電脳戦機バーチャロン  ~漆黒の闇・V.C.00a6~

 長らくお待たせしましたが(待たれていないor忘れられている気もしますが)プロローグを暫定追加いたしました
諸事情あって、一年近く執筆活動できない環境になってしまい、更新がどうしようもなく遅れてしまいました

個人的な環境はあまり改善されていないのですが、執筆活動は十分に出来る状態にはなっています
色々と多忙で放置してしまっていたのですが、執筆したいという思い事態は未だに持ち続けています
ですので、暫定、という形であってもアップさえしていけば・・・と思い立って、書きかけだったプロットを急遽読める程度に仕上げた次第です

現状では、良く推敲されていない文章になっているので、見苦しい点などが目立つと思いますが・・・漆黒の闇、いよいよ再開です

プロローグ

プロローグ

予想外の光景に少しだけあっけに取られてしまう
「非公式なベースなのに、設備が大きくて驚いたかしら?」
俺をこのベースに誘った女、カレン・デュカキスと名乗った女がそう言ってくる
赤毛の、利発そうなヨーロッパ系の女性だ
とある組織の仲介人をやっているという話だった

「非公式、というのは建前だからね、ここの場合。大きな声で言えないけれど、いくつかのプラントからの支援も入ってるし、ね」
そう言われてから、もう一度ベース内を見渡してみる
今までいくつもの戦場を渡り歩いて来たが、ここまで大規模なベースはあまり見たことが無い
軽く見回しただけでも、大型VRキャリアー5、資材搬送用輸送機6。奥に見える格納庫には、多種多様な数十機のVRが置かれている
非公式、という建前があるだけあり、奥まった場所には見慣れないタイプのVRも数機あるようだ
「で、戦闘内容その他の条件は……先に渡しておいた書類通りになんだけど…」
カレンは手元に持ったいくつかの資料から、以前に渡された契約書のコピーをこちらに見せてくる
重要な部分の確認、といった所だろう
「分かっている、ここで行われた事は、契約期間終了と共に"忘れろ"だろう?」
「ん、そういう事だけどそれに異存は?」
特に、といった素振りを見せる。余計な詮索をする気は無いし、されたくもない
カレンはそれで納得したらしく、手振りで付いてくるように指示すした

「でも、意外ね」
格納庫の前を歩きながら、カレンが声を掛けてきた
「何がだ?」
「元DNA所属って報告にあったから、こういう仕事は請けないと思っていたから」
カレンは少し複雑そうな表情を見せる。元の所属の事など、特に関係がないようにも思うのだが
「請けないと思っていて声を掛けたのか?」
「正直、半々ってところかしらね」
妙な物言いだ。何か言い知れぬ違和感を感じたのだが、カレンはそれ以降黙り込んだまま歩き続ける


「一応確認、この仕事の優先順位は、あくまでもVクリスタルの確保になるわ」
格納庫を少し過ぎた辺り、丁度3機目のキャリアーと格納庫の中間辺りでカレンは一度足を止め、口を開いた
「つまり、不用意な戦闘は避けて欲しいって事ね。そこはOK?」
首を縦に振り、理解している旨を伝える。カレンは手元の資料を見ながら、いくつかの伝達事項を読み上げていく
「以上が契約内容になるわね。まあ、他の場所と違って、プライベートでの制限は特には無いのだけど、現地で色々と決まりごとがあるから、それだけは守って頂戴。あそこの環境は他所の戦場とはかけ離れているから」
「…しかし、レイニーヴァレー、雨の谷か……」
呟きながら空を見上げる。夜が近付き、黄昏はじめた空は、若干の雲が掛かっているのが見える。だが、雨が降りそうな素振りはない
そもそもろくに雨が降らない事がテラフォーミング計画失敗の原因の一つなのだから当然と言えるのだが
「その名前はね、ある種の皮肉めいた名前よ。それも現地に行けば分かるけどね」
こちらの呟きが聞こえたらしい。少しだけ、悪戯っぽい笑顔をこちらに向けてくるが、すぐに元の顔に戻る
「ん…作業はあらかた終わっているようね。現地まではこのキャリアーで行ってもらうわ。あなた用のVRも、既にキャリアー内への搬入が終わっているから、現地で確認して頂戴」
この場で確認できない事に多少の不満はある。が、あちらにも事情があるのだろう
「…了解だ」
渋々ながら同意する
「あぁ、あと…」
何かを言いかけて、そこで言葉を止める。言うべきか言わざるべきか、戸惑っているようにも見て取れた
「ん?」
「……いえ…いいわ、次に会った時で。どうせまだ…」
そう呟きながら、キャリアー方向へと歩いて行く
妙な含みのある言い方だったが、こちらから質問しても答える気はなさそうだった。気にはなったが、諦めて黙って着いて行く
暫く歩いた後、数機あるVRキャリアーの前で立ち止まった。キャノピーのすぐ傍に2057とある。どうやらこれが目的のキャリアーのようだ
カレンは二言三言、パイロットらしき男と話をすると、これがあなたの乗るキャリアーだと言い残すと、素っ気無く立ち去って行った
どちらかと言えば人懐っこい性格に見えたので、そこに違和感を感じはしたが、気にしても仕方がない事だろう

俺はパイロットに案内され、機内へ入っていく。VR格納庫の前方にあるキャビン内は、予想していたものと違い、内装も良く清潔で、居心地は悪くなさそうだった
今回のフライトに、他のVRパイロットはいないらしく、ご自由にお使いください、とパイロットから告げられる。10人乗りのキャビンを一人で使うのはやや気が引けるが、言っていても始まらない
特にこだわりがある訳でもなく、適当に目に付いたシートへと腰を掛け、出発を待った



「准尉、ご気分はどうですか?」
ベースを出発して約1時間経った頃、不意に背後から声を掛けられた
乗り込む前に、この機のメインパイロットをやっていると名乗った男だ

特に興味が無い、といった視線を無言で男に返すと、男は軽く笑って機の前方へ歩いて行く
どうやら、こういった人間の扱いは十分に分かっているようだ
ふと、窓の外に目を向けると、いつもと代わり映えのしない、火星の赤い大地がただ延々と続いているのが見えた

「ステルス飛行で公式区域を避けていきます。ですので、予定ポイント、レイニーヴァレーまでは6時間ほど掛かります」
ベースで機に乗り込む際に、パイロットの男が言っていた台詞を思い出す
目的地への到着まではまだ時間が掛かりそうだった
起きていても特にやる事もないので、シートを倒し、そのまま目を閉じる
どうせ眠れはしない。そう分かってはいるのだが、一々声を掛けられるのが面倒なだけなのだ



機内にはエンジン音だけが鳴り響く
目を閉じたまま、深く落ちる事は無い意識の中で、いつも自分でやっている問答を無意識に繰り返す
なぜ、また戻って来てしまったのか
自分が戦場に居る理由など既にない。そう、その筈なのだ
なのに自分は戦場にこうして戻って来てしまった

DNAは既に形骸化しているし、憎み続けたRNAも、結局全ては茶番でしかなかったのだ
それを知って、なぜまた戦場に戻ってしまったのか

導き出せる筈の無いその答えは、もうすぐ見えるようなそんな気がしていた

電脳戦機バーチャロン  ~漆黒の闇・V.C.00a6~

電脳戦機バーチャロン  ~漆黒の闇・V.C.00a6~

電脳戦機バーチャロン二次創作、 漆黒の闇 -V.C.00a6- 電脳戦機バーチャロンフォースの時代を舞台に、表舞台に決して現れることの無かった戦いを描く長編小説”漆黒の闇” 火星圏ではあまり降る事の無い雨、その名のつけられた非公式エリア、レイニーヴァレーで繰り広げられる戦いに、一人の男が降り立つ。 そして・・・そこで繰り広げられる戦いが呼んだものは何なのか。 運命に導かれた者達はそこで何を見るのか、漆黒の闇の夢は何を意味するのか。 今、歯車が回り始める

  • 小説
  • 掌編
  • アクション
  • SF
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-12-11

Derivative work
二次創作物であり、原作に関わる一切の権利は原作権利者が所有します。

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