おじさんと少年 LAST
完★結
ー忘れ物はない?もう一回荷物チェックする?
"おじさんさっきもそれ言ってたよ?忘れ物なんてないってば"
ー寂しくなったらいつでも電話とか、メールとか、いいんだからね!?いじめられたりとかしたら僕がいつでも助けに行くからね!
"もうツッコミ所多すぎてどこからツッコミを入れればいいかわかんないよ、おじさん"
ーだってさ・・・バイバイじゃないか・・・しょーちゃんとバイバイなんて・・・うぅ
"・・・ッ!!しょ、しょーちゃんって呼ぶな!!・・・一生会えないわけじゃないんだからさ・・・泣かないでよ、おじさん"
ー・・・そうだけど、さ
"いつか僕からおじさんを訪ねるから、ね?"
ー・・・わかった。待ってるよ
"まあそのころにはおじさんの身長なんて超えてると思うけどね"
ー・・・
"僕の身長を楽しみにしててよ、おじさん(笑)"
ー大人をからかうんじゃない!!
"じゃあね!おじさん!また今度!"
ー・・・違うでしょ
"え?"
ーいってきます、でしょ?
とは、言ったものの。
(暇だ・・・)
少年がこの家を出て行ってから、はやくも四年が経とうとしていた。
少年は今、高校生ぐらいなんじゃないだろうか。多分、背も追い抜かれてしまっているだろう。
それに比べて僕は、身長も、体重も、ほとんど何も変わっていない。
本当に、何も変わらずにこの四年間を過ごしてきた。
少年がいなくなったことを除いては、だけれど。
むしろ・・・戻ったと言うべきだろうか。
元の生活に。
・・・いや、少し変化はあったかな?
それはというと。
『次に歌ってくれるのは・・・先日、デビューを果たしたこの人です!!』
テレビに映っている司会者がそう言うと、青年が出てくる。
その青年は、
『宜しくお願いします!』
よく知っている人だ。
『今日は、デビュー曲を歌っていただけるんですよね?』
小学生で、すでに大人びていただけあって
『はい!』
顔立ちも、とても整っている。
『そういえばまだ高校生なんですよね?大人っぽいですよね~!とても高校生には見えませんよ!』
僕よりもほんの少し低かった背は
『そうですか?そんなことないですよ~まだまだ未熟だし、子供ですよ』
僕よりずっと高くなっていて。
(もう、少年とは・・・呼べないな)
そこには、歌手になった少年が映っていた。
まさか高校生でデビューしてくるとは思わなかった。
僕の本名と年齢がばれるのも時間の問題だろう。
四年前、僕は自殺をしようとしていた。
こんな腐りきった世界から、早く消えてしまいたいとも思っていたのに。
いまじゃそんなことはこれっぽちも思わなくなった。
むしろ、精一杯生きたい、とも思うようになっていた。
僕は今、すごく幸せだ。
・・・少年がいないことを除いて。
『新曲のタイトルは何ていうんですか?』
『デビュー曲のタイトルは、 Licht です』
『リヒト?それはどういう意味なんですか?』
リヒト?
どこかで、聞いたことがある。
どこで聞いたんだったっけ?
『この曲のタイトルは、ドイツ語です。』
『え?ドイツ語?どうしてドイツ語なんですか?』
『・・・俺には、大切な人がいます。
恋人とかじゃありませんよ。
その人は、"僕"の人生を救ってくれました。
その人は、"僕"に歌手になるきっかけや目標をくれました。
その人は、"僕"を必要としてくれました。
その人は、"僕"の個人の問題まで背負ってくれました。
その人は、僕の・・・
俺の・・・
光なんです』
思 い 出 し た
そうだ
僕が
言ったんじゃないか。
"え?おじさんって、ドイツ語話せるの?"
ーまあ、話せるってほどでもないけどね。講義で・・・あ、いや、たまたま学ぶ機会があったんだよ
"じゃあ、ドイツ語でーーーって、何ていうの?"
ーえーっと、たしか・・・ドイツ語で・・・
『その人に、Lichtという言葉を教えてもらったんです。
Lichtという言葉を僕は、その人そのものを示す言葉だと勝手に解釈しています。』
ー光って意味だよ。
(・・・・・・っ!!!)
音楽が、流れる。
音が、聞こえる。
少年の声が、聞こえる。
透き通ったきれいな声だ。
何故だろう。
べつに、悲しいわけじゃないのに、
寂しいわけじゃないのに
つらいわけじゃないのに
何故だかわからないけれど
涙が出た。
ーピンポーンー
「!!」
誰だろう。
僕は、涙を拭いて、玄関の扉を開けた。
「・・・え」
思わず、気の抜けた声を出してしまった。
先程まで、テレビの中にいたのに。
どうして、目の前にいるのだろう。
「久しぶり、おじさん。元気だった?」
「・・・君・・・どうして、ここに」
「どうしてって・・・覚えてないの?今日のこと」
「え?今日・・・何かあったっけ?」
「今日はね、俺とおじさんが初めて会った日だよ」
「・・・あ」
すっかり忘れていた。
そういえば。
少年と出会ったのは、確かにこの季節だったと記憶している。
「・・・あははっ」
「・・・?なんで笑ってるの?」
「いやぁ。懐かしいなあ・・・と思って。おじさんも、この部屋も」
「・・・そうだね」
本当にその通りだ。
懐かしい。
「で、君はなんでここに・・・今日が出会った日だからって・・・」
「おじさんは覚えてないの?」
「え?・・・覚えてないのって言われても・・・」
「約束」
「・・・あ」
そうだ。
すっかり頭になかった。
決して忘れていたわけじゃないけれども。
「俺は歌手になったよ」
「うん」
「でもさ」
「うん」
「いいやっ」
「・・・え」
いいや、とは。
つまりどうゆうことだ。
「俺、これからもおじさんのこと、おじさんって呼んでたいんだよね」
「つまり・・・僕との約束はもういいってこと?」
「今のところは、ね」
「そ、そっか・・・」
以外だった。
少年は僕のことをすぐに聞きたがるんじゃないかと思っていたから。
「まあ、ぶっちゃけおじさんの実年齢も予想ついてるし」
「えっ、なんで!?」
「おじさんは単純だから」
そういって少年はクスクスと笑う。
懐かしい。
なんだか昔に戻ったみたいだ。
「じゃあ、まず俺のスペースを確保するためにも、この部屋の掃除からはじめようか!俺がいない間にすごく汚くなったね~。おじさん、掃除機どこ?あ、あとほかにもいろいろ買いに行かなきゃね。食材も調達しなきゃだね」
俺のスペース?
「君・・・ここに住むつもりなの!?」
「え?ダメ?」
「ダメ・・・ではないけど・・・」
「ああ、僕が有名人だからってこと?そこは大丈夫だよ~うまくやるって」
いまいち信用ならない・・・
「いまいち信用ならないとかおもってない?」
「・・・思ってないよ、別に」
そうだった。少年は昔から、人の考えていることを見抜く子だった。
昔から、変わらない。
「そんなことはどうでもいいんだった、ねえ、おじさん!」
僕は、君に出会えたから、死なずに済んだ。
君は、僕に救われたとか思ってるんだろうけれども
「ん?」
僕は、君に出会えて救われたんだよ。
いつか、きちんと感謝しよう。
その時はきっと、名前も、年齢も、全部さらけ出して。
「今日は何が食べたい?」
これは
「そうだな・・・カレー、がいいな」
とある少年とおじさんの話。
おじさんと少年 LAST
ついに!やっと!終わらせられました!!(歓喜)
いままでグダグダですみませんでした。テストとか勉強とか睡眠とかで小説かけてませんでした。
最初はすごく気まぐれと勢いで書き始めました。ショタ好きな私は、「ショタ書きてえなー」ぐらいなノリで書き始めました。
文章力なくてすみません。終わり方雑ですみません。
少年を自分に多少重ねてました。
この章で少年が僕から俺になってるのは少年が少年じゃなくなっちゃったぜーってことです。
ともかくありがとうございましたっ!!
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少年とおじさんⅢhttp://slib.net/21281 (少年サイド)
おじさんと少年Ⅳhttp://slib.net/23097 (おじさんサイド)
次の小説のネタまったくおもいついてないのでしばしばお待ちを。(待ってくれてる人がいれば・・・)