裏表のある世界
「ねぇ、この世界って二つあるんだよ」
少年が笑みを浮かべながら私に告げる。
「だからさ、行ってみようよ」
"もう一つの世界"に。
こんな感じ(?)のシリアスとギャグを混ぜたオリキャラ小説です。
ゆっくり見ていってくださいね♪
裏の話。
「どうして、ここにいるのかな?」
知らない人に話しかけられた。
『――――』
話しかけられたから答える。
「・・・君は、ここにいたらいけない存在なんじゃないか?」
『――――』
知らないの。
私がここにいる理由も、ここにきた順序も。
「はやく、帰ったほうがいい」
だから、帰れないの。
私は舌足らずの独特の話し方で伝えようとした。
『――――』
通じているのだろうか?
わからないけれど、凄く真剣に聞いてくれてる・・・気がする。
「そうか、出られないのか」
通じているみたい。
『――――』
ここから出して、って言ってみた。
「んー・・・ここから出られる方法は僕にもわからないんだ」
・・・そっか。
「だって、ここは」
あなたの顔が見えない。
逆光に照らされていて、微笑している口元しか見えないけれど。
確かに、こう告げた。
「ここは、僕の来たかった場所じゃないから。」
ちょっと、笑っている口元が歪んだ様に見えた。
逆光だからちょっとわからないけれど。
「君もこんなところにいたらいけないよ?」
だから、出られないんだって。
私は出たいだけなの。
この、"裏の世界"から。
『――――』
"あなたはどうして来たの"
「僕かい?僕はね」
ハハッ、と笑いながら言ってくれた。
「この世界を――に来たんだよ」
聞こえなかった。
否、耳が受け入れなかった。
もう、この人といたくない。
私は走り出す。
「ああ、いってしまうのかい?」
やめて、その笑い声。
「僕の大事な、――」
嫌、やめて、その言葉、嫌いなの。
聞きたくないの・・・。
裏の話。Ⅱ
『ハァ、ハァッ』
知らない人から逃げるために全速力で走ったせいか息が切れる。
『―なんだったの、あの人』
全く顔も見えないし、表情も読み取れないけれど。
ちょこっと悲しそうだったのはわかった。
しっかし、どうしたものか。
ここから出られない。
誰か、知ってる人いないのかな?
"ここから出る方法"とか、"ここの場所の意味"とか。
・・・さすがにいないか。
ちょっとため息が出てしまった。
『どうしたらいいのかな』
一人でつぶやいた言葉。
何気ない一言だったけど、なにか、誰かが聞いてくれているって思うと安心する。
・・・まぁ、誰も聞いていないでしょうけど。
こんな場所で私の話を聞いてる人がいるほうがおかしいもんね。
「聞いてるよ?」
『えっ!?』
知らない女の子の声が聞こえる。
ふと顔を上げると、白い髪の毛で片目がほんのり紅くなっている女の子がいる。
いわゆるオッドアイというものなのか?
「あなたのお話、もっと聞きたいな!」
笑顔で話しかけてくる女の子。
――この子も、来たくて来てるわけじゃないのかもしれない。
そう思ったらちょっと心が軽くなった。
『ねぇ、あなたはさ』
「私は"空龍"って言う名前なの」
胸を張りながら彼女、もとい"空龍(くーろん)"は私に告げる。
『じゃあ空龍ちゃん。どうして、いや。どうやってここに来たの?』
彼女は不思議そうに私を見つめる。
「いや、ここはどうやって来るとかじゃないよ?」
何故かちょっと変な風に見られている。
どうして?
「ここに来る方法なんて知ってるはずじゃんか」
『知るはず無いわ。』
どうして知ってるのか?
「だってここは"裏の世界"。」
裏?
「あなたの、"夢の世界"だから」
"夢"
その単語を聞いた瞬間
私の意識は飛んでいった―――。
裏表のある世界