カゲプロ短編集 ー1ー
カゲプロ登場キャラクターの、読みきり小説となっております。
無駄に長いので、パート2や、3も作る予定です。
~キド~
「暗い・・よぉ・・・。寂しいよ・・・!」
暗い。とにかく暗い。
誰も俺の事を、探しだしてくれる人等いなくて、夜になってしまった。
この時の俺は、確か・・・小学2年生だったな。
まだ、この『目を隠す』能力を知らなくて、誰にも見付けてもらえず、ずっと泣きべそをかいていた記憶がある。
その中で、今日は友達とかくれんぼをしていた。
だが、案の定。俺を見付けてくれた人なんていなかった。
そのまま無かった事にして、みんな帰った。
“嗚呼、なんて無様な奴等だ。”
俺はこれをきに、人の事を信じるってことを捨てて、ずっと一人でいようとした。
だけど・・・
「つぼみちゃんっ・・!!」
「しゅ・・う・・・や君・!?」
赤く腫れた俺の目を見て、彼は泣き出した。
「ごめんねっ!!・・もう少し早く見付けられたらねっ・・!!こんな寂しい思いさせなかったのにっ・・・!!!」
彼は、思いきり泣いた。
俺も泣き崩れた。
ぎゅっ・・と抱き締められた時の体温は未だ覚えている。
この世には、無様な奴など・・いないんだ。
俺はこの時、そう思った。
~セト~
嫌だぁ・・・!!!
嫌だ嫌だ嫌だ!!・・・嘘に決まってる!
どうして・・!・・・どうして皆の声が聞こえるのっ・・・!!
「彼奴は汚い。」
「そいつを騙そう。」
「大嫌い!」
「死んじゃえよ!!」
なんて・・・・。
どうして・・こんな声しか聞こえないのっ・・・。
僕に対する声はこれしか無いの・・!?
「どうしてっ・・そんな事・・・!?」
本音を呟けば、また・・・化け物扱いをされる。
目の奥が熱い。
ブァッとくる・・・この・・火を浴びた様な・・・感覚。
「ひいぃっ!!?・・・化け物っ・・!!」
「近寄らないで!!」
そうしてまた・・・僕の耳に入ってくるのは、このような悲惨な声。
こんな・・・こんな憎たらしくて、残酷で、ウザイくらいの言葉が聞こえるなら・・・僕の耳なんてっ・・いらないよっ・・・!!!
僕なんてっ・・死んじゃえっ!!!
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
「セトッ・・・!!?」
ん・・?嗚呼、今のは夢っすか・・。
「マリー・・・?どうしたんすか?」
「それは・・私の台詞・・・だよ・・・!!」
セト・・魘されてたんだよ・・・。
この声でハッとする。
体に染みていたこの水分は、魘されてた時の汗だったのかと・・・。
「セト・・怖い夢でも・・・見たの?」
「そうっすね・・・昔の思い出っすかね・・・?」
悪いっすが、マリーには心配をさせたくないっす。
だから・・・
「大丈夫っすよ。あ、マリー!!お茶を淹れてくれないっすか?」
そっとして・・・おいてっす。
~カノ~
「ねぇ・・本当の、鹿野修哉って・・・何処にいるか知ってる・・?」
夢なのか、現実なのか、僕には見当がつかない。
ただただ・・・この誰なのか分からない声を聞き、質問に答えようとしていた。
「あぁっ!!そうそう! 僕はね、×××だよ?」
え・・・? よく聞こえない。
“なぁに?”と言いたいけど、口が動かない。
口が動いたとしても、多分・・・。喉の潤いが既に消えている僕には、言葉が喋れないだろう。
だから、とりあえず微笑む。
「ねぇ・・・。君はいつまで、欺いてるつもりなの?・・・カノ君。」
カノ・・君。
僕の名前だ。僕は・・・鹿野修哉。だよね?
「違うんだけどね?」
クスリッ・・・と笑う、見ず知らずの声。
違う?・・・何を馬鹿な。だって僕は・・・・
「鹿野修哉何でしょう・・?」
嘲笑っている雰囲気抜群のこの声。
待って。君は、何のつもりで僕に話し掛けているの・・・?
「・・本当の鹿野修哉を探しているだけなんだけどね・・・?」
・・・?そ・・それはっ、この僕しかいないでしょ・・?
「本当に?でもさ、君は何人の人を欺いて、騙してきた?本当の心や、本当の素顔ってのは、出したことがあるの??」
・・・・。
僕は返す言葉が見つからなかった。
むしろ、返せなかった。
「君は・・・カノ。鹿野修哉ってのは、何処にも居ないの。」
その言葉で、僕は愕然とした。
目の前が真っ暗になり、その場を立てなく地面に倒れ込んだ。
『嗚呼、そうか。鹿野修哉なんて・・・元から居なかったのか。・・・じゃあさ、僕は・・・一体・・・誰なの?』
視界が赤く染まった。
~マリー~
「誰かお願い!!・・ここから出してっ・・・!!!」
怖い・・・怖いよぉ・・・。
どうして、みんなは私を化け物だと言うの・・・?
「ひぃっ・・・!?こいつっ・・・髪が白いっ・・」
「目が赤くなったよっ・・!?」
痛いっ・・・痛い痛い痛い!!!
木を投げられては、髪の毛を引っ張られる。
挙げ句には、私を踏んでいく。
化け物扱いされた私は、あの子達と同じ人種にはなれない。
だって私は、メデューサの血を受け継いでいるから・・・。
逝ってしまったお母さんから告げられた言葉の意味は、いまいち理解出来なかった。
メデューサ・・・。
絵本とかに出てくる、悪者扱いされる役目。
私は、悪者なんかじゃない。私は、悪魔なんかじゃない。私は・・・私、は・・・・・。
*・。*・。*・。*・。*・。*・。*
トントン・・・
「ひいぃっ・・・。」
飲みかけの紅茶がテーブルの端を流れる。
ドアの向こうには誰かがいる。
私の脳裏に走った感情は、またイジメラレル。
また、化け物にサレル。また、殺されそうにナル・・・!!!
目の奥が熱くなる。
手鏡を覗くと、私の瞳は真っ赤に染まっていた。
やめてっ・・・!!
そう、心で思った瞬間。
扉が開いた。
「え・・・?・・大丈夫・・・?」
一人の少年がうずくまる私に問いかけた。
私は、メデューサ・・・。だから、あの少年を見てはいけない。
「震えなくても良いんだよ・・?」
ニコリと微笑むその少年は、私の目を見た。
・・・。しかし、少年は固まらない。
「でも、世界はさ・・・案外怯えなくても・・・良いんだよ?」
その言葉で私は救われた。
この怯えてた世界から、救われた。
私もっ・・・この新しい世界の一員に入れる・・・!!
一歩踏み出した私の目には、光輝く何かが、待ってた・・・気がしたな。
カゲプロ短編集 ー1ー
短編集とか言っておきながら、四人しか書けなかったと言う落ち。
続くつもりです。
是非、続きも読んでくださいね!
マリーちゃんの話が一番可笑しくなったのは……気のせいです。
【次回等について】
HappyEndも好きですが、比較的僕はBadEndの方が好きなので、Badが苦手な人は、見ない方がおすすめデスヨ♪
グロい所が一部含まれるかもしれません。
【宣伝】
新しくカノキドの小説も更新しましたあああぁっ!!是非そちらも宜しくお願いしますねっ!