silent night

silent night

silent night ☆ 



青の星が一つ。
銀色のが、たくさん。
ママは言っていた。
この世で最も美しい色は青。

小さな少女パリーナは、
白雪の世界の森の中、
今日も街へと向かう。


雪の純白、ダイヤモンド。
夜空の深い青。
星の鮮やかな青と、鋭い銀。
それらが空から降って来る
冬は空から降りてくる。


silent night

 青に輝く星が、一つ。銀色のが、たくさん。ママは言っていた。この世で最も美しい色は青。
少し冷たい感じがして、清らかな感じ。涼やかで、静かな色。深く心になじんで離れはしない。
それが青の色。
 暗闇の中で透明に輝いて、決して派手さは無いのだけれど、氷の青もとても綺麗でしょう?
艶やかな光沢をいつまでもその瞳に移し、まるで上質のビロードの様に深みがある。その中には生命がみなぎっていて、青の悪魔の大切な生命よ。ふつふつと、波打っている。
 硝子の様に艶を発するのだけれど、触れればシン、と冷めていて、潤う事が無い。
シャボン玉の様にすぐに触れれば壊れてしまうんじゃ無い。海の中の気泡の様に、手の中で力無く暴れても小さくなっても失くなる事無く上へ上へと昇って行く。
 生命は、青の色。


  1 白純の森

 純白の世界。森の木々は雪に覆われ、天空さえも白い。
 今日もパリーナは木のドアを開けてから金色の鍵を差して小さな山小屋から出かけて行った。
寒い時期だから、冷えてしまわない様に白のコートを着てふわふわの赤のマフラーを巻いて歩く。
おばあさんが、もう少しで手袋が完成すると言っていた。パリーナはすぐに手袋に穴を開けてしまうから、今度はもっと丈夫に、温かく。
 柔らかい雪に足跡をたくさん付けながら笑って隣り街まで行かなきゃならない。
おばあさんは森の細道の方へ歩いて行く幼い孫の姿を、ずっと窓の中で見送っている。パリーナが振り向いて、鼻を早くも赤くして、満面の笑みで手を振る。
小さな手には指の先が薄くなった桃色の手袋。おばあさんも微笑んで編み掛けの新しい手袋を少し上げ、そうして口の中で気を付けてね、そう言って手を振る。
パリーナはだんだん、雪の白の中に、そして森の小道の中に消えて行く。
気を付けて帰っておいで。
 灰色の小枝や雪に蓋われた幹に一本一本触れて行きながら歩いて行く。
白うさぎが白の雪に混ざって小さな耳だけ穴から出して、すこしだけ、灰色かかっている。ピクピク動かしてその顔を覗かせたらあわてて穴の中に入って行った。
パリーナは興味津々でその穴の方に駆け寄って行ったけれど、雪でその穴は埋まってしまった。そうなるとちいさな手で掘っても掘っても雪はどんどん湧き出るように増えて行くよう。桃色の手袋が抜けちゃって、雪の中に埋もれてしまった。
パリーナはあーあ、と言って、片方だけ残った手袋でもう片手を何回もさすると編み目に入った細かい雪でもっと冷たくなってしまう。
 白い耳当てをしっかり填めなおして、コートの中に両手を入れて小道に戻って振り返り振り返り歩いて行く。
真っ白のさっきのうさぎが雪を盛り上げて頭の上の雪をフルフルはらい、キョロついた。桃色の手袋を見つけるとそれを巣の中に持って行く。
引っ込む前にもう一度辺りを見回す。パリーナが目が合うとニッコリ笑ってうさぎに手を振って歩き出した。
 毛糸のぼうしをもっと深くかぶって、のぞく大きな瞳で木々の重なるもっと上の空を見上げた。開く真っ赤な口の中の小さな歯はまだしっかり生えそろっていなくて、少し、凍てつく空気でひんやりする。
ふわりと上がって行く白い息が、セレストブルーの中に溶けて行く。
 朝の時間。小鳥達は木の中の巣の中で身を寄せ合って温かい羽毛にくるまっているのかしら?
パリーナは木の上の根元に片手をかけてもう片方を岸の頂上に突き出た岩にかけて登りきる。冷えた片手に温まった手袋をはめて岸の上を身をすくめて歩いて行く。
リスが2匹、小道を横切って丸裸の木を螺旋状に駆け上がって行く。雪に覆われたさっきの岩の影にいた2匹が、少し驚いてしまったのだ。
 パリーナは歩いて行くといつもの小さな山小屋を見て、立ち止まった。
この小道ぞいの低い岸の上の家には変わり者の女の人が住んでいて、昨日もパリーナはその女の人、ハショーさんに怒られた。
彼女は切り株を何故か大切にしていて、そこで帰り道に座って休んでいたら怒られてしまった。
きこりの男の人達が切って行った木の新しい命はまだどこから出て来るのか分からないからその小さな足でふみ付けちゃいけない。彼等にはとてつもなく大きく見えるんだから。
パリーナはうんと頷いて、ハショーさんにお尻を軽く叩かれて走って行った。こんな寒い冬だもの。お母さんがこんなに寒い中に赤ちゃんを投げ出すはず無いわ。生命は、春に芽吹くんですもの。
でも、パリーナはハショーさんが恐くて走って行った。
 今日彼女は外にはいないみたい。小屋の中で温まっては、珈琲を飲んでいるかしら。かまどでパンを焼いているかしら。
 パリーナは木の根元に穴を見つけるとその中に入るのが大好きで、よく夏の木漏れ日の中、その中で過ごしている。そうすると灰茶色のうさぎが来ては去って行く。まるでママの腕に包まれているみたいで、パリーナは大好きだった。
今は冬だから、ハショーさんの家の裏をしばらく歩いて行くとあるその木の穴は雪でうまってしまっている頃だ。
 ハショーさんの家の煙突から白い煙が細く2本立ち昇っていた。しばらくそのまま歩いて行って、いつもの場所に座って、3メートルの斜めの岸を滑り落ちて行く。
もっと歩いて行ってしまたらどんどん高くなって行って、パリーナはわざわざ木々の間を戻って来なくちゃならない。
 岸の上はしばらく上がって行くと先は崖になっていて、そこから眼下の街が一望できた。でも、大人と一緒じゃなくと、危ないから行ってはいけないんだって。
パリーナは一度だけパパと見た秋のそのパノラマが気に入ってしまった。オレンジと黄色と茶色に包まれた森の中をパパと手を繋いで歩いて行って、濃い青の下の美しい街並みを見た。
最近、おばあさんには内緒で、一人で行ってしまった。
あまりにも、何も見えない白の世界が広がるばかりで、息を切らして崖に登ってきたパリーナは、何も言わずに同じ白を見下ろしながら引き返して行ったのだ。



  笑顔のあいさつ
 続く小道は、両側の岸が高くなっていくにつれて広くなって行って、その中間地点から杉の木に混じるかの様に細い木の電柱が立ち始める。
森の道番のおじさんの小屋が見えて来る頃には道は2つの白い小山に囲まれた小広い平野になって来る。
 おじさんのマゼルさんは黒と茶色のコートや手袋に包まれて白の世界の中でスコップを持ち雪かきをしている。
パリーナを見つけると大きく笑って手を振ってあいさつする。パリーナも負けない位大きく手を振ってあいさつする。マゼルさんは、今日は夜まで晴れだよパリーナ。よかったな。と笑顔で言う。
いってらっしゃい。
いつも彼は森に住む人達に優しくしてくれる。あのハショーさんだって、聞き上手のマゼルさんの所によく来ては一緒に作って来たいろいろなパイを食べて話して行く。
彼女のパイは本当に絶品なのだ。
 マゼルさんは寒い中、たくさん汗を掻きながら作業を続ける。飼い犬の灰色のハスキー犬が、青灰の瞳でパリーナを見据えていた。
するとそのハスキーのルモンがヲウンッと吠えてパリーナの後ろから走ってくるトマノ君に飛びついた。
 トマノ君は、パリーナの家を南西に進んで行った川の先にある山小屋の男の子で、パリーナの幼馴染の子だ。
犬が恐いパリーナはトマノ君に近づけずに苦笑いして大きくあいさつする。トマノ君もやっとの事ルモンから解放されて大きく笑ってパリーナにあいさつする。鮮やかな深緑のマフラーと毛糸のお揃いの帽子の下、黄緑のアメみたいな瞳が夏の木々の葉みたい。少し赤い頬はいつもの元気なトマノ君の顔だ。
 パリーナと同じでお父さんは山を越えたずっと遠くの海の街に出稼ぎに出ていて、母親のハセロさんと暮らしている。
ハショーさんはハセロさんのお姉さんで、とりわけてこの2人の姉妹は仲が良かった。2人ともかなり年は離れているけれど、美人姉妹なのだ。トマノ君はよくお父さんのキリンさんに似ている。

 パリーナのパパとキリンさんは古い友人で、パリーナのパパはその街の大病院で医者をしていて、キリンさんは作曲家をしている。
大学が同じだった頃からの全くの性格の違う友人だった。今からパリーナ達が向かう街にある唯一の大学だ。
今父親達がある海の横の大きな街に行くにはいくつもの山を越えなくては……。それには、この雪に閉ざされた冬には大変な事で、春にならなければ会えなかった。
それでもパリーナには優しいおばあさんも、森の人達もいるから大丈夫だった。それにトマノ君は最近入ったマゼルさんの家のテレビで有名なお父さんの姿が見れる。トマノ君は引き伸ばして顔だけ神経質にして、でも自由奔放な目元の強い人。いつも愉快そうに指揮する人。
パリーナのパパはすごく優しくて、それに海に行くのが大好きで大切にしている。大学で進路を変える前は海洋研究にも手を伸ばして、自然破壊を止める努力をしては、いくつもの難しい論文を発表していた。よく陽に焼けていて大柄で優しいパパだ。
 病院で入院していたパパは海で大きなケガをしてしまって、同じ患者のママと出会った。
海に出ることが少し恐くなっていたパパはそれでもママを笑わせようと海での楽しい思い出を語りつづけた。精神が繊細だったママはその病院の院長さんの娘だった。
院長さんがパパを気に入った。ママもパパが大好きになっていた。院長さんの勧めでパパは医学の道に進んだんだって。
 今、パパはママみたいに精神の繊細な人や自閉症の人達などの心に接している。どれ位かに一度、パパの企画で海洋体験という物があって、自由に患者さん達は参加出来る。
まだ初期の症状の患者さん達の治療にもなっている。海に出なくても、海岸に行くだけでもいい。海に出て遊びたいとなればそれこそ症状は変化して来ている。
それに、キリンさんによく協力してもらって心の安心する曲を聴かせたり、暇をみてキリンさんはピアノに興味をもってくれた患者さん達にレッスンをしてくれる。パリーナも、回復した患者さん達に夏に会いに連れて行ってもらうことが楽しい。


  2 教会のある街
 山に囲まれた平野に街が広がっている。その街の入り口にムドーさんがいた。トマノ君の家のある所から南に行った小高い山の中腹に住む男の人で、露店に出す為の重い荷物を自転車の後ろに乗せて街の人達と話していた。
ムドーさんは最近、他の国から来た人で、焼き物職人のお兄さんだ。真っ黒い犬を飼っていて、その犬は退屈そうに真っ白の雪の上でくるくる寝転がって、雪を艶のある柔らかい毛につけたり払ったりしている。
パリーナ達も面白がって犬と一緒に雪の中に転がって雪を投げ合って笑って遊び始める。それに気付くと話に夢中になっていたムドーさんと街の人達が2人の小さな恋人たちにあいさつをする。
 今、ムドーさんのいる山の土は凍ってしまっているから秋までに作っておいた焼き物を売って生活費を作ったり、それで質の良い木材を手に入れて冬の間は彫り物をして生活の糧にしている。
冬の祭りが近い為、お皿や彫り物はそれにちなんだ柄や可愛らしい置き物、土鈴などがそろっている。
 ムドーさんの住む山は裸山で、全体を赤土で覆われた岩の多い山だ。一回ムドーさんの山に遊びに行ったら派手に転んで膝を大きくすりむいて大泣きをした。ムドーさんは留守中で、パリーナは大声で泣きながら帰ってハセロさんに見つけられて手当てをしてもらったのだ。
その時ムドーさんはマゼロさんの家へおしゃべりに行っていたのだ。そのおしゃべり好きのムドーさんはすごく格好良くて、パリーナはトマノ君の次にムドーさんが好きな男の人だった。もちろん一番はパパ。

 街の入り口に出ている路面バスに乗り込んだパリーナ達は、販売車で温かいココアを買って2人で飲んでいた。ミルクがたくさん入っていて、甘いココアで少しバターが入っている。このココアが2人とも大好きだった。
これはおばあさんがまだ歩けた時代に、この街のケーキ屋さんで出していたメニューの一つを、いつの頃からか路面バスの販売車でも出すようになったものだ。
いつもパリーナが山の中の家に帰って来ると、この大好きなココアをおばあさんが作ってくれてある。
 路面バスはレンガの敷き詰められた地面を進んで行って、車内の温度でその窓は白くなっている。その白に、パリーナの柔らかい白の肌も赤いマフラーもよく映える。
パリーナの笑顔はまるで咲く花の様に可愛らしい。金の髪がおばあさんの手でしっかり細かく編みこまれている。
ココアが半分になる頃には、販売員のお姉さんがおとくいさんの子供達のカップの中に真っ白のマシュマロを入れてくれる。だんだんチョコレートの中に溶けて行くマシュマロは、白く広がって行く。ジュワワ、と音を立てる。
 街の中は賑わしくて、何人もの教会友達がバスの中のパリーナ達を見つけようと目を凝らしているものの、曇った真っ白のまだらな窓。いつもの窓際に座るトレードマークの赤いマフラーしか目に入らない。
過ぎ去って行ったバスの後ろの路線跡を辿りながら子供達ははしゃぎ走り、教会へ向かって行く。

 人が降りて、人が乗ってを繰り返して2人は楽しそうに見ている内に、パリ
ーナ達の降りる駅に辿り着く。
外はいつもの様に寒く、ほどなく再びパリーナの鼻が赤くなって、トマノ君の頬も温かさの為とは別の赤味が増して行く。教会まではここからは歩いて行く。
今日は晴れの分、バスを降りた小さな2人の目にも街から離れた所にある古城が頭を出して見えていた。その一部の一番高い塔しかここからでは見えないものの、この時期にはっきり見えるのは珍しかった。
何度もパパやおばあさんに連れて行ってもらった古城は、もうかなり古い筈がどこもかしこも不朽の美しさを誇る様に壮麗できらびやかで、何度見に行っても飽きることは無かった。
灰色の石壁の頑丈な城で、一見冬の季節には背後の山間に混じって消えたようにも言える事から、古くから雪のキャッスル、幻の城、冬の砦と呼ばれていた。
 専門家達は最近、城やこの城下町にまつわる古い言い伝えや昔話を調べるために、この街に引っ越してきている。
その中に一人、若い女の人がいて、パリーナ達とよく遊んでくれる。そのキストンさんは大学生で、パパ達のいる街の西をまっすぐ行くとある街に住んでいた。変った歴史文化や宗教を研究している人で、いろいろな楽しい話を聞かせてくれる。
この街の人達はそんなキストンさん達から少し距離を置いているらしかった。

 礼拝堂から司祭が出てきて、子供達を招き入れる。
その礼拝堂の中から、今日も壮大な歌声、合唱が響いている。
朝の鐘が鳴っては、街の人達はいつもの様に西に指を差し出す。
司祭は綺麗な女の人だ。長く波打つ髪が美しくて、灰色掛かる白い色と崇高な眼差しが、子供達を虜にする。ピンク色の唇は優しく微笑み子供達を招きいれた。
信仰の大切さや有り難さ、真の生命の透明な清らかさや、生を尊む事への重要さ。自然界の秩序や精神を高める事への努力の源を自らが決め、純粋に魂を御前に捧げ、日々の糧を人々に分け与えよ、苦や悪、悲しみから静寂へと心改め宇宙巡回の流れに、森羅万象に身を任せよと言い、教え口説きが始まる。
自然と宇宙による精神宗教だった。
 パリーナは隣りに座るトマノ君と真剣に聞いている。
司祭の視線が一回上がってまた戻った。パリーナ達2人は振り返る。絶対にそこにはムドーさんがいる筈で、その通り、入り口近くの柱にムドーさんがいて、司祭を見ては説教に耳を傾けていた。
ムドーさんはこの女の司祭の事が好きなのだ。パリーナ達はクスリと笑って向き直った。
重厚なゴシック調のこの礼拝堂はデカダンな風が流れているものの、やけに落ち着きがあっては、不思議と誰も眠る事の無い空気が流れている。
 神秘の古城の城下町。青の悪魔を崇拝する街の人々。
精神を安静にもたらす青の力を、人々は信じて雪に閉ざされた冬の日常を過ごした。
悪魔とは、この街では決して悪い意味をもたらす存在では無く、宇宙と精神安静をもたらす神聖な霊のような物だった。


  礼拝堂の青、空に水色
 鮮やかに青く丸い色ガラスは、頂上の太陽が差し、礼拝堂の中の黒い影差す石床をゆるゆると照らした。
まるで宇宙を見上げているみたい。
まるで地球を見下ろしているみたい。
まるで海の水面の様でもあって、礼拝堂の空間を差す厳正な光の柱はまるで、全てを透明にするかのようだった。
 バロック音楽が流れて説教の時間が終る。もうその頃にはお昼になっていて、パリーナ達はバッグの中からサンドイッチやサラダを出す。
教会は子供達に肉のシチューと温かいミルクを出す。みんなの分をよそおいおえると、司祭はもう一度顔を上げてムドーさんを見て、微笑んだ。
司祭もムドーさんが気になっているのだ。
普段お喋り好きのムドーさんも、彼女の前だと少し口調が変って口数が少なくなる。よく2人で恋人の様に話し合っている姿を見かける。
 肉のシチューで体を温めてから、礼拝堂の外に出て遊ぶ。司祭が手袋を貸してくれて、小さな手に大きなのを填めて走り回る。
「今日は何か良い事があるかもしれませんね。少なくとも、変った事の一つや二つは起こるかもしれない。」
 ムドーさんが古城を見上げて司祭に言った。その手は、司祭の薄手の司祭衣の肩に触れようかどうしようか、しどろもどろに迷っているのを子供達にはやし立てられている。
司祭が可笑しそうに笑ってから言う。
「そうですね。昔から、こういう日には何かしら起こるらしいですから。冬の祭りも近いですし、素敵な事が起こるといいです。何か、素晴らしい事が。」

 パリーナ達は教会の塔の上に走って行って、その高台から古城を見た。下部が厚い霧の海に囲まれる中に聳え立つ灰色の城は、正午過ぎの太陽の冷めた白の光りを浴び表面が少し、白っぽく輝いていてすごく美しい。
今日も人々が見物の為に多く出入りしているのかと思ったものの、遠目からでも城門は上がっているのに気付いた。
今日は幻の城では無くなっているからかもしれない。昔、おばあさんから聞いたことがあった。
今日の様に冬の日に城が見えている時はお城の中に良からぬ空気が入ってしまわない様に、神聖な空気が逃れて行ってしまわないように閉じるという事。主の無くなった今もその迷信は信じられて、守られている。
 パリーナにとって今日の様な現象は初めてで、心がウキウキしていた。それはトマノ君も同じ事だ。
塔から下を覗くと、司祭とムドーさんも2人で古城を見上げていた。2人は将来結婚するのかな。今はまだ分からない。
 また違った方向ではキストンさん達が出掛ける準備を終えて、古城に向かおうとしている姿が目に入った。そのキストンさん達は街の老人達に反対されて困り果てている。少しした喧騒になっていたが、声は遠くのここにも下の司祭のいる所にも届かない。
その時、パリーナはアッと驚いて、下の司祭に大きな声で言った。専門家の中のおじさんが、今日城に行く事を反対するおじいさんを力いっぱいどついたのだ。
司祭とムドーさんは子供達を牧師に任せて走って行った。パリーナ達は2人でどぎまぎしながら見ていた。
塔の上は太陽の日差しが眩しいのに、冷たい風が吹き荒れていて雲一つ無い透き通る空はどこまでも空気を吸い込んで行ってしまう様だった。
小さな2人の存在さえも、溶け込んで外の喧騒とはぐれさせようとした。連れ出して安静へと逃げて行くようにと、安心していいのだろうか。水色を飛ぶ小鳥の高い声にパリーナは大きな瞳を下の街に向けて、トマノ君と顔を見合わせた。
みんなも牧師に止められる中、塔に上がって来た頃にはあの騒動は司祭がなだめ終わっていて、みんなの高い声だけが空にこだました。
空はそれを返すかの様に、街に子供達の向くな声を降らせたようだ。
 遠くのキストンさんはすっかり青くなって困り果て、司祭と一緒に倒されたおじいさんを気遣っている。
パリーナは少し、あの専門家のおじさん達が恐くなって来た。彼等はムドーさんに激しく言われて渋々と引き返して行った。彼の声がすごい事を知った。ここまで、街から出て行って下さい! という声が聞こえて来た。あのムドーさんが初めて怒った声を出した。驚いた。
キストンさんは何度もおじさんの代わりにおじいさん達に謝って去って行った。キストンさんが可愛そうになって来た。キストンさんを見るみんなの目が、少しだけ恐かった。
 しばらくして司祭が帰ってくるのが見えて、みんなで下に降りて行った。
優しく微笑んでみんなにもう大丈夫、と言い、パリーナにありがとう、よく見つけてくれたわね。と言っては柔らかい金髪の頭を撫でた。
 みんな冷えた体を教会で温めながらお勉強の時間に入る。
今日は文字の勉強と数の勉強だった。数というのは奥深くて、今日は宗教上にまつわる数学的な難しいお話に沿って古い形の地球儀を出して、宇宙との関係を勉強した。
午後の2時の鐘が鳴ってお勉強の時間が終った。


  灯火求めるは心
 パリーナは帰りにおじいさんの家のドアを叩いた。
見上げていると、ドアは内側に開いて女の人が立っているパリーナを見て微笑んだ。
おじいさんの事を聞くと招き入れてくれた。ランタンの明りと暖炉の炎のみの仄暗い暖色の中、おじいさんはベッドに横になっていたけれど、元気だった。少し腰を痛めてしまっただけだと言う。だから、しばらく静かにしていればすぐに良くなる。
「あのお城はね、とっても大事な者の祀られている城なんだ。人が不用意にいつでも踏み込んでいいわけでは無い。常に門が降ろされているのは、安静を求めたい人々を招き入れる為なんだ。今日はその力を大自然からお城が集める事の出来る日。」
おじいさんはパリーナの髪を温かい手で撫でながら静かに語った。
「人という物は、大人になるに連れて様々が見えて来ると、全てを解き明かしたくなる。お嬢ちゃん達のようにこの色はなんだろう、この鳥はなんだろう、と思って大人に聞くが、その分大人が知ろうとする事は違うんだ。」
おじいさんは、悲しそうに目を伏せた。パリーナはベッド横で膝を絨毯につけていたのを首を傾げた。
「それは、悲しい事なの? 大人の人が知りたい事や、知りたいと思う事。悲しい事になる物を知りたがっているの?」
「そうだね。静寂を乱す事は出来ない時限の場所というものはあるのだよ。神聖な物を知ろうとする事は、決して悪い事では無い。あの研究員の女の子の様に純粋にそれを知りたいと思う事と、彼等の意思は違うようだ。」
「空気がこわれると、どうなるの?」
パリーナのあどけない声は、キャンドルの揺れる中を、小さく灯火と共に揺れた。
「空気が壊れると、安静はやって来ない。心が乱れていると安静の入る隙が無いんだよ。それを導く青の光を見落としてしまい、その光に気づかない。もしも場の空気が乱れていたら、宙からやって来た光が、光りを降ろす場を見つけられなくなってしまう。空気が淀んで、靄にしては霞ませて隠してしまうんだ。」
「霧のこと?」
「いいや。城を包む霧は、空気を包み守ってくれる霧だが、靄は人の心の中が作り出す靄だよ。」
「怖いね……。」
「青の光りが守ってくれるさ。」
おじいさんは穏やかに微笑み、パリーナはにっこり微笑んだ。
 パリーナが森の子だという事はよく知られていて、今日わざわざ寄ってくれた事も助けを呼んでくれた事も感謝している。もう4時で、場末までのバスの時間がなくなってしまうから早く帰った方がいい。そう言ってくれた。
パリーナはおじいさんの頬に優しくキスをすると、おじいさんはにっこり笑ってパリーナを柔らかく抱いてくれて、ありがとう。と言った。
お嬢ちゃんが来てくれたから、心がとても元気になったよ。体もすぐに良くなるだろう。
パリーナはさよならをして、バス停へ走って行く。
 一人のバスの中は淋しくて、販売員のお姉さんとずっと話していた。
帰りは温かいミルクセーキがおなじみなのだ。
バスを降りてお姉さんに大きく手を振って街の出口へ向けて走って行く。
 森と山に囲まれた雪の平野。
マゼルさんの家から、大きな煙突の煙が上がっている。今日のパリーナは少し遅くなってしまったからマゼルさんの家には寄って行かずに走って行く。


  3 夜の森の神聖なる
 空は少しずつ暗くなって来ていて、一番星が広野の真中に煌き始めている。
下方が透明な白と、頭の上に行くに連れ透明な群青黒の夜空は、純白の部分がとても眩しく思えて白の雪をどこか、いつもの夜とは違う色に染めていた。
宇宙を描くその空は、パリーナを空気で包んだ。
夜空に抱かれた感覚、安心感……。
どこも繋がっていた。壊れてなどいなく、乱れてなんか無い、その空気は静寂の中冷たい風を送っている。
頬をさらい、優しく息吹は撫でた。
そして背をそっと押し、パリーナは走って行った。風に乗るように。

 木のドアに金の鍵を差し込んで木のドアを開けると、明るく温かい光りが足許で沈む雪にも、パリーナの全身と頬にも差し込んで、おばあさんが優しい笑顔でおかえり、と言った。
満面の笑みでただいま!と言ってココアを飲みながら今日あった事をおばあさんに聞かせる。
 水色の空が余りにも透明過ぎて特別に思え、空の一部になってしまいそうな感覚に驚いたこと。
雪に覆われた小枝の中には硬い皮に包まれた蕾がいくつかついていて感動したこと。
お姉さんとお話した内容でエジプトの指輪を綺麗な指に填めていて、その逸話を聞かせてくれた美しかった話。
トマノ君とムドーさんの犬と一緒に雪の上で転がっていたらムドーさんが意味も分からず爆笑を始めたからわけのわからない面白かったこと。
 おばあさんは夕食の準備を続けながら孫の話を聞いている。
今日は恐い事があったから、いつもよりたくさん司祭とムドーさんの事を話して聞かせた。
体の中身まで温まり、ココアを飲み終えると、カップを洗ってからパリーナは食器をテーブルの上にきれいに揃えて、ナプキンを出して、おばあさんの料理の手伝いを始める。
 フォークを並べ、コップを置きながら、街で起きた古城研究者達と街の人達との恐い出来事を話した。
「人にはね、領分というものがあるのよ。人にはやってはいけない事ってあるでしょう? 人と人との間でもそれはあるの。それも、とっても多い種類で、人種も違えば、生き方や価値観の違いで異なって来るの。パリーナも、それをようく理解するの。徐々に、徐々にね。」
パリーナは「はい。」とこくりと頷いてミルクのポットをテーブルに置くと、パンのかごを置いたおばあさんを見上げた。
「あの人達はパリーナ達に踏み込むことはいけない事なの? キストンさんみたいにおじさん達もみんな優しければいいのに。」
「そうだね。」
「同じお友達なのに、そんな中でもキストンさんとおじさん達は考え方が違うのね。人の違いって、大きいんだね。パリーナはキストンさんがいいな。おじさん達は分かってくれるかな。」
パリーナは木の椅子を引いておばあさんは「ありがとう」と言って微笑み腰掛け、パリーナもにっこり微笑んで自分の椅子を引いた。
「神聖な物を汚さない心は、誇り高い事に繋がるの。自身の心をそうし続けて維持しつづける精神力に変るの。それを、彼等が理解するには、内に誰か理解させてあげられる人がいるべきね。ミスキストンも精神を高めたくてこの街に来た筈よ。さあ、精神の安定へと導き、身へ入る物が身体の中の小宇宙にめぐりめぐる事に祈りを捧げましょう。」
おばあさんはそう静かに言い、西の方向に手を上げて片手を胸部に当てた。
「日々の平安を我等と共に。」
パリーナも声を揃えると、手を下ろして瞳を開け、おばあさんとにっこり微笑みあって食事を始めた。
 2人の夕食はこの1年間、とても静かなものだ。
ママが死んでしまう前から静かだった。おばあさんはいつでも聞き役で、パリーナがひとしきり話し終えると、穏やかな夕食の時間が流れた。

 夕食が終ってから食器を片付けてパリーナは再び夜の森へと出かけて行く。
今日はどこに行こう。まずは、いつもの様に森の中の平地に行こう。パリーナはその平地が大好きだった。夜の静寂な平地が。
既に目をつぶってでも行き着けるほどのとあるギャップへ走って行く。
ギャップというのは、それまで巨木が立っていた森の中、老齢になったその木が倒れて出来た小さな丸い平地の事だ。その平地の真中には、木が倒れる前に木こり達が切って行った切り株が残っていて、雪に今は包まれていた。
巨木の葉や枝で今まで陽の当たらなかった部分は一気に春を迎えると芽吹く。今は土の中で新しい生命は眠っていた。切り倒してそのまま放置されては雪に埋もれた老木の、幹の空洞の中には、今頃他の動物が冬眠している頃だろう。枯葉をたくさん秋の内に溜め込んでは包まれて。
それらは全て今、さらさらの深い雪の下。

 暗闇を懐中電灯の黄色い光が一直線に伸びて行く。森の中をさらさらに柔らかく粉のような雪を踏みながら走り、群青の闇の中の木々に停まるふくろうが鳴き羽ばたき、その中を雪の中パリーナは走って行く。振り仰いだ夜の空が掠める中を、大きな羽根を広げたふくろうが影になって飛んで行った。
 そうして、木々に囲まれた平地に出た。
雪は夜空を写して水色に光り、そして白の粒はダイヤモンドを散りばめた様に美しい。
パリリ、と音を立てながら静かに平地に入って行き、その中央で大の字になって寝そべる。円形の夜空。青く、強く輝く一つの星が見える。
クリスタルの清流のように透んだ空。
青に輝く星が一つ。銀色のがたくさん。ママは言っていた。青は世界一美しい色だっていう事。
パリーナも青が一番大好き。ママの美しい銀色掛かる水色の瞳も大好きだった。去年の冬祭りの夜、ママは逝ってしまった。その前に、ママはここに連れてきてくれた。パリーナの手をしっかり握り締めて、静かに2人でここまで歩いて来た。
青の星は、悪魔の生命そのもので、ね。綺麗でしょう?
パリーナは、いつの間にか涙を流していた。ママが死んでしまった事がすごく悲しくて、風は平地と共に小さなパリーナの頬も撫でては雪をなで、表面に乗った細雪をさらさらと白く舞わせ、それさえも水色に一瞬染め上げた。横行く風を色つけたかの様に。
風が撫でた頬は涙から熱を奪って、パリーナを一人にした。あまりに青の星は艶の様に輝いていた。どんどん涙が溢れて、全く止まらなくなっていた。
パリーナは困りながら、おばあさんが填めてくれた温かい真新しい手袋で顔を覆った。真っ白なファーマントに雪がふわりと風で乗った。
風は、冷たい音を立てて吹きすさんで目を閉じたパリーナの暗闇を、無限に広くしていってしまう。ママを思い出して、パリーナはおさえきれない声で泣き出していた。
ママみたいに美しい青の星の裏に、ママの顔を見たかった。
しばらくパリーナは泣いていて、その目は真っ赤になっていた。いつもより30分は長く平地で星を見上げていただろうか。銀の星じ彩られた青の宝石はいつまでも強くパリーナを魅了していた。
ママの美しい金を伸べたような髪に飾られた、シルバーと青の石のティアラの様だった。


  青の生命
 透き通った青白い雪の上、パリーナは立ち上がって、背に付いた雪を払ってから再びファーつきのムートンのブーツで歩き出した。
懐中電灯の光りは再びふくろうをびっくりさせて、パリーナはその下を歩いて行く。
白く丸く浮き出る中に、黒の木々が重なり合っては深い黒と、霧の中の様な幻想的な群青の夜空を少しだけ覗かせる。
懐中電灯の向きを下に向けて雪を照らしていると、何か目の前に恐い物を見そうで恐かった。雪の上には雪兎の足跡が繋がっていた。狐の足跡も重なって。
 小道を越えて、ハショーさんの家の後ろを歩いていて、夏に入る穴の木を一回りしてから森の中を一回りしていた。

 青白い光の線が通って、パリーナの白黄色の光と混じった。目を上げるとムドーさんだった。
パリーナはムドーさんに小さく手を振って近寄って行った。5歳のパリーナから見たら、ムドーさんはすごく大きくて木の様に思える。ムドーさんはパリーナがさっき泣いていた事に気付いたんだろう。優しく微笑んで抱きかかえてくれた。
ムドーさんの頬もこの雪の凍てつく中冷たくて、パリーナは笑った。
「崖から、城を見に行くか。今日はきっと綺麗だぞ。」
ムドーさんはパリーナを降ろしてから、ゆっくり歩き出して言う。
パリーナの歩調に合わせるのは少し大変だったものの、その内パリーナは立ち止まった。
「だって、冬の街は何もなかったもの。真っ白で、さみしくなっただけ。だから、行かない。」
それでもムドーさんは微笑んでパリーナの手を取った。
「きっと、今日は違うさ。俺がついてる。」
パリーナはムドーさんの大きな手を強くつかんで見上げた。
「今日は何かが起こる筈だ。」
まるで木に登ったみたいだった。ムドーさんが肩車をしてくれてパリーナは大きく笑ってはしゃいだ。
頭上のすぐそばの小枝の先を撫でて進んだ。黒いコウモリが何匹も頭上を飛びつづけていた。触れようと手を伸ばしても届かなかった。それでもパリーナは良かった。銀の鋭い硝子の様な星。煌きの星。
どんどん森を進んで行くムドーさんと共にパリーナは歌を口ずさんだ。初夏のピクニックの歌を口ずさんでいる冬の森の中は、ジンジンと響いて、森の中を無言の魂が風の様に駆け抜けて行くみたいだった。
まるで、森の中の精霊か、彷徨う魂のように。
その魂は誰かと出会い、風になって森の中を吹いてはどこに行き着くのだろう。
誰かと出会えるのだろうか。誰かと微笑み合える日の為に吹いて行くのだろうか。魂とは、どういう事なのだろう。
ようやく安静になる時を迎えて魂は、今度は好きに吹き付け続けられるのだ。体から抜け、自由の空気に触れられて、そして流れて行った。
「お城からやってきた魂みたい。」
心の中の声がそう、呟いていた。
誰に会いに? ママは魂になってパリーナに会いに来てくれる日は来るのかしら。そして、お城に戻って行くの? 自由に飛び回る魂も時に安静を求めてお城にお休みに行くの? 今日がその時なの?

 木々は開けてきて、その内、月の光が2人に差し始めた。そろそろ崖。
パリーナは下に降り。
目の前に広がる美しい幻景にパリーナは言葉を呑み込んだ。美しいパノラマが広がった。
そこには司祭もいて、パリーナを見て優しく微笑んだ。
 古城が、月の光を受けて、静かな青に輝いていた。何て綺麗で素晴らしいの。幻想的で、幽玄なイリュージョンを見ている様だった。
崖の下から広がる雪化粧の街もうっすらと、水色に輝いている。とても美しい。細波の透明な青の海の様だ。
古城の背後の山脈までも雪に覆われてアイスブルーに染まり、海底の国の、青の宝石で出来上がったお城みたいだわ。
 静かな夜に、街の方からかすかに、美しい歌声が静かに響いている。
街全体から、これは静寂なる祈りの合唱。古城のもう一つの隠された名前の歌。司祭が、この本当の幻の日の夜にのみ謳われる歌らしと言っていた。
合唱はさざなみとなって静かにそよいでは、透明な夜空に吸い込まれて行く。
全ての雪と古城を鮮やかな深青に染める美景は決してひんやりとしていない。
何故なら、白さの無い青のみだからだ。艶の様に鮮やかな深さの青。
銀に輝く星がたくさん、ダイヤモンドの煌きを放っては、一際大きな青の星が厳かに称える。信じられないくらい青の星。方々に青光を射して。
ママの見た青は、この聖なる青だったのかしら。きっとそう。
どこまでも心が還って来た感覚になれるサファイアンディープブルー。
 青い悪魔の生命が静かに謳っている様な歌だった。初めて聞いた歌が耳に染み込んで身体の中を流れて、昔から知っているような歌。
青い星がプラチナみたいな星の中、冷静な光を投げかけ、青の古城はまるで硝子の砦のようだった。魂の中の、お城の様。
「あのお城には誰が住んでいるのかな。」
青の悪魔かもしれない。とても美しい悪魔の王様。きっとそう。
だからこの夜はこんなにも美しい。
 パリーナは目を輝かせてずっと見つめていた。
司祭もムドーさんもずっと見つめていた。
いつまでも月光が全てを照らしていた。
ママの言葉が、頭の中に広がった。
星も同じ、青くて、綺麗でしょう?

end.





ホットチョコレートの作り方

★器材
お鍋。
またはチョコレートポット(取っ手付きで、フタから突き出た木製や陶器などの柄をくるくる回しながら、暖炉やかまど、ガスレンジで火に掛けたポットの中身をかき混ぜられるホットチョコレート用の器材ポット。種類は様々ある。自分の手元には無いのですが、専門店で置いている場合もあります。)
チョコレートカップ。(カップにはチョコレートが冷めないようにフタがついている物もあります。お皿には、カップがずれ、零して火傷をしてしまわない様に洒落た台がついています。その台にカップを置く感じです。)
ガスレンジ。

★材料(2人分)
牛乳 400ml
生クリーム大さじ 4杯
(牛乳でなく、生クリームだけで作るとまた美味しいです。)
バター 少量
かたまりチョコレート(種類はお好みで) 
ココアパウダー 大さじ3杯
★お好みで
ホイップクリーム ウインナー用
ウィスキー 小さじ1
すり混ぜたバナナ
マシュマロ

★作り方
ホイップクリームはあらかじめ作っておきます。(お好み)
お好みですが、濃厚にしたい場合、最後に湯銭で溶かしたチョコレートを混ぜでチョコレートホイップにするとまた美味しいです。
バナナもすり混ぜておきましょう。(お好み)

お鍋で牛乳を温めます。
一煮立ちしたら火を弱め、小さくしておいたチョコレートを突っ込みます。
中火でしっかりチョコレートが溶けるまで木ベらでかき混ぜます。
チョコレートをもっと入れたい人は入れてしまってください。
生クリームを入れてぐつぐつ火に掛けます。
風味付けにバターを少し入れます。
ぐつぐつ煮立ったら火を消し、ココアパウダーを入れてかき混ぜます。
もう一度一煮立ちさせます。
ホットチョコレートの完成。
お好みで最後にお鍋にウィスキーを少々垂らします。それか、バニラエッセンスなど少々。これはどちらか片方にした方がいいです。そして、ウィスキーを入れた場合はホイップクリームは絞らないほうがいいです。

お好みでカップに擦ったバナナを入れましょう。
出来上がったホットチョコレートをカップにそっと注ぎます。
お好みでホイップクリーム(チョコホイップクリーム)を、縁から中心に掛けて円を描く様に絞っていきます。最後に上にココアパウダーを少量振り掛けます。

温かいチョコレートカップにスプーンを差して、出来上がり。
カップは熱いので、ソーサーにしっかり載せてあげてください。
そしてカップをトレーに載せ、その横にお好みで小さなマシュマロのたくさん入った器を共に載せます。そしてリビングへ持って行きましょう。

★緩い曲を聴きながら、温かいチョコレートをお召し上がりください。
マシュマロは浮かべてもいいのですが、刺して浸し食べるのも美味しいです。

silent night

silent night

青い星を見上げて吐息を吐くの…… 夜にゆたかな透明な青…… おばあさんと二人で雪山で暮らす少女パリーナ。 母のいない彼女は冬の世界にその年、何かを見出す。

  • 小説
  • 短編
  • ファンタジー
  • 青春
  • 冒険
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-12-20

Copyrighted
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