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最後まで信じていた。

最後まで、信じあっていた。

------何を…?

------信じきれてた?

夢の中で終わりにしようとしてた。
きっと今、君に

貴方達に私の本心を見せたら私は壊れてしまうから。

拾われた。

2010年。私はある人に捨てられ、拾われた。

拾われた直後は何を考えても、思い出せなくて、辛い日々だった。

「調子はどうだい?」

「お陰様で、だいぶ良くなりました。」

拾ってくれた彼は、将来世界的な政治家になる事を夢見て

毎日努力を重ねてきていた。

「今度選挙があるんだが、君にも手伝って欲しい事があるんだ。」

「だけど、私はまだ…

「君はまだ、幼い。だがその幼さが人を惹きつけるんだよ。どうだい?私と手を組まな
いか?」

彼のその、真っ直ぐな視線と差し伸べられる手は押さない頃の私を引き寄せた。

「君には感謝するよ。」

「私、学校に行って来ますよ。」

「戸締りは私がしとくよ。」

「わかりました。」

当時6歳の、私には彼の存在が大きいとは思えなく、そのまま10年という時が立ち彼は、この世を去った。

「夕ノ(ゆの)何ぼさっとしているの?」

「八重菅(やえすが)先生って誰かに似てるのよね…。」

「何じゃそれ、見間違えよ。さぁいくよ!」

「…ぅん」

私にもイマイチわからなかった。誰に似てるがわからないけど、記憶の奥になにかが、残っている。

「次体育なんてついてないなぁー」

「ねぇ、奈緒(なお)前の彼氏とはどうなったの?」

「運命って安っぽいものね…少し良い事言ったからって、すぐに自分で勝手に勘違いし
てるのよバカバカしいのよね。もう、うんざりだわ。」

飽き性な奈緒の性格はだいたいわかっている。
たまに、行き過ぎた発言もする時はあったけど、
奈緒は私と違って何でも素直に、何でも自分の意見があるしっかり者だった。

「それにくらべて、わたしは」

「なんか言った…?」

「ううん何も…」

「あっ、岫(ゆう)!」

「よー奈緒」

「連絡くんないから心配したんだからね。」

「奈緒ちゃん私先に言ってるね」

「あっ!待って。紹介するわ」

「こいつわ、私の幼馴染の菊田 岫。役に立つかもしんないから、夕ノも覚えときなさい
お前もおぼいとけよっ!」

「よろしくね。」
奈緒ちゃんのお陰でいっつも人の優しさに触れられていた。
ありがたいって思ってるけどどちらかというと不安の方が多かった。

「奈緒ちゃん遅れちゃうよっ!」

「今回も廊下を走らなきゃなっ!」

「もうっ!」

少し良い加減でもそばに居たかった。

ううん、そばに居なきゃいけなかった。

「ハァハァつかれたーー!!」

「疲れたね。ハァハァ」

「体育始めんぞー」

「あっ、そういえば夕ノ、今日日直だから一緒に帰れない..ゴメンね」

「ううん大丈夫だよ」

私の、昔の記憶って一体なんなんだろう…昔の彼が言ってた。
君の才能を生かして昔の記憶を取り戻せって。

(あっ、そういえばノート買わなきゃ…)

「奈緒、まだあいつと、居るんだ。」

「大変なんだよねぇ、めんどくさいっていうかww」

「本音でたーw!」

「名前なんだっけ?」

「夕ノだよw変な名前だよねーまじ、」

簡単に裏切られた。信じてた。

「って本人登場じゃね…ww」

バカにされてる。心が痛い。

「帰れよw」

「奈緒に近づくんじゃねーよww」

「やめなよ皆w」

「そうだよねっ…みんな簡単に裏切って捨てるよね?ただ1人の、ただ1人の意見でっ…
人の話聞かないで、だから、ねぇ、返してよ奈緒を、あんたを信じて居たか時間を
っ…‼」

「夕n

「奈緒いこ。」

もうやだよ。何も考えられない。

「夕ノさん…?」

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終わらせないで夢を。 光が見えるまで、 今更約束なんて叶わないかもしれないけど、 君という光を信じて

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更新日
登録日
2013-11-25

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