雨と猫

  
 …みゃあ
か細い鳴き声
白いはずの毛は泥土にまみれ固まり
水滴は容赦なくこの小さい生き物にも叩きつけられる

ザァァァ

雨は等しく平等だ
誰の上にも降り注ぐ


なぁ だから これは 気まぐれだ

別に雨に濡れてる姿が可哀想だとか
そんなんじゃなくてさ

気になったんだ 何となく

ひょっとしたら大分色んなことがあって
感傷的になっていたのかもしれないし



色んな言い訳を考えながら
向は猫を家に連れ帰った
それは向が職場の得意先で大失態を演じ
     職場からお払い箱になった日のことだった

先のことは まだ何もわからなかった

ただ 猫には 雨宿りの場所ができた

雨と猫

雨と猫

  • 自由詩
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-01-12

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