底
あなたの周りには信用できる人が何人いますか?
社会の闇が
人の心の裏が
どす黒い波になり押し寄せる
世界はおぼろげな噂で溢れかえり
僕は猜疑の海に浮いた
他人の妬みも飲みこんだ
どうにか漂う木の棒にしがみついても
すぐさま朽ちて崩れる
足に噛み付いた魚が
悩みの底へと引きずり込む
くるしい
呟く声に誘われて
手を差し伸べる君でさえも
餌に釣られた哀れな魚にみえて
滑稽で悲しくなる
君の手では救うことはできない
君の手では掬い上げることはできない
耳を塞いだ
目を閉じた
暗くて冷たかった
僕はこの狭い水槽の中で
僕の涙に溺れた
底
人は独りじゃ生きられないことくらい知っている。でも独りが良い。