白い水溜り
酷く寒い日だった。ちょうど煙草が切れでもしなければ、一日中家にこもっていたいくらいのものだった。コンビニの自動ドアから出て空を見上げると、灰色で厚ぼったい雲が空を覆っていた。まだ昼だというのに、もうこれで今日が終わるような空模様だった。目を凝らすと、細かい雨まで降り出してきていた。実に気が滅入った。
買ったばかりの煙草の封を切り、トレンチコートのポケットに入っていたジッポーで火を付けた。暖かい煙が口から肺に流れてくる。それで少しばかりはまともな気分になった。一緒に買った缶コーヒーを飲みながら、店の前の灰皿の横に立って、しばらく煙草をふかした。
店の駐車場は空いていて、車は一台も停まっていなかった。きっとまともな頭の持ち主は、こんな寒い日には暖かいまともな家の中で、まっとうに過ごしているのだろう。わざわざこんな寒々しい日に外で煙草を吸うような人間は、きっと少し狂っているに違いない。
駐車場の隅の駐輪場には4~5人程の子ども達が集まって話し合っていた。ジャージのズボンにウィンドブレーカー。皆揃いの物だった。背中には白く校章のようなロゴと、斜体で「soccer 」という文字がプリントされている。それぞれの自転車の籠には、白いヘルメットが突っ込まれていて、ほぼ全員がエナメルのスポーツバックを肩から提げていた。きっとどこかの学校の部活かスポーツ教室の帰りか、そんなところだろう。何人かは手にスマートフォンや携帯ゲーム機を持っていた。そして全員が全員、とても楽しそうにしていた。寒さすらほとんど意に介さず、周りのこともほとんど目に入っていないみたいだった。僕は二本目の煙草に火をつけて、横目で見るともなくそちらのほうを見ていた。
そうして5分ほど煙草を吸っていただろうか。煙草を持つ手がいい加減かじかんで、もう帰ろうかと思った時、さっきまで談笑していた少年たちの中から一人が抜け出した。そして残った少年たちに手を振ると、家路に就き始めた。その時ちょうど彼が目の前を通った。やや中性的といっていい顔立ち。やはり周囲と揃いのつやつやした生地のジャージを着ている。耳の辺りまでの黒髪、大きな瞳。そして目の前を通り過ぎる時に、その年代に特有の、松林のような冴えたにおいがした。僕は彼が前を通り過ぎた後も視線で彼の背中を追って、2秒ほど迷ってから結局煙草を灰皿でもみ消し、少年の5メートルばかり後ろを、ゆっくりと歩調を合わせて歩き始めた。なにしろ歩幅が倍ほども違うので、追いついてしまわないように相当ゆっくりと歩く必要があったが、少年はほとんど後ろを見ないでどんどんと歩いていったので、後を付いていくのは簡単だった。別にそうやって後を追ったところでどうしようと考えていたわけでもないし、こちらからはほとんど少年の背中が揺れるのしか見えなかったが、僕はその行為に酷く興奮していた。コートのポケットに突っ込んだ手に、汗がにじむのを感じた。
少年は一定の歩調で、前を向いてどんどん歩いていった。途中で一つ商店街を抜け、線路を渡った。商店街にはさすがに何人かの人が歩いていたけれど、誰も僕のことなんて気にも留めていないように見えた。
商店街を抜け、線路を渡った後、住宅地に入った。僕が来たことのない場所だった。よくある田畑を潰して宅地にし、そこに学生や独身者向けのアパートとどれも変わり映えのしない新築住宅を交互に建てることを延々繰り返したような街並だった。実にぞっとするような光景だった。寒さが一段階増したような気がした。
僕の前で少年が立ち止まった。同時に僕も止まった。ちょうど少し引き返したところにタバコ屋があったので、僕は店先の灰皿の横に立ち、煙草に火を付けた。横目で彼のほうを見てみると、こちらに気が付いた感じではなかったが、立ち止まったまま道路の上の何かをじっと見ていた。それが何なのかは僕が立っている位置からはよく見えなかった。
僕が煙草を一口吸って空に向かって煙を吐いた時、少年は道端に落ちていた木の枝を拾うと、やや前かがみになりながら道路の上のその何かをつついていた。体勢が変わると、僕が立っている場所からでも少年の横顔が見えた。純粋に興味と好奇心に溢れた顔。暖かい部屋の中でソファに座り、蝋燭の一杯灯ったケーキを前にしている時のような、そんな明るさの笑顔を浮かべていた。彼が何にそんなに興味を抱いたのか、僕は一層興味が沸いた。彼は煙草を二本吸い終わる頃まで飽きもせずにそうしていた。
二本目の煙草を灰皿でもみ消した。少年は不意に木の枝を道端に投げ捨てると、また歩き始めた。それに気付くと、僕はポケットに手を突っ込み歩き出した。さっきまで彼がいた場所にはなんだかよく分からない茶色いものが路面にこびりついているように見えた。この位置からだと、泥か何かにしか見えない。さらに数歩歩いてその何かのところまで来ると、それは空に向かって一対の翼を掲げていた。その翼の付け根には、少しの白い羽毛と黒と赤茶色が混じりあったゼリーのようなものが楕円にこびりついていた。羽以外の頭や胴体部分は全部引き潰され、混じり合って形も無かった。多分鳩か何かの轢死体だろうと僕は思った。僕も横を通り過ぎながら死体を観察したが、少年がその死体の何にそんなに興味を抱いたのか全く理解できなかった。ただ血と肉と羽毛と糞の塊に羽が生えているようにしか見えなかった。
しばらく立ち止まってからふと前を見ると、少年が急に二、三十メートル先の角を曲がった。僕は慌てて死体を跨いで、また後を追い始めた。
駆け足で角を曲がると、少年はちょうど一軒の家の門扉を開いているところだった。どこにでもある戸建ての2階建て住宅だった。見ると2階の部屋は全てカーテンが閉まっていて、駐車場は空っぽだった。僕が駆け足気味のまま彼が開いた門扉の前まで来ると、少年がポケットから鍵を取り出して家に入ろうとしているところだった。すばやく目だけで左右を見渡すと、人影も車の姿もなかった。
大股で3歩ほど前に踏み出すと、僕は開いた玄関のドアを右手で押さえ、家の中に体を滑り込ませた。自分でもびっくりするほど頭は冷静で、何の迷いもなかった。
家の中に入ると、彼は驚いた様子で目を見開き、こちらを振り返った。少年は玄関でちょうど片方の靴を脱いだところだった。意外にもすぐには叫びださなかったので、僕はゆっくりと玄関の鍵を掛け、チェーンロックも掛けた。鍵を全部掛けた時に、少年が口を大きく開けて何事か大声を出しそうな素振りを見せた。僕は少年の脇に腕を回すと、ぐるりと体を回して背後から抱えるようにして手で口を塞いだ。手と足を振り回して僕の腹や足をあちこち叩いてきたが、大した力ではなかったし、特に痛くもなかったので放っておいた。しかしこう手足を振り回されてはなにもできない。手近に縄の類は見当たらなかった。仕方ないので、僕は片手で少年を押さえつけたまま、もう片手でトレンチコートのベルトを外そうとした。なかなか上手くいかなかったが、何度か試すうちにやっとベルトが外れた。そのベルトで少年の手を背後でぐるぐると三重くらいにきつく縛ってから、玄関マットの上に少年の体を投げ出した。大声を出せないように、口には丸めたハンカチを突っ込んでおいた。すると今度は足で激しく腹の辺りを蹴り上げようとしてきたので、自分のジーンズのベルトを外し、両足首の辺りできつく留めた。これで腕と足を縛られ、床の上で体を前後にもがくことしか出来なくなった。なかなかいい眺めだった。
慌ただしくコートを脱ぎ捨てると、そのまま少年の上にのしかかり、顔に何度も口づけをした。全く獣のようだった。顔を近づけると、遠くで見ていたよりも彼の少年はもっと幼く見えた。肌と髪は汗と土と、少しの整髪剤のにおいがした。顔中いたるところに口をつけながら、僕は自分の体がどんどん熱くなってくるのを感じた。たまらず自分の徐々に熱くなってきた部分を、彼の腰や腿のあたりにぐいぐいと乱暴に擦り付けた。彼は身もだえしながら不快そうなうめき声を上げていた。その声を聞きながら、シャツを捲り上げて、胸のあたりを手で探りそこにも何度も口を寄せた。白い肌は温かく、腹や胸の辺りには滑らかに筋肉がついていた。小さな乳首は薄赤く、鴇色をしていた。僕が乳首に口をつけて、何度も強く吸い上げると、彼はより激しく呻き出し、体を揺さぶった。胸を吸いながら少年の顔を見ると、彼は懸命に口蓋と舌を使って、ハンカチを押し出そうとしていた。僕は一旦胸から口を離すと、少年の靴下を脱がせて、それも丸めて乱暴に口へ突っ込んだ。かなり呼吸が苦しいはずだが、鼻はふさいでいないのでまあ大事に至ることはないだろう。靴下を突っ込むと、うめく声は微かにしか聞こえなくなった。
少年のジャージのズボンに手をかけると、一気に下まで押し下げた。彼は下着に薄いブルーのボクサーパンツを穿いていた。それも一息に脱がせた。足首はベルトで縛ってあったので、その少し上でズボンとパンツが引っかかっている格好になった。いい眺めだった。とてもいい眺めだった。それにあの先に少しだけ赤い肉の色が見える、小さな突起。あれほど素晴らしいものはこの世にない。狂おしくそこをまさぐり、何度もそこへキスをした。少年は最初はただ不快感に顔をゆがませていたが、そのうち観念したのか、気絶したように目を閉じ、無表情になっていた。しばらくその行為を続けていると、少年の肉の突起は僕の口の中で、徐々に体積と硬さを増してきていた。ひょっとしたら感じていたのかもしれない。
5分ほど口の中で愛撫を続けた後、僕はやっと少年から口を離した。さっきまで僕の口の中で散々舐られていたそれは、唾液と先端から滲んだ透明な体液でぬらぬらと透明に光り、湯気でも立ちそうだった。僕はベルトで縛った少年の脚を高く持ち上げると、余っていたベルトの一端を少年の首に回し、それをもう一度足首の方まで持ってきてからきつく縛った。それで少年は、足を高く上げて、体をくの字に曲げているという奇妙な体勢になった。
僕は少年の足の間で濡れているものに指を絡ませ、粘った液体を掬い取ると、後ろの窄まりに指を差し込んだ。すると少年は先ほどまで閉じていた瞳を急に見開くと、信じられないといった面持ちで僕の方を睨み付けてきた。そして口の奥で呻きながら、首を激しく左右に振って拒否する素振りを見せた。構わず指をどんどん奥へと潜り込ませていった。入り口の狭さは大したものだったが、奥に行くにつれ、ほとんど抵抗なく僕の指を受け入れていった。時間を掛け、きつく閉じたその部分を慣らし、徐々に指の本数を増やしていった。最後には少年は3本の指を受け入れていた。
僕はズボンの前を開けると、少年の中に押し込もうと自分の体を押し付けた。先程まで3本の指が無理やりねじ込まれていたおかげか、何度か押し当てていると入り口に滑り込むように先端が入っていった。一度入ってしまえば、後は簡単だった。真ん中辺りまで入れてから、後は一気に根元まで押し込んだ。それからまた少年の体の中から抜け落ちそうになる手前まで引き抜いてから、また一度に全てを貫いた。中は意外なほど柔らかく、ほとんど締め付けられる感じはしなかった。しかし少年のそこからは、二人の粘膜が泡だって湿った音が立ち始めており、僕が腰を遮二無二前に進める度に肉と肉が当たる音が、誰もいない家の中に響いてた。とてつもない快感だった。こめかみの辺りから後頭部にかけて、甘いピンク色の疼く様な感覚が広がっていくのを感じた。僕は気が付いたら少年を見下ろしながら、笑みが浮かぶのを感じた。夢中で体を前に進め続けた。そしてついに達した。驚くほど強烈で、強力な射精だった。少年の腹の中一面だ。あまり強くやり過ぎたのか、少年と繋がっている部分は薄っすらと血が滲んでいて、少年は肩で息をしながらもうはや呻き声さえ出さず、ただ泣いていた。少年のものは恐怖からか痛みからかすっかり縮こまっていた。それを見るていると、僕はまたあの疼くような感覚が体中に広がるのを感じた。そしてそれはどんどん高まるばかりだった。嗜虐的な喜び。少年が鳥の死体を弄ぶのと同じことだ。僕は少年の中で、既に硬さを取り戻しつつあった。そしてより強く少年の体を打ちつけ始めた。
そうして3回は少年の中で達した後、僕はやっと彼から体を離した。それでも僕の体はまだ熱を失う気配さえ見せなかった。自分でも呆れるほどだった。先程まで繋がっていた場所をまじまじと観察してみる。そこはすっかり緩み、解され、丸く口を開けていた。しばらく見ていると、奥の方から溢れてきた体液が伝い、入り口から流れ出てきた。僕はまたすぐにでも少年の上に覆いかぶさりたくなってきたが、体を動かすことを止めると玄関は急に寒くなってきた。僕は体の上にコートだけ羽織ってから少年の体を抱え上げると、奥のほうの居間まで運んだ。どこにでもあるような中流階級の家庭の居間だった。どこにでもあるようなテレビと、どこにでもあるようなテーブルとソファのセット、その隣にキッチンがあった。僕は少年の体をソファの上に投げ出すと、急に水が飲みたくなったのでキッチンへ向かった。伏せてあったグラスに水道から冷たい水を汲んで、一息で飲み干した。冷蔵庫のドアを見ると、ホワイトボードにメモ書きがしてあるのが見えた。「帰り9時頃になります。夕食は冷蔵庫の中です。」と少年の母親のものらしき筆跡が残されていた。僕は腕時計を確認した。時刻はまだ4時を少し回ったところだった。
僕は少年を横たえたままにしてきたソファまで戻ってきた。少年は僕がキッチンにいる間に少し元気を取り戻したのか、ソファの上で腕の拘束を解こうともがいていたが、僕の姿が目に入るとこちらをじっと見据えたまま動かなくなった。僕は慌てずに少年の横に屈み込むと、少年の足を縛っていたベルトをゆっくりと解いた。少年は初めびっくりしたような表情を浮かべたが、すぐに僕の顔の辺りを蹴り上げようとしてきた。腕で少年の足を押さえつけ、そのまま少年の体を抱きかかえると背後に回って自分の足をからめ、完全に動きを封じた。そして少年の足を割り開いた。その頃にはまた僕は起立を取り戻していた。片手で場所を探って指で少し広げながら、少年の中へ入れた。散々慣らされた後だったので、今度はスムーズに事が運んだ。入る瞬間に少年は短い呻き声を上げたが、苦痛はずいぶん少なくなっているようだった。
僕は彼の中に入ったまま、片手で胸の辺りを押さえ、もう片手を少年の足の間に伸ばしてゆるゆると上下に動かした。同時に胸の突起も指で摘んだり弾くようにして弄び、耳や頬に口付けした。そうしていると手の中で少年は徐々に硬さと大きさを増してきた。そこは少年の透明な体液や僕の唾液で濡れていたが、まだ最後には達していなかった。繋がっている部分は、少年が時折体を震わせるのにあわせて、細かく強く締め付けてきていた。少年と僕とはかなりの体格差があったが、それでも少年の顔はずいぶん近い位置に置かれることになったので、僕はゆっくりと彼の顔や表情を眺めることができた。最初は拒絶するような嫌悪の表情で顔を背けたり、僕に恨みがましい視線を向けるだけだったが、徐々に目の奥が潤み始め、心なしか呼吸が速くなってきていた。改めて良く観察してみると、少年は本当にいい顔をしていた。顔形が整っているとか、肌の白さとかそういうことはもちろん、実に僕の好みだった。
僕は一度動きを止めると、今度は集中して少年のものを擦り始めた。少年の呼吸はどんどん速くなっていった。僕の手の中の少年のペニスは、時々痙攣するような動きを僕の手に伝えてきて、それに合わせて後ろの締め付ける力もどんどん強くなってきていた。酷く興奮させられた。少年の締め付ける力が最高潮に達した時に、僕は手の動きは止めずに腰の動きをゆっくりと再開した。少年の口からは溜息のような嬌声が漏れ聞こえていた。そして射精した。ほとんど少年と同時だった。少年の射精は長く、断続的に続いた。まるで永遠に射精しているようだった。ひょっとするとこれが初めてだったのかもしれない。
全てを出し切ってから、僕は大きく一つ溜息をつくと、少年から体を離した。見ると少年の竿はまだ硬さを失っていなかった。それを見ていると、僕はまた一つ悪い考えが浮んだ。つまり、どうせなら少年から両方とも奪ってやろうというわけだ。
僕は少年の上にまたがると、先程までの硬さを早くも取り戻していた彼を手に取り、自分の後ろのほうへ導いた。さすがにこれから何をされるのか分かったのか、少年はその瞬間だけ顔を上げて訴えるような視線を向けたが、すぐに無駄だと思ったのかまた横に顔を伏せてしまった。まあ別に構わない。僕が体を下ろすと、少年はほとんど何の抵抗もなく中に滑り込んできた。たぶん少年の体液で湿っていたのがよかったのだろう。全て僕の中に納まると、僕はゆっくりと締め付けたり力を緩めたりして、少年の硬さと熱を味わった。そして腰を上げ下げして少年自身にも刺激を加えた。いい感触だったが、別に痛くも気持ちよくもなんともなかった。しかし少年のほうはそれほど悪くなかったようで、徐々に湿った体液の音が部屋の中に響き渡り始めた。僕は少年を出し入れする動きはそのままに、自分のほうを擦り上げ始めた。そうするとだんだんといい気持ちになってきた。少年の方は、僕が思い切り締め付けながら腰の動きを早くすると、またさっきまでと同じくぐもった声を上げ始めていた。そして少年自身は徐々に僕の中で跳ね上がるような動きをし始め、終わりが近いことを知らせてきた。僕が少年を根元まで入れ、目一杯締め上げた時に、少年は長くか細い嬌声を上げた。同時に僕の中にぬるいものが入ってくるのを感じた。どうやら達したようだった。満足したので、僕は腰を上げて少年を抜き取ると、少年にまたがったまま自分を素早く擦り上げた。そして最後に射精した。少年の顔に向けて全部吐き出した。すごい光景だった。少年の右の額から頬にかけて、白い水溜りが広がっていて、その一部は鼻の中や口まで入り込んでいた。僕が全てを出し終わった後でも、少年は眠っているか死んでしまったように身動き一つしなかった。
手早く衣類を身に着けると、最後にまだぴくりとも動かない少年の手からコートのベルトを解いた。部屋の中は床に少年や僕の体液があちこちに落ちていたし、少年は裸のまま動かなくなっていて酷い有様だったが、僕は全てそのままにしておき、玄関から外へ出た。雨は止んでいた。しばらく歩き、さっき少年が轢死体を弄んでいた場所の近くにあったタバコ屋まで来た。僕は店先の灰皿の前で立ち止まり、煙草に火を付けた。大きく一口吸い込み、長く細く煙を吐き出した。煙草は酷い味がした。糞の様な味がした。
白い水溜り