Park story あの日の恋

2回目の投稿です。今回は2つの視点で物語が展開していきます。

俺は今日、あの人に告白する…!
まだあの人は来ていないというのに、鼓動は速まるばかり、呼吸も乱れている。
あの人を電話でこの公園に呼び出してからというものの、俺の頭は彼女のことでいっぱいだった。
城谷真理(しろたにまり)、俺の隣のクラスの委員長で、明るく前向きな性格。あの可憐な姿に、俺は入学式早々に一目惚れしてしまった。
そして約1年経った今、とうとう俺は彼女に告白する決意を固めたのだ。
辺りを見回すと、ベンチに40代くらいの作業服を着た男がいるだけで、彼女の姿はまだなかった………

………一通り作業が終わり、俺は現場近くの公園のベンチで休憩を取ることにした。
俺には嫌な思い出が、この公園にはある。だがそれも今となっては笑い話だ。
公園にはもう1人、若い少年、高校生くらいだろうか。落ち着きのない足取りでその場をウロウロしていた。何かを、もしくは誰かを待っているようで、先程から辺りをキョロキョロしていて、どうも焦りの色が窺えた。
ここで同年代の少女が来たら、かなり面白い展開だ… 俺は1人そんなことを思っていた。
するとなんと、俺の期待通り、彼と同じ若さの少女が現れたのだった………

………彼女の姿が視界に入った瞬間、心臓が爆発しそうになった。
「ゴメンね松井君、少し遅れちゃった」
「き、気にしないでいいよ、城谷さん…」
緊張で舌が回らない。
「それで松井君、私に何の用かな?」
彼女の瞳が俺の顔を覗き込む。可愛すぎる…!
遠くに40代くらいの男がいるが、気にしてられない。
俺は勇気を出して想いを伝えた。
「俺、城谷さんのこと…好きです。俺と付き合ってくださいっ!」
…沈黙もわずか、彼女の口が開いた。
「あの…ごめんなさい! 私、もう彼氏が…」
「なっ…!」
頭の中が真っ白になった………

………俺はしばらくベンチに座って少年を眺めていると、彼は何かを言って少女に頭を下げた。それは告白…想いを伝えている光景だった。
…俺はあの時、完璧に振られたんだよな… 城谷真理… 懐かしい名前だ。
「どうしたんですか、松井さん?」
突然、年下の同僚に話しかけられ、俺は答えた。
「見てみろよあの2人、実は俺も30年前、高校生のとき、この公園で当時好きな人に告白してね。まるで昔の自分を見てるみたいだよ」
するといきなり遠くの少年は歓声を上げて大きくガッツポーズをした。
…どうやら、彼の頭は真っ白にならなかったみたいだ。

Park story あの日の恋

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Park story あの日の恋

ベンチに座る男はいったい何者?

  • 小説
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-12-16

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