北の海の魔女 1.0~4.0
童話でーす。でも少し子供には刺激が強いかも。4.0以降は要注意。
1.0
あるところに男の子とその妹が住んでいました
二人には両親がいませんでしたが二人で仲良くなんとか暮らしていました
食べ物の無い日には隣のおばさんに、
薪の無い日には、向かいのおじさんに頼みに行きました
ある寒い冬の日のことです
どんどん、どんどん
家の戸をたたく音がします
薪を燃やして暖炉の近くであたたまっていた兄妹は突然の来客に驚きました
男の子が戸をあけるとおばあさんが立っていました
なんとなく異様なかんじのするおばあさんです
黒くて汚いローブに黒いとんがり帽をかぶっています
「なにかごようですか?」
男の子がきくと、
「そのこをおくれ」
とおばあさんは暖炉のそばの妹を指さしていいました
男の子はびっくりしすぎて声が出ませんでした
「文句はないようだね、もらっていくよ!」
とおばあさんが叫ぶとものすごい風がふいて男の子を吹き飛ばしてしまいました
「おにいちゃん、おにいちゃん!」
妹が叫んでいます
男の子は風が強くて動けません
「あははははは!この子はこの『北の海の魔女』がもらっていくよ!」
魔女はそう叫ぶと出ていきました
ようやく男の子が動けるようになったときもう魔女の姿は影も形もありませんでした
***
2.0
「ほんとうにいくのかい?」
「よしなさい」
「魔女は大人でもどうにもならないんだよ。ましてや子供が・・・・・・」
「ううん。行く。もう決めたから」
村の人たちがみんなで止めても男の子は行くと言って聞きませんでした。
「わかった。ではこのナイフをもっていきなさい。役に立つ」
村長が一本のナイフをもってきました
「ありがとう。必ず妹を連れて帰ってくるよ」
村人に見送られながらおとこのこは村をでました
3.0
***
「ねえ、きみは『北の海の魔女』ってしらない?」
「しらないよ」
おとこのこに質問された狐は首を振りました
「ねえ、きみは『北の海の魔女』ってしらない?」
「しらないよ」
おとこのこに質問された小鳥は首を振りました
おとこのこはあと何回かこの質問をつづけましたが誰も魔女のことを知りませんでした
「ねえ、きみは『北の海の魔女』ってしらない?」
道にひょっこり顔を出したもぐらに聞いたときのことです
「しらないけど、王様のいる町なら知っている人がいるかもしれないよ」
「そうなのかい?ありがとう!」
おとこのこは王様のいる町へむかいました
***
4.0
***
おとこのこが王様のいる町を目指して森の中を歩いていると、崖の下に一匹のオオカミがうずくまっていました
「どうしたんだい?」
おとこのこはオオカミに聞きました
「シカを追いかけていたら崖から落ちてしまったのさ。目をケガしてね。エサを食べてないからもう動けない。いまは死ぬのをまっているのだよ」
とオオカミは言いました
見ればその目には大きな傷があり、もうこのオオカミの目が回復することは無い、ということがすぐにわかりました
「どうにかならないのかい?」
「どうにもならないよ。目が見えないし、走れない。それとも君が私のエサになってくれるのかな?」
そうオオカミは言ってにやりと笑いました
「それはできないね。ぼくにはやることがあるから。これから王様のいる町に行くんだよ」
「王都へ?なら早く行きなさい。私にかまう必要はない」
オオカミはどこか満足したように寝そべりました
「ううん、エサをもってくるよ」
オオカミはおどろいてかおを上げました
「どうして私のためにそこまでするんだい?私を助けるということはほかのだれかをころすということだよ?」
「わかっているよ。ぼくはあなたを助けたくなった。それだけだよ」
そういうと男の子は再び森の中へ入っていきました
***
北の海の魔女 1.0~4.0