エゴイズム 第4話
ちょっと遠い未来。
その未来では超能力を使える人が少しいる。
ただ、まだ超能力者を知る人はまだ少ない。
そんななか、超能力を悪用する者もいる。
人知を超えた力に警察は、なされるがまま。
警察の権威がなくなりつつあるために、自衛隊が台頭。
自衛隊附属中学校、高等学校が続々開校される。
しかし自衛隊でも超能力者による犯罪に手を焼いている。
業を煮やした政府は賞金首制度を半ば強引に公布し施行した。
この制度により市民、軍人という隔たりはなくなりつつある。
このような混乱している時、上文(かみふみ)ハイツの永治幸平(ながやこうへい)たちは行動を起こすのであった。
4月13日:クラスメイトとの接点
商店街を歩いている幸平は人がやけに集まっている所があることに気付いた。
どうやらケンカが起こっているらしい。
「おい、あんちゃん。彼女連れて歩いているのはいいんだけどよぉ、周りをよく見てもらわなきゃ困るんだよぉ。」
「はぁ?!お前らが先にぶつかってきたんだろ!」
「てめぇ!調子こいてるとぶっ飛ばすぞ!」
「やれるもんならやってみろよ!」
『なんだ、なんだ?ケンカか?関わらないのが一番だな・・・。って、絡まれてるの1組の津田と6組の仲村じゃん。あいつら付き合ってたのかよ・・・。まぁ、助けてやるか・・・。』
近くの自動販売機でコーラを買いガタンとコーラが落ちた後に、ドサッと人が地面に倒れるたような音がした。
振り返ると津田が仰向けに倒れている。
「あ、すいません。」
「ちょっと、失礼。」
人ごみをわけながらコーラを振る。
そっとコートを羽織っているリーダー格そうな人の背後につき肩をトントンと叩く。
「ん・・・?」
プルタブを勢いよく開けて水鉄砲のように噴き出したコーラが男の顔と服にドワーッっとかかる。
「あぁ!!ボスに会いに行くのに・・・。てめぇ!おい、お前ら、そいつに油売ってないでこいつを締め上げろ!」
「はい!!!」
「俺は服を着替えに戻る!そいつをぶちのめしたら俺に連絡しろ!」
彼らが会話を交わしている間に幸平が
「仲村さん、僕が彼らと相手をするからその間に逃げてくれ。」
「あ、あ、危ないよ!」
「おい!!!小僧!!!覚悟しろ!」
「こいよ!ハゲども!!」
『能力を使いたいところだが仮面はないし人前でこれ以上目立つことはできないな・・・。一旦、商店街から離れよう・・・。』
一抹の不安が頭の中をよぎるが善後策を冷静に考えられるのが彼の武器だ。
捕まったら怖いことが起こる鬼ごっこを初めて高架線が見えてきた。
「おい、待て!いい加減、俺らに捕まったらどうだー?」
「待てって言われて待つやつがいるか!それより、そろそろ許してはくれないんですかー?」
「何?!兄貴のスーツを汚しておいて許してくださいだと?!」
『やべ、地雷踏んだ・・・。』
高架線の下のところで幸平は走るのをピタッとやめる。
「はぁはぁはぁ・・・。やっと・・・、諦めたか・・・。」
「お互い疲れたからな・・・。はぁはぁ・・・。だが、やられるのはお前らだよ。」
「なにバカなこと抜かしてんだよ!!」
突然、一人が殴りかかってくるが肩で呼吸してるような状態なので動きが少し鈍い。
上体だけでパンチを避け、左肘でみぞおちに当てる。
相手がうずくまるので頭をつかみ膝に顔を叩きつけて気絶させるようにする。
このような調子で単純作業のような具合にほかの下っ端共をのしていく。
『さて、将さんに電話して金をいただくか・・・。』
*
翌日、教室に行くとクラスメイトが政治家に集まる報道者のように群がり
「お前すごいな!チンピラをやっつけたんだって!?」
「永治君ってすごい勇敢なんだね!」
みんながどんどんたたえる。
『なんでこうなる・・・??あ!仲村か!』
仲村の方に視線を向けると手を振りながら笑っている。
「昨日は本当にありがとう!もうなんてお礼をすればいいのか!」
「い、いやぁ、お礼を狙ってしたわけじゃないから・・・。」
「でもその後ってどうやって相手をまいたの・・・?」
「え、あぁ、えーと・・・、こ、交番に逃げたんだよ!」
「あれ?永治君が走った方向と逆のほうに交番なかったっけ?そっちのほうが近いよね?」
「その時焦っててね・・・。北上文駅のほうの交番に行ったんだよ、はははは・・・。」
「響(ひびき)ちゃんが言う割にはだいぶ焦ってたんだねー。あははは!」
妙子が屈託のない笑みで笑う。響というのは仲村の名前だ。
「焦らない人なんていないんだから、しょうがないでしょ・・・。」
事が終わった後に幸平の席の前に人がいた。
『ん、誰だ。見かけたことあるような後ろ姿だけど・・・。』
「よぉ、幸平。」
「?」
「おいおい、忘れちまったのか。俺だよ、京極希典(きょうごくまれすけ)!」
「え・・・?!ええええ!?あれ!?お前、小学校卒業して京都に行ったんじゃ?!」
「あぁ、今年転校してきたんだ。」
「そうか、なるほど!」
「なるほど!じゃねぇよ!!同じクラスだろうが!なんで気付いてくれないんだよ!」
「え、いや………だって俺、高校で友達って呼べる人、一人しかいないし………。」
「っ!?それは悪いこと聞いちまったな。ごめん。」
「別にいいよ。友達を作ると人間強度が下がるし。」
「お前はどこかのアホ毛吸血鬼もどきか!!」
小学校の時の友達が戻ってきた。
彼に高校初めての男友達ができた。
放課になり家に帰ると将さんが待っていた。
「ただいまです。」
「おお、帰ってきたか。おかえり。待ってたよ。」
「何か、あったのですか?」
「昨日お前がのしたやつら、原井組だったらしい。」
「原井組って形而研究所が後ろ盾の?」
「そう。だがやつらは彼らはかなり下っ端だ。」
「そうなのですか・・・。ついに研究所が動き出したっていうのは気になりますね。危ない人たちが集まってますから。」
「カルト信者共め。超能力なんて能力が人の常識を越しているから超能力って言うのにな。超能力だったら俺にもあるぜ。掃除が上手っていう。」
「確かに将さんの掃除は神ががり的ですね。」
「ありがとよ。」
笑いながらお互い、微笑む。
*
部屋に戻ると神津真帆がいた。
エゴイズム 第4話