闇ノ華,光ノ影
血色に彩られた毎日が黒く染まっていく
濃い闇に支配された世界で,少女は駈け抜けた。
生き残るのが前提の闇の世界は,たった14の少女が過ごすには途轍もなく過酷なモノだった。
少女に課せられたのは,遠回しに言えば【裏の仕事】平たく言えば【暗殺者】。歴史に不必要と見なされた人物を,その家系を誰にも気づかれずに消していく,そんな役割。
思えば,もうこの少女…狂月 澪(キョウヅキ レイ)は壊れていたのだろう。
幼い頃から暗殺用の殺戮機械として育てられた彼女は,人が生きる上で最も大切な部分が欠落していた。
それは,「同情」「愛」「やさしさ」などと言った,ありふれた暖かい感情だけではない「悲しみ」「苦しみ」「痛み」といった,不の感情も含め全てが存在しないのだ。
闇ノ華,光ノ影