鑑賞記録-映画「シティ・オブ・ゴッド」より


2002年、フェルナンド・メイレレス監督。
60年から80年代のリオデジャネイロのスラム貧困街、通称“神の街”を舞台にした作品。ひたすらに暴力や強盗、レイプ、金、薬、権力闘争の様がモキュメンタリータッチで描かれる。赤茶けた景色に塵灰がまう裏路地を、裸足の少年たちが銃を片手に駆けまわる。これが彼らの、かつてのリオデジャネイロの日常風景なのだろう。
文化こそ違えど、私たちにも物心ついた頃より自然と叩きこまれる生活のルールがあるように、映画に登場する少年らにとっても、これが生きる術、街におけるルールなのだ。まさに弱肉強食、自然界の動物の営みを垣間見るような衝撃がある。強い者が支配権を握り、弱い者は当たりまえに淘汰される。生き残りたくば、何事かにつけて強くなるしかない。そうして栄枯盛衰、強者もやがてその地位をとって代わられれば、また新しい支配者が、このやるせない闘争劇を初めから繰り返してゆくのである。
年端もいかない少年がためらいなくその引き金を引く。眼前の命の重みなど、我々が通常いだくような道徳的価値観では説明がつかない。彼らは本能を武器に「生き抜か」ねばならないのだから。

鑑賞記録-映画「シティ・オブ・ゴッド」より

鑑賞記録-映画「シティ・オブ・ゴッド」より

「2002年、フェルナンド・メイレレス監督。60年から80年代のリオデジャネイロのスラム貧困街 ……」

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-11-25

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