『ダブル★魔法』
魔法が出てくるお話です。あと、ちょっとラブコメ成分あり。
今日は二年生になって新学期。
ウキウキして入学した学校も、いつの間にか嫌な存在になっていた。
それは、俺がおちこぼれだからである。
魔法なんて簡単だ! と言っていた父さんと母さん。
息子はこんなありさまです。
父さんと母さんは学生結婚をしたらしい。なんでもこの学校のおかげだとか。
リア充爆発しろ! ったく。
箒に乗って向かうは、大陸の上に浮かぶ魔法学校。
そこは、俺たちが住む小さな国の唯一の魔法学校である。
適正から選ばれて、厳選された人々が行きかう学校だ。
俺も晴れて選ばれて意気揚々だった。
まさか魔法がこんな難しかったとは。
周りのみんなはものすごい勢いで飛んでいる。
俺はそいつらと違って、ゆっくりだ。
だって、風の障壁を上手く作れないからだ。
だから、一年生と一緒になってゆっくりと飛んでいる。とほほ。
「きゃああああああああああああ」
ん、あのくまさんパンツは?
悲鳴が通り過ぎる寸前、手を出してそれを急ブレーキさせる。
「はー、はー。ぜー、ぜー」
横には、ピンクの髪をぼさぼさにした少女。
たぶん、速度制御に失敗したのだろう。
「あ。ミールくんおはよう」
目を回しながら言うな。
この少女は俺と同じ落ちこぼれの、クドウ=エリカという女の子。
一年生の時仲良くなったは良いが、まさかそれがダメコンビの結成になるとは思わなかったっけ
。
試験を受けるたびに俺と彼女はクラスを落としていく、そして、二年生になってついに強制学級
、もち落ちこぼれ学級に落ちたのだった。
エリカはぼさぼさの髪を必死に直している。
「エリカ、また速度制御失敗したんだな」
むーと恨めし目になりながら、彼女は俺を見る。
「うー。ミールくんと一緒のときはこうしてできるのに~」
そう。俺とエリカが一緒になると、どうしてか二人のバラバラのパラメーターが安定するのだ。
これが、ダメコンビと言われるゆえんである。
そして、俺が恥ずかしくて学校にいきたくない理由でもある。
「はー。ちゃんとした先生なら良いのに」
落ちこぼれの教室は、ダメ先生がつくことでも有名である。
それがますます俺たちに将来の不安を抱かせていた。
このままじゃ、魔法学校に入学した意味がない!
「さいあく」
ピカピカの校舎がやっと見えてきた。
「仕方ないね。落ちるんだもの」
浮遊大陸に降り立った。そのピカピカの校舎を尻目に、横のおんぼろ校舎へと俺たち二人は歩い
て行った。
このおんぼろ校舎は二年生と三年生のおちこぼれ専用だ。
俺たちは指定された教室へ行き、隣り合って座った。
「広いね~」
「当たり前だ。だって、俺たちしかいないからな」
しばらく待ってると、遠くからコツコツと靴音がしてきた。
どうやら先生らしい。
「アロハ~」
来た!
どこか南国の絵が描かれたシャツを羽織った先生が来た!
ここは、一応かなり上空。
魔法使いのローブには暖房機能がついている。だから俺たちは寒くない。
しかし、この先生はそんなもの脱ぎ捨て、陸上の夏休みの恰好をしている。
あほだ。あほだ。
でも、無駄にスキルが高いのが分かる。
この先生は火の属性が得意なのだろう。
火魔法を駆使して自信の周囲を温暖な気候の気温にしてるに違いない。
俺はそれをあきれ果てながら横目でエリカを見ると、彼女もげんなりしていた。
「こんなんで、落ちこぼれ脱出できるのかしら」
「そこ、聞こえてるわよ!」
「いたっ!」
エリカはチョークを頭にぶつけられ、手を頭に当てて涙目になっていた。
「さて、今年は二人なのね。ずいぶん少ないじゃない」
おねえ口調のぞくぞくする声に、俺たちは震えあがった。
ほんとに大丈夫か? この先生。
「あたしの名前は、ナイト=メアよ。プリンセスナイトって言ってね。よろしくね」
「言うかバカ」
瞬間、火球を先端に付けたチョークが頬をかすめた。
「あちいいいいいい」
「なに? 聞こえない。なんか言った?」
俺はぶるぶる震える足を必死に抑える。
「い、いえ。なんでもありません」
「よろしい」
こほん、とメア先生は咳をして、
「今日はオリエンテーションよ。いまから、プリント渡すからよく読みなさい」
「「はーい」」
プリントは至極真面目だった。まあ当たり前だが。
お花の絵や飾りつけされてるわけではなかった。
無味乾燥なプリントだ。
先生の説明をしばらく聞いてると、エリカが突然手をあげた。
「せんせー。でも、こんなの普通の授業と変わらないじゃないですか」
エリカ、お前はなにを言っているんだ?
メア先生の眼がキラーンと光った。
「そうね、確かにそうだわ」
言ってしまって気づいたのか、エリカは顔を真っ青にしていた。
「それに、今期はあんたたち二人だけみたいだし……」
もう言ってしまってから遅い。
俺は息を呑んだ。
「……よし、こうしましょう。ちょっと二人ともこっちへ来なさい」
俺たちは言われるまま、しぶしぶ先生の前へ立った。
「あんたたちの話は他の先生から聞いてるわ。それぞれがバラバラなパラメーターだけど、協力し
あうと、なかなか良い成績になるんだってね」
そういいながらメア先生は指先に紫色の火を灯して、俺たち二人の周囲に魔法陣を描き出した。
「それに、あんたち二人、ひとめ見て思ったわ。良いカップルじゃない。惜しいわあ」
惜しいってなんだ? なにが惜しいんだ?
俺が横に顔を向けると、エリカは顔を真下に向けた。怒ってる様子ではないみたいだ。ちょっと
迷惑だったかな。
ちょっと傷ついた。
「だから、これから一か月。この学校敷地内に入ったら、二メートル以上離れたら熱くなる魔法を
かけるわね。」
「「え」」
「はい、完了!」
「ちょ、ちょっと」
文句を言おうとすると、先生が威圧してなにも言えなかった。
「それと、あんたたち日直で書記ね。二人は手や足を使わず、魔法のみで黒板に書いたり、掃除し
たりしなさい。……以上」
エリカは顔を伏せて、もじもじしていた。
すでに先生はドアの一歩うしろだ。
俺は慌てて追いかける。
しかし、先生はすっとすり抜け、もう廊下の奥だ。
さらに追いかけようと、足を出した。
「ん、暖かい?」
しかし、すぐに靴は燃えあがった。
「うわあああああああ」
俺は慌て後ろに離れる。
すると、靴は元通り、にはなってない。
幻覚魔法ではなく、まじもんの火魔法だった。
「せんせーーーーーー」
思い切り大声で叫ぶ。
しかし、なにも返ってこない。
行ってしまったようだ。
こりゃ一か月、ずっとだ。
俺は仕方なく教室に戻ると、つくえにつっぷしているエリカが居た。
その隣に座って、俺も突っ伏す。
「なあ、これから頑張ろうな」
「う、うん」
これからどうすっか。てか、まさかトイレとかも。例外なし、とすると。
「ね、ねえミール」
「なんだよ?」
「そ、その……」
なにか言ってるが聞こえなかった。
「ん、どうかしたか?」
顔をあげると顔を真っ赤にしたエリカがいた。
「トイレ、行くの!」
懸案事項がさっそくきたああああ。
俺は頷くしかなく、さっそくエリカに付いて行った。
女子トイレにほんのちょっと入って、ギリギリ2メートル。
エリカには一番目の前のトイレで我慢してもらうことにした。
俺は後ろへ向き、必死で目をつぶる。
平常心平常心。
「あつい、あつい……ミール、もうすこし」
「お、おう」
俺は後ろ歩きで、一歩下がる。
これでいいのか?
ほんとにこれでいいのか?
俺はそのまま一歩下がった。
よし、これでおーけーなはずだ。
いやいや、待て。
ほんとはエリカ、熱がって遠慮してるんじゃないのか?
だから時間がかかるんじゃないのか?
よし、もう一歩。
手で壁を確認し、さらに一歩下がる。
ん、下がない?
これは、段差だ!
「うわあああああああ」
俺は目を開けて、そのまま後ろに勢いをつけて下がった。
――ドン
この音は、ドアだ。
鍵を閉めておいてくれええ。
「きゃあああ」
そのまま、エリカの太ももの上に、勢いをつけて座る。
「いたーーい」
俺は慌てて、なにか掴めるものをつかんだ。
この柔らかくて、もちもちとした感触。
これは、もしかしてパイ乙というものか?
信じられん。こんな感触だとは。
「…………」
俺はしばらくそれを楽しむ。
「ねえ、ミール。なにか言うことは?」
はは、あの柔和な笑顔のエリカが、まるで般若だよ。
俺はしばらく考え、気を効かせて言ってみた。
「エリカのおっぱい、結構あるよ」
「変態変態へんたーい」
俺は目を開けると、あの教室の天井だ。
ヒリヒリする頬に触れてみると、なぜか腫れている。
そして俺の両手は、真っ赤にやけどしていた。
これ以上はなにも言うまい。
横で半分般若になっているエリカを見たら、忘れる気になった。
忘れよう。とにかく、忘れよう。
「帰ろ」
「ああ」
俺たちは夕焼けでちょっと不気味になっている校舎を歩いて帰った。
一週間はあっという間だった。今日はもう金曜だ。
俺たちは簡単にこなせると思っていたチョーク課題でさえ、必死になっていた。
「そこ、違う。もういちど」
俺たちは神経を張りつめさせ、ふたりで一本のチョークを操っていく。
あっちにふらふら、こっちにふらふら。
黒板に定まったと思ったら、文字がぐにゃぐにゃ。
そのたびに、消すのを命じられ、またも黒板消しでふらふらと繰り返していた。
気を抜こうとすると、お尻あたりに真っ赤に燃えたチョークを押し付けられ、喝を入れられた。
「教科書の内容の進み具合は気にする必要ないわ。あなたたちへの特別メニューなんだから。そん
なことは気にせず、私が言うままに成功するよう、なんども挑戦しなさい」
俺たちふたりは声さえ上げられず、汗を流しながら、集中していた。
60分の授業が終わるたびに、俺たちは机に突っ伏していた。
そしてくたくたになったまま、なんとかトイレ行ったりして、を繰り返していた。
――キーンコーンカーンコーン
「はい、やめ。昼食休憩よ。しっかり休みなさい」
「い、いわれなくても」
先生が去ったあと、俺たちは持参した弁当を取り出して、必死に食べた。
1年生の時は、なんにも感じなかったが、今はありがたみが分かった。
「おいしー」
「うめえ」
卵焼きの甘さが体に染み渡る。
ごはんがお腹に力を分け与える。
食べたお肉が筋肉に変わっていく。
どれもおいしかった。
「「ごちそうさまあ」」
弁当を片付け、二人して向き直る。
「いっこうに進歩しないねえ」
「ほんとうだ。俺たちは、全然うまくいかない」
木曜あたりでスラスラ書けるようになると思っていた。
でも、その予想は裏切られた。
ずっとふらふらなのだ。
物体を操る魔法がこんなに難しいなんて思わなかった。
いや、二人でやってるからか?
それもあるが、そうじゃない。
ごくごく単純な字を書く練習に、しかも軽いチョークだ。
それが、これほど時間がかかるなんて。
「私たち、才能ないのかなあ」
エリカは意気消沈した声で言った。
「そんなわけ、ないと思う」
メア先生は、恰好はふざけてるけど、指導は本物だ。
出てくる言葉から言葉から、真剣に俺たちを見てくれているのが分かった。
しかし、それに応えたい俺たちだが、一向に成果が出ないのだ。
「うむむ。いったいどうしたら」
悩んでいるうちに、メア先生が来た。
「さ、始めるわよ」
「「は~~~~い」」
俺たちはけだるい体を押し上げ、また黒板の前へ立った。
ふらふらする箒に乗って、今日も帰り道を行く。
高速で飛ぶ同級生に時折冷やかされながらも、ゆっくり進んだ。
なんせ、もう魔力切れに近いのだ。
二人で魔力を分け合って飛ぶしかなかった。
一日の授業でこれほど魔力を消費したのは初めてだ。
先生の指導はさらに気合入ってたと思う。
「も、もう少しで家の近くにつく。ガンバレあたし、ガンバレミール!」
箒をの持ち手を必死に上に傾け、手を繋いで魔力を調整する。
「くぬぬぬ」
「おーいお前ら、夕日が綺麗だぜ。見てみろよ。オレンジだああああああ」
この声は、ギリギリで優秀なクラスに入ったケンジの奴の声だ。
声は通り過ぎていった。
「くぬぬぬ」
二人して箒に意識を集中してるので、空を見ることが出来ない。
ふらふらを必死に抑えた。
「ね、ねえ。一瞬だけでも見ようよ。一瞬だけ」
「くぬぬ。そんなこといったって」
「私もなんとかするから、ううううう」
そんなに空が綺麗なのか?
なら、見るしかない。
「いくぞ」
「え、良いの?」
「ああ」
深呼吸。
「せーの!」
空を見上げた。
空は、太陽からオレンジ色の光が溢れ、散り散りになった雲をオレンジに染めていた。
「うわあああ、きれえええ」
「すげええええ」
美しい。それ以上の感想はだせなかった。
胸の奥からこみあげる感情が、体を覆い尽くしていく。
苦楽をともにしてるエリカとも一緒に見れたことに、なんだかドキドキした。
「ん?」
全身に魔力が溢れる。
この感じは知らない。
一瞬、制御に気を抜いた途端、箒が加速しだした。
「うわあああああ」
「きゃああああああああ」
そのまま、高度上空で急停止。
いつもより大きい雲にさらに感動を覚える。
「すごいねええ」
「ああ」
――
「帰ろっか」
「そうだな」
俺たちはまた最初の時のようにゆっくり速度を落としながら、家へ向かった。
「おかしいわねえ」
チョークの扱い方もだいぶ上手くなり、授業がだんだんとスムーズになってきてしばらくしたあ
と、先生がそんなこと言った。
「先生、なにがですか?」
先生は悩んでいるようだ。
「んー。……一向に変わらない」
チョークも黒板消しも、上手くなっている。先生はいったいなにがおかしいと思っているんだ?
「ちょっと、そのまま続けてて」
先生はそう言って、歩きながら考え事を始めた。
俺たちは互いに首をひねる。
仕方がないから、そのまま続けることにした。
「もう潮時なのかしら」
「え」
「いいわ。明日あなたたちの試験をする。だから、今日はゆっくり休みなさい」
「え、試験。なんの試験なんですか?」
俺は心配になって聞いた。
先生はちょっと悲しそうに言った。
「不合格だったら落第になる試験よ」
「そんな」
「「先生!」」
「明日、決めるわ。以上」
そう言って、先生は去っていった。
負える雰囲気じゃなかった。
「エリカ、俺たちはダメだったのか?」
「違うよ、そんなことないよ! たぶん」
先生の少し残念そうな顔を思い出す。
もう希望はないのか。
もし落第したら……。
「ううん。諦めちゃだめよ。明日、頑張ろう」
「帰ろっか」
自然に手を繋いでいた。
そのまま、俺たちは休講というかたちで帰ることになった。
「今日、あななたちの進退が決まるわ。準備は良い?」
「「はい」」
俺たちは旧校舎の裏庭に集まっていた。
先生は、横に大きな魔法陣をあらかじめ用意している。
なにをするんだろう。
「テストは簡単、私が作ったモンスターを倒すこと、これで合格だわ。でももし降参したり、今日
の終わりのチャイムが鳴ったら、落第だわ」
先生は、特殊な紙を取り出した。
「モンスターはスライム。ある一定以上の魔力を出さない限り、倒せない。しっかり、倒しなさい
よ。いいわね」
「はい!」
「では、はじめ!」
そういうと、先生は片手で魔法陣を発動させ、大きく後ろに跳び退った。
魔法陣が青く輝きだした。
青い光の柱が一瞬で現れて消えさり、そこに3メートルほどの巨大なスライムが現れる。
「……そのモンスターは自分から攻撃しないわ。カウンターのみよ!」
俺たちは手を繋ぎ合った。
「いくよ」
「うん」
「燃えろおおおお」
スライムに、全身全霊の魔力を注ぎ込んだ火球をぶつける。
「失敗ね。よけなさい!」
俺たちはすぐさま横へ走った。
俺たちがいたところは黒焦げになった。
「もう一度!」
「もう一度!」
「もう一度!」
「もう一度!」
くたくたになりながら、俺たちはスライムを睨んだ。
攻撃してこない。そいつには意思もない。
でもなんとなくだけど、俺たちをあざ笑ってるような気がしてきた。
「ちくしょおおおおお」
しかし、あっさり跳ね返される。
そのまま俺たちは地面に伏せった。
「あらら、もう一度よもう一度!」
ハハッ、あっさり跳ね返される。だめだこりゃ。
スライムは魔法陣から一歩も出ずに正面を立ちふさがっていた。
「うう、やだよお」
エリカは悔し涙で顔を真っ赤にしていた。
エリカを支えるのは今ここにいるのは俺しかない。
俺はぎゅっとその手を握った。
エリカもぎゅっと手を握り返してきた。
「どうすれば、どうすれば良いんだ!」
途方に暮れて空を見ると、ちょうど元クラスメイトの一人が、箒に乗って横切っていった。
あの綺麗なオレンジ色の空を思い出す。
ん、待てよ?
「なあ、まだあきらめきれねえよな。もう一度、やろうぜ」
「……うん。でも」
「なあ、ちょっと聞いてくれ。……あのオレンジ色の空のこと覚えてるか?」
「え? 覚えてるけど……それがどうしたの?」
「それがあのとき」
「綺麗だったねー」
「そうじゃなくて……」
「あ! そうか」
「あのときの感じ、覚えてるか?」
「うん、覚えてるよ!」
「じゃあ、いっくぞーーー」
あのときを思い出せ! 思い出せ!
すると、体に魔力がみなぎってきた。
俺たちは力を合わせて立ち上がり、互いに合わせた手をスライムに向ける。
魔力容量の九割がたたまったとき、ゆっくりとスライムが動き出した。
「……できるじゃない」
先生、ありがとう。
逃がさないぞ、スライム。
「いっけえええええええ」
密度は濃いとは言い難い。しかし、今まで以上の極大な火球が現れた。
それを勢いのまぶつける。
――バーーーーーン
今まで聞いたことがなかった爆発音がした。
魔法陣とスライムのところが、小さいけどクレーターのようになっていた。
俺たちの勝利だ。
「やったー」
「やった!」
俺たちはハイタッチし、そのま抱き着く。
「見事よ! 合格ね!」
先生が居ることを思い出して、慌てて離れる。
やった!
ついに合格だ!
「おめでとう」
先生はそう言って、指を振った。
「これで、解除したわ。これからは一人で自由よ。でも、余計なことかもね」
先生は嬉しそうに指を振った。
「あんたたちはおちこぼれじゃないわ。この勢い、忘れないでね」
「「はい!」」
「あんたたち、やっぱり見込みあるわ。……そうだ。私は実はSSクラスも受け持ってたことある
のよ。知ってた?」
知らなかった。でも、なんでそんな先生が落ちこぼれのクラスに?
「で、たまに生徒を探すの。開花させることができそうな生徒をね」
「提案するわ。これからも、私の指導を旧校舎で受けるか、それとも、新クラスに入る?」
俺とエリカは頷いた。
「行きます!」
「ふふ、これからビシバシと教えるから。一緒にSSクラスの鼻っぱしを折ってやりましょう」
もう俺たちは落ちこぼれじゃない。
それに、エリカのことがなんだか……。いや、気持ちははっきりすべきか。
これからの学校生活に、期待を持つことが出来そうだ。 END
『ダブル★魔法』
なんかツギハギになっちゃうな。場面も行も。うーむ。
ま、それはおいといて、魔女っ娘ってほんとかわいいな。