自由と予言
初の投稿、皆様に楽しんでいただけたらと思います。
○○25年 11月1日
帰り道、滝のような雨が体を濡らした。
しかし、彼は走ろうとも、帰ろうともしない。
今彼は、絶望という感情を味わっていた。
一人雨に濡れ、一人立たずむ道で。
11月1日
7時45分
「斗真!」
俺を誰かが呼んだ。
その男は、笑顔で近づいてくる。
彼は、俺の親友。
俺も笑顔で応えた。
「おはよう、仁。」
彼の名前は寺崎 仁。
おれの親友。
小学3年からの長い付き合い。
ちなみに俺は真花陀 斗真。
高校一年生。
「なんだよ、暗いなぁ?」
その問いには答えなかった。
理由は単純、今、ルービックキューブに夢中だからだ。
これは昨日、彼女にもらった物。
自慢じゃないが、俺には彼女がいる。
もちろん、俺から告った。
俺たちはカップルの中でも、超がつくほど仲がいいと言われている。
完全に自慢だな。
そんな彼女が昨日の誕生日プレゼントとしてくれた物がこのルービックキューブなのだ。
たいして興味の無かったもののやって見ると面白い。
改めて、彼女は俺のことわかってるなぁと思ったのは当然のこと。
「それ、面白いか?」
無視されてもなお、質問を繰り返す仁。
その後、5回ほど同じ質問をされ、いいかげん可哀想に思えてきたので、答えてやった。
「ああ」
と。
バスの待ち時間にしていた会話なので、バスが来たところで中断された。
ここでは仁は一言も話さなかった。
どこか悩むような顔をしていた。
俺は「たいしたことないさきっと」と自分に言い聞かせ、手元に視線を戻すとカチャカチャと、ルービックキューブを解くために手を動かし続けた。
後に仁に聞いた話だか、あまりにもうるさくて、周りの客に睨まれていたらしい。
8時15分
キーン、コーン、カーン、コーン。とチャイムが鳴った。
学校、定番のチャイム。
いつも通り、早く来ている仁と斗間は平然と席に座って話していた。
昼の事。女の事。授業の事。放課後の事。
どこの高校生でも話してそうな内容。
他の席に座っている人もみんなそう、楽しそうに話している。
ちなみに、仁の席は斗間の前。
斗間の右隣りは彼女であり幼馴染の上野李夏(うえの りなつ)。
李夏は今日は何も話さない。
いつもはニコニコ笑っているのに、今日に限って暗い。
斗間は自分が何かしたかと思い、「どうかした?」と聞いて見たが、李夏は首を横に振るだけで何も口にしなかった。
だから、斗間は仕方なく仁と話しているのであった。
担任の牧野(男性)が教室に入ってきた。
深刻そうな顔をしている。
生徒達は、先生が入って来た途端に静かになっていた。
静まり返った教室に、牧野の低い声が響く。
「皆さんにお伝えしなければいけないことがあります。
いいですか、よく聞いてください。単刀直入に言います。今日、午前3時ごろに古佐秋菜さん(こさ あきな 男性)が亡くなっているところが、発見されました。」
その言葉に生徒の誰もが考える事ができなくなってしまっていた。
○○25年 11月1日
8時25分〜
誰も言葉を口にする事ができない、いや、しなかった。
突然の牧野の言葉は、想像を遥かに越えるものだったが、頭は冷静だった。
ここで泣いたり、騒いだりした所で無意味な事を知っていた。
仁は冷静にゆっくりと2つ聞いた。
「本当の事ですよね?どうして、亡くなったんですか? 」
それに対しての答えは、
「酸素欠乏症になったためだ。」
とだけ短く答えた。
酸素欠乏症。つまり、酸欠。酸素不足。
生徒達はその言葉を聞き、皆同じ事を考えた。
酸欠になるには溺れるか、首をしめられるか、喉にものを詰まられるしか考えられない。
首をしめた場合は殺人だ。
そこそこ考えたが、自己判断では事実を知る事が出来ないので、牧野の言葉を待った。
しかし、牧野は「自習」とだけ言い残して教室から出て行ってしまった。
他のクラスの担任も同じように、出て行ったらしい。
その後、先生方は職員室に昼休みまでこもっていた。
その間、生徒達はいつにもまして、静かに自習してたのであった。
もちろん疑問はたくさんあったが、考えないことが一番よかった。
しかし、校門の前に集まるマスコミで、事故ではない事は明白だった。
12時45分〜
自由と予言
私、大変忙しいため、一日にちょっと書く、と言うペースで投稿していきたいと思っています。
まだ、最初であまり読む人もいないと思いますが、そこのところ、よろしくお願い申し上げます。