世の藁の匂いに塗れず
 
色恋を越えて残るはただ心のみ 
   褪せた花をば誰が愛でるや

星の奥そのまた奥の暗闇に
   光を求めど人智及ばず

人をば犬馬の如く操れりと 
   何を己も同じ生身で

想い人よ通い路に命絶てども嘆くなかれ
  我が心常に君とともにありせば


【 廃校の桜に捧ぐ 】

来春の夢を絶たれた大枝垂れ
   その無念さを如何に歌うや

来る春に
 咲く花愛でる若人失せて
   涙の雨に散る身よりは
     消えて残らん人の心に
             
比類なき桜の銘木倒されて
   地に這う音の さぞや悲しき

そは人の心に春の喜びを
   あの華麗なる身をもて与えしものを

生徒を追いて消え去りし
   学びの薗の大枝垂れ
       永遠に心の満開の花

( 横山高校の枝垂れ桜の大木は2015年10月切り倒されました。)

嘆かずに望みを捨てず我生きん
今を明日をその次の日を

夏過ぎて蒼き葉も枯れ浮く露の
重みに耐えず地に舞う我が身か

過ぎゆく秋に為す術もなく老いる身を
薄き布団にただ横たえて

日々のニュースを見るにつけ
人の為す業ああなんとなんと

作る苦労や大事さ忘れ
食べることなど果たして何時まで

甘き芳ばしい香りを分けて
どれにしようかパン・パラダイス

街角に豪華な造りのパティスリー
セレブの車入りて停まりぬ

立たぬ足を投げて荒れた畑観る人に
そっと手渡すコーヒーカップ

畑人老し身の回り片付けなんと
苦労の小屋を潰し縄なう

そは彼の人か細き身に大きな花を咲きそろえ
野分の風にも耐えて生き抜く

目の前の花に見惚れるふりをして
覗けぬ心の中には彼の人

花の波その中ほどに立つ人を
思い浮かべて瞼のシャッター

気まぐれな風に押されて秋桜(コスモス)
花の大波寄せては返しぬ

秋桜の風に誘われその人は
介護の目を抜けふと彷徨いぬ

見たやなあコスモス畑の中に立ち
惑いの髪を梳かす君をば

秋の夜に滲んで揺れるだんじりの
赤き提灯追いしあの頃

遠い遠い祭りの日亡き父は振る舞い酒の
肴を僕の口に入れて微笑み

三十九にもなる娘
未だに母の目には幼子

君一人この世にいればこそ我も
明日の光を受けて輝く

秋の夜の月も科学の眼で見れば
味気なき岩の塊

弦をはじいて昔の人の
心を辿れば何が見えよう

愛する人愛してくれる人がいなければ
この世はなんて虚しいものかな

祭りの夜傍らに三弦
僕はただじっと虚空を見ている

愛、優しさ、思いやりの心は
物欲にとらわれた人には見えぬ
そんな人らが牛耳る国政
情けなや恥ずかしや

メガ台風にゲリラ豪雨
自然の逆襲が始まった

平和のために行動するものを殺すと脅迫
これがファシズムでなくて一体なんだ

堂々と兵器を作って売りまくる
こんな日本に誰がした

満たされし束の間の時過ぎ離れなば
切なき胸の想い再び

見上げれば渡りの鳥や鳴く声の
過ぎゆく先に夕映えの雲

聞き慣れぬ声夕空を行き過ぎぬ
もしや異国の鳥の渡りか

道端にバイクを止めて重ね着を
見れば街路樹はや色付き始め

天変地異の多しこの頃や
国の政治の乱れのせいか

秋風に何処からか道路を転がる黄色い風船
国会は荒れに荒れたり

独り寝の澄し心に秋の月
虫の音侘し露の 草陰

ただ一人秋の月夜の虫の音に
ものを想わば逢いたさ(つの)りて

我が恋は秘めて語らじ眼の前の
想い人にも気付かれることなく

気に入りのパンを片手に茶を飲めば
想い人の地に入りて嬉しや

山下り開けしその名も三日市
昔の人も寄りて商い

秋来たり坂を登りて肩の荷重く
君の笑顔にほっと一息

懐かしき人に出会いて過ぎし日の
話を肴にラーメンすすりぬ

この世には悪意に満ちた人もいる
人を簡単に信用してはならぬ

子羊たちよ囲いの外は狼だらけ
恐れることも学びなさい

国会を囲みし声は訴えぬ
戦い許さじ平和を貫け

逢える日を増やして通えば
彼の人のためになるならそれを良しとし

世に彷徨う異なる我をまた見つけたり
三味(しゃみ)を片手に今日を生き抜く

スプーンの無花果(いちじく)を口に我が母は
旨し旨しと言いて笑いぬ

涼しさに秋を誘うや虫の声
時雨の音にやがて遠のき

今まさに過ぎ去ろうとするこの時を
尊ぶことに生きる意味あり

何気なき日々のこころの触れ合いにこそ
掛け替えのない幸を見出したり

岸に立ちて振り向く過去の景色をば
分かちて流れる煩悩の川

真の菩薩は名もなき人の
中にこそおわすなりとか

世の光を浴びる人とは異なりて
蔭に生きるをよしと信じて

彼の人は我の真意を測りかね
はたと心を閉じて語らじ

我が心 知るは神仏のみと諦めて
世の人々に幸を与えん

物事は焦らず怒らず諦めず
彼の歌姫はそう言いしとか

つく法師鳴く下り坂 陽弱まりて
秋の季節に歩み入るかな

一筋の炎を守るは唯一の
希望に導く光と見しかば

深山に咲く 白百合の花の如
人知れずして閉じて終わりぬ

寂しさに君を想えど短夜の
為す(すべ)もなく白みて明けゆき

この孫に見せる花火に笑えども
音にうずくは(いくさ) の古傷

見たやなあ墨田の川の大花火
我が身は南の土に埋もれて

子孫たちよ地獄とはこの世にこそあり
戦争こそがまさにそれなり忘れるな

平和をと叫んで歩く人々の
後に続くは数百万の御魂

同胞に草葉の陰より叫びても
声は届かじ如何に我せん

猛炎の揺れる彼方に見しものを
語れといえど舌は動かじ

八月の彼の日は再び訪れて
胸焼け焦げし年はゆけども

寂しさに他に心を 移せども
誠の人はただ一人のみ

空を舞う 翼を見れば落ち葉の影の
己の身をば 問うもせんなし

風が吹いたよと風鈴鳴りて
窓を開くれば遠くに花火

戦火に倒れし魂のその心根の奥底を
偲べば見ゆる平和への道

故郷の想いはあれど若き日の
心の傷がそれを断ち切り

陽は高く上りたり未だ開かぬ
隣人の気になる雨戸老い人なれば

与えし蝉 けたたましく鳴き騒ぎて
手を引っ込めし孫に爺は戸惑い

舞い人の便り途絶えて蝉しぐれ
北の空にも梅雨は開けしか

一体となりて打ち合わす想いをば
よすがに今は耐えて忍ばん

身は互い庭に縛られ雨に泣く
紫色の花は哀しき

そのカラス何故トマトを食べて悪いと
追い払う我を見つめたり

人も唯の生き物ということか
争いを避けて通れぬ愚かさ哀しさ

我が心風の如くに自由なれば
こだわりを捨てぬ人は迷いぬ

若き日の愛を信じて時経てば
その場しのぎの契りかと知る

憂いが夏の雨の如く心を濡らし
滴り落ちる言葉を綴りて愛の渇きを癒さん

可愛いおチビちゃん達の姉妹げんか
風船あげたらどっかに消~えた!

今日も又夕餉の支度に迷いつつ
重い腰上げ握る包丁

我が同胞を再び血生臭き囲いへと
追い込もうとする(やから)(ほろ)びよと
言いてかき消えし影は果たして

身を捨てて(いばら)の道をと陸奥(みちのく)
その舞人はつつと漏らしぬ

真夏日や町屋の影の片隅に
  都の人はそっと暮らせり

ただ待つと君は軽やかに綴り終えたり
笑いのマークに名前を添えて

独り身で花を愛する屈強なる友は
完熟トマトに赤ワインが合うと
言い残して去る梅雨の晴れ間に

穢れ無きひとみを丸め手を振りて
見知らぬ我を送りし幼子

長き道を生きた甲斐ありやその人は
老し身をただ一人床に伏しつつ

君去りて開け行く梅雨の夕暮れに
じっと見つめる蝉の抜け殻



【舞台の花に】

舞台に立ちたる花は(けが)れ無き白百合か
将又(はたまた) 恨みを背負いし白衣の怨霊か
いずれにしてもその舞いの(うるわ)しきこと(あや)なることと
観る者の魂を捕らえて離さじ

いざ しばし酔わん日々の生業(なりわい)の憂さを忘れ
出雲の巫女とやらに心を奪われし
(いにしえ)の河原の名もなき民衆に立ち戻りて

やんや やんや

(この作品は、違ったペンネームで、或る舞踊家の方に捧げたものです。)


扇風 に舞台の花は立ち揺れて
一舞いごとに色香漂い

その扇 (かえり)りて回らば立ちどころに
観る者をして夢郷(むきょう)へと(いざな)えり

名も知れぬ花といえども何れの花が
咲くと同時に自名を告げるや

持てる者は持たざる者に分けて与えよ
太古の祖先が為したる如くに

夕暮れて涼し谷間のせせらぎに
カジカの声して舞うは蛍か

撫子(なでしこ)(あなど)るなかれその実は
(ともえ)の血をひく女武者(おんなむしゃ)なり

灼熱のピッチに立ちてイレブンは
同胞(はらから)の望みを抱きて今日も闘う

昇りし陽は(あかつき)よりすでに燃え
地のものすべてに夏を知らしむ

流す血を黄金(こがね)に変えてのうのうと
死の(あきな)い人はいつの世も生く

それほどに戦いたいならやりなはれ
言いだしっぺから人里離れた砂漠にて
自分らだけで好きなだけ
巻き込まれるのはまっぴらごめん

怒り狂う 自然の神のなせる(わざ)
気づかぬふりして なおも汚すや

罪な風 密やかに咲く白百合を
揺らして去れば舞いて香りぬ

(えつ)に入りて さあこれからぞという時に
三味(しゃみ)の糸切る無粋(ぶすい)なるもの

雉羽根(きじばね)(くわ)えて()せぬ(かんざし)
嘆く(からす)の声ぞ身に()

今日もかと 梅雨空眺めるじれったさ
降るのか晴れるのか ハッキリしろい

咲く薔薇の露の如くに寄り添いて
光指すれば空の彼方へ

国分(くにわ)くる峠を 越うれば想い人
白き撥もて我を迎えり

武器を捨て手を取り合いてこそ平和
売り買い持つゆえ止まぬ戦い

インゲンの由来を解かば母国にも
有りと笑いしネパールのシェフ

送りたるワイン着きしか返事なく
病が気になる夏至の夕暮れ

主無き畑に雑草生い茂りたり
間もなく明くる梅雨空の下

想い人便りの言葉も少なげに
思わしくなき身体なりとは

何れの地にも人は住まい暮らしけり
過行く窓に行き交う人生

掛けし愛届かぬ心の情けなさ
冷たき言葉に打ちひしがれし夜

君がため 初瀬の御足(みあし)平伏(ひれふ)して
掛けたる願いも(むな)五月雨(さみだれ)

五月雨(さみだれ)に駆け上がりたる初瀬の寺
受けし五色輪(ごしきわ) 君は袖にし

香久( かぐ) 畝傍(うねび) 耳成(みみなし)の山 五月雨(さみだれ)
煙りて窓に大和(やまと)は過ぎ行く

牡丹散り初瀬(はせ)の御寺は五月雨(さみだれ)
慈悲の菩薩も寂しげに見ゆ

御仏(みほとけ)に無沙汰を詫びて平伏(ひれふ)しぬ
五月雨(さみだれ)の降る初瀬の夕暮れ

初瀬の山 |御体(みたい)の足に触れ伏して
願う心を知るは仏のみ

火遊びの好きな者に火を持たせば
()けずと言いて点けずにおかぬわ

初夏の眩しき光はあれど
我らの行く手に揺らぐ陽炎(かげろう)

葉桜の赤き実含めばたちまちに
心は幼き故郷の野辺

すべてを支え育む大地の如く
広き心持て我生きん

自らを信じ 努力を積み重ね運命を切り開く人
自在に生きる力を得るとはこのことか

身はかなわずと知りながら我が心
絆を求め今日も彷徨う

若き二人よ日はまたたく間に過ぎ老いはすぐそこに
後悔を残さず懸命に生きて今この時をこの瞬間を

彼のひとの便り遠のき弾く三弦の
重き音色や陽はまだ西に残り沈まず

逝きし人の留守電の声廊下に響き
縁人ともにしばし聞き入る

曾孫を集いて合いに行けども老母は目覚めず
情けなや眠りの奥の心変わらで

蒼き空に 縁の髪の乙女待ちて
躑躅(つつじ)の花に頬を寄せ合いしあの頃

青き春に柔らかき乙女の手を取りて
躑躅の雨に濡れて走りぬ

淡き春に 桜の色の乙女ありて
縁の髪に触れ萌えし日々よ

他次元のもう一人の我なりや
夢で恋した確かな感覚

画集を手に 夢に現れしその乙女
胸ときめかせ我に寄り添い

求め合う心のときめき感じつつ
そっと身を寄す何も語らず

淡輪(たんのわ)躑躅(つつじ)の花に通り雨
上がりて淡路に虹の架け橋

淡輪(たんのわ)躑躅(つつじ)の向こうに淡路島
輝く初夏の海と花々

浅香野(あさかの)に源平乱れて躑躅花(つつじばな)
張る陣幕の長き連なり

泉州の 浅香野山(あさかのやま)花躑躅(はなつつじ)
背丈遥(せたけはるかに)に越えて連なり

老いし身を 嘆きながらもその人は
眼光鋭く見据え説きたり

愛を持て 他人(ひと)の心を癒すれど
己に愛をくれるひと無く

どうしよう 生きるよすがを失っちゃった
また一人ぼっちになっちゃった

彼のひとの安らぎの地はそこなりや
それみたことか愚かな身を知れ

やめよかな 愚かな自分をあざ笑うのは
やめよかな愚かな夢にもう生きるのは

故郷に帰れる人や羨まし 我には待つ家待つ人さえも無く

故郷の 生まれし家は跡形もな く 他人の住む地となり果てて
思い出哀しや 夢に見る日々

華の重さに耐えかねて 倒れんとする牡丹をば
垣根の内に見る切なさよ我が庭なればと想えどかなわじ

彼のひとは 人の妻よと言い聞かせ
緑の風に心癒しぬ

生業(なりわい)を 捨てよと言えぬはがゆさよ
それをよすがに生きる人ゆえ

床に臥す 師を見舞いてのち信号を
待つもどかしさ情けなさ

カラス達よ この豌豆(えんどう)は人が育てしもの
(おど)しを結ぶ手に暖かき雨

男鹿(おじか)とも 疾風(はやて)の如く 世を駆け抜けし
女鹿(めじか)の名をば(ともえ)と言うなり (平家物語より)

うら若き 華やかなりし時を経て
(かも)葡萄(ぶどう)の美酒待ちどうし

透き通る グラスの美酒の香りをば
楽しみながら静かに去らん

彼の(ひじり)はかく語れり 救いへの道はそこいらじゅうに示されている
自然の営みの中にそれを見いだせと 風に花に水に・・・・

優しき風に花は微笑み 恵みの雨に木々は安らぐ
人の心もかくありたきものよ

智慧と優しさと笑いをもって人生を受け入れよ
我が同胞の言葉ならなお嬉しきものを

花の苗に 土を施すその手優し
我が子に毛布を着せるが如くに

子を口に 何処に運ぶや母猫よ
他に安住の地などありしか

納屋の隅 物音する箱 近寄れば
野良猫跳び出し 中に乳飲み子

母猫の眼は(りん)として訴えり
我が願い一途に子らを守り育てん

小魚を与えんと寄れば親も子猫も
空箱残して消え失せにけり

筍を 手に幼き姉妹立ち 可愛い
菓子与えれば跳んで帰りぬ

雨に濡れ 堀し筍携えて
孫がお世話にと 祖母の愛かな

筍を見るたび想う 幼き友は
貧しさゆえにただそれのみ食して

病院を後に 濡れる道路をひた走る
バイクは問いたり母 (いや)せしかと

海女小舟(あまおぶね) 弾き込み 後歌(あとうた)に懸かりなば
涙溢れて譜の読めぬほど

(『海女小舟』とは、筆者が習っている地歌(じうた)と呼ばれる三味線音楽の曲名。
この曲の最後の部分に歌われる後歌の詩、メロディーが美しく、哀切に満ちていて
とても素晴らしい。興味のある方は【地歌FAN 】と言うサイトで試聴できます。)


(とら)たる小鼠(こねずみ) 哀れと想い餌与えしが
命続かず土に(ほうむ)

(また、鼠取りの網篭に小鼠が懸かったので前の一匹と
同じ野原に放とうとしましたが、冷たい雨が続き濡れては可哀想、
晴れる日を待とうと、餌や藁のベッドを入れてやったところ、
元気に餌を食べていたのに三日目に亡くなっていました。
次の日、上の雑木林に埋めてやりました。残念・・・。)


無理が祟りて 病長引くわが師を見つつ
何も出来ない身の情けなさ

若き頃から習っておればと師の言葉
撥を止めて聴く 落花盛んなり

彼のひとが 我をどう思うとままよ
愚かと知りつつ通う我が身さ

先ほどはありがとう
優しいお母さんで良かったね (若き親子の心使いに)

打ち捨てられし老いの園
庭には今年も満開の花

暖かき 優しき雨の宵なれば
舞妓よともに濡れて帰らん

神仏の加護有難きかな 彼の人は
苦しみ去りて笑う今日の日

夕べに捉えし子ネズミを
義母の供養にと野に放つ朝

(はな)(もと) 我慕う 師と膝交え
いざや(うた)わん(ばち)を合わせて

花見の頃なれど 雑務に追われ今日一日
夜桜は疲れて眠る夢に見るかな

我が郷の 仰げば遠くに(かすみ)たる
熊野の山に続く峰々

今年また 春めぐり来て花咲けど
共に喜ぶ人無き身には

美しき顔に手を触れ(いと)しさに
涙すれども 君は(まぼろし)

我求む 人は何処(いずこ)に此の世では
巡り逢うこと叶わぬ身かな

苺苗 良きも悪きも皆植えん
同じ株から出でし命と

場所取りの 茣蓙(ござ)も濡れしやこの雨にと
花待ち客の漏らすため息

もう一雨と 待ちし桜の望み叶い
朝からしとしと降る日曜日

捨ておこう 身を案じてもせんなき事
我が意志貫き生きてゆく人

時は過ぎ 春はめぐりて人は逝き
また生まれ来て見る桜かな

生家無く 郷に残るは墓地のみと
慈悲の菩薩の住まう山寺

郷の友 顔見たけれど苦難抱く
その身想えば寄らず帰りぬ


【 花の夢 】

花開く春の宵に
この世のものとは想われぬ 美しき女人(ひと)現れ()でて
待つは私よと白き手を伸べ

彼の 女人(ひと)一目逢(ひとめあ)いたるその(のち)
如何(いか)なる女人(ひと)も目には止まらじ

眼閉(まなこと) じ 花の唇緩(くちびるゆる)ませて
甘き香りの吐息もらしぬ

(ほほ)に掛かる 長き惑いの 黒髪を
白き指にて払う仕草よ

美しき 寝顔に魅入る枕もと
花は目覚めてそっと微笑み

つかの間の 夢の逢瀬も終わりぬと
花散る庭の桜木の(あた)りに
佳人(かじん)は夜明けとともに消え失せ



老いぬ国へ 共に()かんと手を伸べて
我を(いざな)(あま)舞人(まいびと)

花見の座 確保せんとて金曜日
若き母らは自転車連(じてんしゃつら)

主逝(あるじゆ)く 庭にも春はめぐり来て
咲く花寂しや()でるひと無く

八十六の 春を迎えし畑人(はたびと)
桜の便りに声を(はず)ませ

さぞ(つら)き 苦しき旅をば成し終えて
鳴くや(つばめ)よ我が身讃(みたた)えて

花桶(はなおけ)を 手に見る向こうの山裾(やますそ)
(きじ)の声して(しばし)(たたず)

乙女らの 運命(さだめ)悲しや浄困寺(じょうがんじ)
(つら)ねし名の(かず)二万を超すとか

芦原の 苦海に沈みし乙女らの
運命(さだめ)を知りて涙に咽びぬ

今もなお 心に宿りし彼の人は
制服 のまま微笑(ほほえ)み返して

春の世を (なが)める(まなこ)(たが)わねど
若きは心の中にも花燃(はなも)

老いし母を 見舞う心は多々あれど
帰りに嘆く姿を想えば

さらば(いと)しき人よ 溢れる思いを
心に秘めて 後姿を涙で見送る

学び()の 庭を()ちて早や五十余年
この子等(こら)のように我も喜びしか

頼まれし 胡蝶蘭を植え変える
水苔の上に暖かき雨

連れ合いの 体調戻りて数日後
(じい)は再び(はた)(いで)たり

美しく (さえず)る声に振り向けば
我よと尾を振る馴染(なじ)みの鶺鴒(せきれい)

空に舞う 女神の袖の一振りに
慈悲の雨降り 花は開かん

春雨の 夜通し振りて野や山に
芽吹く歓喜の音や聴こえん

(とこ)()す 人から届くメールには
熱あるも 見舞いの心ただ有難しと

上げ雲雀(ひばり) 声高らかに(さえずり)
春を告げたり (かす)みの彼方

病得て 床臥す人を案ずれば
春来たれども重き心根(こころね)

痛き足 引きずりながらもその人は
畑の草を無心に抜きたり

隣人が 「 車買ったの気付かなかった?」
我がバイクのみすぼらしいこと

わが孫と 遊ぶ姿を見し人が
年を考え無理はするなと

ここにきて やっと寒さも峠越し
花の便りを待ちしこの頃

夏過ぎに 虫を払いし梅いじらしや
寒さにめげず紅き花見せ

母逝くも 後に大御所残りけり
人使いの荒さ今も現役

母逝きて 介護に疲れし妻の顔
青白きから少し色づき

早春の朝よたよたと 黒きカラスは地を歩き
飢えを(しの)ぐや落ち葉の(さなぎ)

尺八を吹きし僧 若き日よりも調べには
息弱まれど深み増したり

一人暮らしの老いし人 菜持ち寄れば喜びて
立ちあがりたるも足おぼつかず

ホワイトデー ちっちゃな彼女に何返そうか
年長さんだよね ええ!もう一年生

春の暮れ 夕闇迫るホームには
吹き込む雪に耐える人々

もう春よと 女神の吹き込む吐息にて
花は開きて鳥歌うかも

冬将軍 最後のあがきか吹雪もて
春の女神を遠ざけにけり

目の前の 時が戻りて大江戸の
花見の宴に我も加わり

やはり世は 気付かぬうちに狂いしか
染井を後に八重が咲くとは

早咲きの 桜ほころぶ公園の
ベンチに(つど)うひと日毎(ひごと)増えゆき

夕暮れの 道に揺蕩(たゆと)う春霞
過ぐシグナルの色わずかに淡し

白菊を(ひつぎ)に入れんと泣き伏せば
幼子寄りて泣くなと手を引き

亡き母の棺に(すが)りて泣く人の
身体(からだ)老いても心は幼き

子ネズミの 床を走れば その昔
捕えし父の自慢顔見ゆ

(ひよ)群れて 畑の野菜を(つい)ばめり
慌てて網を(かぶ)せ防がん

人は皆 この世が舞台の役者かな
それぞれの名にそれぞれの役

逝きしひと 昨夜の夢に目覚むれば
その身は母に抱かれる幼子

小春日になれども畑に(あるじ)来ず
老いたる妻が倒れし故とか

春を待つ少女の如くに桜木は
吹く寒風に色めきもせじ

寒風にただ桜木は(しん)として
色まだ見せじ待つは春風

春まだき 桜の道の小枝にも
泣くは寂しき百舌鳥一羽のみ

鶯は小枝を離れて飛び去りぬ
小道に我を一人残して

陽が昇る峰に立ちてもその(あと)
降りねばならぬ暗き山道

身を案じ送るメールに笑顔を添えて
きみはさらりと受けて流せり

世を渡る翡翠も運命(さだめ)は変わらねど
生身(なまみ)にはあらじただ我は人

打つ波に 巌を離れし一片の
藻は寄すれどもただ沈みゆく

叶わぬと知りつつもなお我が心
何故に求むる夢の面影

煮る鍋の饂飩(うどん)寂しや独り身の
路地の足音絶えて犬泣く

嬉しさに(さえず)る鳥の歌恨み
つま弾く三味の糸も切れたり

つがい鳥 (むつみ)て揺らす山茶花の
落ちし花びらわが涙かな

施設の暮らしに馴染みし母は
優しく微笑み我を迎えぬ

寒風の野原に集いしサッカー少年
未来に向けて渾身のシュート!

介護に疲れし妻の腕揉みて
途方に暮れる底冷えの夜

字の如く楽しむものよと君ゆいて
メールを閉じぬ明日は初弾き

きょうの夜越して明けにし逢坂の
和みし空気にほっと吐く息

打ち饂飩ケーキの皿も食べつくし
喜ぶ母に差すは冬の陽

気づかずにやきもきさせる振舞も
無垢なるが故の君の可愛さ

暗雲に閉ざされし空に光差し
晴れるが如くに君は微笑み

変わりゆくそれが心と知りながらも
変わらないでと願う愚かさ

閉ざされし 浮世の橋を行き戻り
何の因果か老いらくの恋

永遠の愛 求め彷徨う行くてには
標なしとて道は続きぬ

身を損ね心尽くして彼の人に
得るは儚き夢への浮橋

生きる術を失うあまりに絹糸の
危うき張りに酔う刹那さよ

空の月 遮る雲を恨まずに
持てる灯ともして 歩むわが道

あの月を目指して飛ぶか迷い鳥
届かぬまでも翼尽くまで

あの峰を超えれば何処の国ならん
紫雲輝くその光のもと

身を包む至福の光に涙する
その手を取りていざ踏み入らん


何故に来ぬ便りに迷いしわが心 歳を越しても晴れぬ冬雲

風止みて 静かに更くる明けし日の 夜にまだ残る除夜の想いよ

いにしえの 歌詠み人の心をば 学びて後に一首詠みなん

空虚なる 心満たすは思いもかけぬ 雪降る夜に積もる切なさ

明けの年 逢い見る人の眼差しに 見たや変わらぬその心根を

明け初めし 朝迎えなばこの心 少しは晴れて陽を仰げるのかも

年の暮れ 積る思いを拭わんと 身を湯に浮かべ聞くは鐘の音

もう会えぬ わけでもなしと想い断ち ため息のあと枕灯を消す

苦に悩む 彼の人想いて何為さん 打ちやれ夫にあるわけでもなし

文待てど 届かぬ夜のもどかしさ 師走の路地に響く拍子木

ともに陽を 浴びまどろみし 四足の 友われ残し旅立ちにけり

寄る歳に 楽しい茶話最後には 何時も介護の話題に頷き

しみじみと 北国生まれのパートさん いいね大阪雪がなくって

若き日の あの思いをもう一度と ギターの埃を払う年の瀬

わが母よ 枯れ木の寒鴉も蟻さえも 等しく孤独に絶えて生きゆく

吹雪舞う 世の冷たさに家を追われ 路頭に彷徨う親子ら何処に

年老いた 家なき 猫は憐れんで 与えし刺身をうまそうに食い

師走など 毎月だよと近くの住職 バイクに乗りて檀家を周りぬ

情けなや 平和の衣をかなぐり捨てて 危険を世に売るわが同胞よ

夢追いて 生きる証を得んとする 人の周りでただ花は咲き

人知れず 野に咲く花も実を結び 綿毛の風に夢を託さん

受け応う クールなメールのその裏に 切なき思いを秘すや今宵も

ごめんなさい 電池切れてたのという人の 素振り可愛や怒る気もせず

読み返す メールに心安らぎて 更くる夜窓に聞く風の音

鷹臭う 危うき法の行く先に 鳩の止まり木見当たりもせず

娘を思う 母の心を吾知れど 手だてなくして話聞くのみ

彼の人の メール開けば限りなく 続く返事に心戸惑い

古の ふみ操りし大宮人の 垣根の外には辛き生業

人々の 苦労の上に胡坐かき 教養などと片腹痛いわ

難しき 源氏や古典の歌詠みは庶民にあらず 暇もてあまし

この子らの 踊りを見たら出雲の阿国 どんな顔して何を言うやら

子供達の 可愛く楽しいダンシング でも日本の踊りも覚えてね

日が昇った さあ歩いてるみんなに 会いに行こう

破れたガットは 張り直したけどバドミントン 風が強くて今日は無理だね 

心配だなあ 我が孫たちよ 早く無事に大きくなって

世の中に 心の闇が広がっている みんなで明るく照らさなくっちゃあ

今習ってるのは 「夕 顔」って曲 簡単に見えて難しんだよ

年寄りが 子供好きなのは当たり前 未来の自分を見ているのだから

心配しないでお年寄り ほら見てあの遊んでいる子が 未来のあなた 

子供達は明日への希望 年寄りばかりじゃあ気が滅入っちゃう 

あなたのメール 待ってるね 多分あなたは忘れてるけど

何時になったら買えるかな 住みたいキャンプトレーラー 駐車場に舞うは木枯らし 

可愛いちっちゃな友達の ために買ったよお菓子の袋 まだ早いかなクリスマスには

カレンダー 残りも立った一枚か ヤダな歳が又一つ増える

露凍る 冷気に響くキビタキの 声に急かされ我も歩かん  

片方で 豪華な料理に舌鼓 もう一方では餓えの苦しみ

誰知るや 贅沢な暮らしのその陰に 貧しき人の犠牲ありしを

豪華なる 船で旅するセレブ達 頭にレンガの子供見ずして

打ち合わす 三味の響きに我が心 少しは慰み明日も生きんと

枯れかけた 気に降り注ぐ慈雨のよに 生命の息吹をもたらすは何

この心 満たすは富みか もし得ても それは叶わじと分かりながらも 

空虚なる 心抱きて今宵また 深夜に一人何を問わんや 

夕顔の 淡き命の儚さを 綴りし式部の筆や滲まん

役者魂に 触れたは中車の忠太郎 心の負いが華と咲いたか

我もまた 連帯の輪に飛び込みて 自由の旗を支え叫ばん

我が手にて 明日の世界を勝ち取らんと 若き魂燃えに燃えたり

諸旗を 素手に掲げて若者達は 勇気凛々 闘いぬ

まだ会えぬ 君を求めて幾生涯 この世彷徨い又次の世へと 

我思う 人はあれども 高嶺の花よ 夢の面影覚めて哀しや

恋歌の 甘き調べに酔いたやな 心切なく胸を焦がして

重き名を 受けて披露の初舞台 芸は違えど苦労は変わらじ

もみじ葉に 心移せし人の上 雨に涙の銀杏落としぬ

風に乗せ 黄金を撒いた甲斐も無く 人は紅葉に銀杏寂しや

もみじ葉に 負けじと銀杏高きより 身を震わせて黄金撒らしぬ 

山の端の 夕陽を浴びて紅に 燃える桜葉舞いて落ち行く

春は花 夏は緑葉爽やかに 秋紅に燃ゆる桜木

物と心 そのバランスが幸せの アンバランスが不幸せのもと

眼に見ゆる 世界以外に信じぬと 想うも心の世界ありせば

死や病 恐れることなど何もない やがていずれは甦るのだから

自分一人で集めた財と 息巻く人よそれならば 荒野に一人彷徨うがよい

いくら優れた人であれ 唯の生き物その証拠には ひと息さえも草木なければ 

人それぞれに力を合わせ 供に働き集めし富を なぜに暮らせぬ平等に分け

太古の昔 人は物を分ち暮らせしに 今我先にと奪い争う愚かさ

ふと覚め 虚しき心の慰めに 歌詠むうちに長き夜も明け  

うら若き 心のままで色失せし 我が身哀しや人の眼もまた

その昔 愛せし人の面影が 此処に居るわと我を慰め

心から 求めてやまぬ真実の 愛もつ人に会えぬ悲しさ

まだ会えぬ それは私よと手を伸べて 我待つ人が何処かにいるはず

老いらくの 恋につけこみ金銭を 奪ったあげくに命までとは 

柔らかき 頬を摺り寄せ喜びに 心満ち足り抱きし我が孫

返るなと 我を慕いて泣き叫ぶ 孫をい抱きて涙拭いぬ

幼子を 胸にい抱きし人見れば 昔は我もと寂し羨まし 

この腕に い抱きし孫も大人びて 離れ行く心に寂しこのごろ 

夕顔の 仮寝の夢の枕辺に 覚めて哀しやひかる玉露

柿の木の 梢の百舌鳥のひと鳴きに 日は暮れ落ちて椛葉も消え

今もなお 歌詠み人の心をば 捉えて離さぬ紅葉その色

毛氈に 坐して開くは錦折り 箸の先にもひらり椛葉

袖振りて 紅い萌ゆる椛葉を くぐりし背には錦秋の帯

古寺の門 燃ゆる紅葉を分け入れば 踏むも躊躇う錦秋の庭

彼の人の 微笑む姿にシャッターを 切りても映るはただ椛葉の影

想い人と 供に歩みし古都の秋 誰にも見えぬその手を離さず 

彼の人も 紅い萌える椛葉の 窓に佇み われ想うかも

彼の人の 心を奪う老木の 紅葉を羨やみ日は暮れ落ちぬ

もみじ葉か 紅い燃ゆる色見せて 風に散りゆく恋は哀しき

君知るや 紅燃える椛葉の 枝を離れて散り行く哀しさ 

平安の 紅葉を愛でし都人 詠み人知らずの歌ぞゆかしき

彼の人と 撥を合わせん恋手事 心も一つに着かず離れず

今此処に 居るかの如く目に浮かぶ 着物姿に僕の心は

三弦の 棹を頼りにひととせの 時過ごせしも成らぬ我が撥

この歳に 成りてもなお道に迷いけり 袋小路の続く毎日

邦楽の 楽屋の中は一昔 前の世界や心も姿も

人の和を 保も我が師の仕事かや 弦の調べを整える前に

聴く人も 減るや昔の唄なれば 立方呼びて見るも一興

振る雨に 晴れの舞台は三弦の 響も何処か曇りて侘し

隣りの席の 人は気にせず ただ微笑む瞳に さよならを言う

彼の人と 撥を合わせる喜びに のどの痛みも何処かに消え失せ

夢や幻の 宮殿現る雑木の蔭に 今はその名をモールと言うなり

華やかな 街の灯かげに貧民あり 餓える小さな心と身体は

やや甘口の ワインが好きよと君ゆいて 初木枯らしにガラス窓揺れ

救う手も払いのけるや 年老いても なお我が心に囚われし人  

芳しき ワインの香りに酔い痴れて 和む心に 君は誰想う


【秋の移ろい】

朝冷えと 高き陽の差の隙間より 季節の絵師は現れ出にけり

秋風と 銘うちし筆に山吹の 色含ませてさらり塗りたり

その次に ひかえる筆には鮮やかな 朱を滲ませて 銘は椛葉

山裾を 駆け上りたる錦絵を 愛でる手に筆 銘は木枯らし

白雪の 大筆振るいてその絵師は 吹雪の彼方へ消え失せにけり


【世の移ろい】

人間?そんなの居ないよ僕たちはずっと前からアンドロイド

クラウドがモーゼの如く人連れて 行くは何処ぞ人の世を越え

人よりも スマホが頼りの人増えて クラウド王の出番も近し

待つ人も 過ぎゆく人も悉く 持つ手のスマホの中に生きたり



三弦の 名手の奏でる雪の舞 げにも涙の霰ぞ降りける

恵まれし 心は知るや悲しみの 果てに消えにし人の哀れを

願たてる 弁財天を知る由も 無く撥響き幕を下ろしぬ

あの人の 心は何処 身は虚ろ 都の闇に溶けて消えたし


【風の盆に捧ぐ】

名にたてる 越中おわらの風の盆 その女手の美しきこと

夜を通し 踊り舞いたる 男と女 後の添い寝の羨ましよな

いにしえの 人の心を今に残し おわらの夢は醒めず終わらず



神仏を 信ずる心は変わねど 何故にこの身は迷いに迷いぬ

芸神の 小さき祠に手を合わせ 祈る心は澄や濁るや

輝ける 我が師の舞台を見る席で 何故に虚しきこの心とは

若き我が 我を追い越し去りし後 都の道に沁みる秋風

白粉の 香りに迷いし山頭火 我は何ゆえに  遠くの空に祭囃子

黄金の 稲穂垂れたる畦道で 人話し込みおり 軟らかき陽の中

秋晴れに 憂き心乗せ我がバイク 走ればしばし悩み消え失せ

嵐すぎ 背伸びしながら仰ぎ見る 青空の彼方に 微かな希望

山河の地を望む丘に ひっそりと咲く一輪の花よ そは何故にかくも気高き香りを

緑野に 気品漂う白百合の 開きて 洩れるは甘き恋歌

山里の 庭立ち匂う名花あり 気高き香りに誰行き過ぎん

才長けた 気品と香りを漂わせ 名花一輪立ちて迎えり

留守ゆえに 手折れとばかりに揺れ動く 垣根の内の花の色香よ

気まぐれな 誘うが如き秋風に 揺れる名花の香りその色

嵐の後の秋の夕暮れ 涼しいね 爽やかな声が過ぎてゆく

故郷の 届きし栗を栗飯に 有り難きかな隣人の情け

神に導かれ 教えを広めんとする人よ 申し訳なし今それどころでは

エンジンの 音軽やかに帰り道 心の中にも吹く秋の風

脇に座す 賓頭盧尊の眼差しに 呼び止められてしばし語れり

故郷の 慈悲の仏に久々の 祈りを捧げこの身を詫びる

我が父も 祖母も心に穏やかな 笑顔を見せ居り時の彼方に

花を手に 古き墓石を訪ぬれば ひよ鳥鳴きて揺れる柿の実

空虚なる 心の儘に気が付けば 虫の音止んで長き夜も明け

身は叶わずば 心の絆を結びたや 恋という 情けの色のまだ褪せぬ間に

四足しも 二足しも姿は違えども 同じ道行く 秋の陽を浴び

桜葉に 薄き色さす道行けば 人の語りも やわい陽の中  

古き祠の前に立ちて手を合わせば 時の風吹きて ひよ鳥の声止む

五つ月の 命を燃やして鈴虫去りぬ 明くる命を土に託して

菊末の作ときこえし嵯峨の秋 調べに舞うは錦のもみじ葉

襲い來る 自然の力の恐ろしさ 忘れてならじ平穏の世にも

大いなる 恐れをい抱きて自然をば 敬う心を子孫に伝えん

いにしえの 人こそ恐れし神々を 忘れて暮らす今人危うし

地の底に 潜みし力を人知るや 恐れずにしてはおられぬそれを 

秋の夕暮に またも失われし幼き命 人は何故悍ましき行為を為すのか

目が覚めて 照る窓の陽の優しさよ 秋の気配に鳥も謳いぬ

負の遺産と 打ち捨てられし廃墟をば 静かに覆う草木の影

草被う 祠に続く細道を 行く足元に鶉の羽音

朝露の 道に下がりし山葡萄 そは如何にして見知らぬこの地に

西風に 乗り訪れしは秋の使者 その名もタイリクアカネというなり


【 だんじり祭りに寄せて 】 短歌八首


だんじりよ 今日も快晴 秋の空 心勇みていざ綱引かん

渾身の 力を込めて張る綱に 触れば燃ゆる熱き血潮が 

突っ走るだんじり屋根に 蝶の如く舞い踊り 見たか誉の この晴れ姿 

男だけに 引かせて堪るか髪結いて 見せん娘の泉州魂

一年瀬を社に鎮める御魂をば 街に迎えて癒し給わん

そら荒々しや 心揺さぶる大太鼓 我らの鼓動を集めたものゆえ 

掛け声を 空に叫びて我引くは 千早振りたる神の御車

だんじりの 暮れて提灯赤々と 名残惜しみて 引く秋の月 



【 秋の月に寄す 】


天上の 月に届くや冴え渡る 構えしわが師の 三味のその音

柴の戸を 打つ秋風に一人寝の 枕に響くはただ虫の声

庭先の 柿の梢に月冴えて 琴つま弾けば 遥かに笛の音 

世を捨てて 柴の庵に住む身をば 誰訪れんこの月の夜に

在りし日の 昔を偲ぶ我が調べ 聴くは今宵も冴ゆる月のみ

都にて 君と眺めしこの月も 涙に暮れて濡れる朝露 

み吉野の 峰に別れし彼の人は 蝦夷の月に何を思わん

訊ね来て 月の嵯峨野に笛吹けば 彼方に応えるしるき琴の音

秋の夜に 駒引き止めて聴き入るは 爪音高き かの想夫恋  

彼の人の 琴の調べに月冴えて 嵯峨野の秋は深まりにけり

名月も 輝き忘れ 聴き入るや 名手つま弾く琴の調べに 

その昔 文を交わせし彼の人も 都の月にもの想うかも

麗人と 水面に映えし秋の月 重ねる盃に 長き夜は更け

我が身をば 如何に詠みしと雲間より 垣間見るかな十五夜の月

十五夜の 月に見惚れて気が付けば 身は知らぬ間に平安の御代

後ろ髪 引く思いを絶ち 見上げれば はや雲の間に秋の夜の月



豊かなる 水に恵まれしこの国も 裏を返せば 洪水の郷

ゲリラ雨 雷音響きこの地にも 降りはせぬかとみる空の雲

立ち濡れて 時雨の先に眼をやれば 霞みに消ゆる我が恋の道

彼の人の 気を損ないて悔やむ夜に 寂しく響くコオロギの歌

時雨ゆく 愛しき人の地を後に 西陽を追いて我帰りきぬ

もみじ葉の 燃えるを待つか早乙女の 如くに蒼き心い抱きて

三弦の 響きも冴えて吹く風の 身に心地よき秋の夕暮

つく法師 鳴く脇道の病葉の 上に優しき秋の陽の影

知らぬ間に 枯葉となりし緑葉よ 小町もこれを観て謡しか

老いて狂いし後も生き永らえ帰りし人よ その業の何と深きこと

師と弟子仲間の語らいの中に この上もない幸あり 有り難きかな

クロちゃん 夏何とか乗り切ったね でも又寒い冬来るんだよ

簾ちゃんお帰り! 婆ちゃんちの海 楽しかった?

風土病 境を越えて広がりぬ グローバルな世の怖き一面

検診日 近付くにつれ朝の道 散歩する人のその多きこと

雌の気を 引こうと一晩鳴き続け 疲れ果てたり雄の鈴虫

寂しき人 手を休め話しかけたり 畑の上から

一瞬に命を奪われし人々に 捧げるはただ無言の涙か

永遠の時の彼方に消え行く人々 姿形も思い出さえも そして我もいつかはそこへ

よいしょよいしょと息きらし 歩む老婆よ 何に追われてそんなに苦しき道を

今の夢? 富士の峰にて御来光 拝むことかなと若き母親

海山津波 平地に洪水よせ来れば 一体何処に住まうやこの国

皆さんも 気を付けなはれ換えた後 前より高きネット料金  

隣人のする咳気になる その母も 同じ咳にて亡くなりし故

故郷の沢に騒がしあのクツワムシ 今はネットの画面でのみ鳴く

蒸す暑さ 盆を過ぎても居座れり 涼しき秋の風よ何時吹く

有難たや隣の縁ある墓参人 我が家の墓地にも花手向けたり

風に舞い 雨に滲みし卒塔婆の ここにも一人思い出のひと

クーラーの欠かせぬ夏になりにけり 風鈴の涼風何処に去りや 

君偲ぶ 夏の黄昏 西陽浴びハイビスカスの燃える緋の色

トレーラーを 引きて自由に暮らしたや 全国各地を気ままに巡りて

今は亡き J・ガーナー演じし探偵は トレーラーをその住いとせり

御先祖を 迎えた家は人手に渡り 貸家の盆の時雨侘しや

妹の 顔しげしげと眺むれば 我と同じく皺が増えたり

涼しげな 水槽覗けば寄り来る 空腹顔の金魚可愛や

鈴虫の 声ふと止みて気が付けば 蚊取り線香消し忘れおり 

幾百万の 戦火に倒れし霊たちよ 告げよ子孫に平和の尊さ

慰めん 返り来たるみ霊をば 三弦弾きて嵐の夜に

無欲故 先祖の土地を手放して ただ墓地のみが後に残れり

嵐吹きて 申し訳なし 寺に留めし先祖の霊に

嵐来て 古き我が家の頼りなや 飛ばされぬかと風ぞ恐ろし

野党の皆さんしっかりしてよ 投票するにも出来やしない

経済大国 儲けし富は一体何処へ 貧乏人の増えるこの国

一方で唸る金をばもてあそび もう一方で食えぬ貧乏

憲法で 保障されてるはずのこの暮らし 何故に苦しき庶民の毎日

何故出来ぬ みんなで働いた富なのに みんなで平等に分けること

他の国の 援助も結構けどその前に まずこの国の貧乏無くして

僅かなる 年金天引きされてなお その政権を支える愚かさ

簾ちゃんは 南紀の婆ちゃんちで 夏休み いいね君は田舎があって

易々と 指に乗りたる鈴虫は 新居に移りて茄子を食いたり

鈴虫を 子が喜ぶと持ち帰りし 母の愛を垣間見た今日

詩人は遂に言葉を発せり 若き同胞の未来を案じて

波の詩 想えば溢れるこの涙 母なる海の大いなる愛
 
愛しさに触れれば溶ける恋人形 氷の身をば如何に愛せと

鈴虫の 初鳴き嬉し飼育箱 春に生まれて八月の夕

待つ雨を 乞いて昔は神仏に 行を講じて祈りしものよ

長年の 修練故か 我が師にも 撥を握りし腕に痛みが

我が儘爺さんの 当番兵はもう御免 僕は自由に生きてゆくんだ

我が妻よ 介護疲れは解るけど そんなにいちいち口出ししないで

アライグマ 葡萄の袋みな破り まだ未熟な実をば残らず食いけり

蝉鳴きて 今日も真夏の陽照る中 外で働く人出かけ行き

これよこれ 旗も懐かしかき氷 キーンと頭に蜜の一匙

炎天下 フライパン叩き売りに来た アイスキャンデーの美味しかったこと

夕立とは黄昏に 稲妻走りて雷鳴の 轟く後に降る大雨のこと

熱風の吹きて苦しき夏の日よ 風鈴聴こえし涼風は何処へ

揺る波に 浮かんで寄せ來る海の気を 吸えば少しは若返るかも

和歌山の 切り目の浜に焚火して Gパン翳した若きあの頃

まあいいや おっちょこちょいもあの人の 魅力でもあり これまた一興 

あの人の メールに希望の光射し 日々の憂いの何処ともなく消え

車椅子に 老いたる母の乗せ二人して 道は何時しか思い出の中

若き父母と 昔訪れし加太の海 潜れば砂地に小魚の群れ

散らかしたる物の下から 虫の如くに腕時計のアラーム鳴りたり

波に浮く 母なる海にい抱かれて 潮の匂いは乳房の汗の香

時たまに荒れれば怖き海なれど 常のやさしさこそ母なる所以なり

蝉しぐれ 空に響けば梅雨開けて 遥かに我呼ぶ海の波音

この陽射しに 窓際に置いて欲しいと 北欧育ちの花は訴え 

我が名をば 桃子に変えよかと思うほど 大好物よと箱覗きたり

テーブルに美しき乙女二人いて 何とも哀し足元の吸い殻

元カノのギターを抱けば三弦が 今は私と嫉妬するかも

抱きしギターの音色に魅せられ深夜なり 妻の声して離す まるで情事の如くに

三弦の師にはバレずや浮気して つま弾くギターの音色麗し

強烈な夏の日差しに西瓜苗 この季を待ちしと気を吐く夏畑

真夜中にバイクを止めし駐車場 隣りの猫が風に涼みて

狭き箱に生まれし鈴虫の 引っ越し作業に疲れて麦茶

如何にして 季節を知るや鳴く蝉よ 土の真暗き暮らしの中で

梅雨明けて 蝉の鳴く庭 盥にて衣服を洗いし若き日の母

彼の石舟斎は語れり 物事を為さんとすることも 又それを防ごうとすることも病なり
ただ自然体でいることが理に適えりと 砂漠の国の行方哀しや

ロマーナの魂秘めし 心を揺さぶるギターの響き ラベルはさすがのエスパーニャ 

レジ打ちを間違いし人 よく見れば我と同世代なり 慌てずにゆっくり落ち着いて

叶わぬ夢と知りながらも 捨てきれぬ人の心の愚かさを 雨に流して絞る我が袖 

あなたが踏みしめた階段は生身の人の肩や背中であり
昇りつめた頂上の真下にはその重みに耐え兼ね
押しつぶされている人がいることを知っているのか
タラップの上で手をつなぎ満足そうに笑っている人よ

人を憐み慈しむ心を行う人々よ あなたたちこそ真の菩薩なり

嵐はずれ 桃の実の無事にありてありがたや まず神仏に感謝の祈りを

母よ 心の中の自画像をはずし 外の世界を見ればいいんだよ

人は 愛し愛されてこそ 生けるもの 孤独の母を見て悟りしこと

美しき 音を奏でるその指に 宿りし神の御手が寄り添い

近付きし 巨大台風その余波か 南の風に海の香りが

ピンポーンに 出れば可愛いふたりっ子 桃あげるからママと食べてね

丹精を 込めて育てし作物を 荒らすカラスに 嘆く畑人

今もなお 眠れぬ夜を彼の人は 如何に過ごすや 今この時を

まつわりて拭えぬ湿気の昼去りて 夜は肌寒き梅雨のこの頃

ネットに載りし三弦の縁なきや 手が出せぬまま人の手に消え

余りにも 勝負に固執するが故 ゲームを楽しむ余裕失せたり

年老いて 終の住処を見つけねど 母は今なお昔の夢追い

蒸せかえる 我が家に孫の声響き 介護に疲れし妻笑いたり

飼い主の 帰りて嬉しや愛猫も 気を良くしてか餌をたいらげ

思わず抱きしめたくなる可愛い人 でも忘れちゃあ駄目だよ この人には亭主が 居! る! の!

入院か 梅雨空の晴れるが如く 束の間の介護のゆとりに浸る数日

溢れる愛で心がいっぱいの人 ここにあり 巡り逢えて嬉しやこの縁

何気なく止めし髪の乱れも気にせず振る舞う人よ 何と可愛や

妻を娶りし後も 我が子をば愛してやまぬ母は寂しきかな

ジャガイモを 掘り起こして食うカラス 追いて払えば空梅雨の屋根

身は違えども 同じく世に尽せしに 終の住処を何故追われねば

何を恐れん 鳥や獣や虫でさえも 空天井に草寝床

それでもなお 愛を信じて我生きん それ怠ればただの生き物

地位も名誉も財産も容貌さえも恵まれし人 同じくこの世に生まれし人

後を追う影の如くや 気付かれず 生涯踏まれて 身はそこに無く   

彼の武器商いしオーナーは 被害者の霊恐れる余りに 迷路の家に住みしとか さもあらん

ああ何と愚かな我が心 白髪を忘れ年甲斐いもなく

もしも手を  離されれば奈落へと それでも渡るや恋の糸綱 

唯一人 夜更けに湯船に身を浮かべ 刹那き思いに耽る夏の夜

昨今の医療に身体は治れども 心の病は増える一方 

疎まれて 世に刃を向けし人 心の憂さを掬う手立ては

餓えたれば 腐りし物を奪い合い 有りせば物を捨てる愚かさ

いと易く 別れほのめかすこの人に 互いの愛を問う気も失せたり 

情けなし 伴侶の心に我住まぬなら 何で今まで供に暮らすや

我が心 身は歳行けど今もなお 永遠の愛を求め流離う

真夜中に届きしメールに やきもきとせし我が心澄んで穏やか

砂漠に降る慈雨の如くに 息吹き返えさせる君の言の葉

師を喜ばさんと 気を入れ稽古を積み重ねても 弾けぬ己に情けなき夕暮れ

飼い主の 入院知ってか愛猫の 食を細めて寝入りたる日々

何とまあ 罪なことよこの人は 喪のなか己の誕生祝えと

通夜の席 女人の司会見事なり その語り口 声も調子も

故人とは 語ることなく別れしが 遺影の面影偲びて親しき

人は逝き 人は生まれし此の世かな 身近どころかこの我が身にもさえ

その昔 荼毘にふしたる故人をば 偲ぶ煙の天に届いて

枕経 有り難きとはいえ故人にも 参列者にも何のことやら

逝きし人の 通夜へのいでたち気をもまずとも 惜しむ心忘れねばよし

君にとっては何かを得るためだけのの僕の存在 でもね 愛って ギブ・アンド・テイクなんだよ

それでいいんだ 何も求めず何も待つことなく ただ傍に居るだけで

愚かなこととは知りながら 尽くす誠のその行く末は

永遠の愛なんて本当にあるの? そんなの信じて生きてていいの?

今生の うちに逢いたや彼の人に 真実の愛を分かち合える人に 

弾き込めど 思うに任せぬ我が撥を 気を取り直し持ちて再び

才たけた 人の心を測りかね 迷いて悩む五月雨の夜

失われし 浪漫に満ちた恋の夢 見たさに歌を今日も創りて

いにしえの 調べに添いて三弦の 心は言葉を越えてひとつに

お互いに 身を慎みて弾き交わす 恋の手事は付かず離れず

身は互い 庭に縛られ五月雨に 流す涙の紫陽花の恋

お互いに 身を縛られる庭ありて 逢えぬ涙の紫陽花の恋

笑い多き 隣りの人々羨まし 供に語らい 供に食して

ミニ薔薇を枯らしちゃったと 笑う人よ そのあどけなさに怒る気もせず

吹き荒ぶ 風を突き抜け我がバイク 恋路を供に走る初夏の日 

緑風の 光の空に名も知らぬ 鳥囀りてその美しき声

身が老いて 何縛られようとも我が心 自由の空を舞いて楽しき

君がため 何惜しからん命さえ捨てて悔いなき その幸福のため

道ならぬ 叶わぬ恋と知りながら 心密かに思う刹那さ

麗人の 甘き吐息の語らいに 過ぎゆく時よ 夢の如くに

響き合う 三味の音止みて語らいの 後に未練の夕陽残しぬ 

思い人 茶にジャスミンの花を浮かべ 甘き香りにウットリするかも

降る雨に 風騒ぎてもあの峠 越して行きたや 恋の通い路

最後の指の先までも 引き合う心を彼の人は 絶ちて馬上の影 立ち去りぬ

一言も言わず短き契り夜の 明けて恨めしあの鶏の声

身を離し 互いに瞳に安らぎの得るを確かめ 交わす微笑み

濡れし髪に 触れて手櫛の涙雨 い抱きて嬉し衣の中の身を

我待ちし人今頃は この五月雨に角に出で 供に濡れてぞ心通いて

五月雨れて 恋の通い路濡れ行けば 袖の涙の後も分からじ

膝崩し 語る人よ悩ましき それは開きし薔薇のごとくに 

強き母 美しき人の逞しき 内の心に触れて嬉しき

去る我を 見送る瞳を後にして 走るバイクに刹那なき夕暮れ

母の日に貰いし品の封解けばボケを抑えるアロマかあれまあ

年老いて 日頃の家事もきつくなり なのに娘はなお続けよと

この時を 今この時を逃さじと 懸命に生きよ先は思わず

老いし果てに 何が待つかを気に掛けて 今を生きれば重き足枷

愛する人よ その美しさと清らな心を いつまでも失わないで

紅白の チェリーセージの小さな花に 見惚れるあなたに今度はバラを

才能溢れる我が師には 楽な曲でもこの愚弟子には 難しきことこの上も無し  

僕は奴隷ではない 自由な心を持つ人間 父親の権威などには縛られない

此の世には餓えてる人も居るんだよ 食べられるだけでも幸せなのになぜ君は

意地悪で我が儘爺さんだけど君の親 だけど僕にも限界がある

暴力は祖国と人々を傷つけるだけ 愛しているなら話し合おうよ

混乱と悲鳴の中に渦巻く狂気 喜ぶのは誰 悲しむのは誰

恋人を偲ぶ片手で銃を持ち 他の恋人の命奪おうとは

人間たちの驕り高ぶりには困ったものだこの地上には他の生き物も暮らしてるんだよ

祖国祖国と言うけれど他の生き物には関係ないドンパチやられて大いに迷惑

その美しき亜麻色の 髪を褥に今頃は 何を夢見て君は眠れり

シャーロック・ホームズ 今も越えられない 推理小説家泣かせの名探偵 僕も挑戦しようかな

バドミントンで可愛い孫とラリーの応酬 バイバイ また今度遊ぼうね!

我が孫と作りし照り焼きハンバーガー 買うより楽しくて美味しいね!

「ママは出かけてて、パパは寝てるの。」こんなちっちゃい子が
           一人で歩き回ってるのに放っておいて しっかりしなよ親なんだから

千尋の海に飲み込まれし若き魂たちよ 案ずるな
           再び高き産声とともに息を吹き返し 新たな人生を歩めるが故に

又、沢山のしかも若き尊い命が失われた 欲望に囚われた人のその愚かさ罪深さの為に

戸の内に 創りし巣への通い路に 猫ジャンプして親燕危うし (子供の頃に実際に見た光景)

さあ寒がりやのトマトの赤ちゃん外に出ようか 今日温かくて お陽さまいっぱいだよ

野菜や花育てるの楽しいけど大変 子育てと同じで手が掛かるんだから

「おばさんいいね!そのバイク。」「電気で走るから音がしなくって気が楽ね。」夕刊挿してさようなら

「あのね、チコたん今日参観日で、ママと一緒にモビール作ったの。」 
「そうなん?楽しかった?」「うん!とっても楽しかった!」この子たちの未来に幸多くあれ

FACE BOOKもTWITTERいいけれど もっと近所の人を知り仲良くしょうよ
                  だってほら、昔から言うじゃない 遠くの親戚よりも近くの他人って

こんなにいたいけな 可愛い子供たちの未来を 血で染めてたまるものか

自分と同じく 他人も愛し思いやり 仲良くしてこそ保たれる平和 

小鳥の声に眼を覚まし 今日の命のその有り難さを 感じて生きよう懸命に

焼けた木立にカラスが一羽 人とおいらと何方が賢い

何時の間にか勝手に始め 何時の間にか勝手に止めて 何時も残るは悲惨な死のみ

どんな大義を掲げようとも やってることは人殺し それ以外の何ものでもない

憎しみや怒りに囚われ油断をすれば人を危めて自分も死ぬよ

あなたにも私にも愛する家族あり 武器を捨てて家に帰ろう 

お互いに武器を離して手を握り合い互いの無事を喜び合おうよ

固き不戦の誓いをば かなぐり捨てたその先に 待つは狂気の血の戦い場

八つ橋の爪音ゆかし六段も習えば難し段昇る毎

洋楽の洗礼受けし我なれば 古の調べに撥滞り

変だなあこの感覚 どうなってんの 好きっていうより 妹の可愛さだよ

明日逢いて 何を得ようとするのか我よ 愚かな夢と知りつつもまた

その羽根を 優しく摘まみてその人は 動けぬ蝶を花の上へと

慈悲の菩薩は誰の心にも住まいたり 人はそれに気づくことなく

平安の昔に戻らば この想い 歌に託して届けしものを

美しき人よ 罪あるはその微笑を受ける側に きみにはあらず 

気が付けば 心の中に彼の人の幻住みて我を悩まし

庭先にそっと置きたるラベンダー 戻りて微笑むきみの愛しさ

身はともに 離れてあれど心の糸に 触れ合う喜び人は気づかじ

思い人 帰りて嬉しその心 糸の響きも合いてひとつに

花四月 五月は緑に衣変え 季節の女神よ 何を誘うや

衣変えも 空しく夏へと季が移り 春の女神は梅雨の涙に

エンドウを 摘めと呼び止めその実は 寂しき老いの癒し欲しさか

財を獲り 我を捨て去りし母なれど 老いて縋れば捨て置けもせじ

草や木に 芽吹きをもたらす五月の風よ 我が心にも若き息吹を

緑風よ 心の憂さを葺き流し 代わりに希望でいっぱいにせよ

ヘルメットのカバーを開けて走り行く 緑の風の真っただ中を

緑風を胸に吸い込む我にをば 望みもたらせ 季節の女神よ

自然の色の圧倒的なる挑戦に 画家は果敢に絵具箱明け

緑風の山野を巡って描きたる 色に唖然と 息をのむ我

爽やかな 五月の風に輝ける 緑の色もこんなにあるとは

燦々と 陽は輝けど 我が心 五月の風に吹かれてもなお

自分勝手な人だけ残り どうしていい人先に逝く
             この世の苦悩に晒すが酷と 佛が手を伸べ連れてゆく

今日も朝から頭が痛い そりゃあそうだは今の僕には
             捨てて去れない頭痛の種を 三人四人と抱えているもの

今時プラトニック・ラブなんて時代遅れかな 身体じゃなくて心を結ぶ大事なものだと思うんだけど

足の小指の見えない糸を 手繰れば添い寝の愛しい人に たどり着くやら着かぬやら

今日は苺狩りに行くんだよ~っと 気づいてくれるかな 赤い口紅の色に込めたメッセージ

この苺ほんと甘くて美味しいね そう言いながら心の中で溜息ついた 
あ~あ 今日も食い気一方で 色気は無しか・・・

ねえいい加減に気付いたら いま食べてる苺のように わたしもこんなに熟しているのに

捕まえた つもりが我が袖擦りぬけて 若き燕は巣に帰りゆき

徒に斬られし翼の無念をば 知るや船島砂に倒れて 

電線に連ねし燕の声もしや 仲間の飛行を眺め比べて

数千キロを遥々と 帰りし場所は様変わり 失意の燕は何処の空へ

緑風の助けを借りて幼子は バタンバタンと自転車ドミノ ママを困らせおおはしゃぎ

ねえ見て 紅くなってる 屈みこんで苺を眺める可愛い声に 白き蝶々五月の空へ

紅枝垂れ散りし隣の庭高く 桜ん坊の 赤き宝石

ねえどう似合う? 化粧を真似る我が孫に 早やそんな歳にと心戸惑う

故郷に 紅き苺の熟す頃 燕渡り来て巣を掛けしあの家

柏餅 食べる度に思い出す 従兄の家には武者人形も 鯉の登りもあったっけ

自分も殺されたくないから他人を殺さない 愛する家族の命を奪われたくないから
ひとの家族の命も奪わない 平和に暮らしたいから戦争には加わらない この考えっておかしいかな?

露と消えた幾千万の人々の魂が 今も叫んでいる 平和を!平和を!平和を!

そんなに戦争をしたいなら 砂漠かどこかで人巻き込まず 自分らだけでやればいいジャン

いくらカッコつけたって 戦場って人と人とが殺し合うとこでしょう? そんなとこにあんたやれない

気が付けば ひと夜のうちにその絵師は 蒼き苺に紅さして消え  

花のあと 季節の絵師はパレットに 五月の色の緑溶きたり 

上手だね 緑風の囁きを受け幼子は 心弾んで ペダル踏み込み 

まるで翼を得たかのように自転車は その幼子を 自由の空へ

やるせなき 胸の想いを徒然に 歌に託せし店を守りて

疎まれて 寂しき心を胸に抱き 今日も来たりて海と語れり

大浜の 波音響く菓子庵に かの歌人は生まれ出にけり

雲の彼方に知恵さえ委ね 量子の雨に身を震わせて 気付けばただの毛の無き猿よ 

何為さん!? 人よりも優れし頭脳を得れば それは何時しか人に替りて

遥かなる 銀河の彼方に眼を向けて 母なる海を振り返りもせず

故郷の海を 足蹴にヒト昇りつめ 其処に残れる命を忘れて

旧友の 知らせを聴けど 我行かず 老し遺影を見るに忍びず

あの砂に 駆けあと残りし松の浜 思い出の夏は時の彼方へ

和泉にも 大津の浜あり その昔 子供泳ぎて夏日眩しき

次々と汐に飛び込む子供たち いま松の浜 名のみ残れり

淡輪の 遥かな沖に淡路島 見たや帆影の古の海

淡輪と 淡路を隔つはチヌの海 棹の穂先に霞む帆の影

忌嫌う 不浄の生業為せる人 菩薩の如く心澄むとは

さて今宵 何を為さんや今この時を ただいたずらに 過ぎゆく時を

美しき 立ち居振る舞い心までも 砥ぎ澄ませし人 幕引きにけり
(故 吉村雄輝氏を偲んで )

我が心 離れて遠し思い人 帰りを待てど日はまだ遠く 

大浜に 寄せる夕波赤々と 煌めき歌人の胸は燃えゆき

大浜の 寄せ來る波に歌人は 何を夢見て乙女となりしか

浜寺の松の緑の夕影に 遥かに寄する波や あの歌
(海恋し 汐の遠鳴り数えては 乙女となりし 父母の家   与謝野晶子)

大浜の汐の遠鳴り消えにしも 歌人の詩に永遠の波音

何を得て 何失いしと浜寺の 海を眺めて問うは松風 

松影に 清き潮の寄せる波 砂利の大浜 入りて貝獲り

晴れたら天王寺の動物園 雨なら堺の水族館 春の遠足幼き頃は 

波や知る 松の緑の大浜に 熱き歌人の住みし昔を       

君知るや 松の堺の大浜に 水族館の有りし昔を

自転車に 颯爽と乗りし若き母 今は車の椅子に凭れて

丘の上の パーマ屋の母を待つ我は 幼きあの時何を為せしか

生い立ちを ただ聞き頷くやるせなさ 君はそも人の妻ならんや 

矢羽根着る 母に連れられ淡輪の 躑躅の雨に濡れしあの頃

知る人ぞ知る浅香山紅つつじ 背丈を越えてつづくわつづくわ

我が孫も すでに悩みし人の間に 幼き夢のまだ冷めぬ間に

憎まれし 人なればこそと忍ぶれど 分からぬ人に為すべも無し

この我は 何の因果でこの人と 鎖の縁や疎ましき春

我が門に 置かれし竹の子訝しや 誰訊ねても皆知らぬと言い

廃校の庭に 見事な紅枝垂れ 道行く人に何を語るや

児も筍も 名こそ違え知らぬ間に 伸びる速さのその早きこと

常日頃 静けき嵯峨野の竹藪も 子の産声に騒がしいかも

都の春は 筍づくし ぎょうさん食べておくれやす

七重八重つづく桜の花天井  難波の春はいま真っ盛り

爽やかに散りし染井のそのあとに 八重の桜は豪華絢爛

例うるに 染井は優しき町娘 八重の桜は御殿女中か

浜に上がりし浦島は 寂しき故に玉手を開けしか 老いたる故にその箱開けしか

その昔 幼き友は この季節 いつ尋ねても筍食して 

町の屋の味を伝えし京の人 話す言葉もはんなりまったり

山肌の 古き株をかき分けて見つけた小さな赤い粒 麦わら帽子にそっと入れ
大事に大事に持ち帰り食べた苺の あの甘かったこと 遥かな昔の遠い思い出

美しき人 今は他人と暮らせども 心のきみは僕だけのもの

宴開けて 恋した人は幻の姿に過ぎぬとツーショット 消去のマークに触れて歩きぬ 

彼の二人 人の心は移ろいやすく 永久の愛など幻ならば 時の流れを止めんとしたかも

そんな言葉は 通りすがりの人でも言うよ 君の心が冷えてる証拠 

何もしてくれぬという人よ あなたは僕に何してくれた

心から愛してくれるひとなれば 何を惜しまんこの命さえも

目が覚めて 何かをせんと思えども 身体は重し石の如くに

人が見捨てれば ただの紙切れ そんなものに縛られるのは真っ平御免

厄病神に憑りつかれしか 老いぼれてもなお我を 苦しめんと生きながらえる者よ

一番二番と吹き荒れて 桜もろともこの蟠り 何処かに飛ばせ春の嵐よ

ギブだけの愛に疲れちゃった 誰かいないかなあ 優しさで包んでくれる人

如何にして生きよと言うや この先も 心の渇きを癒されぬまま

春来たり 桜も咲きて早散り初めしに 我が心 未だに暗き冬雲の中

三味線の 音色も粋な江戸端唄 今や腰かけマイク備えて

若人の 手を取り微笑み歩みたり 二人の春に幸多くあれ

生涯を 短歌に込めし天下人 難波の城にその夢の跡

やわらかな 春の陽浴びて 露の満つ草と土の匂い香し

光芒の その名の如くかの聖 この世を陽の射す浄土なりとは

希望とは 夢追う道の光かや それ失くしては迷う暗闇

介護とは 下の世話よと心得たり ゆるり春の陽落つる夕べに

目覚めれば 部屋に春の陽満ち満ちて さあ起きるぞと布団跳ね除け 

求道者の 彼岸に至りて顧みる 俗世の夢に映る我が身は

送られた メールの言葉の一つ一つが 今の僕には生きる糧

左目を 突きて片目の不自由さよ 飯を盛るにも 物拾うにも

原始の母よ現れ出でて 何故に争うわが子孫よと DNAの絆を示せ

母の恐れを鎮めんと 傍に置たる不動絵の霊験あれや今宵の枕に 

眼を突いて 駆け込む医院の人多し 故は主が美しき人

真隣の 空き家の木々の枝深く 鶯鳴くも人は気づかじ

おしろいの 花の匂いのその刹那さに きみを想いて眠れぬ春の夜

お手本の その華麗なる撥捌き さすがわが師と思わず手を打ち

我が母よ 老いしその身を悲しむよりは うまれ変わりを信じてみたら

客帰り 部屋すき焼きの匂いして パックの美女絵がひとり微笑む

帰り着き ヘルメット脱ぎて仰ぐ空 星も潤みて出るは溜息

賑やかな 法事の後の隣の屋 介護の家の静かなること 

いきなりの 拍手喝采振り向けば ヘッドホンで春場所観戦

香煙の たなびく墓に詠みし経 辿る字ごとに追うは春の陽

完熟の 千切りし苺を頬張りて 美味しと驚く顔を見たさに

麗らかな 陽に誘われて人々は 畑にい出たり春を分ける日 

まだ早しと 思えど隣りは終えており つられて我もええいと撒きたり 

種を撒く 心の中は春を越え 一足飛びに夏の畑見ゆ

トランプの 如くに繰るは種袋 心弾みて土に落としぬ

草ぼうぼうの 引き出したるはプランター はや春分かと眩しき陽の中

春分の 日に取り出したる バジリコの 種をば撒かん あの人のため

限りなき生死の旅をば繰り返し 今この時を生きるこの身か  

新らしき母に抱かれる赤子の身なら 古き躰に何の未練が

眼を閉じて四十九日の旅の先 待つは新しき母の微笑 

貰っておらぬと言い張るあなた いいよ僕の間違いにしておこう

一晩 待てどもメールは来なかった 私のことなどあの人はもう

菜の花の 匂い懐かし我が畑よ 浮かぶは母の白き手拭

夢追い人よ  過ぎ去りし夢を捨て置き 歩け明日の夢に向かって

帰るたび 浦島になりはせぬかと気が気でならぬ 残りし友よ健やかに

松の梢の頂に 頬白鳴きて過ぎし日々 今偲ぶれば 夢か誠か

この田よな  幼き我を畦に残して 若き父母汗流せしは 

草萌ゆる小川の岸に佇めば 幼き我が網を片手に

懐かしき 畑に立ちたる人々も 今は消え去り 春風の吹く

故郷に 帰りて哀し 田畑も 我が家さえも人手に渡りて

桜じゃあござんせぬ え~えええ~枝垂れ梅え~ 残念でした けど何処かで聞いたよ この文句

あそこの桜もう五分咲きやで 気持ちは分かるけど まだ三分やて

もう胡瓜の種撒いてもええか? 近所のお爺は僕に訊く 前はあんたに僕が訊いた

過ぎ去りし昔を偲ぶ春の日や 霞の向う遠く遥かに 

さあお飲み 小道に湧きたる清水をば 祖母は手に取り我の口へと

春分の 寺の賑わうその庭で 行者は紙にて巖振り回し (遥かなる昔の思い出、今でもはっきり目に焼き付いています。)

麗らかな春の陽 祖母に手を曳かれ 詣での帰りに子犬後追い

ほらここに 晩秋の林に入りて重なりし 落ち葉を払い黄しめじを手に  (祖母はキノコ採りの名人でした。つい思い出して、季節外れでごめんなさい。)

木陰の鶯 霞みの雲雀 姿形は見えぬが花よ

春空に 高く昇りて鳴く雲雀 鶯よりも我が勝ちしと

鶯の 西か東か声比べ 仕切る目白のもめにもめにて

身を震わせて放つ一声 霞を越えて 届け千里の彼方まで

小さな身体にみなぎる命 声と変わりて響く 春山

鶯の 囀る声や高らかに 春や春よと 枝を巡りて

眼の前の 枝に止まりて鳴く鶯を 身動き止めて魅入る山道

何ゆえに 声を上げんや 我人なりと 心まで冷たき路上の石に放りて

世捨て人 世を捨て身を捨てその果てに 見るは真如の光なるらん

ホームレス 名は違えども 乞つ食に 糧得る聖者の求道の姿か

乳母車 押して去りゆくボロボロの服を纏いし 君は何処へ

優しく微笑む純な君? 違うよ僕を操ってるのは 裏に隠れたほんとの君さ

美しさ?ううん違うよ欲しかったのは それが失われた後に残るもの

愛?そんなもんあるの?ねえ教えて それっていくらで買える?平気で言いそうな君

あなたは毎月持ってくればいいの そしたらずっと微笑んでてあげる

次の日には来なくなる?いいえあなたには出来ないわ もう私の虜だもの

その微笑の裏知るよりは 知らない方が僕の為 そう言ってるよ今の君の眼

まさか僕にはくれないよね コピーなしたる起請文

雲水も 網代を上げて春風に 乱れる 裳裾を ちらりと見たり

桜吹雪を手のひらに 受けて握れば花結び 口頬張れば何が八百善 

大江戸の 花酔い人をみな乗せて 隅田上るやこの桜舟 

流し目の 向こうに集う町娘 笑顔ほんのり染めて世の春

端唄流れて 島田に掛かる 色は桜に染まりし手拭い

花莚 綺麗処の流し唄 見惚れる膝をば抓る太指び

花のもと 上に混じりて駆ける子に 長屋住まいは冷や汗をかき

奥帰り 洩らす秘め事顔寄せて 聴く花影や妙に静けし

二本差し さも桜に浮かれたり 髷の花びら気にも留めずに

屋形より桜眺むるお大臣 散る花真似て小判撒きたり

江戸の華 咲きに咲きたるその陰に 焔に舞し恋の振袖

はや弥生 都に咲くや紅枝垂れ 見たや舞妓の花の簪

忍ぶ恋 想いを胸に花の宴 舞うは三味の音ゆかし黒髪

恋しきは 白き指にて我が袖の 花を払いて微笑みし人

今頃は 花見の路地の想い人 我に逢わんと紅を引くかも

花影に 落ちて流るる 清水の 慈悲の菩薩は如何におわすや   

幾春も 通い愛でたる桜木の 今宵朧の闇に立ちしは

七重八重 難波の空に霞たち 花のトンネル まだ先見えず

まさに神の手 非の打ちどころ無きその調べ 桜の曲弾くこの素晴らしき人 

ぼんぼりの 桜の影に漂いし 三味の音に乗り 花流れゆき

ほなさいなら 言葉を残しその人は 桜の影の朧の闇に

花簪 揺れる人とのツーショット 匂う化粧に心も身も浮き

簪を 揺らして歩む石畳 舞うや今宵の花の宴に

紅枝垂れ 揺れる帯にも移りたり 紅は化粧の眼もと口もと

彼の僧の 影絶ち消えて 詠みし歌 花短冊に揺れる春の夜

天高く 舞うあの鳥の羨まし 眼下に見ゆる花の景色は

花を機に 過去の想いを切り分けて 夢のみ繋ぎて 短冊にせん

他の人の 抱えし孫の手を擦り抜けて 散る桜の中 我一人居り

花の影 心も浮きて 流し目の彷徨う先に 誰佇まん

江戸の春 逢瀬を求めて桜木の 下に集いし人々の夢

墨堤の タップなしたる錦絵の 重ねし彼方に 永遠の桜木

花びらの うち重なりて 木を被い 桜の精の出でまし月夜に

峰遥か 天にも届く花の波 高天原の神や降りなん 

霞みたち 桜が丘の賑わいに 寄する人波 幻に見ゆ

渡し船 いくら待てども 来ぬ浮世川 彼岸の桜は早散り初めしに

若き日の 愚かさゆえにと悔やんでみても 渡し舟来ず切れぬ縁

北鳥の 去りし湖面に 悠々と泳ぐは 主のかいつぶり 初夏の陽を受け 思いのままに

いざ北に 飛び立たんと我が子に眼をやれば 幼き翼を振りて応えん

春まだき 無心に棹を振り釣り上げた 小鮒の飛沫を浴びしあの頃

もっと一緒に居たいけど また来週も会えるんだもの そう言いきかせて二人の間のドアを閉じた

眼の前の 花を摘まんと踏み入れば 露と消えなん 今のこの夢

今はただ 再び会える喜びのみを 生きる糧にと言い聞かせ 明日の扉を開いて歩まん

今の身に このうえもなき喜びは 微笑むあなたを前に見ること

ちっちゃなボクが泣いている 若い僕が走っている あの頃の私が恋をしている 今のわたしがそれを見ている

ピンピンおひげの ニャンコのきみは しらないあいだにフサフサふゆげ ブラッシングにごまんえつ

ちっちゃなかわいいこいびとに なにをかえそかホワイトデー えがおみたさに ホンマ しんけん

onakaga suicyatta demo okanega nai , okanega hosii demo sigotoga nai , hona ittai donaisei cyyunen!

腹ペコ鴉がマンションの屋上から 彷徨いダックスが路地のむこうから見ている ゴミの山にそっと網を被せた 火曜日の朝

湿気ちゃった花火みたい いくら火を点けようと焦ってみても弾けない自分に ああん!!もう~ どうにかなっちゃいそう!
 
顔の傍に転ぶ この空き缶みたいに ポカンと口を開けて ぼくは空を見ている いつまでも見ている

眼を隠し 身も包まれて箱の中 又ひととせの夢の旅路へ

ぼんぼりの 消えて忍や春の夜の 逢瀬の跡か一筋の髪

金屏風 隠れて情を交わさんと すれども幼き瞳が許さじ

その昔 壊れし儘の御所車 弄ぶ孫をそっと見守る

美しき  姿かたちの雛びなは 恐れもせずに船の上 藻屑と消えん海の彼方へ 

「ほら これがお雛様だよ。」 「うああ・・きれい! ねえパパ、」「 うん?」「どうして、わたしんち、お雛様ないの?」
「それはね、お部屋が狭いから置けないんだよ。もっと広いお部屋に引っ越したら、買ってあげようね。」「うん!」

クロッチ買い物に行ってくるからね 後でブラッシングしてあげるから 待っててね

我が友は 何処からか彷徨い来たる 猫なり 小春日に供に微睡む

露と消えにし幾千万の人々の魂が叫んでいる 平和を! 平和を!

先見えぬ 暗き道をば手探りで 歩む我らに希望の光を

嫁ぎ行く 馬の背の上見下ろす瞳 あの日の秘め事 永久に忘れじ

あの人と 常に歩みし四足の君 今はどうして ひとりさ迷う

春になったら ほんとにいいこと あるのかな ねえ教えてよ 一人ぼっちの鶺鴒さん

こんな時って 誰か傍にいてほしんだよね 何か言ってほしいんだよね なのにどうして 私の周りには 誰もいないの

微笑一つくれないで さよならも言わないで 行っちゃったひと 私の心の中からも出て行ってくれないかな

大丈夫だって 言うけど そんなこと誰にもわかんないよ 早めに言ってね 心変わりしたら

ほら見てごらん こんなに美しく咲いてるだろう だから折るの 一本だけにしておこうね

真の菩薩は白き衣を纏わず 汚れし衣を纏うなり 人を救わず 人とともに嘆くなり 

浅ましき 我が愛  アガペー その愛

許したまえ 長き浮世を漂ううちに 君の顔立ちその名さえも 何処かに置き忘れてしまったのだ

あの幼き清らかな魂が 何時の間に如何にして かくも醜き悍ましき仕業を為さんや

美しき 花の色香に飛び迷う 蝶を狙いし蜘蛛の糸 払えば花は風に頷き

人もこの花々の如く いずれも同じく美しければ 遍く蝶の通いや受けん 

いつの世に 生まれなんとも傍にいて 君の幸をば陰で支えん

君の御胸に住みにし人は 嘘の塊消し給えと 言えぬ心の忌々しさよ  あいつが憎し

朝靄に消えゆく人を見送りて 我が想い 今日こそ絶たんとばたり戸を閉じ  

鶏鳴きて 明くる一夜の夢惜しみ その身も心も離れじ動かじ

待つ日々の 愛しさつのりてその余り 背を向け帯解く君抱き寄せぬ

過ぎ去りし 春への想いは唯一つ 若きこの身を も一度あなたに

海恋し 晶子の歌の懐かしき 調べに浮かぶは 松の大浜

麗らかな 春の花戸のその向こう 何処に去りし若き日の夢

湧き出る 春の泉の傍らに 咲きし花々何の夢見ん

香わしき 花に埋もれて微睡めば 虫の羽音に流るる水音

早春の 霞みを抜けてまわり道  露おく野辺の 花を踏まじと 

君故に 日々を重ねし八重衣 切れたる糸の虚しかるらん

そんな夢見ちゃあだめだよ 割切らなきゃあ 誰かそう言ってよ 今のまともな心のうちに

まるで可憐な花を愛でるかのように あの人を見ている僕 馬鹿だなあ 他人のものなのに 

そのまま話を続けて そんなあなたを見ていると とっても心が安らいで 幸せな気分になれるんだもの

この白き霞の彼方に待つのは 果たして魔境か、それともシャングリラか! うん いいんじゃない? B級らしくて 

若き盛りの栄光も やがて去りゆく歳ごとに 増のは重みか苦しみか

降り積もる 雪の重みをものともせずに 耐えて咲きたる花を讃えん

アクシデントに打ちひしがれしアスリート その悔しさを乗り越えてこそ金

積雪の 重みに耐え兼ね折れし枝 若きは撓りて跳ね除けしものを

梅咲きて 待つ桜木も心なしか 舞う氷上の華に似て 雪の重みを如何に忍ぶや

山茶花を 掃いて清めし竹箒 掛かる梅には淡き白雪

もう過ぎたことさ 次々過ぎゆく風景に 僕は なおスロットルを回し続ける

幼き時から気付かぬ壁に またもぶつかる 怨むな 戸惑う我が魂よ

後悔の 橋と気付いて返せども 袖引く涙になお橋の上

大丈夫 だってスマホあるもん いつだって話せるジャン だから泣かないで

あっという間だったなあ 私何やってたんだろう この三年間

今更頑張ってもおそいよね あいつとおんなじ学校に行きたかった

先生って 先生って 何でそんなに魅力的なの 不細工だったら良かったのに

あの人が通るどうしょう ねえ私 このまま黙って 卒業するの?

自転車並べて帰りし友も 後少しでどっかに行っちゃう 寂しいな

陽光に 香りし梅の気高さよ 我比べ見ん出でよ麗人

その梅も 縁に立ちたる絶世の 麗しきひとの笑みに消えゆき 

咲く梅の 姿かたちもその色さえも 傍に立ち給うまさにそのひと

片隅の 三分咲きたる紅梅に 今この時ぞとシャッターを切る

響きあう 心の奥の琴線に 触れるや我が師の美しき撥

我と供に 短き足と長き鼻 道行き先の川を 渡らん 

淡雪の 降りて積もりし松が枝に 春の陽さして きみ訪れぬ

五七五七七って  とっても厄介 潰しちゃっても 構わない?やっぱダメかな僕の先生

命の蝋燭守る人って ほんとに居るのかな 居るなら消えそうなあの子の蝋燭 新しいのと取り替えてあげてよ

気付いてないけど ほんとはみんな夢の中にいるだけなんだ だからそんなに思い詰めないで

忘れちゃいなよ 夕べ見た夢だとおもって あの角曲がったら 違う誰かが待っているかも さ 一緒に歩こう

蝋燭って LEDと違って すぐ燃え尽きちゃうし とっても消えやすいんだ だから大事に ね

燃え尽きた蝋燭見つめて 悲しまなくていいんだよ はい ちゃんと新しいの灯してあげる

ちっちゃな可愛い乙女蝋燭 いきなり風が吹いてきて守りきれなかったんだ ごめんね 

自分で自分の蝋燭吹き消しちゃった人 まだあんなに残っていたのに

さようなら 忘れかけていたときめきを思い出させてくれたひと ありがとう お幸せに  

「ぼくにもメダルちょうだい?」「ごめんね坊や、あれ食べ物じゃあないんだ。」「だってお兄ちゃん、テレビでかじってたもん。」

或る者は華やかな舞台で金の輝きを求め また或る者は寒風に凍えゴミ箱をあさる まさに今この瞬間に

歯医者に行って 痛い振りして泣いちゃった バレンタインの雪降る夕方

楽しそうに手をつなぎ 微笑む二人 何てバカなの 徹夜で作りしチョコ投げ捨てる

いくら待ってもメールが来ない やーめた!二度と作ってやるもんか

あの娘のチョコが食べたかったのに 開ける気にもならない紙包み

溝に捨てられしラッピングチョコ そのわけを知る人もなく 淡雪積もる

きみのチョコって甘いかな 苦い思い出消し去るほどに

はいチョコどうぞ!ちっちゃい手のひらに輝くひとみ ありがとう 早く大きくなって幸せになってね

彼の聖人はかく語りき 人は真似て学ぶもの 幼き頃より人を慈しみ愛することを見せよ
決して傷つけ蔑むことを見せてはならぬ


穢れをはらさんとばかりに 純白の雪 深々と積りて地上を被いぬ

ドラ高らかに 淡雪振りて 涙して見つめる妻の 髪に溶けゆき   (出征の詩)


大 勢の人を前に話すの難しいよね いろんな人がいるから
でも勇気をもって話さなければいけない そんなときって あるんじゃないのかな


強い人  あなたにも心の支えが必要なときって あるのかな そのとき言ってよ強がらずに  ね


今 落ち込んでいるんだ だから なんでもいいから 譬え ため息でも わたしの心に あなたの何かを 届けて


ただ生きよ 芽をだし花咲き実を成して 枯れて土に還るが如くに


罵声を浴びせ叩く人を 怯みもせずに介護する優しき微笑 ただただ有り難し


軟らかき 白き躰に身を埋め 嗚咽を塞ぎ震えるをい抱く   ( 夢の逢瀬に)


いつの世も 両方立たぬが政事 起ちて通りし汝は何方に


おうなの衣に包まれし 赤子の声の響きし処 人求れど今も幻し   (若返りの泉より)


病院の隅に溜まりし枯葉の如く  いずれ焼かれるこの身かな 人の命の何と儚き 
    

病室の見舞い人なき片隅で さあ帰ろうと独り言う 老いたる果てに涙も忘れて


九十の人矍鑠として 若人の先を行きたり 我もかくあらんや


想いても いと儘ならぬ三味の糸 切るは我が身か切れぬが運命めか


今の世に 宮木は何処かと訊ね行き かつ知ろうにも 見えぬは見えぬは   ( 雨月物語より )
     

おもちゃの飛行機作る時は子供にまかせよ 大人にやらすとろくなの製造らぬ。


麗人を 名花に譬えし古の 詩人はかくも寂しき想いを     


女狐の正体見たりと醒めるより 尻尾に撒かれて我眠りたし     


梅には早く桜に遠し 愛でぬ山茶花あせるわが身化


名花なら 姿を愛でて色を褒め 香りに酔いて筆走らせて 最後の一片舞うを楽しむ    
                       
     
いつの世にも 名花を食らいて生きる虫 踏みにじりてもなお憎らしき     

    
闇雲に 名花を散らす粋なきは 路傍の草を刈るにとどめい
     

さる人の庭に名花あり 愛しむ主の羨ましきかな     

     
名花一輪有りて舞う 男の子には酒の肴にこの上もなし     


下手な鉄砲も数打ちや当たる?いま、そんな事いうときか?!


わたしらもこうなるんやろかと 問う妻に 今を生きよと言う他はなし


剣(銃)を持つものは 剣(銃)に倒れる 聖なるものの声も虚しき
     

亡くせし子もこれさえあれば助かりしと 銃買う母にとまどうは我のみか  
     

面白しと 画面を撃ちしその弾が 気付いたときには生身の胸に血


抱き上げぬ 幼き魂さしおいて 神も仏もあるものか


ゴミ箱を あさりて歩きし姉妹を この手に抱けぬいまいましさかな 

     
残飯を 吐きた弟の手を取りて 歩や小さき影の行方は 

     
時移り 文はメールに変われども 速きがゆえに 積もる切なさ 
     

遠くて近きは男女の仲 そんなの嘘だ遠すぎる!


主無くば 手折りて行かん寺坂の 庭たち匂う白百合の花      (ある人に)


お嫁になりたいちっちゃな瞳 でもおじさんも歳とるんだよ


春の宵は 恋しいひとの膝枕 月の瀬に舞う花びらの夢        (椎葉幻想)

     
ほらいい匂い 桃色つつじの思い出は 君の吐息とほほの感触

     
人伝に 他人の妻となりし君が なぜに夢の逢瀬に微笑む     (征四郎疾風〔Ⅱ〕より) 


あなたが帰ってから あなたが言った こっちが私で!あっちが幻想!


黙って見つめあう僕と鶺鴒 君も一人かい? 首をかしげてピチュピチュピー!
      

新人類 そうなのかもね 言葉が通じぬ二人連れ


いくら心ときめいても 互いに夫と妻ある身 逢った目と目がそう言った


心の想いを打ち明けんと 現れし君はうら若き乙女 遠きより見て傍行き過ぎぬ


良い音聴かせ その気にさせんと焦れども 糸儘ならぬ三味の大撥


「吸っていい・・・きみの・・・。」「・・・。」「ストロー。」「バーカ!」


こんな逢瀬が 何時まで続く 今夜も絡みし指が離れぬ

     
愛欲の虜となり家を捨て 人の道をも捨てんとするか


 ジャッジャジャーン! ジャッジャジャーン!! ジャッジャジャーン!!!  寂しい・・・。

   
どっかの国で町が消えて どっかの町の子供が消えて 子供の中の夢が消えて 僕の前の画面が消えた。 


もっとゆっくり 慎重に そんなに焦ったら 後悔の川に落ちちゃって あがれなくなっちゃう 恋の丸木橋
  
     
あのひとが 女狐なのか それともその振りをしているだけなのか 判る方法 誰か教えてよ 


どんなにハンサムな男の子も どんなに綺麗な女の子も いつか見飽きちゃうよ だから 心の中を よく見て 


昔話には 何のてらいも、どんな野望も、名誉欲のかけらも、生業の目的も、賞金も、契約書もなく  印税もつかない。
ただ 読まれ 語られ 愛され続けるだけ  これって 受賞作家にたいする ただのやっかみかな。 
     
   
虐げて 虐げられし日々の後も 別れ離れぬ 親子や哀れ 

     
よく見れば 数字を刷りし ただの紙 どうしてこんなに 慌てふためく 


宝くじ 買わねば当たらじ 買えども当たらじ 代わりに買いし 鯛焼き旨し 


真一文字に口を閉じ ひと鍬ひと鍬と 土起こす人  

     
小鳥が運びし一粒の種 背丈を越えて根は床の下


膝を抱えて嘆き悲しむ我が孫よ 後を振り返らずに明日の希望に向かって走れ! 


悪魔は天使の顔をして近付き 天使は失意 の言葉を残して遠ざかる その時人は?


緋袴を翻して昇るは白拍子 一夜の夢か降りし身に  色も香もなき尼の端 衣  (平家物語 祇王より)

     
上の佛の御前で  返す扇の白拍子  鼓に打たれる胸に秘めしは     (扇=王祇 、返すと祇王)

       
尼寺に 追われし人の慰めにと 笛持ち寄れば念仏の 声艶やかに唱え給いて (平家物語 小督より)


潮より 踊り出でたる姉弟の 激しい胸に 生命の輝き  (昔の記憶)

    
反り返る乙女のような呻きをもらし 蒼空に 手を伸ばさんとする若き桜木  (過ぎ去りし春に)

     
     
     (また出来次第 筆者)
           

短歌集/ 鶺鴒の囀り

短歌集/ 鶺鴒の囀り

  • 韻文詩
  • 中編
  • 全年齢対象
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