終りなき愛
黄昏
雪やこんこ、霰やこんこ。
降っては降っては、ずんずん積もる。
山も野原も、綿帽子かぶり。
枯木残らず、花が咲く。
小さいころ、友達と遊んで家に帰るとき。
帰り道で誰かが口ずさんでいた歌。
雪やこんこ、霰やこんこ。
降っても降っても、まだ降りやまぬ。
犬は喜び、庭駈けまわり。
猫は火燵で丸くなる。
真似して歌ってみたけれど、詩が全然わからなくて。
鼻歌を歌いながら、帰って行った記憶がある。
「…雪やこんこ…霰やこんこ。」
ちょうどあの日も、今日と同じくらい寒い冬だった。
空気が凍てついていて、自分が氷になりそうなくらい寒くて。
手袋をして、マフラーをして、帽子もかぶって、耳当てもして。
それでも寒くて、外に出るのを少し躊躇ってしまう。
「…降っては…降っては。」
雪が降った日は、嬉しくて嬉しくて仕方がなかった。
どんなに寒くても、雪がすごく冷たくても。
遊んでいれば忘れちゃうほど、はしゃいで遊んで。
「…ずんずん積もる。」
そんな小さかったころと比べて、今の私は部屋に閉じこもりがちだ。
「…山も…野原も。」
手を擦りあわせて、息を吹き掛ける。
「…綿帽子かぶり。」
明日は外に出てみようかな。
「…枯木残らず、花が咲く。」
もちろん、ちゃんと温かい格好をして。
この歌を口ずさむと、あの日を思い出す。
終りなき愛