永遠の人


     永遠の人に



「今晩は・・・。」お下げ髪でまだ4年生ぐらいだったあなたは

そう言って僕の顔を見ましたね。

僕はちいさな胸に、夕刊の束を抱いて歩くあなたの姿を

五十年経ったいまも、はっきりと思い出すことができますよ。


オクラホマミキサーを踊りながら、あなたとの順番が回ってきて

おかっぱだったあなたの横顔を、気付かれないようにそっと眺めると

あなたは俯いたままで、じっと地面をみていた・・・・・。

細くてやわらかなあなたの掌の感触が、不安定な僕のこころに

どんなに安らぎを与えてくれたことか。


教室の机に座りながら、涙を流しているあなたを見た、あの時

なぜ、「どうしたの?」って聞いてあげなかっんたんだろう?

まわりのみんなの眼なんか気にしないで、勇気をだして、

「なぜそんなに悲しいの?」って、どうして聞けなかったんだろう?

    
あなたは進学を諦めて、就職をしなければ、ならなかったんですね。

    
この頃ちっとも夢のなかに出てきてくれませんけど、お元気ですか?

前回の同窓会にはあなたの都合がつかなくて、会えませんでしたよね。

次回は必ず出席してくださいね。お願いしますよ。

あなたは気付いていないかも知れないけど

僕にとってあなたはかけがえのない

永遠の人なんですから・・・・。

いまも変わらない姿で

僕のこころの奥に

ひっそりと

息づいて

いる
  


   
    
 
        

    
    

    
    

永遠の人

永遠の人

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-01-12

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