妖精さんと夢工場
寒さの増す真夜中に純白の雪が舞い降りる。
静まり返った山奥にある森の中、
ぽつんとある井戸底から、
しゃりんしゃりん。
しゃりんしゃりん。
リズム良く聞こえる鈴の音。
こんな寒い日の夜中に井戸底から、
そんな音が聞こえるはずがない。
ここに誰かがいたとすると誰もがそう言う。
とは言ってもここは山奥で深夜。
人っ子一人いないこんなところで、
鈴の音が聞こえていても、
それを知る人なんているはずもない。
そんな井戸底には小さな小さな小人が住んでいる。
鈴の音の合図に合わせ次々と、
眠っている良い子たちのために夢を作る。
作っては井戸底から飛び立ち、
流れ星となって空を駆けて良い子へ届く。
今日も明日もずっとずっと。
世界の良い子みんなに夢はあるから。
妖精さんと夢工場