天秤
右手に友情を手にしている
左手に恋愛を手にしている
どちらも今は小さいが
いずれは私の片方の手だけでは収まりきらないほど大きいものになるだろう
いずれはどちらかを捨てなければならないかもしれない
どちらにしよう
そう迷っているあいだにも
2つはゆっくりと成長していく
一度天秤にかけてみよう
そしてより育っているものを手にしよう
まずは友情を皿にのせる
もちろん勢いよく天秤は傾く
もう片方の皿は高く跳ね上がり踊る
今すぐに恋愛をかけようものならあっけなく振り落とされ砕けてしまうだろう
私は天秤が落ち着くのを待った
誰かに見られてはならぬものかのように
優しく両手で包み込みながら待った
今すぐにでも両者を比べたい
いつまでこの揺れは続かせれば気が済むのかと
多少の嫌悪を友情に抱きながら待った
しばらくするとその揺れは収まった
このあいだにも大きく成長した恋愛を天秤にかける
釣り合った
釣り合ってしまった
私は悩んだ
明らかに私の目には友情の方が小さく見える
釣り合うはずがない
私は2つを計量した後
恋愛を再び抱えるのだと予想していた
いや
むしろ確信していた
しかしその確信は怒りへと変わる
釣り合わせてはいけない
何度も呟きながら考えた
確信により硬くなった頭はなんの迷いもなく
私の左手を恋愛の乗った皿にかけさせ一気に下へと引っ張った
ビクともしない
天秤の2つの腕は互いに水平を保つ
ならばこうだと持ち去ってしまおうとしても動かない
成長しすぎた
既に私の力では持ち上げることすらできない
もうどうしようもないのだろう
考えても考えても何も生まれない
私はその釣り合った天秤を横目に去った
その釣り合いを認めたくない一心で
近い将来急に傾くだろうと
その時は急いでここに戻ってこようと
いつしか私は空いてしまった2つの手で
この小さく邪な希望を抱えていた
天秤
私の好きな人は私の一番の親友のことが好きでした。私がこの先幸せであるためにはどうするのが一番良いのだろうかと悩みました。