妖精さんと夢工場

寒さの増す真夜中に純白の雪が舞い降りる。
静まり返った山奥にある森の中、
ぽつんとある井戸底から、

しゃりんしゃりん。
しゃりんしゃりん。

リズム良く聞こえる鈴の音。


こんな寒い日の夜中に井戸底から、
そんな音が聞こえるはずがない。
ここに誰かがいたとすると誰もがそう言う。
とは言ってもここは山奥で深夜。
人っ子一人いないこんなところで、
鈴の音が聞こえていても、
それを知る人なんているはずもない。


そんな井戸底には小さな小さな小人が住んでいる。
鈴の音の合図に合わせ次々と、
眠っている良い子たちのために夢を作る。

作っては井戸底から飛び立ち、
流れ星となって空を駆けて良い子へ届く。


今日も明日もずっとずっと。
世界の良い子みんなに夢はあるから。

妖精さんと夢工場

妖精さんと夢工場

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-11-24

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted