鬼を討て!

新人退魔師の主人公が、大活躍(?)するお話です。
楽しんでくれれば幸いです。


 三日月の夜の晩。
 俺は新人退魔師として、初仕事を行う。
 新人退魔師みちお、最終的に天才退魔師みちお。こうなるに違いない。
 今まで必死に修行をやってきた。元退魔師の姉の下に必死に食らいつき、力をたくわえてきた。
 そして今日こそその成果を示すときだ。
 しかし、俺は一方で学生の身分である。
 昨日の地獄の特訓を経た今日でも行かなければならない。
 なんとも理不尽だ。
 学校終わったあと、鬼退治をして、次の日も学校。
 こんなんやってられっか。
 俺は今日は寝る。寝るぞおおおおお。
「みちおー! 朝だぞ!」
 なにやらドアの前がさわがしい。
 きく姉ちゃんの声だ。しかしその声は遠くに消えてしまった。
 俺の仕掛けた結界のせいだな。この結界は敵と判断したものを、遠くの山へ飛ばす機能を持っている。さすがのきくお姉ちゃんでも、あの距離は無理だろう。半日はかかるはずだ。
「さてと」
 俺は布団にくるまった。
 そして言い訳を始める。
 今日ぐらい、休んだって構わないだろ。
 新人なんだ。このぐらい考慮してくれないと、ブラックだなんだと言われるぞ。
 これは今後の後輩のためでもあるんだ。
 全国の新人退魔師諸君、俺は見事打ち勝った。
 君たちも十分休みを満喫してくれ。
 安心してから、なんだか暖かくなった気がした。
 なんだか布団が暖かい。はて、俺霊力を使ったっけ?
 まあいい、これなら気持ちよく寝れそうだ。
 ……。
「あちいいいいいいいいいいいいいいいいい」
 俺は燃える布団を蹴り上げて一歩下がり、水を権限した。
「水よ、すがたをあらわせ!」
 空中から水が噴き出る。
「雷よ、地を這え」
 え、きく姉ちゃん?
「ぎゃあああああああああああ」
 お姉ちゃんの強力な電気が全身を走り回った。
「あうっ」
 そのまま黒焦げになったベッドにダイブ。
 はいすいません。俺が悪かったです。
「お姉ちゃん……ごめん」
「まったっく、あんたったら。身内であり師でもある私を三十キロさきの山へ飛ばす家族がどこにいますか」
「だって、学校行きたくない」
「行きなさい!」
 ガミガミガミガミうっせー。
「あん?」
「ひいいいいい」
 模擬演習で味わった死の恐怖を思い出し、慌てて俺は正座した。
「お願いだよ姉ちゃん。今日から新人退魔師としてデビューするんだ。今日ぐらい学校なんて」
「だめよ。行きなさい。将来退魔師として大成したいならなお行くのよ。それに、今この街が危ないのはわかってるでしょ」
 そうなのだ。姉ちゃんでさえ現場復帰するような事態が起こりつつあった。
 この街は今、異界より侵入した鬼が潜伏したりして人を襲ってるのだ。
 いろんなところへ圧力をかけて事件として処理をしているが、それも時間の問題である。
 とくに夜は危険で、夜の外出禁止を促すような雰囲気を作り出していた。
「それに、今日からあんたを指導する先輩退魔師も付くわよ。その人は厳しいんだから。休むなんて言語道断よ」
 先輩退魔師かあ。いったいどんな人だろう。
 俺は退魔師としては珍しく、普通の高校に通って、家族から習っていた。
 なんでも、普通は退魔師学校に通うらしい。
 もちろん、代々の家系もあるが、その人たちも退魔師の学校に通っているらしかった。
「仕方ない行くか」
 俺はしぶしぶと着替え始める。
「なんだよ姉ちゃん、見たいのか?」
 きく姉ちゃんは顔を真っ赤にして見ていた。
「は、はやく降りてきなさいよ。冷めちゃうからね!」
 きく姉ちゃんはそういって、ドアを開け、階段を下りて行った、
 まったく姉ちゃんときたら。
 俺は瞬く間に着替え終えて、姉ちゃんのいるリビングに向った。

「ふわ~あ」
 まだ眠気がある。そりゃそうだ。デビュー前日なのに、過酷な修行を行ったからだ。
 とぼとぼと俺は歩き、自分の教室へ向かった。
 さっそく机に突っ伏す。
「う~だり~」
 ああ、眠い。
「ほら起きなさいよ」
 体を揺さぶられて起きると目の前にはみみが立っていた。
 みみは片手にカメラを持って構えている。
「なんだよ寝かせろよ」
「だ~め。学校ではあんたのお姉ちゃんに任されてるんだからね」
 みみはお姉ちゃんを慕っている。なんでも、鬼に襲われているところを助けてもらったらしい。
 それ以来、たびたび俺の家へ来ていた。
「で、そのカメラなんだよ」
「えっへん。これはねえ。新しく買ったんだ。これがあれば、いっぱい面白い写真が撮れるよ!」
 みみは写真を撮るのが大好きらしい。風景とか。
「まだ写真が好きなのか」
「そうりゃそうだよ」
 でもみみには霊感が少しだけあって、写真を撮るたびにたまに妙なものが映っている。
 その度に俺は泣き付かれていた。
 みみはいい加減、自分の体質をあきらめて撮るのやめればいいのにな。
「この前、また変なの映ったの。だから、あたらしいのに変えたんだ」
 みみは妙なものが映るたびに買い替えている。みみいわく、最新機器なら映らない、らしい。
 でも逆だ。むしろデジタルだかこそ映りやすくなっている。
 それをなんども言っても、みみは取り合わない。
 写真こそみみだと思っているらしい。
「で、前回はなにが映ったんだ?」
「これよ」
 現像した写真を見ると、この街の鉄塔が映っていて、そこから光が立ち上っていた。
「なんだ。こんなことで買い替えたのか?」
「なんだじゃないわよ。怖いんだから」
 そうか? 単なる光の柱にしか見えなかった。
 みみはそれを懐にしまった。
「ん、処分を頼むんじゃなかったのか?」
「なんだか妙に気になって。これを明日確かめに行くんだ」
 へえ。みみは好奇心旺盛だな。
「おい、夜はであるくんじゃないぞ」
 一応釘を刺しておく。
「分かってるって。きくお姉ちゃんの手をわずらわせるわけにはいかないじゃない」
 どうだかなあ。
「それよりあんた、今日デビューでしょ?」
「ああ」
 みみには俺が退魔師見習いだと話していた。ほとんどの同級生は知らないが、この街は昔から狙われやすい。みみはその点、霊感がある家系で事情を知っていた。
「がんばってね」
 小声でみみが言った。
「このごろ事件が多いしね」
 ほんとに事件が多いのだ。そのほとんどが鬼が関わる事件である。
 この街が神社の関係で大結界が張ってあるに関わらず、異界から来た鬼たちに侵入されていた。
 本庁はそれを危惧し、多数の退魔師を派遣してきているがそれでも追い付かない。
 原因も不明だった。
 今まさに対策が急がれていた。
 ま、新人の俺には関係ないがな。
「しっかり守ってよね」
 そう言って、みみは席に戻っていった。
 大きなお世話だ。俺は守るために強くなってきたんだからな。
 さてと、寝るか。
 学校には行ったんだから、それ以上は文句はないはずだ。
 俺はそのまま夢の世界へ旅立った。

 そのあとはあっという間だった。
 軽く寝たあと授業をさまざまにこなして、放課後になるとそそくさと帰り、さっそく小さなカバンを持って、今日の集合場所へ向かった。
 ちなみに退魔師だからって、正装はない。
 普段着でよほどおかしな恰好じゃないなら、なんでもOKだ。
 とにかく、戦いの邪魔にならず、むしろ戦闘力が上がるものならなんでもござれだった。
 勝てばいいのである。
 鬼を退治できなければ、意味ないのである。
 俺は制服のまま、バス亭近くの公園へ向かった。
 そこがデビューの集合場所だった。
 公園が見えてきた。
 公園には、もうそろそろ外出禁止なのにいろいろな人がいるが、その中にあきらかになにかを感じる女が居た。あいつだな。
 あれは水色に光る霊力だ。わざとわかりやすいようにしてある。
 その女はリクスーを着ていて、なんかの帰りっぽかった。
 どうやら表の仕事らしい。リクスーにちょっとどぎまぎした。
「先輩、お待たせしました」
「あ、来たわね。私はあい。あなたが新人のみちおね」
「はい、よろしくお願いします」
 あい先輩は俺をじろじろ見まわす。
「ふーん、だいぶ鍛えてるわね。さすがきくさんの弟子ね」
 俺の体を周って確かめてる。なんだか恥ずかしかった。
「うん、良いわね。これなら戦えそうだわ」
 先輩はそう言うと、どこから取り出したのか、槍を取り出した。
 槍はよく磨かれていて、それでいてすさまじい威圧感を放っている。
 騒ぎが起こらないのは、霊力で見えないようにしてるからだ。
「みちおくんの武器は?」
 俺も霊力で隠しつつ、その中に火の玉を出した。
 先輩はうんうんと頷いている。
 そっと消して、先輩の次の行動を待った。
「じゃあ、さっそく、狩るわよ」
 俺たちは霊力で体を包み込み、空高く飛び上がる。
 二人して木の上に降り立った。
 遠くに禍々しい黒い霧が見える。この黒い霧は通常の人間には見えない。
 でも、鬼の攻撃は通常の人間にも被害を及ぼす。まさに一方的である。
 だからこそ、俺たちが居るのだ。
「あそこね。行くわよ」
 俺たちは屋根や木を飛び越えて、黒い霧が浮かんでいる場所へ向かった。

 目標の場所は、ビルとビルの間だった。
 幅が広く、人間三人分はある。これなら戦いやすい。
 すでに血の臭気がそこらに漂っている。
 数えてみると、三人ほど犠牲になったらしい。
 鬼は三メートルほどあり、なにかをむしゃむしゃ噛んでいた。
 鬼は俺たちに気付き、警戒している。それでも食べる手をやめる気配はなかった。
「ゲスが」
 あい先輩は黒い声でそう言った。
 俺はそのうしろに立ち、先輩をフォローする形で構える。
 これが、実践の緊張感か。
 正直先輩の強さを間近で感じて死ぬなんて考えられない。でも、もし体の一部を失うなんてと思ってしまったら、震えが足からきた。
 あい先輩は槍を構え俺に強い背中をみせた。
 沈黙。
 鬼はむしゃむしゃと噛むのをやめ、俺たちをにらんでいる。
 まだか、まだか。まだか?
「はああああああ」
 あい先輩は一気に突き進んだ。
 鬼は空に飛びあがる。
 すかさず先輩は槍を上に持ち上げ、一気に飛び上がる。
「いまよ!」
「うおおおおお」
 気合を入れて、青い焔を作り出してそれを打ち上げた。
 焔が鬼の顔をとらえた。
「ぎゃあああああ」
「おしまいよ!」
 そこへ、あい先輩は強靭な脚力で飛び上がり、心臓のあたりに突き刺した。
「ぐががががががががが」
 鬼の体は一瞬で灰になった。
 先輩はビルの壁を利用して、俺の前に降り立った。
「上々ね」
「ありがとうございます」
 先輩は髪を整えている。
「しっかし、どうも鬼が最近出るわねえ」
「そんなに多いんですか?」
「そうよ。いつもなら、三週間に一回は出動して殺すんだけど、このごろ二日に一回よ」
「いったいなにが起こってるんでしょうか」
「……それがわかれば苦労しないわよ」
 先輩はふぅと溜息をついた。
「それじゃ、今日のところは解散」
 そう言って、先輩はこの場所を離れていった。
 俺も霊力をからだに張り巡らせながらでた。
 もうすっかり夜になっていた。ひとっこ一人居ない。
「帰るか」
 今日の夕飯はなんだろうか。姉ちゃんの料理が楽しみだ。

 翌朝――
「いってきます」
「いってらっしゃい」
 昨日の夕飯はハンバーグだった。姉ちゃんのぜっぴんハンバーグだ。
 労働したあとのハンバーグ、最高である。
 姉ちゃんからいろいろ聞かれたから答えた。あい先輩のことを話すとすごく嬉しそうだった。
 二人の仲はどうやら良いらしい。
 おっといつの間にか校門に着いてしまった。
 それにしても、みみ遅いな。
 いつもなら道の途中ですれ違って一緒に登校するはずなのに。
 今日は風邪かな。
 それからはあっという間だった。
 いつの間にか昼が過ぎて、すでに放課後になっていた。
 でも、誰もみみの欠席を疑うことなく、先生からも話されることもなく、時間は経過した。
「みみ、もしかして風邪かな」
 昨日あんなにはしゃいでいたしな。もしかしてよっぽど良いものが撮れたのかもしれない。
 でも、なにかひっかかりを覚える。
 おかしい。みみなら連絡してくれるはずだ。
 でも今日は一回も連絡入ってない。
 新人デビューした話も聞いてくるはずだ。
 まさか、みみになにかあったのか?
 とにかく、先生に聞いてみるべきだ。
 俺は急ぎ足で職員室に行った。
 先生はたばこをくゆらせて、遠くを見ている。
 その先生を問い詰めると、
「お前には話したほうが良いか。口外禁止になってるんだが、なにか事件に巻き込まれたのかもしれん」
「それ、どこ情報ですか?」
「いや、それは……家にも学校にも居ないとなると……それに、このごろ物騒だしな」
 まさか、鬼の事件に巻き込まれたのか?
 もしかして、もうすでに……。
 いやいや、とりあえず、業界で顔が広いきく姉ちゃんに聞くしかないのか。
「ありがとうございます。それでは」
「あ、おい、ちょっと」
 職員室を飛び出て、屋上に向った。
 よし、誰も居ないな。
 すぐにきく姉ちゃんに電話をかけた。
「ねえちゃん、みみを知ってるか」
「ん? どうかしたの?」
「それが」
 さっきのことをかいつまんで話してみた。
「……分かった。調べてみる」
 俺はすぐに学校を飛び出して、家へ向かった。
 空はすでに夕闇だ。
 視界の端になにかが映って空を見上げる。
「なんだ……あれは」
 空に亀裂がうっすらと見えた。
 これも気になるが、まずはみみが先だ。
「ただいま! 姉ちゃん、見つかったか?」
 姉ちゃんは首を横にふった。
「くそっ、くそっ」
「ねえみちお。みみがこうなったのになにか心当たりはないの?」
「こころあたり?」
 死んだことになってるなんていやだ。
 みみは霊感ある俺に偏見なく付き合ってくれた、学校での最初の友達だ。
 こんなところで失うなんて悔しすぎる。
 もっと俺が強ければ……。
 こころあたり、こころあたり。
「あ!?」
 一瞬写真が記憶を横切った。
 もしかしたらこれかもしれない。
「みちお、なにか分かった?」
「もしかしたら、あれかも」
「あれって」
 きく姉ちゃんが迫って俺を問いただした。
「みくが前日、なにか写真を持ってきたんだ。そこには鉄塔から光が放たれていて、それが撮られた写真だった」
「鉄塔? そうか」
 きくお姉ちゃんはなにか分かったようで、すぐに電話をかけた。
 しかし、五分もしないうちに切った。
「だめね。みんな忙しくて手伝えないみたい。今日、いつにも増して鬼が出現してるみたい」
「あ、姉ちゃん。あと、もうひとつあって」
 姉ちゃんの手をひっぱって外へ連れ出した。
「なによ。早く助けにいかないと……あれね」
 なぜか動揺していた姉ちゃんは空の亀裂を見たとたん、鋭い目線になった。
「これでつながったわ。……このまま出発よ」
 姉ちゃんも戦うのか!
 俺はそれに追いつこうと飛び出した。

 目標の鉄塔が大きく見えたところで、透明な壁にぶつかった。
 ぶつかった反動をそこらへんの木にぶつけ、相殺して壁の一歩手前に降り立った。
「みちお、挑戦してみなさい」
「ああ」
 この壁は結界である。
 結界破壊にはいろいろあるが、俺たちは代々拳に固有の属性のエネルギーをためて、ぶん殴って進むのを慣わしとしていた。
 俺もようやくデビューを終えたので、ついに挑戦するときがきたわけだ。
「はあああああああ」
 体中の炎を拳により集める。
 拳の炎はまたたくまに燃えあがり、それを収束させていく。
 俺の拳の焔の色はいつのまにか黄色になっていた。
「ハッ」
 それを思いっきりぶつけてみた。
 バリバリバリバリーーン
 目の前の透明な壁は、一軒家ほどの広さの穴が開いた。
「まあ、合格ね」
 しかし、すぐさま結界は修復されていく。
「一発で壊せるようになったら、一人前よ」
 姉ちゃんは拳に電撃を貯め、修復されたところにまた叩き込んだ。
 バン――
 瞬時に目の前の壁という壁が消えてしまった。
「すげええええ」
「精進しなさい。あなたならできるわよ」
「ああ」
「行くわ」
 そのまま俺たちは目標へ走った。
 間近に迫った鉄塔はまばゆい光に満ちていた。
 その鉄塔にはみみが吊るされていて、いままさにスーツに身を包んだ男に生贄にされようとしていた。
「待てえええ」
 俺はそいつへ向けて、火の玉をぶっ放した。
 青鬼はジャンプして横へ避けた。
「ち、さすがにばれるか」
 青鬼は血走った眼を光らせ、俺たちを見る。
「見たところ、生贄を利用し、大鬼をこちらに呼び出そうというわけだな。その子を返してもらおうか」
 きく姉ちゃんは両手に電撃を溜めながら一気にまくしたてた。
 俺は片手に圧縮した炎を作り上げる。
「お前はどこの一派だ」
 姉ちゃんはじりじりそいつに近づきながらさらに聞いた。
 見たところ、この青鬼はなかなか強そうだ。
 たぶん、中堅クラスの敵幹部だろう。
 俺一人じゃ勝てそうにないが、きく姉ちゃんとならなんとかなりそうだ。
「は、答えるとこ思うか?」
「死ぬのは惜しくないのか?」
 きく姉ちゃんは語気を強めて言った。
「はん、俺らは鬼だ。死なぞおしくねえな」
「なら死ね」
 それが合図だった。
 鬼は青色でドロドロの液を一気に吹き散らす。
 俺と姉ちゃんは二手に分かれ、両側から狙った。
 青鬼は瞬時に俺に目を向けて爪をふりかぶった。
「いでよ、炎の壁よ!」
 俺と青鬼との間に火柱が立ち上がった。
「ちっ」
「脇が開いてるわよ」
 そこに、姉ちゃんは電撃の刃を横なぎに放った。
「ぐっ」
 そこへ俺は炎の柱を突っ切り、黄色い焔を青鬼の顔にぶっさした。
「ぎゃああああああ」
「終わりよ!」
 いつの間にか姉ちゃんは青鬼の真上に居て、そこから電撃の拳を叩きこんだ。
「がっ」
 青鬼は悲鳴を上げることなく、灰になった。
 すぐに俺たちは鉄塔に向けて炎と電撃を放ってぶっ壊した。
「はっ」
 みみを空中でとらえて着地成功だ。
「ぐわあああああああああああああああ」
 空から鬼の咆哮が聞こえてきた。
 大鬼の腕が空間の亀裂が一気に治ったので、切断されたのだった。
 すぐに空中で灰になっていく。
「みみ、おいみみ。大丈夫か」
 みみを揺さぶって、安否を確かめる。
 みみは薄めをぼんやりと開けて言った。
「あれ、ここどこ?」
「おい、大丈夫か? 痛いところはないんだな?」
「んーなによ、みちお。いったいなにが起こって」
 みみは起き上がると、呆然とした顔で俺らを見つめた。
「あれ、いったい」
 鉄塔がぶっ壊れて残骸になっているのに驚いたのだろうか。
「お前は生贄にされそうになっていたんだよ」
「あ、きくお姉ちゃん」
 みみは姉ちゃんに抱き着いた。
「おーよしよし、よく頑張ったねえ」
 そのままきく姉ちゃんはみみを慰めた。
 そのあと、あったことを離すとすごく驚かれた。
 みみは、鉄塔に向かう途中から記憶がないらしかった。
 でもまあ、生きているだけでも十分である。鬼は容赦なく殺しまわるからな。

 その後、鬼の出現はばっさりいなくなった。
 どうやら、鬼の出現と鉄塔は関係あったらしい。
 退魔師同士でも対策を話し合って、今後は鉄塔も見張ることに決まった。
 それから――
 鬼との実践の場がかなり減ったので、いまだに新米な俺である。
 あい先輩との模擬戦を繰り返して、研鑽を積むしかないようだった。
 このままじゃ、天才退魔師の持ちは遠そうだ。
 ま、平和なのが一番なんだがね。
「あ、おっはよー」
 みみめ。また写真を持ってる。いったい今度は何を撮ったんだか。           END

鬼を討て!

もうちょっと量書けたらいいんだけど、やっぱりこれで精いっぱい。
あと、バトルの研究しないとなあ。

読んでくれた方、見てくれた方、感謝します。ノシ

鬼を討て!

鬼と退魔師のお話です。

  • 小説
  • 短編
  • ファンタジー
  • 青春
  • アクション
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-12-03

CC BY
原著作者の表示の条件で、作品の改変や二次創作などの自由な利用を許可します。

CC BY