永遠の人
永遠の人に
「今晩は・・・。」お下げ髪でまだ4年生ぐらいだったあなたは
そう言って僕の顔を見ましたね。
僕はちいさな胸に、夕刊の束を抱いて歩くあなたの姿を
五十年経ったいまも、はっきりと思い出すことができますよ。
オクラホマミキサーを踊りながら、あなたとの順番が回ってきて
おかっぱだったあなたの横顔を、気付かれないようにそっと眺めると
あなたは俯いたままで、じっと地面をみていた・・・・・。
細くてやわらかなあなたの掌の感触が、不安定な僕のこころに
どんなに安らぎを与えてくれたことか。
教室の机に座りながら、涙を流しているあなたを見た、あの時
なぜ、「どうしたの?」って聞いてあげなかっんたんだろう?
まわりのみんなの眼なんか気にしないで、勇気をだして、
「なぜそんなに悲しいの?」って、どうして聞けなかったんだろう?
あなたは進学を諦めて、就職をしなければ、ならなかったんですね。
この頃ちっとも夢のなかに出てきてくれませんけど、お元気ですか?
前回の同窓会にはあなたの都合がつかなくて、会えませんでしたよね。
次回は必ず出席してくださいね。お願いしますよ。
あなたは気付いていないかも知れないけど
僕にとってあなたはかけがえのない
永遠の人なんですから・・・・。
いまも変わらない姿で
僕のこころの奥に
ひっそりと
息づいて
いる
人
。
永遠の人