希望の星(のはずだった)
時は2124年。地球は資源の枯渇によって悩まされていた。
そんなある日、人間は地球からかなり離れた場所ではあるが地球にそっくりな巨大惑星が発見される。資源の確保のため、宇宙飛行士約20名ほどがその惑星を目指して地球を旅立っていった。
先住民族
宇宙飛行士20名を乗せたスペースシャトルは、ネドシグと呼ばれる地球にそっくりな巨大惑星の目の前まで来ていた。
「これより、大気圏に突入する」
「了解。細心の注意を払い、探索をすること。」
「イエッサ!」
地球との交信を終え、我々はついにこの異端の星へと上陸する。
しかし、、
ガタガタガタガタッ
スペースシャトルが揺さぶられ始めた。
「おいなにが起きている!」
「大丈夫なのか船長!」
シャトル内は混乱していた。
原因は重力。地球よりもかなり重力が強い星であったためとてつもないスピードでこの惑星に吸い寄せられているのだ。
「まずい舵がとれない!」
シャトルは重力に負け、コントロールを失っていた。
「うわああああ!」
ドカーン!
船はどこかへと不時着をしたようだ。
彼らは不時着の衝撃で少しの間気絶していた。しかし、彼らの目は巨大な振動によって覚まされる。
ドンッ
「おいなんの音だ!」「もう帰りたい…」
「とりあえず外に出るぞ!!」
彼らは自由に空中を飛び回ることのできる道具【ジェットパック】を背中に装着し、ついに上陸を果たした。
しかし彼らがみた景色は絶望を与えるに他ならなかった。
シャトルが不時着した右斜め前には巨大な履物と思われるものが鎮座していたのである。
そして上を見上げると、人間にそっくりな巨大生物が机と椅子に座っているのが確認できた。そして周りには同じ制服と思われる物を来たこの星の生物がいた。
そして先生と思われる人の声が聞こえてくる。
「まさか、ここが巨人の星ってか?」「んで、ここはどこかの学校か。これは一大スクープだ!」
なにかが住んでいるなんて全く想像もしていなかった。これは大きな発見だ。
現在ネドシグ星の気温は32℃。地球でいう夏のような気候である。
初接触
「じゃあそろそろ、全員一丸となって資源探索へと向かうぞ」
意気込みを入れ、今から探索を試みようとしたその時である。
彼らの周りを1周りも2周りも覆うような巨大な影が突如現れたのである。
驚いて上に目をやると、なんと天から巨大な足裏がこちらに迫ってきていた。
「逃げろおおお!!」
隊員達はジェットパックを使い、机の端辺りまで逃げ込んだ。
しかし中には、恐怖でその場から動けなくなってしまうものもいた。
黒いハイソックスと思われるものに包まれた華奢な足が地面におりてくる。おそらくこの席の主があぐらをかいていて、脚を元に戻したのだろう。当たり前の動作である。
ズドーン
彼女の足裏は地面をしっかりと踏みしめた。幸い、動けなかった彼らの少し左側へと踏み降ろされたため、犠牲者は出なかった。スペースシャトルは足の指のあたりで思い切り踏み潰されてしまったが。
彼らはこの巨人を少し観察してみることにした。
黒いハイソックスを履き、巨大な塔のようにそびえる足を経て太ももあたりまでの長さのスカート、夏らしい爽やかな半袖のセーラー。一般的な女子高生のような出で立ちだ。大きさを除けば、だが。
動けなかった小人たちとも無事合流することができた。
しかし悲劇は再び起こる。
ゴゴゴゴゴゴ
再び彼女の足が動き出す。彼らはその迫力に圧倒された。
足は、彼らの前にあった彼女のものと思われる上履きに上手に足の指をひっかけて、上履きを机の前の方へと引きずっていった。そして彼女の足が我々の方へと戻ってくる。あろうことか彼女の足は我々の上で下降を始めたのである。
「踏み潰されるぞ!!にげろー!」
皆必死で走る。彼女の足指の形が汚れで少し浮かんだソックス足はとても早いスピードでこちらへ迫ってくる。
もうだめだ…
このペースでいくと、犠牲者が出るのは確実だった。
一番後ろにいた隊員は臭気の変化に気づく。酸味のある匂いが周りを漂い始めていた。そしてその匂いは徐々に強烈になっていく。
真上を見上げると、足裏が目の鼻の先まで迫ってきていた。
ペタッ
彼女の足は再び地面を踏みしめた。
数人の隊員が足裏から逃げ切れず、彼女の餌食となってしまっていた。
「げほっげほっ」
みんなにもうしんだと思われていたが、彼女の足の下敷きになった隊員達は生きていた。彼女が足にほとんど体重をかけていなかったために生き埋めのような状態になっているのだ。だがしかし、真夏に膝下まであるようなソックスを履いている彼女の足のつま先の匂いはとてつもなく、まともに息を吸うことができなかった。
そして、凄い熱を放っているために汗が止まらず喉が乾いた。
これでは生き地獄である。
会話を試みる。
この巨人からこの未知の惑星についていろいろ聞き出せたら、探索が少しでも効率的に進むのではないか
そう考えた彼らは、隊員の中でも技量の優れた5人を選出し、目の前にいる巨人と接触を試みた。耳元までジェットパックで飛んでいき、そして大声で叫んだ
「え、え、なになに!?」
彼女は驚いたのか大きな目をぱちくりとさせ、周りを見回した。肩甲骨ほどまである髪がそのせいで周りに大きく広がる。
うわっ!
その髪の毛に直撃しバランスを失った隊員達は、彼女の机の上へと落下した。
「お、おお…こ、こびとさん?こ、こんにちは…」
目をキラキラさせながらこちらを見ている。どうやら接触に成功したようだ。
その頃
下にいた隊員達には恐怖がふりかかった。彼女が
「なになに!?」と言った直後に彼女の足が凄いスピードで上履きを履いたのだ。といっても、普通に履いただけなのだろうが。彼女は上履きを履いて再び地面を踏みしめた。
その際の風圧で我々は少し飛ばされてしまった。
なによりも驚いたことは、彼女の足裏にくっついていた隊員達の中に、生きているものがいたことである。彼女が上履きを履こうとした際に1名こちらに足裏から飛ばされてきたのだ。そして足裏にくっついたままの隊員達は、未だ上履きの中で生きているのだろうか…
「我々は、この星に不時着をしてしまった。この星についていろいろと聞かせてほしい」
机の上の隊員達は必死に接触を試みる
「おおー!すごい!で、なんで私なんかに話しかけたの?」
「あなたの机の下に不時着しましてね」
え!!ほんとですか!!そう言うと彼女は机の下の方を必死に見始めた
「ほんとだ!」彼女は残りの隊員を見つけ出すと手のひらを差し出した。
「ほら、おいで?」
指先を少し動かす。皆最初は少し恐れていたものの、最終的には全員がのり、机の上へと運ばれた。手からは、せっけんの良い匂いがした。
その後、彼らは巨人からいろいろな事を聞き出した。
彼女は女子校に通っていること。身長の平均が地球でいうところの800m前後であること。資源が豊富であること。ゴキブリのような扱いを受けている50m程度の小人がいること。そして彼女の名前はくるみであること。
一人の隊員がこう言った
「その、くるみさん。一度、自分の足裏を見てもらえますか?我々の仲間が少し踏み潰されたので…」
すると彼女は申し訳なさそうに上履きを脱ぎ、足裏をみる。目を細めて凝視し、彼女は小人を見つけたようだ。
「あ、いる!でも私には白い点にしか見えない…あの、私の指大きすぎて小人さんつまみ出せないから、家に帰るまで靴下にいてもらうってのは、だめかな?踏み潰さないようにするから。」
生きて帰ってこれるなら、と彼らは首を縦に振った。
そして再び小人の絡まった足で、丁寧に上履きをはいた。
惨劇
キーンコーンカーンコーン
チャイムがなった。授業が終わったのだ。
彼女曰く、今日は6時間で、あと1時間で授業が終わるそうだ。
少しトイレにいくからまってて
そういい彼女はこの席から去って行った。
その時である。
「見てこれー、このミニチュア小人リアルー」
知らない女子生徒が現れ我々の存在に気付いたのである。
彼女は我々に呪文のようなもの唱えた。
その直後、我々の約半分ほどが彼女につまみあげられてしまった。
通常なら潰れてしまうはずなのになぜか潰れない。先ほどの呪文がなにか関係しているのだろうか。
彼女は隊員達を手のひらに乗せるとどこかへと去って行った。
そんなことがあった後、くるみは帰ってきた。
「あれ、なんか減ってない!?」
「変な人がきて、僕たちを攫っていったんです」
「え…ほんと?ごめんね、本当にごめんね」
彼女は泣き出してしまった。
彼らの行方が心配である。
そうこうしてるうちに無事一日を終え、残った我々8人ほどは彼女の胸ポケットへと入れられて彼女の家へと連れて行かれた。
胸ポケットが心地よくて、気づいたら寝てしまっていた。
そして手でツンツンされて気がついた。
「おーい、早く出ておいでー」すでに制服は脱がれており、我々が降りやすいように机の上に広げられていた。胸ポケットからでると、彼女は制服をどけた。そして改めて彼女のスケールの大きさを痛感した。この勉強机の上に住宅街が一つ収まってしまいそうな勢いであった。
よし!今から小人を救出するぞー!
彼女はそう言いながら、ソックスを履いた足を机の上へと置いた。
これが、小人さんだよね?
彼女が指差す土踏まずのあたりとつま先の付近には確かに隊員がいた。
一人は生地の中に頭がはまってしまっていて、もう一人は足の方がはまってしまっていた。
彼女は、うまくつまめないから自分たちで引っこ抜いてくれといった。我々は彼女の巨大な足裏に近づき二人を全力で引っ張り出した。
なによりも辛かったのは一日分の汗を吸い込んだハイソックスが放つ匂いだった。
げほっげほっ、はぁーはぁー、
小人達が疲れ果てていると、
「私の足、臭かったよね…ごめんまさか小人さんを絡みとっちゃうことになるなんて思わなかったから…」
そうは言うものの、そこまではにおっていないと思う。彼女があまりにも大きすぎて、些細な匂いでさえ強烈に感じてしまうのが原因だと思うのだ。
その後、彼らは彼女と楽しくすごし、無事資源も確保し、彼女の部屋で少しずつスペースシャトルを組み立てていった。
しかし悲劇は起きてしまった。
ある日の昼間である。彼らは、スペースシャトルの材料を集めに、全員で廊下を飛んでいた。
その時後ろから
忘れものしちゃったよー…
そう言いながら小走りでくるみが走ってきた朝から出かけると彼女がいっていたので油断していた。真ん中を飛んでいた彼らは突然の彼女の登場に、よけきれず衝突。バランスを失い斜め前へと押し出された。そして彼らの落下先には、彼女のピンク色のクロックスがあった。
見事にそこへと入ってしまった我々は、ジェットパックも壊れてしまい、避ける術もなく、足汗でぬるぬるしたクロックスの中で、彼女の足裏に踏み潰され生涯を終えてしまった。
あの時連れ去られた小人は
「ラッキー、こいつらどーしよっかなー」
摘み上げられて連れ去られた隊員達は彼女の手のひらに乗せられたままであった。彼女はひたすらにどこかに向かって歩いている。
「こいつら、どんな味すんだろ」
彼女がそうつぶやいた後、隊員数名が摘み上げられていった。
「やだ!!しにたくねえ!!」
いくら叫んだところで無駄だった」
「あーん」彼女は口を大きく開けてその口の上でつまんでいた手を離した。
ぱくっ
あ、生きてる生きてるーw
ごくっ、うーん…あんまし味しないかも
彼らは彼女の口の中で転がされて丸呑みされてしまったのだ。
すたっ、
彼女は歩みを止めた。
目の前には下駄箱があった。
清楚な子が踏むと萌えるんだよねー
そう言うと彼女は〈小島〉と書かれたロッカーを開けた。ロッカー内には、運動靴とローファーがある
「よしよし、」
彼女は、ローファーの中に小人を入れ、そのまま扉を閉め去って行った。
「おいどーすんだ!」「ここ靴の中だよな…」
小人達はローファーの中で右往左往していた。
ここは靴の中なんかじゃない、そう思いたかったが中敷きにくっきりとついた持ち主の足型と地面から湧き出る足の匂いと少しの生暖かさがここは靴の中だということを証明していた。
靴から出ようとするも、スニーカーとは違い非常に登りにくい形状をしている上に出るにはおよそ50mほどの高さを乗り越えなければならない。脱出は困難を極めていた。
ドンッドンッ
震度が伝わり始めていた。
おそらくこの靴の主もじきに来るだろう。
がちゃ
ほどなくしてこの靴の主が現れる。これほどまでに巨大なローファーを指二本で持ち上げる。
つま先側に傾けられたため全員がそちらへ寄せられる。
どんっ
地面に落とされ全員宙を舞う。
そして黒いつま先が大きく暴れてこちらに迫ってきた。
ぐしゃっ
大抵の人は履く際に踏み潰された。残った物も、靴の中から出ることができず、匂いで呼吸困難になったりして死んでいった。
ーーーーーーーーーーーーーー
キーンコーンカーンコーン
ねーねーまみ!一緒にかえろ!
小島舞美、彼女のローファーの中にさっき小人を入れてきた。なにも知らない彼女がローファーを履く瞬間を是非見たい。彼女は興奮していた。
がちゃっ
ついにその時がきた。
彼女の少し細めの黒ハイソにつつまれた1日分の汗を吸った足がローファーへと入って行く。やがてすっぽりと足首までしっかりローファーを履いた。
今頃中の小人はどうなっているのだろう、生き地獄を味わっているのか踏み潰されたのか、そんなことを想像していると興奮が止まらない。私はわざと彼女を走らせたりして汗をかかせたあとに、ローファーの中に小人を入れたことを告げた。彼女は恥ずかしそうに足裏をみた。小人が1人ハイソにくっついていた。後の小人はローファー内で全滅していた。彼女は「気持ち悪い」そう言うと小人のついている足裏をコンクリートに押し付けた。小人は地面でぐしゃぐしゃに潰れ、彼女は再び小人の死骸の入ったローファーを履いた。彼女の興奮はますます加速していった。
まみちゃんほんとにありがとう!
そういいながら彼女はスキップをして帰った。自分のソックスを履いた足指の間に小人を監禁しながら。
番外編、くるみ
ふぁぁ…
高木くるみ、今数学の授業を寝ぼけながらに受けていた。
ただ、寝ぼけてたのはさっきまでだ。
さっき、小人に話しかけられたのだ。気づいたら机の上に転がっていた。小人とはいえよーくみたら小人の形に見える、という程度である。普通にみたらただの点にしかみえない。
小人達の船はどうやら私の席に偶然バランスを失って墜落したらしい。
そんなこともあるんだな、と思って話を聞いていると、宇宙船は私が知らない間に踏み潰していて、彼らの仲間もわたしが一部踏み潰しているらしい。罪悪感に苛まれながら足裏を見てみると、確かに白い点はある。つまみだそうにも指で潰してしまいそうで怖い。家に帰るまで靴下にひっついてもらうことにした。休み時間にトイレに行った隙に半分ほどが連れ去られてしまい、罪悪感がピークに達した私はその後ずっと胸ポケットに入れて家まで帰った。
家に帰った後は小人を救出した。私の足の匂いで小人達がむせていたのが少しショックだった。
その後仲良く暮らすことになり、だんだん懐いてきて、最終的には帰宅後に爪磨きをさせたり、足を舐めさせたりこき使っていた。
しかし、ある日靴の中で履きつぶしてしまい、彼らと会うことはもうできなくなった。
でも足の匂いがだいぶ治まったので彼らにはとても感謝している。
希望の星(のはずだった)