王たるべきものは
或る老人がいた
森の泉の畔で煙管などをふかしながら若者に問うた
為政者はどうあるべきかと。
若者は言う。
強く力のあるものがよいと思いますと
老人は言う。
先ず、王は民から何もかも奪ってはならない
民は宝に等しく、奪えば石に等しくなる。
宝には輝きがある。即ち民の活気である
宝の輝きのもとは、一つは教育だ。奪ってはならない
正しく、豊かに学ぶことで、真に考える人間になれる。
学べないということほど、辛く、恥ずかしく、惨めなものはないからだ。
輝きのもとは、二つは愛情だ。奪ってはならない
愛情は、人間の根源であり、尊いものだ。
親や、友人、恋人の愛が、人間を育むのだ。
輝きのもとは、三つは暮らしの余裕だ。奪ってはならない
過去、国を傾けた王たちは、いたずらに税をとった。
民の収入に頼ったのだ。
貧しい暮らしは貧しい心を生み、犯罪を生むのだ。
強くずる賢い王の独りよがりだけでは、国は傾くだけである
民の強さが、国の強さなのだ。
民を強く出来るものが、王であるべきであると。
王たるべきものは
漢文チックです。