メダロット~学園生活とメダルの謎~
昔懐かしい(?)メダロットが書きたくなったので、投稿。
ちなみに今年は新作でも買おうと思っております
プロローグ「一年前の出来事」
タチバナ北高校中等部。
つい三年前におみくじ町に出来た新しい学校だ。
全校生徒は千人単位、おみくじ町どころか遠い街から来てる子もたくさんいる。
そりゃ、新しい学校には誰だって行きたいし、なにより県立高校がから学費タダ!それで私立なみの設備が揃っているんだから。
プールに、テニスコート、野球場、サッカーグラウンドにゴルフ場.....。
そして何よりも「メダロット闘技場」があることだ。
かつての遺跡から出没したメダルで動かすロボット「メダロット」は今も変わらず子供達に大人気。
俺らだって、小学校からやってるんだ!でも、そんな奴はここにはたくさんいる!
だからスグにメダロット部が設立された、部員は32名!!スポーツだってできちゃうくらいさ。
あの時は楽しかったよ。『あれ』が起きる前まではね.....。
突如として、元部員だった生徒が生徒会となり、校内にメダロットの持ち込みを禁止にした。
さらに「メダロットが校内で犯罪を起こす」というヘンなデマが流れ、みんなが数年も大事にしてきたメダロット達を売るなり、渡すなり、捨てたりした。
別にそれで学校が崩壊した訳ではないんだ。別にいつもと変わりなく学校。
でもさ・・・・。
部員二名のメダロット部の俺の心にはなんだか、ポッカリ穴が空いたような気がするんだよなぁ・・・。
第一話「ファーストコンタクト」
春の入学シーズン、散らかった部室に入ってきた桜の花びらを眺めながらメダロット部(仮)副部長、盛田スバルは眠たそうな目で自分の携帯を眺めていた。
「出てこい、テラビー」
そう、彼が携帯に向けて話すと、彼の目の前にメダロットが光とともに現れた。
「なんだよ、スバル。こんな時ぐらいゆっくりさせろよ!!」
KBT型『メタルビートル・テラ・試作型』。鮮やかなオレンジ色はかつて世界を救い、世界の頂点にたった少年のメダロットにそっくりだった。
しかしメダチェンジ機能、スコープによる狙い撃ちの強化など兵器らしさが出てるメダロットだ。
スバルはかの有名なメダロット博士の親戚であり、幼い時にテラビーを実験として貰い受けお互い成長(改良)を共にした仲で口は悪くとも信頼しあったパートナーだ。
「新学期の新入部員の入部シーズンにうちの部長は何やってるんだぁぁぁぁぁ!?」
眠たそうな目をしながら、机をバンバンと叩き彼なりの怒りを表現する。
「そんな事かよ・・・。それよりも部活の事とか、黒いメダロットの事のほうがヤバいんじゃないのか?」
「わかってるよ!テラビー。でもさ、今の俺らの人数だと、太刀打ちできないよぉ・・・。」
「・・・。」
「大丈夫さ、そのためにお前の能力があるんだからさ。」
ふぁあとあくびをすると彼はまた目を閉じた。
「このお眠りマスターめ・・・。」
悪態をつくテラビーも先ほどと同じく舞い散るサクラの花びらに目を向ける。
「俺の能力があっても・・・いや余計な心配はかけたくないな・・・・。」
1-4教室
新入生は既に帰りのホームルームを終え放課後は何をしようかと考えている午後だった。
荒田イチタも新入生。幼馴染達と入学してきたのだ。
昔から生真面目な性格のせいか、「甘酒アリカさんみたいなジャーナリストになりたい!!」と言っていた一ノ瀬ナミに随分引っ掻き回されていた。
苦ではないが、せめて中学校生活は平穏に送りたい、荒田イチタは静かに暮らしたいのだ。
「帰宅部とかでもいいしな、いやあえて放送部なんかもいいかも・・・。」
外から聞こえる部活の勧誘を耳にしながら平穏そうな部活を選ぶ。
しかし、右耳から聞こえるドタバタ音はどうみても平穏とはいえないような騒がしい音だった。
ドタドタと廊下を走る音、バタンと激しく開くドア。
「フッハハハハハハッ!!!」
クラスの生徒が扉を見ると青いマントと黒いスーツ、おなじく黒のシルクハットを来た得体のしれない人物があわられた。
「私の名前はヒリュ...じゃなかった、快盗レトルト・ブルー!!メダロットと平和とそしてコンビニを愛する男だ!!」
今、一瞬名前いいかけましたよね?イチタは心の中でつっこむ。
そのハイテンションな奴(?)はジャンプすると教壇の上に立った。
「諸君!この学校はメダロット禁止というのはおかしいと思わないかね!!」
「そういえば、そうだなぁ・・・。」
「携帯はOKなのにね。」
「俺のブレザーメイツたぁぁぁぁん!!」
クラスのメダロッター達が口々と言葉にする。
「そんな疑問を持つ君たちには、真実を知る必要がある!!」
「来たれ!メダロット部!そこに真実が....。」
シメに入ろうとしたレトルト・ブルーの演説に怒声が邪魔をする。
「「風紀委員だ!!」」
そう叫んだ女子生徒と男子生徒にクラスの目が移る。
「あなたはこれで56件目よ!クラスでの迷惑行為、メダロットの不法所持!!とにかく逮捕よ!!」
「さぁ、大人しく縛につけぇい!!」
凛々しい女の先輩とゴツい先輩が仮面の変態に向けて警察よろしくの行動に出る。
「私がそれに応じないと言えば?」
「ならば力ずくよ!出てきてジャッチス!!」
「出てこいジャッチス!!」
携帯を手にすると二人の元には黒い学ランを来たメダロットが、キリッとした印象を持つBL、SLR系だろうか。
女の先輩のほうは黒いセーラーとなっているのが両者の違いだ。
「同じメダロッターなら、何故こんな事を・・・。」
「黙りなさい、私は規律のために使用しているだけなの、あなたみたいな遊びじゃないの。」
もう、教壇は映画のスクリーンのような状態だ。クラスメイトは目の前の出来事に釘付けになっている。
「使用する、だと・・・?」
変態の声色が変わった。
「今日という今日は私が許さん!メダロットを道具扱いにするなどっ!」
「黙れ!オタク、そいつを潰せ、ジャッチス!」
ゴツイ先輩が自分のメダロットに攻撃命令を出す。
「行け、ガタック・ビートル!!」
変態のほうも応戦のため自分のメダロットを繰り出す、そして....。
一閃とともにゴツい先輩のメダロットはバタリと倒れた。
<頭部パーツ破壊、活動限界です。>
「んなぁ・・・・。」
「カキモト!情けないわね....。」
「フッハハハハ!道具のように扱ってる貴様らと愛を込め、メダロットと接している私とでは力量が違うわぁ!!」
「ブルーよ。」
「ん?」
ガタック・ビートル。青いカラーに単眼の頭にはギラファノコギリを連想するような長い角。そしてそれは腕にも付いていた。
KWG型に違いない、装甲が薄い分あのような一閃を繰り出す機動力を持っているのは。
そんなメダロットが初めて口を聞いた。
「いちいち取るポーズといい、セリフといいダサいぞ。」
「ガーン....」
落ち込む変態、いやパートナーのほうが常識を持っていると言えよう。
「あー、もう!つべこべ言わずにつかまりなさぁぁぁぁぁぁぁぁい!!」
ついにキレた凛とした先輩。
高く飛び上がるとライダーキックのような形でガタックに迫り来る。
「うぐぐ....。こんな気分も必殺技で吹き飛ばすぞ!!くらえ、必殺....。」
「プロミネンス・ブレードッ!」
長い角を持つ腕が赤く染まる。
「「一閃!!」」
二人(一人+一体)がそう叫ぶと紅蓮の刃は相手のメダロットごと、叩き切る。
炎がおさまったときには天井についた、コゲと黒ずんだジャッチスが転がっていた。
「そんな、またアイツらに・・・・。」
「と、いうわけだ諸君!君も熱いバトルを体験したかったら、是非メダロット部に来るのだ!」
高笑いしながらメダロットとともに窓から飛び降りる変態。
グキンと下で脆い音がしたのは気にしないでおこう。
風紀委員も退場してコゲだけを残して元に戻った教室にまた、ざわめきが巻き起こる。
自分は幼い頃からメダロットに触れてはいたが、パートナーを持ったことはなかった。
でもさっきの戦いを見ている自分は、平穏なんか忘れて、あの仮面の変態のような戦いがしてみたくなったのだ。
メダロット~学園生活とメダルの謎~