王たるべきものは

或る老人がいた
森の泉の畔で煙管などをふかしながら若者に問うた

為政者はどうあるべきかと。

若者は言う。
強く力のあるものがよいと思いますと

老人は言う。
先ず、王は民から何もかも奪ってはならない
民は宝に等しく、奪えば石に等しくなる。

宝には輝きがある。即ち民の活気である

宝の輝きのもとは、一つは教育だ。奪ってはならない
正しく、豊かに学ぶことで、真に考える人間になれる。

学べないということほど、辛く、恥ずかしく、惨めなものはないからだ。

輝きのもとは、二つは愛情だ。奪ってはならない
愛情は、人間の根源であり、尊いものだ。

親や、友人、恋人の愛が、人間を育むのだ。


輝きのもとは、三つは暮らしの余裕だ。奪ってはならない
過去、国を傾けた王たちは、いたずらに税をとった。
民の収入に頼ったのだ。

貧しい暮らしは貧しい心を生み、犯罪を生むのだ。

強くずる賢い王の独りよがりだけでは、国は傾くだけである
民の強さが、国の強さなのだ。

民を強く出来るものが、王であるべきであると。

王たるべきものは

漢文チックです。

王たるべきものは

  • 小説
  • 掌編
  • 時代・歴史
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-01-02

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