逃避行

とにかく此処に居たくはなくて  

行き先も分からないまま走り出した


立ち止まれば二度と前に進めない気がした  

だから休むこともなく走り続けた


走り続けているうちに  

目の前にはいくつもの道が開けた


どの道も行き着く先は遥か遠く

自分がその場所へ辿り着けるかさえ分からずにいた


選んだのか流されたのか

一つ一つの道を駆け抜けてきた


ある日ある時足が動かなくなり立ち止まれば

行き着く先どころか自分のいる場所さえ分からくなっていた


色々な場所へ行けると思っていた

いくつもの道は全て後ろに消え去った


選ばなかった道や流されなかった道に戻ることは叶わず

その先に何があったのかすら今は思い出せない


来た道を引き返そうとしたら道は既に閉ざされていた

残されたのは目の前に続く唯々長い道だけ


選んできた道か流されてきた道か

正しい道のりか間違った道のりか


立ち止まっている今のままじゃ何一つ答えは分からない

幸いなことに今はもう一度走り出せる


選んできた道だということを確信するため

正しい道のりだったと証明するため


目の前に続く唯々長い道を全力で走り続ける

例えその先に何がなくても

逃避行

逃避行

  • 韻文詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-01-09

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted