私の中の小さな親友へ

一握りの時間は流れていく
時間は沢山の思い出と共に流される
風は、幾つもの落ち葉を見送っていく
寒い……
地面が凍てついているから歩けないんだ

夜から珈琲を飲んだ
寒い日だから、温かくて心地よい一杯を
新しい夢を見るために
楽しいことを考えるために
眠くないけれど、目を瞑り横になる

昨日の朝、電車に揺られ、黙って走り去って行くプラットフォームを眺めながら思った
大きな自分は、今、此処で揺られていますと

小さい頃には、何にでもなりたい自分になれた
或る時は花屋さん
或る時は有名人になれた

私よ
貴方は子供の頃に夢見た私ですか
今、貴方は私ですか
私らしくやっていけそうですか

嗚呼……
私は変な色の甲羅を持ってしまった
此れが重すぎて如何にもならない
何にもなれない
うんざりだ
私は、こんな色の甲羅には興味が無い
周りがクスクスと指を差すのだ

大丈夫

何時だってなりたい自分になれるんだ
甲羅の色とも仲良くなるんだ
焦る必要は無い
どんな時でも見守っているからね
疲れてしまったら、温かいミルクでも飲むんだよ

今更、珈琲が胃の中でキリキリと痛んだ
心臓まで湧き上がってきては冷めていく
珈琲なんて飲まなきゃ良かったのだ
けれども、気づくと
私は此の甲羅のことを
私は此の甲羅の色と向き合って行く決心が芽生えていた

ふんわりと柔らかい風が肩が触れるのを感じた
もう寒くない
口を噤み、掌には温かさを感じている

大切なのは、笑顔と優しさとほんの少しの勇気と角砂糖だよ

親愛なる私へ

私の中の小さな親友へ

私の中の小さな親友へ

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-11-18

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