調律

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先日、職場のどこからかピアノの音が聞こえてきた。
曲を演奏しているわけでもなく、何かの伴奏をしているわけでもない。
ああ、そういえば上司が課で持っている二台のピアノの見積もりを以前出してて、そういえば今日楽器屋が来たとか言ってたな。

私はピアノはほぼまったく未習の人間である。家にはピアノがあったが、調律をしてもらっていたのなんて幼いころに一度見たか見ないかくらいだ。だって、弾かないのだもの。

調律をする現場をさすがに仕事中にまじまじと無関係の人間が見るわけにはいかないので、遠くからその音を聞いているだけだが、ひたすら同じ音を聞き、合わせているのだろうな、と想像する。相当な音感を持たれている方に違いない。

少し聞いていると、あ、これはシ(H)かな、とか、ラ(A)かな、とかなんとなく感じるのであるが、自信はゼロだ。吹奏楽をしていた時のチューニングに毎回頭を悩ませていた人間である。音を目の前で出されても同じ音を出すことができないというのにはほとほと困り果てた。

ほんの少しだけ調律師という仕事に興味を持ち、軽くインターネットで検索してみたが、やはり専門学校などで調律の技術を学ばれるというパターンが多いようだ。そういえばどこかの音大で調律科というコースがあったような気もする。

まあ、なんにしろ、音楽の世界で音感はある程度は持たないとやっていけないな、と調律されているピアノの音を聞きながら感じたのであった。

調律

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  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-11-21

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