森の愉快ななかまたち
ここは、とある森の中。
ここには、たくさんの愉快ななかまたちが暮らしています。
「ま、実際そんな愉快でもなんでもないんですけどね」
「出だしからいきなり否定するなよ・・・」
「事実ですからねぇ」
自己紹介をしましょう。
わたしはこの森に住む兎です。顔も性格もスタイルも平凡な普通の婦女子です。ちなみに今怪訝な顔をしてわたしの話し相手になっているのは狐さんです。イケメソなツンデレぽいけどデレるべきシチュで疎い系男子です。
「狐さん」
「何」
「なにか行動を起こしてください」
「何で」
「話が進みませんから」
「・・・・・・完全に出オチだろ、これ」
「そういうことを言ってはいけません」
でもこれでは狐さんの言うとおり、完全に出オチです。
「宇宙から未知の生命体が大挙して襲ってきませんかね・・・」
「恐ろしいこと言うな」
ぐだぐだと会話していると、元気な声が聞こえました。
「兎さんーーーっ、狐さんーーーっ!!」
てとてと走ってきたのは鼠さんでした。彼の身長は一メートル定規で間に合うのです。何と悲しきこと。
「大ニュースでちゅ!」
「待ってました」
「何でだよ」
「狐さんは黙っててください。大ニュースとは?」
「卵の黄身が双子だったっちゅ!」
「・・・・・・」
「そんなのが大ニュースって、この森はどんだけ平穏なんだよ」
「そ、そんな言い方はないと思いますよ?」
「顔引きつってるぞ」
「ね?すごくないちゅか?すごくないちゅか?」
「ええ、とても素晴らしい一卵性双生児の屍ですね。めでたいので森の寺に供養しましょう」
「うん!」
狐さんはもうツッコむのを止めてそっぽを向いてました。
「はやく!はやく!」
「はいはい」
わたしと鼠さんは寺に行き、卵を安置しました。
「安らかにお眠りください・・・」
「ください!」
そんなこんなで、森は今日も平和です。
森の愉快ななかまたち