わたしの あいしてる
証言1 「あぁ、あのお家ね。毎晩聞こえてくるから正直迷惑でしたよ。女性の悲鳴の後に決まって、『やめてくれ』ってもううるさくて… え?通報ですか?いやぁ、逆恨みでもされたら怖いですしね。中々できませんよ…」
証言2 「あそこの奥さんいつもどこかしらに怪我しててね、私心配になって声をかけたんですよ。そしたら微笑んで『大丈夫です。』なんて言うもんだから可哀想になっちゃって…こんな事になるなんてねえ…」
証言3 「彼は会社でもちょっとこう、影があるというか、暗い人だなあという印象を持ちましたね。でも奥さんはとてもできた人でね、わたしも一度お会いしたけども微笑みを絶やさない素敵な女性でしたよ。だから彼がどうしてあんなことをしたのか不思議でならないんです…」
以上が先日起きた無理心中事件の証言です。
DVの旦那が無理心中しようとして奥さんを刺したあと自殺したって、よくある話ですよね。まあ奥さんが一命を取り留めたんでよかったですけどなんで今更こんな証言読み返してるんです?
…。私ね、思うんですよ。普通暴力を振るわれたのなら聞こえてくるのは女性の声なんじゃないかって。女性がやめてくれ、なんて言葉遣いするかなって。日常的に暴力を振るわれていながら微笑んでいられるかって、ね。
何が言いたいんですか?
これはわたしの想像ですが、彼女の愛の形が暴力だとしたら?暴力を受けることでしか愛を感じられないとしたら?愛情を求めて自分に暴力をふるわせていたとしたら?彼は耐えられなくなったんじゃないかってね、彼女の愛の形に。だって彼は正常だから。
…。もしもそれが真実だったとしたらどうしてそれを指摘しなかったんです?私たちが出した事実は日常的にDVを重ねていた夫が妻と無理心中しようとした。あなたの言っていることと真逆じゃないですか。
異常な性癖を持つ妻との日常に耐えられなくなった夫が自殺した。と、言いたいんですか?
でもね、それだとおかしいんですよ。どうして妻が命に関わる怪我をしたのか?その説明がつかなくなるんです。
これも、あくまでわたしの考えですがね、実は自殺しようとしたのは妻なんじゃないかって。彼女の愛の形は暴力であったのならその最終形態は一緒に死ぬことだったんじゃないかって。
じゃあ、彼は、夫は自殺と見せかけて妻に…?
わかりません。でもひとつだけ言えることは、誰も幸せにならない真実は普通で隠されるべきだと言うことです。
…ところでひとつ聞きたいんですが、i love you .あなたならどう訳しますか?
わたしの あいしてる