鑑賞記録-映画「ガンモ」より
1997年、ハーモニー・コリン監督。
若干眠い目をこすりながら鑑賞してしまったのを観終えた今になって後悔している。惜しいことをした。ガス・ヴァン・サントが「人生が変わる」と豪語していたのも、あながち嘘ではない。この気持ちをどう記したらよいものか。言い得て妙でなくとも、抽象的な言葉でもかまわない。感じたままに列挙してみようと思う。
灰色の海。カーニバルの憤りと熱情。死ねない生の蔓延。生活と退屈の闘い。落書きだらけの人間像。裸の少年。生き地獄の景色。時間だけがくるくると勤勉にまわっている。死の臭い。ハムを焼いたような悪臭。あたりまえがバラバラに分解して浮遊している。憂鬱だが悪い気はしない。
「人生は美しい」
「死があるから人生はすごい」
まともかどうか知るなかれ、まともな人間などいやしない。世界を斜めから眺めるようだけれども決して気取らない変質映画。考える。この時代の浮世をまともに生きられる術があるとしたら、それは「自殺する」か「病気になる」か「馬鹿になる」かのいずれかだろう。大抵の人間がまともではない。それがもはや普通である。
鑑賞記録-映画「ガンモ」より