芽衣恋
刹那的な永遠
最後に何か伝えたかった。
今日は満月の夜。紅い月が空高く煌々と世界を染め上げる。
私はこれから帰る。大好きな人を、場所を、物を、何もかも置いていってしまう。
わかっている。ひどいやつだってことくらい、自分が一番わかっている。
「だけど・・・」
口にして、すぐに後悔する。
だけど、何なのだ。何もできないのに。
ふと顔を上げると、目の前には愛しい人。
涙があふれる。こらえきれないよ。まだ、こんなに、こんなに、大好きなのに。
早く言わなきゃ。
何を?
今までありがとう。
大好きでした。
ごめんなさい。
さようなら。
違うでしょう?愛しい人に伝えるべきは、そんなことじゃないでしょう?
でも。でも。でも。
「っ・・・・・・・・・・・」
何も言えなかった。なにひとつ、言うことができなかった。
今なにか言わなきゃ後悔する。でも今は何を言っても後悔する。
ならばせめて、思いをこめて、あなたに精一杯の笑顔を送ろう。
笑って、お願い。笑って、私。
愛しい人の顔がぼやける。見えなくなる。もっと見ていたいのに。
待って、あと少しだけ。もう少しでいいから。。。
はっとしてあたりを見た。ああ、帰ってきてしまった。
私は大声で叫んだ。冷たいものが頬を伝って止まなかった。
芽衣恋
めいこいの芽衣ちゃん目線のSSを書いてみました。駄文ですがどうぞお許しを