SE7EN スピンオフ 『S氏とM』
本作品は、以前にシナリオをお手伝いしました『SE7EN』というゲームの二次創作スピンオフとなります。
原案の方に確認をしてもらっているので、公式の二次創作という事になるのでしょうか。
作品についてですが、江戸川乱歩の『D坂の殺人事件』をオマージュした物となっています。
楽しんでいただけたら幸いです。
以下に『SE7EN』の公式HPのアドレスを載せておきますので、興味のある方は是非原作の方も確認してください。
『SE7EN』公式HP→http://a7dayslab.wix.com/se7en
※真に申し訳ないのですが、キャラ紹介等は公式HPで確認して頂けたらと思います。
カメラを構えて待つ事数時間。現状に変化無し。
「これは外れっスかねぇ……」
夜の空気に冷えた身体を震わせる。車中とはいえ、寒いものは寒い。
俺、美波大和はフリーのジャーナリストだ。
普段は政治や現代社会についてのコラムを書いてたりするのだけど、今回はそれとは別の件。
有り体に言うなら、パパラッチ的な活動をしている。
カメラのレンズの先にはある有名人の邸宅があった。
「本当はこんな事は趣味ではないんスけどね」
喉が渇いてきたので、持ち場を離れて缶コーヒーを買いに行く。眠気も酷い。
フリーのジャーナリストは会社に属していない。だから、俺みたいな駆け出しは仕事が無い時だってある。
今やっている仕事も、趣味ではないけれど生きる為には必要な事だった。
自動販売機で缶コーヒーを買い、持ち場に戻る。
プルタブを開けて一口啜ると、暖かさが身体に染み渡っていった。
「これで餡パンがあれば、刑事の張り込みみたいっスね……くっくっ」
特に面白い事ではなかったけど、自然に笑いが出てしまった。
明らかに理由は知り合いの刑事さんの所為だ。あの人もこんな事をしたりするのだろうか。
いや、例えしたとしても理由はまったく別だろうけど。
向こうは事件の解決の為に行動して、こっちは事件を起こそうとしているのだから。
「お……」
不意に、目前の邸宅の玄関先に人がやって来る。
それはこの邸宅の持ち主である加藤信二氏だった。
「ついに来たっス」
俺はカメラを構える。
俺の今回の仕事、それは彼の有名人である加藤信二の離婚騒動についてだ。
加藤信二。俳優暦37年のベテランで、デビュー作は子役の頃に主役に抜擢された『南条家物語』。
サスペンスでありながらコメディー要素も多分に含んだ当作品において、加藤信二氏演じる南条元は主人公でありながら一連の事件の犯人という難しい役どころを見事に演じ切ってみせ、一躍時の人となる。
その後も堅実に役を演じる姿勢を高く評価され、その活躍は国内に留まらず、ハリウッド映画への出演経験もあった。
俺個人としても、去年彼が出演したあるドラマをよく視ていたのだが、年を重ねてさらに深みを増した氏の演技力は流石としか言いようがない。
そんな氏だが、今から19年前に結婚している。
妻は8歳年下の加藤美咲、旧姓佐川。こちらも元女優である。
加藤氏とはとあるドラマで知り合い意気投合。そのまま結婚。
どちらも演技派として名が通っており、おそらくそれ故に意気投合する事もあったのだろう。
結婚生活は円満で、テレビでもその生活を特集したりもしたものだ。
しかし、そんな両名に最近離婚の危機が迫っているのでは? という情報が実しやかに囁かれていた。
発端は一枚の写真。
加藤信二氏がとあるホテルから女性とともに出てきた瞬間を撮られたのだ。
とあるホテルとはもちろんそういうホテルであり、その女性はその手の業界では有名な人物で、これはもう浮気だろうと誰もが判断した。
で、最近仕事が少なくなってきた俺はこうして決定的な瞬間を撮ろうとしているわけだ。
非常に下世話な話だが、時にはこうでもしないと生きていけない時がある。
それにこの件に関してはライバルも多いことだし、気が乗らなくても本気は出さなければならない。
そうこうしている間にも、加藤氏は自宅の中に入っていく。
その先には修羅場が待っていて、もしかしたら氏が家を追い出されてくるかもしれないし、美咲氏が家を出て行くかもしれない。
何にせよ、決定的な瞬間が必要だ。
俺はジッと待っていた。
辺りは既に真っ暗で、街灯が無ければ数メートル先も見えないだろう。
加藤氏の邸宅には灯が灯っている。氏が帰宅するずっと前から点きっ放しという事は、住民は全員起きていると考えるべきか。
さて、どうなる……。
と、俺が唾を飲み込んだ瞬間、
「?」
氏の邸宅の窓から漏れ出る光が全て消え去った。
すぐに他の民家を見るが、どこも普通に灯が灯っている。という事は停電ではないのだろう。
ブレーカーが落ちたという事は流石に無いだろうし、もう眠ってしまったのか?
スクープ写真が撮れなかったのは残念だが、まぁ、元々それはカメラマンとかの仕事であって自分の仕事ではない。
これは真面目に自分のやるべき事をやれという神様からのお達しなのかもしれないと前向きに考え、乗っている車を発進させてそこから立ち去ろうとした。
その時、氏の邸宅の電気が一斉に点いた。
「あれ?」
もう寝てしまったわけではなかったのか。
そう思ったのも束の間、氏が慌てて家から出てきた。
興味を惹かれて見ていると、数分の内にパトカーと救急車がやって来て、夜の住宅街が一気に騒がしくなる。
邸宅の中に警官たちが入っていき、そして中から担架に乗せられた人が出てくる。あれは――、
「加藤美咲っスね……」
それは加藤信二氏の妻、加藤美咲だった。
意識は無いようで、カメラのレンズを通して見ると何やら顔色が蒼白だ。
そう、まるで死人のように。
「これは……面倒な事になっちゃったスねー」
やっぱり、神様は俺に自分の仕事だけをやれと言いたかったようだ。碌な事にならないぞと。
………………。
…………。
……。
「それで、大丈夫だったの?」
「まぁ、取調べなんて初めて受けたっスけど、証人のお陰でなんとか」
後日、俺はファミレスでとある女性と会っていた。
彼女の名前は藍沢未稀。職業、刑事。
昔からの知り合いである彼女は、今回の加藤氏の事件の捜査に関わっていて、今日はその事についての話し合いの場を持ったというわけだ。
「証人?」
「ええ。あそこは知っての通り高級住宅街で、張るにしても車を止める場所とか必要になるじゃないっスか。それで、偶然あの加藤氏のお向かいさんが以前仕事で関わった人でして、その人いい歳してミーハーで、こういうスクープとか好きなんスよ」
ドリンクバーから取ってきたオレンジジュースを少し飲む。
「で、駐車場を借りていたんスけど、そこの家には監視カメラがバッチリあって、俺の行動は全部そこに記録されているんスよね。さらに、周りの家の監視カメラにも俺の姿が映ってたりして、そのお陰で」
「……というか、大和君確かジャーナリストのはずだよね?」
「それは言わないでくださいよ。時にはこういう事もありますって……不本意ながら」
「……その事は深くは訊かないとして、それで、今回の事件について何か情報とかあるの?」
未稀さんはさっそく本題に入る。この人も大分刑事が板に付いてきたなぁ、とか思ったりする。
「残念ながら、まだ何も」
「……じゃあこの話し合い自体に意味が無い気がするんだけど、気のせい?」
まったく持ってその通りで。
「そこはホラ。俺の無事を祝ってとか」
「ハァ……うん、もうそれでいいや」
未稀さんは諦めたような声で言う。いや、すまないとは思ってるんスけどね?
「それで、こっちから訊きたい事があるんスけど、良いっスか?」
「訊きたい事?」
「そうっス。つまり、加藤美咲の死因についてなんスけど」
「あぁ、その事」
未稀さんは持っていた鞄から資料を取り出し、渡してくれる。
「一応、捜査資料だから気をつけてよね?」
「もちろんっスよ」
渡された資料には、加藤美咲の死因がちゃんと書いてあった。
「窒息死……」
「凶器は縄かな。被害者の首にしっかりと跡が残ってたから」
資料には他にも被害者の身体にそのような縄で縛られた跡がある事が書いてある。
「これ、被害者の趣味ですかね?」
「さぁ? 私には分からないけど」
それはそうだ。
「ちなみに、加藤信二はなんて言ってるんです?」
「加藤さんに関しては、第一発見者って事で容疑者候補に入ってるんだけど、今のところ証拠不十分」
「そうなんスか」
「後気になる事と言えば……」
「気になる事?」
「加藤さんの自宅の監視カメラが時々切られているのよね。今回の事件の時も監視カメラが切られてて、犯人らしき人物の姿は映ってなかったの」
「はぁ……それはまたなんで?」
「分からないから、今訊き込み調査中」
「結局そうなるんスね」
「しょうがないよ」
未稀さんはそう言って立ち上がる。
「私は私で捜査進めるけど、大和君はどうするの?」
「俺がこんな面白そうな事逃す筈が無いじゃないっスか」
「だよね……とりあえず、あまり場を引っ掻き回したりしないでね」
「勿論スよ!」
「………………心配だ」
そう言い残して、未稀さんは帰っていった。
さて、俺も一働きしようか。
………………。
先ずは何をするか考えて、やっぱり情報収集だなという結論に達した。
情報は早さと質。それはどんな業界でも変わらない。
なので、俺は調査資料を読み込むことから始めた。
加藤家の交友関係だが、芸能界はもちろん、近所付き合いもそれなりにあったという事だから、家に誰が来てもおかしくなかったと言える。
中でも一番付き合いがよかったのはお隣に住む斉藤さん一家。家族ぐるみの付き合いで、よく一緒に食事をしていたようだ。
俺はこの斉藤さんの家に訊き込みに向かう事にした。
「加藤さんについてですか?」
「はい。最近、誰かと諍いがあったとか、もしくはここ周辺に不審人物を見かけたとか、何か知っていませんか?」
「いえ、そんな話は聞いた事がありませんけど……」
「そうですか……」
斉藤家の主人は仕事でいないらしく、奥さんから話を訊く事になったのだが、収穫らしきものは何一つ無し。
如何にお隣といっても他所様の家庭事情について知っているわけではないか。
いくつかの質問をして、俺はその場を立ち去ろうとした。その時、
「……あの、最後に一ついいですか?」
「はい?」
気になるものを見つけた。
「その手首の跡――」
「あっ……こ、これはなんでもないんです!」
「え? あ、ちょっ!」
何故か、斉藤婦人は逃げるように家の中へと引っ込んでしまった。
何か気に障るようなことでもしただろうか? それとも……。
「これは、もしかしたら事件を解くためのヒントになるかもしれないっスね」
その発見を、俺は忘れない内にメモした。
次は、何故か切られていた監視カメラについてだ。
事件当日、加藤氏の邸宅の監視カメラは停止していたという。これは外からの介入というよりは、むしろ被害者側がした事ではないかと思っている。
加藤夫妻のどちらかが、家の中に人を招き入れる為にそうした?
中に入るのを見られると拙い相手なのか?
例えば、加藤氏の場合。
浮気報道がされている加藤氏が、浮気相手を家に入れるために切ったとか?
それとも……美咲さんが?
分からないけれど、偶然ではないだろう。
今回の事件だが、加害者が家に入った形跡はおろか、出た形跡すらない。
死亡推定時刻は、先日、俺が加藤氏の家の前で待ち伏せている間だ。
おそらく犯人は裏口から中に入ったのだろう。この時、中から手引きがあったに違いない。
出て行ったのはあの停電の時。
あの日監視カメラが切られた形跡は二回。正午と停電の時。
普通に考えて中に招き入れられたのが正午で、出て行ったのが停電の際。
他の可能性としては、加藤氏が外部犯の所為にする為の自作自演を行なっただが。
現段階では判断出来ない。
「何か手掛かりが欲しいっスね……」
停電は意図的に行なわれたのは間違い無いとして、それを誰が行なったのか。
「まぁ、それが分かれば苦労はしないんスけどね」
この件は保留にしておいた方がいいのかもしれない。
その後、近所を回って色々確かめて来た。
分かった事の中で一番の収穫は、他の家のどの監視カメラにも犯人らしき人物の姿は映っていなかった事だ。
勿論、監視カメラというのは道路を監視するのではなくあくまで自身の敷地を監視するための物なのだから、路上を逃げる犯人が映っていなくても不思議ではない。
監視カメラに映る路上の風景など、画面の端に辛うじて見えるくらいだ。
しかし、その程度の事で抜かる俺でもなかった。
ここら一帯は高級住宅街という事もあってか、誰が取り付けたのか路上にも監視カメラが設置されている。
全範囲を網羅しているわけではないが、加藤氏の邸宅がある通りの両端はバッチリその監視下に収められていた。
その映像を手に入れた俺が確認してみた限り、犯行が行なわれたと思われる時刻には誰もそこを通ってはいなかった。
これはつまり、犯人は加藤氏のご近所さんという事になる。
ここまで来れば、俺でも犯人が誰なのか凡その検討は着いてきた。
後は詰めるだけだ。
その為には多少の犠牲を払う覚悟はしなければ……。
………………。
…………。
……。
二日後、俺は未稀さんと共にまたファミレスに来ていた。
「で、今日はどうしたの?」
仕事が溜まっているのか、未稀さんには少し余裕が無さそうに見えた。
おそらくまだ加藤氏の件が片付いていないのだろう。
「いや、例の事件についてなんスけどね」
「何か新しい情報でも仕入れたの?」
未稀さんがズイっと顔を近付ける。
「そうですね」
「なら、早速教えてほしいんだけど」
期待の眼差しが向けられているのは、それだけ俺の情報が信頼されているという事だろう。
「はいっス」
けれど、今回はその期待を裏切らせてもらおう。
――良い方向に。
「犯人が分かりましたっス」
「………………え?」
未稀さんの表情が固まる。まだ俺の言った事が理解出来ていないみたいだ。
「ええ!?」
数秒の間があって、ややオーバーリアクション気味に驚く未稀さん。あぁ、面白いっスね。
「それ、ホントの事なの?」
なんとか平常心を取り戻した未稀さんが再び俺に問い掛けてくる。もちろん、こちらの答えは変わらない。
「はいっス。ちゃんと証拠……というか辻褄合わせはしてきましたんで」
「まさか、本当に犯人を見つけるなんて……」
「俺も中々のものじゃないっスか?」
「そうだね……それで、結局犯人は誰だったの?」
「ああ、それはっスね、お隣のご主人っス」
「お隣のご主人っていうと、斉藤さん?」
「そうそう。斉藤隆文さん」
「確か、両家は家族ぐるみの付き合いがあって、関係も良好だって聞いたんだけど」
疑わしげに、未稀さんが俺を見ている。まぁ、まずは説明だ。
「そうっスね」
「じゃあ、どうして美咲さんを殺そうだなんて思ったの?」
「まぁ、原因は大きく分けて二つっスね」
「二つ?」
「はい」
俺はオレンジジュースを少し飲んでから、事件の経緯を話し始めた。
まず、事件が起きたそもそもの原因は、両家の関係が良好過ぎた事だった。
端的に言うと、美咲婦人は、お隣の斉藤隆文氏と浮気をしていたのだ。
浮気の切っ掛けなんてものは想像出来ないけど、理由はあった。
「未稀さん、美咲さんの身体に縄で縛られた跡が残っていたんスよね?」
「ええ。全身にね」
「似たような跡が、お隣の斉藤婦人の方にもあった事は知ってますかね?」
「え?」
未稀さんの表情を見るに、多分知らなかったんだろう。
しかし、それで警察の捜査力を貶める事なんて出来ない。
他人の性癖なんて、知ろうと思わないのが普通だし、まさかそれが原因だとは思うまい。
斉藤氏は“サディスト”だった。
普段はそんな気は見せないが、夫婦の間ではそのような行為が日常的に行なわれていたみたいだ。
初めての訊き込みの際、斉藤婦人の手に縄の跡を見つけた俺はそれが偶然とは思えなかった。
だから、昨日それを確認して来たのだ。
『その縄の跡ですけど、何かのプレイですか?』
と。
「大和君、君、勇者だね……」
未稀さんが呆れた顔で呟く。
「真っ赤な顔でビンタされましたっス」
そして、美咲さんは“マゾヒスト”だった。
これまではその性的嗜好を解さないパートナーとの行為で辛うじてその欲求を満たしていた二人だが、どういう偶然が起きたのか、互いの性癖を知った。
二人の間にどういう経緯があったのかは分からないけれど、とにかく二人はお互いが必要とし合っていることを認めた。
それから浮気が始まる。
美咲さんは邸宅に斉藤氏をよく招き入れていた。
元から婦人の方もよくお邪魔をしていたようで、近隣の住民もそれ程不審には思っていなかったようだ。
これに関しては、近隣住民から僅かだけど情報が得られた。
斉藤氏を家に招く際、美咲さんは監視カメラを切るようにしていた。見たところ、家に招き入れた後は監視カメラを再起動させていたみたいだけど。
浮気の現場を加藤氏に見つかるわけにはいかないのだから、当たり前と言えば当たり前だ。
事件当日も、裏口から斉藤氏を招き入れ、なんだかんだの末行為に及んだであろう二人は、状況から見て縄で美咲さんを縛り上げるプレイをしていたのだろう。
多分、それが二人にとっては当たり前の事で、万が一があるとは想像もしていなかったに違いない。
縛り方を誤ったのか、はたまた他の要因があったのか、美咲さんは自身を拘束していた縄で窒息死。
慌てた斉藤氏は縄を解いて人工呼吸でもして蘇生させようとしたのかもしれない。
けど、タイミングの悪い事にそこに加藤氏が帰宅した。
浮気現場どころか、殺害現場を見られたら言い逃れは出来ないと判断しただろう斉藤氏は、邸宅のブレーカーを落とし、裏口から脱出。
停電の際に監視カメラも落ちているから、その記録は残っていない。
さらに、斉藤氏の逃げる先はお隣の自宅だ。他の家の監視カメラや路上のカメラに移る事は無い。
後は自分の家の監視カメラの映像さえどうにかしてしまえば、証拠は無くなる。
こうして、犯人は忽然と事件現場から姿を消した。
「以上が事件の真相っスね」
「真相ね……」
未稀さんはコーヒーを一口飲む。
「それ、結局は大和君の予想でしか無いんだよね?」
「そうっスね」
「流石にそれだけで逮捕なんて……」
「けれど、これが事実っスよ?」
「いや、だから――」
と、未稀さんが何かを言おうとした時、未稀さんのスマホが振動した。
「ちょっと待ってて」
何やら仕事関係の電話のようで、通話が終わると、未稀さんは唖然とした顔でこちらを見て、口を開く。
「さっき、斉藤隆文さんが自首したって……」
「ホラ、言った通りっスね」
俺は余裕の笑みを浮かべて、オレンジジュースの残りを飲んだ。
「まったく……大和君は末恐ろしいね」
「お褒めに預かり光栄の極みっス」
「じゃあ、私は今から用事があるからこれで」
「はいっス。またその内」
未稀さんが去った後、少し置いて俺もファミレスを後にする。
外に出るとお日様が眩しくて、仕事へのやる気が湧いてくる。
「さぁーて……今日も頑張るっスか」
ちょっとした探偵気分を味わい終えた俺は、またジャーナリストとしての仕事に復帰した。
これは、俺のある数日間の話でしたとさ。
お終い。
SE7EN スピンオフ 『S氏とM』
お楽しみ頂けたでしょうか?
もしお楽しみ頂けたのなら幸いです。
原作である『SE7EN』ですが、自分はこの作品の設定が好きなので、また二次創作を書く予定です。
よろしければ、その際にも読んで頂けたら嬉しいです。