波打ち際に置いた足裏の砂を、

返す波が、さらって行く時の、

頼りなく、不安な心地。


それにも似た、僕の心は、

それでも、そこに足を置く。


つんのめるのか、のけぞるのか、

いつでも不安定な足裏の砂を、

そうだ、冷や冷やしながら、


僕は、そこに足を置く。


夜の海は、波間に月光がたゆたい、

漆黒の海底に溶けていく。

青白き蠱惑の光に、見惚れて佇めば、

たちまち、砂をさらわれる。


どんなに凪いだ海も、眠らない。

綿毛の風吹く、春の海も休むことがない。


それでも僕は、そこに足を置き続ける。


それが、愛と呼ばれる日まで・・・・

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-11-19

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted