雨と猫
…みゃあ
か細い鳴き声
白いはずの毛は泥土にまみれ固まり
水滴は容赦なくこの小さい生き物にも叩きつけられる
ザァァァ
雨は等しく平等だ
誰の上にも降り注ぐ
なぁ だから これは 気まぐれだ
別に雨に濡れてる姿が可哀想だとか
そんなんじゃなくてさ
気になったんだ 何となく
ひょっとしたら大分色んなことがあって
感傷的になっていたのかもしれないし
色んな言い訳を考えながら
向は猫を家に連れ帰った
それは向が職場の得意先で大失態を演じ
職場からお払い箱になった日のことだった
先のことは まだ何もわからなかった
ただ 猫には 雨宿りの場所ができた
雨と猫