三月二十日
紗枝の一日は、いつも戸惑いから始まる。
「おやすみ、紗枝」
「おやすみなさい、おばあちゃん」
猫背の丸まった背中が見えなくなると、ぱたりとドアが閉じられた。
ベッドの奥へと潜り込んだ紗枝は、明日の時間割に図工があるのを思い出して嬉しくなり、体育もあったのに気付いてがっかりする。
でも考え事は続かなかった。頑張っても頑張っても、重くなった瞼が下りてくる。
紗枝が寝息を立て始めたのは、それからすぐのことだった。
再び開き、そして閉じたドアに紗枝が気付くはずもなかった。
***
けたたましく鳴り響くベルとの戦いは、紗枝の必殺チョップがキマって、あっという間にケリがついた。
……なんちって。
運よくヒットした目覚まし時計を手に取ると、針は七時十分を指していた。
すでにカーテンを透過した光が部屋を明るく照らしている。
「朝かぁ……」
掛布団ごと跳ねるように起きた紗枝は、まずは大きなあくびをひとつ。そして背を反らすように伸びをする。
ストーブを入れなくても、部屋はちょっと肌寒いという程度。眩い日射しが空気を暖めてくれたのかもしれない。
「着替えますか……」
ベッドから脚を伸ばした紗枝は、すぐに身体の違和感に気が付いた。
いつも軽くジャンプするように着地していたのに、今はお尻をずらしただけで足の裏が床を踏み締めている。
脚が伸びていた。腕も長くなっている。明らかにひと回り大きくなった身体を触っていくと、胸までが膨んでいた。
なんだこりゃ? 紗枝が頬を抓ったのは、至極正常な反応だった。
小学二年生になったばかりの紗枝は突如巨大化、いや、大人の身体になっていた。
そのまま絨毯の上を歩いてみると、いつもより高い視点が変わらぬ部屋を新しく見せる。大きい歩幅は窓際までが僅かに数歩。
紗枝は自分のあり得ない姿に思わず笑った。
カーテンを、次いで窓を開けると、外は思った通りのいい天気。吹き込む風も爽やかに、見上げた空は雲ひとつない快晴だった。
手早くパジャマを脱ぎ捨てた紗枝は、思い出したようにチャッチャッと畳み直してベッドの上へ。次いで下着姿になった身体を興味津々で触りまくる。
なぜか身に着けていたブラジャーに指を掛けて胸を覗く。触ってみればマシュマロのように柔らかい乳房がゆるゆると揺れた。
すらりと伸びた背丈、無駄な贅肉のないお腹、くびれ。ママとお風呂に入る度に憧れた、女の身体がそこにあった。
これは一体どういうことかい?
「ママぁ! 私、なんか大きくなってるよぉ!」
下着姿のまま部屋を飛び出そうとして、いつも通り用意された服一式に気が付いた。
目の前に広げたシャツもスカートもやはり大きい。でも身体に当ててみればまさにぴったりと一致する。
いつも寝る前にママが用意してくれるそれが、予見したように膨張した身体に合う不思議。
ああ、もう……。どうなってるんだよぉ。
考え込んでいる間にも時計の針は進んでいく。
迷いはあったものの、習慣が身体を動かした。
今日はいつもよりちょっと起きるのが遅かった。急がないと、智ちゃんとの待ち合わせ時間に遅れてしまう。
仕方なくシャツに袖を通し、スカートのファスナを引き上げた紗枝は髪を直そうと振り返った。が、いつもの所に鏡がない。
女の子の身だしなみ。小学生だって色々大変だってコトを、ママはちっとも分かっていない。
これでは今の自分を確かめようもなかった。
どうせ顔も洗うんだし、洗面所の鏡を使おう。何よりトイレに行きたくて仕方がない。
紗枝は急いで部屋を横切った。
でもドアを開けると、そこにはまたドアがあった。
三つあるドアには、左から、”トイレ”、”せんめんじょ”の文字。もう一つには、”こうじちゅう”と書かれた意味不明のプレートが貼り付けられている。しかも右の扉だけは、どうやっても開かなかなかった。
取り敢えず我慢していたおしっこを済ませ、紗枝はそっと洗面所を覗き込む。
どちらも確かにいつものトイレ、洗面所だった。けれど位置関係が滅茶苦茶だ。
廊下を挟んだ真正面はママとパパの寝室だったはずなのに、なんでここにトイレがあるんだろう?
訳が分からず、紗枝は”こうじちゅう”のドアを両手でドンドンと叩いた。
「ママぁ、身体は大きくなってるし、家の中もおかしいよぉ!」
するとスリッパのパタパタという音が小走りに近付き、「ゴメン、ゴメン」と笑う声が聞こえた。
カチャリと外れる鍵の音。しかしそこに立っていたのはママじゃなかった。
「あれ? なんでおばあちゃんがいるの? ママは?」
「今日からお家の工事が始まるって聞いてなかった? ママとパパは会社の人とお話しがあって出掛けるから、おばあちゃんがお手伝いに呼ばれたのよ」
そのおばあちゃんは、大きくなった自分を見てもまったく驚かない。
「顔は洗った? すぐに朝ごはんにしましょ」
”大人”の言葉には逆らえない。だから紗枝は言いそびれてしまった。
言われるままに顔を洗い、待っていてくれたおばあちゃんに手を引かれて、”こうじちゅう”のドアを潜る。
おばあちゃんの顔を見てまず思い浮ぶのは髪結いだ。雑誌の切り抜きを見せるだけで同じ形に仕上げてくれる器用な手先は、まさに魔法だった。
しかし今はそんな思いもそぞろに、天井を、壁を見詰めた。
一歩踏み込んだそこには、声を失うような世界が広がっていた。
「どうしたの? 行きましょ」足を止めた自分を促すおばあちゃんからは何の説明もない。
きょろきょろと忙しく頭を巡らせる紗枝は、本当に引き摺られるようにして廊下を進んだ。
家はあり得ない程広くなっていた。太い梁と柱、そして高い天井、どれもマンションには馴染まないものばかり。
黒光りする廊下の角をひとつ曲がると、よろけた紗枝はそのまま座り込んでしまった。
「紗枝ちゃん?」振り返ったおばあちゃんの顔はひどく強張っていた。
なぜか床が、壁が大きく歪んでいる。
初めは地震かと思った。けど、揺れてるのは自分の方だった。
頭の中にもやもやした何かが蠢いている。
そして次の瞬間、紗枝の頭の中で湧き上がった疑問が一気に噴出した。
突然大きくなった身体、長い手足。膨らんだ胸。なのにどうして何も言わないの?
なんで窓に格子があったの? どうしてどこにも鏡がないの?
宿題はやったっけ? 水曜の時間割、教科書はちゃんとランドセルに入れた?
昨日の”ミラクルレディ”の内容が思い出せないよ。大好きなアニメを見逃すはずがないのに、なんでなんだろう?
繰り返される日常に合致しない違和感が一瞬にして頭の中すべてを埋め尽くす。
そこではたと思い付く。そもそも今日は何日だっけ?
そうだ、三月二十日。間違いない。
間違いない、間違いない、間違いない……。
紗枝の額に浮かんだ無数の汗が、重みに耐え切れず次々とこめかみを伝う。
身体を抱き起こそうとして無理だと悟ったおばあちゃんは、すぐさま見知らぬ誰かの名前を呼んだ。
「大きくなったねぇ」会う度にしゃがみ込んで頭を撫でてくれたその手は、自分の掌にぴたりと重なった。
座り込んでもまだ高い目線。すべてが膨張したように大きくなった身体。
紗枝がそれらを受け入れられないのは当然だった。
紗枝は悲鳴を上げる。
頭を抱えながら、おばあちゃんの腕を振り切って廊下を這って進んだ。
ママ、ママ……。怖くて、怖くて全身が震える。なのに怖い理由が分からなかった。
「大丈夫、怖くない。何も怖くないからね」まるですべてを見透かしたような言葉と抱擁。
紗枝はそのままおばあちゃんの胸に顔を埋めて、泣きじゃくっていた。
***
小さな豆球だけの薄暗い部屋は、カーテンを開け放つと、月明かりだけでも十分動ける明るさになった。
机の上に置かれた一冊のノート。真夜中に目覚めた紗枝は、タイトルに、”日記”とある、その表紙を捲った。
初めの日付は三月二十日。しかしそこには、”晴れ”としか書かれておらず、ミミズの這いつくばったような鉛筆の跡が水滴でふやけて歪んでいた。
一枚捲ると、なぜかそこにも三月二十日の日付。見開きの反対側も同じ、さらにもう一ページ捲っても同じだった。
なんで日付が一緒なんだろう?
恐ろしくなった紗枝が手を引くと、弾みで日記が滑って床に落ちた。
忌まわしいものから逃がれるように窓際へ走った紗枝は、そこに映る人影を見て、思わず口元を押さえる。
半分だけカーテンに隠れたガラス、その特定の角度から見た時だけ、うっすらと自分の姿が浮かび上がることに気が付いた。
正確には分からない。けれど百五十センチくらいはありそうな身体は、胸が膨らみ、くびれがあり、すでに十分女の曲線を描いている。
掌で頬を挟めば間違いようのない自分の顔。
幼い頃の面影は残るものの、大人びた顔立ちが、自分が小学二年の女の子ではないと告げていた。
いつの間にこんなに大きくなったんだろう?
あまりに記憶と掛け離れた自分の姿に戸惑った。
でも振り返れば、机の椅子は赤いランドセルを背負っている。壁に貼られたポスターにはミラクルレディピンクの雄姿があった。
本棚に並ぶ本やコミックも間違いなくお小遣いで買った自分のもの。
紗枝は試しにその中の一冊を取り出してぱらぱらとページを捲ってみた。
それから汚れひとつない白い壁紙を見詰め、机の横板を覗き、ここは自分の部屋に似せてあるだけだと気が付いた。
紗枝はよくイタズラをしては叱られた。壁にラクガキ、机に名前を彫ったこともある。コミックは友達にイタズラ書きされて大泣きした。
でも……、今はそのすべてが拭き取られたように綺麗になっている。
紗枝は机の上に置かれたプレートに気付いて、ロールパンを手に取った。かつてホットミルクだったらしいそれは、冷めて表面に幕が張っている。
パンを齧ると、思い出したように空腹を覚えた。
マグカップを手にした時、何かが当たったような気がしたが、足元には何も落ちていない。
卵、付け合せの野菜、バナナ。次々と口に入れては飲み込んだ。
それでも物足りない紗枝は小さな冷蔵庫に気づいて、扉を開ける。
ジュースが二本。なぜかスナック菓子まで詰め込まれているそこから、取り出したポテチを摘み、ジュースを飲んだ。
見付かったら怒られそうだけど、ここに冷蔵庫を置いたのはママ以外にはあり得ない。それならお許しが出てるのと同じだと思った。
紗枝は窓を開け、青白く染まった芝生を眺めて思う。
確かにマンション一階の自宅には専用の庭がついていた。でもあまりに広い庭が、やはりここが自宅でないことを示している。
じゃあ、一体ここはどこなんだろう?
どこなんだろう? どこなんだろう?
知らぬ間に床に散らばったポテチにも気付かず、紗枝はただ茫然と外を眺め続けた。
***
「私のした事は、あの子の為になっているんでしょうか?」
杉崎静江は、それだけ言うと顔を伏せてしまった。
「もちろんですよ」金田は彼女の悩みが分かるだけに、必要以上に力強く頷いた。
「腫瘍は確実に小さくなっています。MRIの画像はご覧になったでしょう? 何より、紗枝さんは今もこうして生きているんですから……」
それでも項垂れたままの静江の頭は戻らなかった。
「あの子は娘の若い頃にそっくり。私はただただその顔を見たいが為に、我を通しているんじゃないか、そう思えてならないんです。
あの子の時間を止めたまま生かす事が、果たしてこの先の幸せに繋がるんでしょうか?
先生のお蔭で、余命半年だったはずのあの娘の命はこんなにも長くなった。
でも私が死んだ時、あの子は一体どうなるんでしょう?
何より目覚める度に戸惑うあの娘の表情を見るのが、とてもつらいんです」
「杉崎さんのおっしゃることはよく分かります。
でもそれは治療を始めるに当たって、よくよくご説明しましたよね。
もう少しです。ここまで頑張ったんですから、杉崎さんも心を決めて下さい」
***
三月二十日、午前二時。
紗枝が自室で熟睡していた時、火事は起きた。
漏電が原因で始まったくすぶりは火の勢いこそ小さかったが、人の命を奪う毒素を広めていった。
結果、両親は一酸化炭素中毒で帰らぬ人となり、消防に助け出された紗枝ひとりだけが唯一の生き残りとなった。
それだけでも悲嘆に暮れるような事故だったが、運ばれた病院で、治療を受けた紗枝の頭に大きな腫瘍が見付かって悲劇は倍増する。
せっかく奇禍を生き残り、脳にダメージを負わずに済んだのに、医師の診断は非情だった。
……余命半年。
静江がどれほど悲しみに暮れたかしれない。
さらに詳しい説明を受けると、腫瘍は脳の奥まった場所にあり、手術は非常に困難と判断された。
唯一残された可能性を求めて、未承認の薬を使うことにしたのはその為だった。
高価な上に重篤な副作用があるのは初めから分かっていた。
それは記憶の欠落。服用すると短期記憶の回路に障害が発生し、前日の記憶がまるごと消えてしまう。
それでも静江は即決した。命を救う為の決断だった。
それが紗枝の時間を止めた理由だ。
人は眠っている間に記憶を整理する。必要なものは長期記憶へ、いらないものは消去する、その作業を通して、人は情報に溺れることなく生活していけるのだ。
しかし薬は覚えたデータを蓄える部分のシナプスの働きを抑えてしまう。だから翌日目が覚めた時には忘れてしまうのだ。
前日あったすべての出来事をなかったことにしてしまう。
そして、彼女は延々と三月二十日を生きることになる。十九日までの記憶を元に翌日を生きる、毎日がその繰り返しになった。
薬は経口服用する錠剤で、長くなるであろう治療期間を鑑み、静江は自宅での治療を望んだ。
状態が安定するまでの時間を準備に使い、やがて許可が下りた時から静江の献身は始まった。
すでに夫を亡くした気ままなひとり暮らし。静江は家を改装し、新しく紗枝の部屋を作り上げた。
そこは彼女を混乱させないように、当時のままを忠実に再現してあった。
窓の位置、家具、小物に至るまで、焼け残ったそれらと同じ物を手を尽くして掻き集めた。
ただ静江自身も用事があり、いつもいつもつきっきりという訳にはいかない。
窓に格子があるのも、小さな冷蔵庫があるのも、部屋中の角を丸めてあるのも、すべては、”小さな”紗枝がひとり目覚めた時、パニックに陥らないよう、怪我をしないように気遣った結果だった。
悲しいかな、何を教えても翌日にはすべて忘れてしまう彼女は、危険の認識や物事の視点がすべて小学二年で止まったまま。
ここでいう成長とは経験と知識の積み重ねによる精神的、思考的な成長のことだが、身体だけが大きくなっていく彼女は、それ以上にアンバランスを感じているに違いなかった。
鏡を排除した理由は言うまでもない。静江は鏡になりうるものすべてを排除してあった。
百聞は一見に如かず、もしも今の自分の姿を見れば、誰だって正常ではいらまい。
今の紗枝は大人の身体に子供の魂が宿った状態だ。
その幼い心に掛かる負担は、極力抑えなくてはならなかった。
調子のいい時の紗枝の一日は、自室で目覚め、空を眺め、三月二十日を過ごす為の準備に追われる。
しかし紗枝は目覚めてじきにパニックを起こし、震えた。
肉体と精神と記憶。噛み合わないそれらが紗枝を苦しめている。
小さい頃は、両親を失った記憶を封じ、吐き気などの副作用を忘れる事が、治療の効果を上げていた。だが身体が大きくなってから、パニックの症状はひどくなる一方だった。
それが毎日毎日、毎日続いている。
いくら本人に自覚がないとはいえ、静江にはそんな孫を見続けるのがつらかった。
本当なら女の子として一番輝ける時間を、こうして無為に過ごさせる残酷。これから先の未来を思えば尚更、その感情は強まった。
確かに薬は予想以上の効果を発揮して腫瘍は小さくなった。でもまだなくなったわけじゃない。
医師はもう少しだからと言うが、静江も歳をとった。
紗枝にひとりで生きられるだけの知恵と知識を与える時間が欲しかった。
ひとりで自立できるだけの力を与えてからでなくては死に切れない。
無駄だと分かっていても勉強を、興味のありそうなすべてを読み聞かせてきたのはその為だった。
***
紗枝は日記の日付、”三月二十日”の数を数えていた。
机の抽斗に仕舞われていた日記は一冊だけじゃなかった。
中を読めば、そこには明らかな春夏秋冬、四つの季節を繰り返している自分がいた。
でも書かれた内容はほとんど同じ。
寒暖の記述。天気について。次に、学校の、授業の、宿題の、そして大好きなアニメを見た記憶がないという反芻。
まるでバカのひとつ覚えみたい綴られたこれは、とても日記とは呼べなかった。
強いて言うなら書き取りの勉強。覚える為だけにひたすら繰り返しているような、そんな感じだ。
急に眩暈を感じた紗枝は、手を付いて身体を支え、過ぎ去るのを待つように目を閉じた。
すると見知らぬ映像が、声が、文字が、数字が、渦を巻きながら目の裏に現れた。
溢れ出す情報、情報、情報。
多くの人が忙しなく行き交う病室で見上げた天井。胸を締め付けるような会話。横になった自分の手を握りながら語り掛ける人影。そして……。
溢れ出すすべてを理解するのは無理だった。けれどなんとなく、なんとなく自分の置かれた状況が呑み込めたような気がした。
「私はこれだけの時間、眠ってたってこと?」
ページの数は過ぎ去った日々の数?
床に座り込んだ紗枝は、疲れを覚えて壁に凭れる。
夢か現(うつつ)か定かでないもやもやが、頭の中を掻き回す。
ママは、パパは本当に死んでしまったの? 本当はいくつなの? どうして今ここにいるの?
どこまでが本当で、どこからが作りものなのか? 混乱した紗枝は髪を振り乱す。
……ただそんな紗枝にもひとつだけ分かることがあった。
それは自分を支え、介抱し、涙しながらも愛情を注いでくれたおばあちゃん。その姿だけは、しっかりと脳裏に焼き付いていた。
机の奥に転がったままの薬。
紗枝の頭には、記憶にない過去が、仕込まれた学習がじわりと浸透し、広がろうとしていた。
抑え込まれたはずの記憶。しかし脳は必死に抵抗し、情報を別の場所に蓄えて、”その日”が来るのを待っていたのだ。
……ただ一度忘れた薬の服用が、紗枝の未来を暗示する。
紗枝は今年十六になる。
三月二十日