エゴイズム 第1話
ちょっと遠い未来。
その未来では超能力を使える人が少しいる。
ただ、まだ超能力者を知る人はまだ少ない。
そんななか、超能力を悪用する者もいる。
人知を超えた力に警察は、なされるがまま。
警察の権威がなくなりつつあるために、自衛隊が台頭。
自衛隊附属中学校、高等学校が続々開校される。
しかし自衛隊でも超能力者による犯罪に手を焼いている。
業を煮やした政府は賞金首制度を半ば強引に公布し施行した。
この制度により市民、軍人という隔たりはなくなりつつある。
このような混乱している時、上文(かみふみ)ハイツの永治幸平(ながやこうへい)たちは行動を起こすのであった。
4月7日:始業式
『春は、あけぼの。やうやう白くなりゆく山ぎは少し明りて紫だちたる雲の細くたなびきたる。』
季節は春、桜が満開だ。
誰もが心を心機一転する時期になるのに、この男、永治幸平はぼやく。
「桜が満開だ、うぜぇ。」
今年から高校2年生となる彼は、学校に行くためとぼとぼ歩いている。
上文高校に近づくにつれ上文校生の数が多くなる。
「おはよー!」
「あ、綾香ちゃん!おはよーっ!」
などという会話がたくさん聞こえる。
無論彼にも声がかかる。
1年生のときに同じクラスであった北村妙子(きたむらたえこ)であった。
「おはよー、幸平君。」
「おお。おはよー。」
「どうしたの?相変わらず、元気ないね?」
「お前みたいに毎日元気ハツラツだったら体が持たねぇよ・・・。」
「ふーん。」
チェシャ猫のようなニヤニヤした笑いをする彼女はクラスのアイドル的存在であった。おそらく今年もそうだろうと彼は推測する。チアガール部所属でもある。
彼女に迷惑をかけたくない幸平はどうにか距離を置こうとしているのだが、彼女は近づいてくる(物理的にも精神的にも)。
始業式、恒例の校長の長い話が始まる。
みんながダルそうな顔をしている中、幸平は立ったまま寝ている。
立ったままでも寝れるぐらい位、彼は睡眠不足であった。
なぜなら、彼には誰にも言えない秘密があるからだ。
エゴイズム 第1話