俺のちょっと変わったお友達達 かおり編
「川の字の◯◯◯の巻」
彼女は、彼と同棲を始めてかれこれ三年が経ち、気心のしれた彼には、
何も隠すことはないらしく、円満な同棲生活を送っていました。
女友達もそんな二人の中が羨ましいとよく言っていました。
彼女の今日の話を聞くまでは…
今日は、久々の同窓会。
昔話や近況報告で盛り上がっていました。
お酒も入って気分もハイになってきた、そんな中、
またまたバカな話の口火を切ったのは、俺だった。
「そういえば、この前ニラのたっぷり入ったもつ鍋を食べたのね。
そんで、次の朝、便所で大きいのをしたら、角が生えてるのよ。ツノが!」
とここまで話をすると大体の奴は、
「汚いなー」とか
「飯食ってるんだから、やめろ」なんてことになるんだろうが、このテーブルにいるメンバーは
全く反対でテーブルから体を乗り出さんばかりに俺の話の続きを聞きたがっている奴らだったので、
俺は話を続けた。
「マジで、ふんばった後の一物(いわゆるウンチ)をポコチン越しに見たら、突起物が出てて、
本気で『カブトムシがいるー!!』って、俺マジで焦って、お尻も拭かずに半ケツのまま、
逃げ出そうと思ったくらいだもん。
でも、そんな訳ないし、もう一度落ち着いて見たら、昨日食べたニラの茎が消化されないで、
そのまま出てきて、何かのはずみで、ウンチから飛び出ちゃったんだよな。いやー、本当に
カブトムシそっくりでさー。」
なんて話してたら、かおりが
「私もこの前すごいのしたの。」と口火を切った。
普通の女性であれば、自らのウンチ話をすることなどあり得ないけど、彼女は、ある意味男より男らしい?
所があって、そして全く恥ずかしいということを知らないタイプの人間だった。
「私のは、漢字だよ。川の字を漢字でかいたの。しかも、筆で書いたように払いや止めまで完璧だったから、
流すの勿体無くって、誰かに伝えたくって。それでね、あいつ(かおりが同棲してる彼)が朝帰りで寝てたから、
起こしに行ったのよ。」
そこで直子が
「ちょっと待って。流さないでそのままで、起こしにいったの?」
と聞くと
「当たり前じゃない。だって、すごい綺麗な川の字だよ。しかもお尻拭いたティッシュがその字にかぶらないようにしてさ。
大変だったんだから。」少し誇らしげにかおりは話をしていた。
そんな、かおりの訳のわからない話に
「バカじゃないの。何が綺麗な川の字だよ。ただの三本糞だろ。」
と伸一が言い放つと、かおりは、まるでで外国人が”オーマイゴット”と言う時のような、仕草をしながら、
「本当にわかってないなー。あれは、沢山の奇跡が重なって、生まれた芸術作品なの。」
と真剣な顔で反論していた。
「で、彼は、見てくれたわけ?」俺が聞くと不満げに
「それが朝帰りで寝てるところ起こされて、理由を言ったら、急に怒り出しちゃって、あいつも、伸一と一緒で芸術を
理解してないんだよな。それから私、3日あいつと口をきかなかったもん。」
アホなカップルだと思いながら俺は、
「本当にお前の彼は、かわいそうだな。というか、お前みたいな奴と付き合ってくれるすごく変わったというか、貴重な人だな。」
そんな言葉にかおりは、また不服そうに
「なんでよー。私と付き合えるなんて幸せ者だと思うけど。」
と言った。
どこまで自意識が高いのかと思った俺は、
「お前なんかと付き合ってくれるなんていい人だよ。もう一生そんな人、出てこないと思うから大切にしろよー。
三本糞見てくれなかった位、大目に見てやれよ。」
と呆れながら言った。
話がそれてきたところで直子が話を戻した。
「で、そのうんちってどうしちゃったの?」
かおりは、少し悲しい顔で
「誰も見てくれる人いないから、しょうがないから流しちゃったよ。でも本当は、写メ撮ったんだ。見る?」
と俺たちに携帯電話の画面を見せようとした。
俺はかおりから携帯電話を奪い、電源を切りながら、
「やめろ、絶対にやめろよな。俺たちは絶対に見たくない。」
とかおりの行動を阻止した。
かおりは、残念そうに
「やっぱりなぁ、みんなどうして見てくれないかなぁ。」
とかおりは、悲しそうな顔をした。
俺は、
「当たり前だろう。なんで同窓会の席で同級生のうんこを見なくちゃならないのよ。」
と言うとかおりは、少し大きな声で
「だから、ウンチじゃないんだって。見てみれば、わかるよ。あれは、れっきとした芸術作品なの。」と反論した。
俺は、かおりの声に感化されて、輪をかけて大きな声で
「だから、何度も言うけど。ウンチはウンチだってば。」
と叫んでしまった。
その瞬間、ヤバイと思ったが、俺の声は、店中に響き渡り、一瞬店内が静まり返った後だった。
そのあと、俺は、冷たい視線を浴びることになった。
そして、店長らしき人から
「もう少し、お静かに、それから飲食店ですので、あまりそのような言葉は...」と説教をされ、
俺は頭を下げ謝る羽目になった。
あれから、何年も経つがかおりは、まだ、携帯電話にその芸術作品を貯蔵しているらしい。
絶対に見てやるものかと、毎年携帯電話を奪い合いながら、俺たちの同窓会は、続くのであった。
俺のちょっと変わったお友達達 かおり編