起源前

天使と悪魔がいたとしましょう。
その間に子供をおきましょうか。
これは人間の子供になります。
子供の手は天使と悪魔がそれぞれ握っています。
天使は子供の右手を握り悪魔が左手のほうが話としては収まりがいいでしょう。

彼ら三人は、遠くの山に沈む赤い太陽を見ています。
「おまえら二人なんて幻のようなものなんだ!」
この子は結構毒舌です、無神論への傾斜も合わせてあります。
おやおやと、天使と悪魔はお互いの顔をみあわせて、
双方が同時に子供の手を離しました。
悪魔がにやっと笑ったのは皮肉でしょうか?負け惜しみでしょうか?
両手が自由になった子供は、その両手で何ができるかを考え始めました。
とりあえず両手で股間でも隠しましょうか。

今となっては、いつなのか判らないこの日が、人間と動物とが分かれた日です。
場所を、エデンの園とすると収まりがいいですが、
それだと出来すぎなので、アフリカの片隅とします。

最近の人間は、悪魔がにやっと笑った意味を考えることが多いです。


起源前

司馬遼太郎さんがエッセイで何かを解説しているような感じで書いてみました。

起源前

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • SF
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2010-10-01

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