美女と動物の王国

美女と動物の王国

第1章 武器屋の主人と娘たち

あるルイールという町に武器屋の主人がおりました。
主人の名前はルアン、ルアンには三人の娘がおりました。
母親は3人目を生んですぐ、病に倒れ亡くなってしまい、
父1人、娘3人の4人でくらしておりました。また、家には
1匹の犬がおりました。
剣や槍を拵えては売り、また武器の修理などを引き受けてお金にしておりました。

ルアンの腕は確かなもので遠い町や国からも注文がきたり、はるばる身に着けている武器の修理に訪れたり
するものもおりました。
ただ、弟子のダンと主人のルアン二人だけだったので武器のつくる
数も限られており多くはうけることができず、生活はそんなに楽ではありませんでした。
それでも、4人力合わせて手伝いをしながら切り盛りしておりました。


ルアンの娘3人は町では評判の美人姉妹といわれておりました。

やがて一番目の姉フリーダは弟子のダンと結婚しダンも早くに両親を亡くして一人だったため
ルアンと三番目の娘フローラと暮らすことになりました。また、
二番目の姉リリーもまもなく結婚することになっていました。

ルイールの町から少し離れた国から武器の修理に訪れたお城の家来に見初められ、
結婚することになりルイールの町を出て行くことになっていたのです。

三番目の娘フローラは姉妹の中でも一番美しかったのですが、母親に育てられたおしとやかな姉はとは違い、
好奇心旺盛でおてんばなところがあり、また少し変わっていると町の人からは一歩距離をおかれていたのです。
とはいうものの、父親思いの優しい娘でした。

フローラにはあまり友達はおらずいつも家で飼っている犬のペスとともにおり
そして,なぜか町の動物たちといつも会話していました。

不思議なことに動物たちはフローラが挨拶をすると答えるように鳴き後をついていくのでした。
また、フローラは知りもしないことをよくしっていました。
近所にすむ靴屋のおばさんがおでこに大きなたんこぶをつくって、フローラが「あら?おばさまその大きなこぶどうされたの?」
と聞くとおばさんは苦笑いして「これは階段でころんだのよ」といおうとしたところ、
足元にいたおばさまの飼ってる猫をみてフローラが先にクスクスと笑い「そうなの、おばさままたおじ様と喧嘩して靴をなげられたのね」
それをきいておばさんは気を悪くして家に入ってしまいました。

それ以外にも花屋のお兄さんがずっとリリーに好意をもっていたことや
空き巣に入られて指輪を盗まれたと騒いでいたパンやの奥さんが実はパンと一緒に指輪をこねてしまったなど誰もわかりえないことを
知っていたりするのでした。

そんなフローラを町の人々は少し気持ち悪く思うこともあり必要以上にはかかわろうとしなかったのです。
なので美しくはありましたが,フローラを誰もお嫁さんにもらおうとはしなかったのでした。

二番目の姉のリリーがけっそうをかいて家に戻ってきていいました。
「フローラ、あなたまた余計なこといったのね!町のことや人の家のことを色々さぐるのはおよしなさい。
 靴屋のおばさまが通りすがりにフローラははやっぱり人の家の中をのぞきみしてるとかぶつぶつ
いやみをいってきたじゃない」

フローラはいいました「あら、リリーお姉さま。人聞きが悪いわ。私は別に色々さぐってなんかいないわ。
おば様のかっている猫のミルがいろいろ私に教えてくれるから、おかしくて思わず口にしちゃっただけよ」

「困った人だわ・・・お父さまからもなんとかいってちょうだい。結婚式なのに変なうわさでもたてられたら困るわ」とリリー
は腰に手をやりながら怒り口調で言いました。

お父さんは少し笑いながら言いました。「ははは、そうかミルが色々教えてくれたのなら仕方ないなあ」

それに対し、「おとうさま!」リリーはまた怒り口調でいいました。
分かった分かった、フローラ色々耳に入ってくるのは分かるでも、人様に迷惑をかけてはいけない。」

「はーい。お父様、リリーお姉さまもごめんなさい。私も気をつけるわ」カレンは半分舌をだして反省していいました。

リリーはため息をついて困った顔をしていいました
「もう、神様もどうしてあなたにそんな変な力をさずけたのかしらね~。いい、私はもうすぐここを出ていくけど
お父様やフリーダお姉さまたちにあまり迷惑かけないでね。」
そういってまた家をでていきました。

部屋の奥のお店の方から一番上の姉のフリーダがでてきて言いました。
「あらあら、リリーはまた怒ってでていっちゃったのね。
フローラ私たちは別に迷惑なんてかけられてないわよ、ただねあなたのそのさずかった能力をもっと大切にして違ったことに
使うようにしないとだめよ」

フローラは机にひじをついて何か考えるように言いました「違ったことね・・・・。はーい」

そう、フローラには不思議な力がありました。なぜか幼い頃ある時から動物と話すようになり、動物がいってることや動物の気持ちがすべて理解できるようになったのです。
それからというもの町にいる動物たちもフローラと話せることがうれしくて、フローラを見るとついついいろんなことをお話してしまうのでした。
フローラもまたそんな動物たちの話を聞くのが大好きだったのです。

ルアンと姉の二人はそんなフローラでしたが、末っ子ということもありとても可愛がっておりました。


リリーの相手はガルダといい、ルイールより少し南の方にある小さな王国エスファバーン王国
のお城の一番の家来でした。そこで王子様の申し出で後日エスファバーン王国のお城で結婚式を行うことになっておりました。

リリーは結婚式の前日にみんなより一足先にエスファバーンに向かいました。
エスファバーン王国では、結婚式の準備で大忙しでした。エスファバーン王国の人々もお城で結婚式が行われるのは
初めてだったため前日からお祭りのような賑わいでした。

そんな中、お城にはエスファバーン王国では魔術師といわれるほどの腕をもつ占い師マリーンが訪れて
おりました。マリーンは少し小太りなおばさまでとんがった帽子をきていつも手には大きな
水晶を持ち歩いておりました。マリーンのもつ水晶玉に映し出されたものはよくあたり、
町やお城に災いが起こらないよういつも水晶で様子を見ておりました。
何かあるとすぐお城に出向いていました

その日王子様は任務のため家来ガルダと共に外にでており、王様のロペス王とお后様キャロラン王妃と複数の家来たちだけでした。
王様はマリーンにいいました。
「マリーン、どうした?何かすぐれない顔をしておるが、何かあったのか?」

マリーンは答えました「ええ、王様。私の水晶玉に数日前からずーっとあやしい影が映っております」
「怪しい影?」王様は問いただしました。

「王様、無理は重々承知で申し上げますが。明日行われる結婚式を取りやめることはできませんか?何かよからぬことが起こるような気が
してならないのです」マリーンは申し上げると。

「結婚式をとりやめる!!何をいっている結婚式は明日だぞ、準備もちゃくちゃくとすすんでおる。
今回の結婚式は王子がいつも共をしている家来ガルダを思う心から決定したことだ王子のめんつもある
いまさらとりやめることはできん!!それにあやしい影とは具体的になんだ?どんなことが起こるというのだ」
マリーンは少し困った顔をして答えました。
「水晶にはあやしい青白い影と水
なぜかたくさんの動物が嘆いてる姿が見えるのです。わたくしにも何を示しているかまでは把握できませぬが、
水晶は正直です何かあるということを示しているのです。」

とお后さまのキャロラン王妃が今度は答えました。「マリーンわざわざ知らせにきていただいてありがとう。
でも、王子のめんつもそうですが、結婚式を楽しみにしているガルダやそのお嫁さんとなるリリー
にも申し訳がたちません。また、遠く離れた町からリリー
のご両親やご家族の方もこられるのです。その人たちに今更やめるなどというのは
告です。結婚式はこのまま行います。お城には家来たちかたくさんいますし厳重な警備をしております。きっと大丈夫です。」
そして、王様とお后様は何より警戒心の強い王子だったので、水晶玉に映し出されたことは王子やガルダたちに伝えないように
言いました。   
マリーンは「そうですか、分かりました王様とお后様がそこまでおっしゃるのでしたら・・・。
私も明日何かありましたらすぐお伝えいたします。」そういってマリーンはお城をさっていきました。

次の日ルアンの家には朝早くからお城の使いが迎いにきておりました。
お城からの使いがくることはルイールの町では珍しいことでしたので、ルアンの家の周りに
ルイールの町の人が集まっておりました。
フローラはなぜかそわそわしていました。
一番目の姉のフリーダはいいました、「カレンあなたさっきから何そわそわしてるの、まるで
あなたが結婚するみたいに少し落ち着いたら?」
するとフローラはいいました
「だって、お姉さま。お城よ。王子様にも会えるのよ、落ち着いていられないわ!」

エスファバーン王国の王子様はとても勇敢で美しい王子様とうわさされておりました。
フローラははお城の王子様に会えるのがとても楽しみだったのです。
フリーダはくすくす笑いながらまたいいました「ふふ、そうね~。でも王子様は私たちの
ことなんて見向きもしてくれないわよ~その王子様のご家来様と結婚できるなんてリリーは運がよかったのね」

フローラはすねるように「そんなことわかってるわよ~、お姉さまの意地悪」
ルアンが笑いながら「さあ、私たちもそろそろエスファバーン王国に向かおう。お城の方を
待たせてはいけない」
そういってルアン・フローラ・フリーダ・ダンの4人と犬のペスもおいてはいけないので一緒に連れて馬車にのりエスファバーン王国に向かいました。
町の人たちはいつになくルアンたちに「気をつけてね」「リリーによろしく」と声をかけました。

エスファバーン王国につくと大きな門があり門番がおりました。王国ではお城で
結婚式が開かれるということで大賑わいでした。馬車が門を抜けると町の人たちが大勢
道の端に並んでいました。まるでお祭りのような賑わいでした。

フローラはなぜかうれしくなって、馬車の窓から手を思い切り町の人たちにふりました。

それを見てフリーダは「フローラ、およしなさい」と恥ずかしそうにいうのでした。
しばらくするとまた門が見えました、門が開くとそこには大きな白いお城がありました。
お城扉をあけるとそこはとても広い大理石の部屋があり赤いカーペットでしきつめられていて、立派な石造が何体かあり
大きな階段がありました。フローラはまた感動して声をだしてしまいました「なんて、すてきなの~、まるでおとぎ話みたい」
と赤いカーペットの上をくるくる踊りまわりました。一緒にいたペスもカレンと一緒になって吠えました。
「ねーペスもそう思うわよねすごいわ!本当にお城よ~。」
ルアンとフリーダたちは困ったようにいいました「これ、フローラ・ペス、やめなさい・」

すると階段の上から「はは、元気なお人だ。ようこそエスファバーン王国へ。」と若い男の人の声がしました。
すると、一緒に門からついてきていた門番が頭をさげ「われら王国の王子、アレン王子でございます。頭を
お下げください」
ルアンとフリーダ・ダンはあわてて頭をさげ、フリーダはフローラの頭をおして「ほらあなたも頭をさげなさい!」と
無理やり礼をさせました。
「かまいません、頭をおあげください」王子はいいました
その言葉を聴き4人はそーっと頭をあげました。

するとそこには身なりのよい腰に剣を携えたなんとも美しい王子様がたっておりました。

フローラはあまりに美しくりりしい王子様を見てポーとなってしまいました。それと同じようにアレン王子はフローラをじっとみて
「あなたがフローラだね。なるほど、うわさに聞いていたとおりの美人姉妹だ。リリーももちろんだが、お姉さんのフリーダも美しい」といいました。
フリーダはドレスの裾を両手持ちかがみながら「光栄ですわ、王子様」といいました。
フローラは「あら?どうして私がフローラだってわかったのかしら?」と聞くと「あなたのお姉さんのリリーから
楽しい娘さんだとお聞きしていてね」と王子はすこし微笑んでいいました。

フローラは真っ赤な顔をして「まあ、リリーお姉さまったらそんなことを!」と少し恥ずかしそうにいいました。
アレン王子は家来に結婚式の広間に案内するようにいいました。家来は「犬は広間にははいれませんので別の部屋につれていくことに
なりますがよろしいですか、悪いようにはいたしません。犬を嫌う婦人もおりますので少しの間鎖につなぐことになりますが」というと
フローラは「かまいませんわ。ペスごめんね、結婚式の間だけの我慢だからゆるして連れてこたれただけでもいいと思ってね」といってペスにいいつけました。
ペスは答えるようにおとなしく座り、家来につれられ違う部屋にいきました。家来はその様子を見て「なんて聞き分けのよい犬だ、育て方がよかったのであろう」
と言うとフローラは少しクスクスと笑いました。


広間に入るときれいに着飾った婦人や男性がたくさんおり
、真ん中の長いテーブルにはたくさんのご馳走がならんでおりました。
広間の奥には王座のようなものがありそこには王様とお后様と王様の横にはとんがった帽子をきた一人の少しこぶとりなおばさん、
占い師のマリーンが立っておりました。

ルアンは言いました。「リリーはすごいお方にに見初められたようだね」それに続いてフリーダとダン・カレンもうなずきました。
ルアンたちは王子様とともに王座のそばまでいき、王様とお妃さまにあいさつをしました。
王様とお妃さまはにっこり笑って声をそろえていいました「遠いところからわざわざ来ていただき誠に光栄です、どうぞ今日は盛大にお祝いいたしましょう」
ルアンたちが敬礼していると音楽が流れました。

音楽がながれると扉から真っ白なドレスで着飾ったリリーとがっしりとした体つきをした家来のガルクが腕をくみ入ってきました。
フローラは「リリーお姉さまとても素敵!」と声に出しました。
リリーとガルクはルアンの前に立ちガルクはひざまつきました。
「お父様・他の方々はるばる遠いところまでお越しいただきありがとうございます」といい、ルアンは「こちらこそ、あなたさまのような立派な騎士と
結婚するリリーは幸せものですどうかよろしくお願いいたします。」リリーは涙ぐみながらガルクと腕を組み王座のほうへむきました。
すると、アレン王子が王座に立ちワインの入ったグラスをかかげいいました。「今日は私の大切な仲間ガルクの結婚式だ。すばらしくめでたい日みなのもの
盛大にやってくれ」そういうとみんな音楽に合わせて踊り始め、リリーとガルクもダンスをし始めました。

ダンとフリーダもつられ踊りはじめました。フローラは「お父様、おどりましょ」といいルアンの手を引っ張りました。
ルアンは「フローラ、私は踊ったことなんてない無理だ」とあわてて断たものの、「大丈夫よ!自由に踊れば」と無理やり踊り始めました。

しばらくすると、周りがざわざわして一瞬音楽が止まりました、アレン王子が王座から降りてきたのでみんな敬礼をしとまったのでした。
そしてアレン王子はフローラの前にたち「フローラ、私でよければ踊っていただけませんか、ルアンお嬢さんをお借りしてよろしいですか」とフローラに手を差し出しました。
「え?私」フローラはルアンの顔をみて、ルアンはそれにうなずきました「私の娘でよろしければ」。フローラも同じように
「王子様、わたしなんかでよろしかったら」そういってアレン王子の
手の上に手をそっとのせるとまた演奏がはじまり王子とフローラは踊り始めました。それにつづいてフリーダたちも踊り始めたのです。
カレンは(王子様と踊れるなんてなんて素敵なんでしょう)と思い胸がどきどきしながら夢のような気分で踊りました。

その姿を見ていた王様がつぶやきました「ほほう、今までいろんな国や町の娘を招いたが。王子が自ら手をさしのべて踊った娘ははじめてだな」
それに答えるようにお后さまも少し微笑みながら「ええ、ほんとうですわ。めったにないことですわね」

王座にいた占い師が王座からおり手に水晶をもちりきょろきょろしていました。それをみた王様が
「マリーンどうした?」マリーンはいいました。「やはり、邪悪な気配が先ほどから水晶にうつっております。何事もなければよいのですが」
王様は近くにいた一人の家来を王座に呼びお城に怪しいものがいないか厳重な警備をするように伝えました。

そんな中、一人の紫色のショールを顔にまっとった女が一人結婚式に混じっておりました。
女は少しの間広間で結婚式の様子を見ておりましたが、広間を抜け出しそそくさと
お城の中をかぎまわっていました。
一人の通りかかった家来がその様子をみて女の前にたち「ご婦人何かございましたか?」と問いただすと
「迷ってしまったもので」と女が答えると女は家来の目に手を覆いました。すると家来は
女の前に力がぬけたようにひざまつきました。女は家来に「この城にこの国の水路といわれる
ため池があると聞いた。その場所を教えておくれ」すると家来は「はい、この廊下をまっすぐいった
ところに白い石造がありその奥の扉を開けると大きな部屋があり、部屋の奥の扉を開けるとため池のある庭にでます」とまるで操られるように答えました。
「ありがとう」と女が手をはなすと、家来は座り込んで眠ってしまいました。

石造のおくの大きな扉を開けると部屋には犬のペスがおりました。ペスはテーブルの端に鎖につながれペスの前にはご馳走がおいてありました。
ペスは眠っておりました。女はそろっとペスがおきないよう奥の扉にむかいあけました。そこにはなんとも緑豊かで美しい庭と大きな池がありました。
女は胸元から小さな瓶を取り出しました、瓶の中にはには紫色の液体が入っておりコポコポと泡を立てておりました。
女はその小瓶の中の液体をそのため池にとぽとぽこぼしはじめまた。ため池は一瞬紫色になったかと思うと元のすきとおった池になりました。

そんな時、犬の鳴き声がしました。隣の部屋で眠ったいたペスが目をさまし女を見て吠えたのです。女はおどろきそそくさとペスの前に
いくと「ええい、忌々しい犬め」といってまた家来と同じようにペスの目の前に手をやりました。するとペスはまた力が抜けたように座り込み
眠ってしまいました。吠える犬の声を聞き二人の家来が駆けつけましたが部屋にはすでに女はおらず、眠っているペスを見て周りを見渡すと何事もないと分かりすぐに部屋をでていきました。
さっきの眠らされた家来が「あやしい女を見た」というので家来が警戒しておりました。

そんな中、リリーの結婚式が終わりを迎え、着飾った婦人や紳士たちも城の外へでていくところでした
女はそれにまぎれてショールをまた顔にまとい分からないようお城をでていきました。

お城を出て行ったあと女はショールをはずしました、女は白く青い色のした髪の毛をしていて、
女の左ほほには大きな傷がありました。誰もいないお城の端でお城を眺めながら大きな声で笑いました、。

「これでよいこれで、水よどんどん町に流れるのだ2日もたてばすべての者の口に入るだろう。王子も城の皆も町の皆も
みんな無能な動物にかわるがよい」
女はなんとエスファバーン王国を滅ぼそうとたくらんだ魔女ヴィクトワールだったのです、ため池に流した液体は魔術のかけられた液体でした。

結婚式を終えたルアンたちはお城の玄関となる部屋、王子様やお后様と一緒にいました。
お后様はルアンたちにいいました。「せかっく遠くから来てくださったのに、もう少しエスファバーンにいていただいてはいかが
でしょうか」王子様も「そうです、ぜひこのお城にお泊りいただければ」そういいましたが、ルアンはいいました「
いえ、ありがたいお言葉ですが。わたくしどもには仕事がございます。

頼まれた武器の修理もございますのでこれで失礼させていただきます。

どうか娘のリリーをよろしくお願い致します」そういうと「そうですか」
そういうとリリーがペスを引き、ガルダは数本の武器を抱えてやってきました。

王子は自分の腰にさしている剣とともに武器をルアンに差出し「ルアンどうかお願いです、この古びた武器たちと私の剣をあなたの手でよみがえらせてはいただけませんか
時間はかかってもかまいません」そういうとルアンは「10日ほどいただければなんとかできるかと存じます。ありがたくお引き受けいたします」
リリーがつれてきたペスはなぜか興奮状態でリリーは「フローラペスをお願い。なぜかさっきからペスの様子がおかしいのよ」

フローラはペスをなでて「ペスどうしたの?少し落ち着いて・・・何かあったの?」と聞くとそれに答えるようにいつになく吠えました。
フローラは「え?女の人が池にいたの?それがどうかしたの?」
ルアンは「フローラどうかしたのかい?」と問いただしました。フローラは王子様や王様をみていいました。「あの・・・、ペスが言うには
怪しい女の人が池にいたらしくて。気をつけてくださいっていってるんです。池ってあるんですか?」
王子や王様たちは目をあわせ「池?ため池のことだろうか」と不思議そうに答えました。ルアンは王子様たちにいいました。「信じてはいただけませんかもしれませんが、
フローラは動物のいってることや気持が理解できるのです」それを聞いた王子様は「動物と会話が、そんなことが・・・・なんてすばらしいことだ!」と気持ち悪がるどころか感動をしていました。
フローラはいつも皆から嫌がられるのに、そんなふうに言われたのが初めてで王子様にますます惹かれてしまったのでした。

王子は「わかりました、ため池ですね。ため池の周りをもう一度見て何かないか気をつけるようにいたします」
そういうと、ルアンやフローラたちは頭を下げ馬車にのりルイールの町へ帰っていきました。

それから5日間がすぎ、アレン王子に頼まれていた武器の修理が少し早くすみ、古びていた武器はまるで新品のようにピカピカ輝いていました。
王子様の剣も鋭く光っておりました。ルアンは剣を眺め「見事な剣だ、これがないと王子様もさぞかしお困りであろう。早めに届けてあげなくては」
ルアンは武器をもち再びエスファバーン王国に向かうことにしました。
「フローラ、フリーダ」私は今から武器を届けにエスファバーン王国にいってくる、本当はダンを連れて行きたいんだが他の方の武器の修理がまだのこっている。だからペスは番犬として連れていくがダンと共にお店と家を頼んだよ」
ルアンは言いました。ダンは「大丈夫です、お店のほうはお任せください」いいました。
するとフローラが「お父様!私もぜひ連れて行ってください!ペスだけじゃ何かったとき大変だわ」勢いよくいいました。

フリーダはそんなフローラを見て言いました「フローラあなたそういって単にアレン王子様に会いたいだけじゃないの?」

「ちがうわ、お姉さま。お父様一人は旅の途中心配でしょ?エスファバーン王国までは長いし、いくら番犬といえどペスだけじゃ心配よ武器も重いし二人絶対いたほうがいいわ」
フローラは顔を赤くしてすぐさま答えました。
フローラは図星でした、エスファバーン王国にいってからというものフローラはアレン王子のことばかり考えていました。

ルアンは言いました・「わかった、じゃあフローラにお供を頼もう、ただし決して王国の人に迷惑をかけないように頼むぞ」
「ええ!もちろんよお父様!」
フローラとルアンとペスはエスファバーン王国に向かいました。

エスファバーンにいく途中の道のりのことでした、向かいから荷馬車を引いた男二人が何やら難しいか顔をしてぶつぶつ二人でいいながら
歩いてきました。

そして、ルアンとフローラの馬車をみるなり振り返って「おいあなたたち、もしかしてエスファバーン王国に向かっているのかい?」と
声をかけてきました。

ルアンは馬車から顔をだし「ええそうです、お城から修理を頼まれた武器をお届けにいくろころです」そういうと、
男二人は顔を見合わせ「行っても無駄だよ、エスファバーン王国には誰もいない・・・いやなにがなんだか」と少し言葉を詰まらせ答えました。

フローラはルアンの後ろから乗り出し「だれもいないってどういうことですか?」と聞き返しました。

すると男は「俺たちも何がなんだかよくわからないんだ、俺たちも手ぬぐいをうりにいったんだが・・・。町には人がいない。以前いったときはあんなに賑わっていたのに」
もう一人の男もそれにつづき「いることはいるのだが、町中犬や猫や動物ばかりで人がいないんだ。お城にもいってみたが、
王座の椅子にはなぜかパンダが・・・いやあれには驚いた・・・まあ、うそと思うなら行ってみて目で確かめてみたらいいあれはまるで動物の村だ」

そういうとまた男たち二人はぶつぶついいながら去っていきました

ルアンは「どういうことだ?動物だらけというのは」
フローラは「とにかくいってみましょうお父様!」二人は急いでエスファバーン王国に向かいました。

美女と動物の王国

美女と動物の王国

  • 小説
  • 短編
  • ファンタジー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-12-09

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