とある幻想の破滅物語
この物語は誰も生き残らない。生き残れない作品となっております。当然、残酷な描写がございますが、ご了承ください。
第一章 出会い
ここは科学の先端をいく都市。学園都市。そんな科学の最先端の街に異形なるものが侵入していた。その偉業は言葉では説明できず、また、どんな研究を行おうとも理解し得るようなものではなかった。今回はそんな異形なるものの過ちが起こした破滅の物語をここに語ろうと思う。
夏休み前日
此処は何処だろう?
少年は路地裏で目を覚ます。少年の姿は美形とも何とも言えない顔。まぁ、平たく言ってしまえば普通そのものの顔である。髪は漆黒で腰まで掛かる程長い髪。目はルビーを思わせるような紅い目。姿は幼く、太ってるどころか栄養失調で倒れてると言われても全くおかしくない。服装は半袖半ズボンといった今の時期にピッタリな服装である。
「……何をしてたんだっけ?」
必死に思い出そうとするけど、そもそもこんな場所にいた記憶ですらない。ある記憶といえば自分がなんの特徴もない子供ということ、名前。それから、自分は誰かに殴られたり蹴られたりされたのだということだけである。服がボロボロになっており動くだけでも激痛が走ることから容易に想像がついた。
けど、誰に蹴られたのだろうか? 少年は首を傾げ、まぁ、いいやと思い立ち上がる。立ち上がる拍子に物凄く鈍い痛みが走り思わず呻きそうになるけれど、唇を噛み痛みを我慢する。口の端に血が出てきたことから唇を切ったらしい。そっちもそっちで痛いなと呑気に思いながら表道に出る。
時刻は昼、この時間帯は人が多く歩いており少年の姿は人混みに紛れて見えない。
「見つけましたの!」
後ろから突然声を掛けられた。誰だろうと思って後ろに振り向くと茶色い長い髪を両端に結んだツインテールが特徴の可愛い顔したお姉さんで服装は多分何処かの学校なのだろう。左腕に腕章があり「風紀委員」と書かれた文字が書かれてあった。
「……お姉さん誰?」
短く問い掛ける。
「詳しい話は後ですの。近所の病院に行きますわよ」
そう言って手を握られる。走っていくんだろうかと思ったらいきなり浮遊感が出てすぐに消えた。周りの景色もさっきとは打って変わって病院前となっている。いつの間に? と思って首を傾げる。先程から疑問ばかりなのだけれど、全然理解し得ない。
病院の中に入り、受付の女性に話し掛ける女性。改めて見ると姿は小学生後半から中学生くらいだろう。顔はやっぱり十人中八人が振り返るくらい可愛い顔をしてる。そんな感じでずっと見てると女性が振り返り声を掛けられた。
「保険証は持ってますの?」
そう聞かれてポケットに手を突っ込む。ガサゴソと探して数分後、無いというか、持ち物一つですらないことがわかった。
「……ない」
やはり短くそう言う。
「家は何処ですの?」
「知らない」
「え?」
愛想がない少年はニコリともせず、感情一つ表に出さずに告げる。自分が誰かなのかでさえ正直怪しいのだ。そんな少年が家の場所をまともに知ってる訳がなかった。
結局、結論から言うと、少年は身体中に酷い打撲、足は骨にヒビが入っており、腕も骨折していてかなりひどい状況だった。こんな状況でよく歩けたねとカエル顔の医者が言う。
「……治療費や、これからのことについてお伺いしても、宜しいでしょうか?」
明らかに子供らしからぬ丁寧口調で言う。そのセリフに周りは少し驚いた。
「お母さんやお父さんのことは覚えてるかね?」
いくつかの質問を投げかけられ殆どすべてに少年は知らないと言った。
「名前は覚えているんですの?」
「……名前は、十六夜。十六夜妖です」
こうして少年は科学の世界に身を投じていくことになったのだ。
とある幻想の破滅物語
この物語は残酷極まりなく、どうしようもないくらいおろかな物語です。見たくない方は別の物語を見ることをおすすめするぜ