わすれもの

ご飯粒が頬にひっついている
何度もご飯を聞いてくる
トイレがうまくできない
排泄時は格闘になる
しばしば徘徊する
そのくせ道に迷って帰れなくなる
私の顔を時々忘れる
しまいには泥棒扱い
でで行けと言われる

ああ
優しく強い
母親はもう死んだのだ

それでも
そうだとしても
私の母なのだ

治らないと分かっていても
あの頃の彼女が戻ってくる
淡い期待と
これからの絶望を胸に
今日も母と戦う

わすれもの

わすれもの

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-12-10

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