北の海の魔女5.0,6.0,7.0,8.0
北の海の魔女の5.0~8.0をupする予定のところです。今は
5.0 6.0 7.0 8.0
がupされています。
5.0
***
森の中をあるいてすぐに男の子はシカのむれを見つけました
「こんにちは」
男の子はむれに声をかけました
「おや、こんにちは。なにかごようかな?」
むれの長らしき一頭が男の子にたずねます
「じつは崖のところに動けなくなったオオカミがいるのです。彼のためにだれか食べられてはくれませんか?」
シカのむれはざわつきました。ただ長だけが男の子の目をじいっと見ていました
「なんだと!お前、わたしたちをばかにしているのか!そんなことするわけないだろ!」
「お前が食べられればいいだろう!」
むれの中の何匹かが声をあららげます
「わしが行こう」
そういったのは長でした
「そんな、長よ。やめてください」
「そうです。わざわざ食べられるひつようなどありません。オオカミなど死なせてやればよいのです」
「しずまりなさい。わしはこの子の目が気に入った。この子をこうさせる気にさせたオオカミにもあいたくなった。どうせもう永くないのだ、かまうまい」
そう長がいうとむれのあちこちからうめきごえが上がりました
長はかなしむ仲間にはかまわずにある一頭にはなしかけました
「今このときより長はお前だ。覚悟はできておるな?」
「はい」
新たな長となった一頭はなみだをながしながら、仲間たちにいいます
「みんな、長のわがままを聞いてやってほしい。みんなでおくりだそうじゃないか」
そういって新たな長はまえへ進み出て男の子にこうべをたれました
「たのみます」
***
6.0
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男の子が老いた一頭のシカを連れてあらわれたのが足音でわかったオオカミはおどろきました
「本当に連れてきたのか」
シカはオオカミの前に座りました
「あなたが私を食べるオオカミですか?」
「そうですが・・・・・・本当にいいのですか?」
「かまいません」
オオカミは男の子の方へかおをむけて言います
「ありがとう。これで私は生きられる。お前のおかげだ」
そしてシカへ向きなおり言います
「本当にありがとう。あなたのことは生涯わすれません」
シカはほほえんで言います
「よいのですよ」
男の子はオオカミがシカを食べるのを目をそらさずに見ていました
シカを食べ終えたオオカミがたずねます
「どうしてずっと見ていたんだい?」
「わかったのかい?・・・・・・ぼくのせいで死ぬ者の最後から目をそらせちゃいけない、と思ったからだよ」
「そうか・・・・・・」
「王都へ行くんだったか?案内しようか?」
「町の場所をしってるのかい?ならお願いするよ」
オオカミと男の子は立ち上がり、シカの死骸を見ました
「・・・・・・行こうか」
***
7.0
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おんなのこは目を覚ましました
自分の家でなかったのでさらわれたのは夢ではなかったようです
狭い部屋です。あまりきれいではなく、クモの巣もいくつかあります。
なんとなくさむざむしいその部屋におどかされているようでおんなのこは不安になりました
ちょうどその時部屋のドアが開きました
「あら、おきたのね」
そうおんなのこに声をかけたのは赤毛の少女でした。まるで人形のようにきれいな娘でした
「あたしはアリス。よろしくね。おきたのならおいで。あいさつにいきましょ」
まくしたてるようにアリスと名乗った少女はしゃべります
「だれに?」
勢いにすこしおどろいておんなのこたずねると
「きまってるでしょ。魔女よ」
そうアリスはこたえました
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8.0
†††
「おんなのこが起きたので連れてきました」
アリスはながいろうかにならぶドアの一つに話しかけました
「はいりなさい」
しゃがれた声がしました。あのときの魔女の声です。
アリスがドアをあけてはいります。おんなのこはすう、と、いきをすってからはいりました
魔女はだんろのそばでいすに座って本を読んでいました。丸いめがねをかけています
魔女はふりかえって無言でおんなのこをじいっとみつめます。おんなのこは心のなかを見すかされたような気分になりました
「仕事をやらせておやり」
魔女はそう言うとまたむこうをむいてしまいました
「はい」
アリスはへんじをして
(出るわよ)
とおんなのこに合図しました
二人は部屋を出ました
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北の海の魔女5.0,6.0,7.0,8.0