vision

第1話  はじまりの日


つまらない‥‥‥


人生ってつまらない‥‥‥


毎日同じ事の繰り返し、


動物っていいよな‥‥‥

自由っていいよな‥‥‥


翼が欲しい‥‥‥‥‥‥‥‥‥



そんな事を想いながら今日も1日空を眺めていた。


2010年4月19日
東京都


雨宮だいき(あまみやだいき)
東京都立青葉高等学校2年
黒髪ショート
容姿はよくも悪くもないといった所だ、
取り柄なし
高校受験に失敗し自宅の近くの青葉高校に入学した。
家族、親戚からはとうに見放されている。

授業終了を告げるチャイムが鳴り響く、
「だいき!!はよ帰るで!!」
[声でかいな‥‥]
このでかい声の正体は中学校からの同級生安達瞬

安達瞬(あだちしゅん)
青葉高校2年生
茶髪ショート
容姿は誰もが憧れるような整った顔立ちをしている。
中学校からの友人で安達は体裁など気にしないとても明るい性格で誰とでも仲良くなるような人物だ。
関西出身ではないのになぜか関西弁なのが安達の特徴。

「空ばっかり見て楽しいか??」
「空見てると心が落ち着くんだよ」
「ふ~ん‥‥はよ帰るで!!」
そう言って安達は教室を出ていった。
「おい!!待てよ!!」
急いで鞄を掲げ安達の後を追った。



帰り道、前を指さして安達が言った
「あれって真由ちゃう??」
その言葉に雨宮は驚いた。
そこには雨宮が中学から想いを寄せていた鈴木真由がいた。

鈴木真由(すずきまゆ)
全国でも有名な進学校青興学園高校2年
黒髪ロング
清楚で容姿端麗
雨宮とは幼稚園からの幼馴染でお互いに中学の頃から想いを寄せていたが、
卒業まで想いを伝えれずに卒業を迎えてしまう。

「真由ちゃん!! 久しぶり!!」
安達が手を振りながら鈴木のもとに走っていた。
「待てよ~~」
雨宮もゆっくりと向かった。

「瞬くんにだいちゃん!!久しぶり」
2人のいきなりの登場に驚いていた。
その後安達と鈴木はお互いのことについて語り合っていた。
「あの~~二人とも‥‥‥俺の事忘れてない??」
2人は同時に雨宮の方を見て笑い出した。
「なんだよ??」
その後3人は笑いに包まれた。

自宅の前に着くと雨宮が
「明日は何の日かわかってるよね・」
雨宮が二人に問いかけると真由が涙ぐみ
「惣ちゃんがいなくなって1年目!!
忘れるわけないよ……」

柏木惣次郎(かしわぎそうじろう)
雨宮、鈴木とは小学校からの幼なじみで
安達とは中学校からの2年短い時間だったが
安達がボケ、柏木がツッコミと毎日笑いが絶えなかった。

中学3年生になってすぐに行方不明になり、未だに見つかってはいない。
3人は行方不明になった日は、中学時代毎日のように遊んだ思い出の場所(青葉神社の大きな桜の木の下)に行くと誓った。

「あぁ……」
空気が悪くなったのを見て安達が
「辛気臭い顔すんなや!!
ほな!また明日や」
そう言って全速力で帰っていった。
「私も帰るね」
「あぁ」
自宅へと入った。

4月20日

「雨宮!!はよ起きんかい!!」
安達のやかましい声に目が覚め
時計をみると集合時間の1時間前だった。
窓を開け
「はえ~よ!!まだ1時間前だぞ」
「男は1時間前行動だ」
[何言ってんだこいつは]
そう思いながらのろのろと準備を始め、
玄関を出るとそこには鈴木がいた
「真由……も早いな。」
顔を赤らめて言った
「うん……待ちきれなくて……」
「そっか……」
そんな二人に茶々をいれ
「お二人さんの顔ってなんでそんなに赤いんや?」
雨宮と鈴木は声を揃えて
「うるさい!!」
「あぁ~~怖い怖い
はよ行くで!」
安達は足早に歩いて行った。


青葉神社の大きな桜の木の下に着くと、満開の桜が三人を迎えた。
三人は目を閉じて柏木が必ず帰って来ると願った。

どれぐらいの時間がたっただろうか、
最初に口を開いたのは雨宮だった
「惣次郎はいつか戻ってくるさ、何事もなかったように………その時は何も言わずにいつものように過ごそう。」
「せやな」
「うん」
三人はまたゆっくりと目を閉じ願った。

だが平和な時間は長くは続かなかった。
後に起こる事件は彼らの胸に深く刻み込まれるだろう。


2人とは自宅の前で別れた、
玄関に入ろうとしたその時
前方に自分と同じぐらいの大きさの影が現れた。
「なんだよ!!お前!!」
影は雨宮に近づき
「ワタシノカラダ」
「やめろ!!!!!!」
影が雨宮の身体に入っていく感じがすると
少しの間頭が真っ白になり
「フフフフッ笑」
無意識のうち笑っていた。
はっと正気に戻った雨宮は自宅へと向かう。

第2話 覚醒

            第2話  覚醒

翌日昨日の出来事は頭から離れていた。
TVをつけると雨宮は衝撃を受ける
そこには殺人の容疑者として
青葉高校2年石山たける
     2年吉良亮
がいた。
 
石山たける(いしやまたける)
青葉高校2年
金髪で短髪
見るからにコワモテの顔だ。
安達とは入学式のときから仲が悪く喧嘩ばかりしていた。


吉良亮(きらりょう)
青葉高校1年
黒髪でオールバック
石山と仲が良くいつも一緒にいる。
石山との喧嘩仲間。

[石山と吉良が人殺し??]
雨宮は急いで学校へと向かった。


学校には多くの新聞記者がいた。
雨宮が門の前に行くと新聞記者が一斉に近づいてきた。

「石山容疑者と吉良容疑者についてお話聞かせてください!!」
雨宮は聞く耳を持たず、新聞記者を払いのけた。

教室には数人の生徒しか居なく、安達は下を向いたまま意気消沈としていた。
「石山は人を殺すようなやつやない!!
あいつとは喧嘩ばかりしとるからわかるんや」
「ああ‥‥俺も信じてる」
「チャラララチャララ」
安達の携帯が教室に鳴り響いた。
石山からとわかると我にかえり電話を取った。
「石山!!どういうことや!!」
「安達瞬君お久しぶりです。」
石山の声が明らかに変わっていた事に驚きながらも
「どこにいるんや」
「安達瞬君、決着をつけましょうか」
「どこにおるかきいてるんや!!
答えろ!!石山!!」
「勝負してくれるという事でいいんですね。
わかりました、私は青葉第3倉庫にいます。
あと変な真似をしたらあなたの大事なお友達がどうなるかわかりませんよ」
「助けて??!!だいちゃん!!瞬君!!」
その声は雨宮の耳にも聞こえていた。
「安達!!今の真由の声だよな!!」
安達は聞く耳を持たず、立ち上がり携帯をへし折った。
その時の安達は鬼気迫る顔をしていて、雨宮は何も言えなかった。
安達は教室を飛び出した。
「待てよ!!」
雨宮も教室を飛び出し追いかけた。
しかし100m全国大会に出場した安達の足には到底追い付けない。

見失った雨宮はただがむしゃらに走った。

するとどこからか凄まじい音が響いた。
音のする方に向かうと、
そこには岸本公平と殺人の容疑がかかっている石山まさると真っ黒なフードを被った男………
そして鈴木真由の姿があった。

岸本公平(きしもとこうへい)
青葉高校2年
金髪ショート
安達とはつねに一緒にいて喧嘩仲間である。


だが岸本は身体中傷だらけで意識不明、

岸本は教室で怒り狂う安達を目撃し気になり追いかけてきた。

「岸本は関係ないやろ!!」
石山は鈴木を指差し言った。
「きっかけが必要でね、覚醒するための……この女じゃ弱いみたいだからね」
「覚醒??何言ってやがる!!」
「わかりました、見せてあげましょう私の力を」
そう言うと石山を左手で右手を抑え叫んだ
「うぁぁぁ!!!!!」
石山の右手は真っ赤に染まりはちきれんばかりに大きくそして伸びていき
雨宮 安達 鈴木は唖然とした。

石山は息を乱しながら
「これが俺のVisionだ」
「Vision………なにいって」
その瞬間に石山の腕が安達の腹部に直撃し凄まじい勢いで壁に飛んでいった。
「ぶわっ!!!」
口から血を出し倒れこんだ。
石山は岸本の頭を掴み安達に向かってゆっくりの歩いてく、
[なんとかしないと……でも………無理だよ…………]
雨宮には石山に立ち向かう勇気はなかった。

石山は安達の目の前に立ち岸本の頭を持ち上げ
「覚醒のためのいけにえとしようか」
「やめてくれ…………やめてくれ………やめろや!!!」
石山は躊躇なく岸本の頭を握り潰し高笑いをした
「……………………………………………………」
安達はその場に立ち尽くした。
数秒間沈黙に包まれ
鈴木が叫んだ
「いやぁ????!!!!!!」
「いしやまぁぁぁぁ????!!!!」
立ち上がると明らかにさっきまでの安達とは違った。
すると目に見えぬ速さで石山の背後に回り込み蹴りを入れる、
石山は意表をつかれ飛ばされた。
安達は飛んでいる石山の背後に一瞬で回りまた蹴りを食らわした。
なんとか体勢を立て直し
「やっと覚醒したか……………これがお前のVisionか面白い」
不気味な笑みを浮かべると右手を構える。
しかし安達は一瞬のうちに石山の目の前に移動した。

すると!!
後ろにいたフードを被った男がいつの間にか石山の後ろにいた。
両手をあげて何かを呟くと安達の前に黒い影が現れた。
すると安達は勢いあまり影の中に入って影と共に消えていった。
フードの男も黒い影に覆われ消えていった。
[いったいどうなってるんだよ]
そう思った矢先、石山は鈴木に向かって歩いて行く
[真由!!真由が危ない!!
くそっ!!
なんで動かないんだ!!]
雨宮は恐ろしさのあまり足が鉛のように重くなっていた。
その間も石山は鈴木に近づいいく。
[動け!!動け!!動け!!動け!!…………………………………………俺は真由を助けるんだ]
肩の力が抜けたのか重かった1歩を踏み締める事が出来た。

「真由に近づくな!!!」
石山はゆっくりと振り向き言った
「お前は…………………雨宮か………この女が欲しいのか?」
気を失っていた真由を持ち上げた。
「その汚い手を離せ!!」
「威勢だけはいいな
まぁいい………この女は用済みだ」
そう言うと鈴木の頭を掴んだ。
「お別れだ」
「真由を………真由を………離しやがれ!!!!!!!!!!!!」
その言葉と同時に倉庫に大きな地響きが起きた。
「何???お前もVisionの力を………なるほどな、力が弱すぎて気付かなかったのか………だがまだ完全に覚醒はしてないみたいだな」
石山は少しの間沈黙し数秒後口を開き
「こいつは預かった……人柱としてな………返して欲しければお前のVisionを覚醒させてみろ
俺達は能力者(なかま)を集め東京で作戦を実行する」
そう言い残し石山は黒い影に覆われ姿を消し、
雨宮はただ1人その場に取り残された。

第3話 自由と幸福(ニルヴァーナ)

真夜中になるまで立ち尽くしていた。

そして抜け殻のようになりながら自宅へと向かう
シャワーを浴びながら今日の事を思い返す
「いったいなんだったんだ‥‥‥‥Visionって何なんだよ‥‥‥
真由はいったい何処に」
雨宮は胸が締め付けられるような思いのまま、
ベットへと横たわった。
ただ呆然と天井を見つめ
[vision‥‥‥‥能力(なかま)‥‥‥‥作戦‥‥‥‥
東京??]
ハッと思い雨宮はベットから立ち上がった。

机に向かい手紙を書いた


家族みんなへ
俺は大事な仲間を助けに旅に出ます。
駄目な息子ですいません。
でも俺は俺です、
俺は必ずここに帰ってきます。
いつも帰って来られる家をありがとうございます。
            だいきより


涙で濡れた手紙をリビングの上に置き
玄関を飛び出すと朝になっていた、そしてがむしゃらに走った。


[東京ってやっぱ人多いな‥‥‥]
すると後ろに背筋が凍りつような何かを感じた、
雨宮は逃げるように走る、
だがそれはどんどん近づいてくる。
雨宮は近くの狭い道に逃げ込んだ。
すると、その気配が一瞬消えた。
安心したのもつかの間、目の前にその気配が現れた。
目の前には腰に木刀を差した20歳ほどの男が立っていた。
「すまぬ‥‥」
かすかにそう聞こえると
頭に激痛が走った。
[うっ!!!]

その瞬間意識が朦朧となり、倒れ込んだ。


目が覚めると、そこはどこにでもあるような部屋だ
「ようやく目が覚めたでござるか。」
そこにはさっきの男が
「伊集院殿!!彼が目を覚ましたでござる。」
「やっとですか‥‥‥強くやり過ぎですよ剣さん」
「かたじけない」
「君、きたまえ」
渋々ついていき、廊下に出ると左手にドアが見えた。
「はいりたまえ」
眼鏡の男がドアを開けると大きな部屋が広がっていた。

その大きな部屋には2人の女と3人の男がいた。
「座りたまえ」
眼鏡の男は右手の大きなパソコンの椅子に座ると
「驚かしてすまない‥‥‥我々は自由と幸福(ニルヴァーナ)‥‥‥君の仲間だ」
雨宮が恐る恐る
「証拠は?」
「ない!!ただ俺たちは君と同じ能力者だ」
「その能力って何なんだよ!!」
「君は本当に何も知らないんだな‥‥‥‥仕方がない
初めから説明するか‥‥能力って言うのはvisionの事だ」
「vision‥‥‥石山も言ってたな」
その言葉に眼鏡の男が立ち上がった
「石山!!!!それは石山まさるの事か!?」
「石山を知っているのか??」
「当たり前だ!!石山まさるは能力者で俺たちの敵だ」
雨宮は石山が敵という事実を受けいれることはできなかった。
だが、今は気にしている場合ではない、鈴木を助けるためには彼らの力を
借りるしかないと雨宮は思っていた。
「俺に力を貸してくれないか!!
俺の大事な人が石山に拐われたんだ
お願いだ!!俺に協力してくれ!!」
部屋の端で座っている赤い髪の男が立ち上がり
「ふざけんんじゃねぇ!!!!なんでテメェみたいな弱い奴の力にならね~といけねぇんだ!!!」
すると40歳ぐらいのヒゲをはやした男が
「赤川君やめないか」
赤い髪の男は黙り
「オヤジ‥‥‥すまない」
雨宮はこのオヤジと呼ばれている人がここのリーダーだと分かった。
「すまないね、彼は血の気が多いもんでね
とりあえず私達自由と幸福(ニルヴァーナ)は君の味方だ
信じてくれないか?」
「はい‥‥‥」
ヒゲの男には妙な説得感があった。
「君の名前を聞かせてくれないか?」
「雨宮だいきです」
「雨宮君ね、雨宮君は能力についてどれだけしっているんだ??」
「すいません、何もわかりません」
隣で赤い髪の男の舌打ちが聞こえた。
「そうですか‥‥‥では伊集院君能力についての説明してくれるかい??
私説明が苦手でな」
するとパソコンから手を離し敬礼をして
「了解ですオヤジ、
とりあえず確認だ、君は石山を殺すことは出来るか??
情報を渡すにはそれなりの覚悟が必要だ」
雨宮はためらわずに
「あぁ‥‥‥真由を助けるためなら‥‥‥ただ、救うことが出来るのなら
俺は救う。」
赤い髪の男が立ち上がったが、ヒゲの男が睨みつけると、赤い髪の男は大人しく座った。
「君は面白いね、
わかった説明しよう。
能力‥‥visionというのは簡単に言うと自分の心を映し出しそれを具現化したものだと仮説している、
その仮説だとつじつまが合うんでね。
例で言うと彼」
腰に木刀を差した男を指差し
「彼は高校時代インターハイで3連覇、そして全日本大会で優勝経験がある、まさに
最強の剣豪だね。
その彼の能力が剣術(剣術の能力を極限まであげる)
まさにピッタリな能力だ

そして、能力には3つの種類がある。
1つ、超人型(マキシマム)‥‥身体のなかに眠る潜在能力を極限まで引き伸ばす
2つ、特殊能力型(エニグマ)‥‥通常ではありえないような技を使う

そして
3つ目、これは最強のvisionと言われていて、希少数しかいない
不完全型(アンノーン)‥‥謎の能力、人間ではないような姿になる

と簡単に言えば以上だ、
まだ調査中だけどね。また追追せつめいするよ」
するとヒゲの男が手をたたき

「難しい話はこれまでで
新しい仲間が入った事だし自己紹介をしようか」
そう言うとそれぞれ自己紹介を始めた。

ヒゲの男‥‥榊玄        榊十郎(さかきげんじゅうろう)45歳‥まだ能力はわからない。ただ、他の能力者の気配を感知することに優れて                                          ている

赤い髪の男‥‥赤川純也(あかがわじゅんや)23歳
超人型(マキシマム)‥‥凝血[血を自由自在の硬さを変えることが出来る]」

腰に木刀を差した男‥‥剣兼蔵(つるぎけんぞう)20歳
超人型(マキシマム)‥‥剣術(剣術の能力を最大限まで上げる)

澤井奈津(さわいなつ)25歳
特殊能力型(エニグマ)‥‥治癒(細胞を活性化し傷の再生を早める)
山田はるか(やまだはるか)18歳
特殊能力型(エニグマ)‥‥窒息(触れている間相手の酸素を奪う)

伊集院貴教(いじゅういんたかのり)17歳
超人型(マキシマム)‥‥天才(知能を極限まで上げる)



榊が立ち上がり
「ようこそ!!自由と幸福(ニルヴァーナ)へ」

雨宮は頭を下げ
「よろしくお願いします!!!!」
続いて
「あの~~自分の能力ってどうやったらわかるんですか??」
「影見なかった?」
そう言ったのは澤井だった
澤井はとても可愛らしく中学生ぐらいにしか見えなかった
[こんな小さい子も‥‥‥]
雨宮が見とれていると
「雨宮さん??」
我に帰ると
「あっ!!ごめんなさい!!なんでしたっけ?」
そんな雨宮に伊集院が茶茶をいれた
「彼女はもう24ですよ」
雨宮は唖然とした、何度見ても澤井は中学生にしか見えなかった。
「もういいです!!」
澤井は顔をあからめながら後ろをむいた。
それを見て伊集院は
「奈津さんは中学生に見られることがコンプレックスなんだな、
まあ話を戻そう、君は影を見なかったか?
我々能力者はみな能力を得るときに影が体の中に入っていったんだ。」
雨宮は20日に自宅の前で起こったことを思い出した。
「たしかにそんな事あったな」
その時、また背筋が凍りつくような感じがし
皆気配を感じ取ったのか、目付きが変わった
すると、榊が
「1人か‥‥‥大したことない能力者だな
よし!!雨宮、兼蔵、奈津、3人で迎え撃て、一般人を巻き込むなよ。
それと、雨宮!!気を抜くなよ!!能力者の戦いをしっかりと見てこい!!」
「はい!!」
とは言ったものも動揺していた。
「雨宮殿、奈津殿、いざ参ろう!!」
奈津がめんどくさそうに
「は~~い」
3人は扉から飛び出した。

扉から出ると兼蔵が
「近いでござる‥‥とりあえず人が居ない場所に向かおう
敵もこちらに気がついて近づいてくるであろう」
3人は人どおりが少ない路地裏へと向かった。

すると、目の前にニット帽を深く被った若い男がいた
兼蔵が腰の木刀に手をかける
「御主、何ものでござるか」
ニットの男が
「知らね~~な
ただ、お前の敵だ」
「仕方がない、御主を切らせてもらう」
ニットの男が馬鹿にするように
「木刀でか??」
その言葉に顔色を変えて
「我、愛刀政宗に切れないものはない!!!」
そう言うと、全速力で男に向かっていった
素早い動きで、木刀を振りかざす


だがニットの男は、片腕で木刀を止めた
「何??硬い‥‥‥」
ニットの男の左フックが兼蔵の腹に受けうずくまった
「うっ‥‥‥」
続けて前蹴りを受けて吹っ飛んだ。
それを見て雨宮が
「兼蔵さん!!!テメェ」
男に向かおうとすると奈津が腕を持った
「やめな!!言っておくけど、兼蔵はかなり強いよ」
兼蔵は立ち上がり
「御主の能力は鉄?でござるね?」
「ご名答、俺の能力は硬鉄、身体を鉄にすることが出来る。
お前の木刀では勝ち目はないな」
男は兼蔵に向かってくる。
兼蔵は目を瞑り木刀を構えた
「死ねぇ~~~~~~~~」
すると、兼蔵は目を開き木刀をひと振りした
「剣(つるぎ)流剣術奥義一刀両断


木刀を腰にしまうと男の腕が落ち、倒れた。

能力者の力

「すごい……
鉄の腕が切れた……
どういうこと??」
雨宮はわからない事ばかりだった
それに見放して奈津が
「兼蔵くんの能力は剣術……剣術の能力を極限まであげるの、それを発動した時の兼蔵の木刀に切れないものはない……
剣道の天才だから出来る事なんだよ」
「俺の能力って……」
雨宮は自分の掌を見て思う
3人は自由と幸福(ニルウ゛ァーナ)の基地へと戻った。
扉を開けると奈津が走り出した
「おじちゃ~ん!!戻ったよ!!
兼蔵が軽く倒したよ!
やっぱりただのパシリだね」
「よくやった」
それだけを言って黙ると奈津は落ち込んだ
その時、伊集院が叫んだ
「みんなみてくれ!!」
すると部屋のスクリーンに画像が映し出された、東京から南西にある三宅島の衛生画像で大きな施設が建てられていた。
何のへんてつもない画像に雨宮が皆の思っている事を代弁した
「これがいったい何なの?」
待ってましたと言わんばかりに伊集院が
「こんな施設、数日前まではなかった、しかも………この島の住人が1人もいない………一瞬にして消えた………」
部屋が数秒間静寂に包まれた。

最初に口を開いたのは榊だった
「あの島で何かが起こってる、おそらく能力者の仕業だろう………嫌な感じがする……
事態は一刻を争う!!
すぐに島に乗り込み調査を頼む!!
ただ…………………とてつもなく強い能力者がいるはずだ
一切気を抜くな!!」
一呼吸おき
「赤川、澤井!!剣、山田!!
今回は2人1組で行動してもらう……
出発は明日の夜中だ!!しっかりと身体を休めておけ!!」
雨宮は自分が選ばれない事に不満だった
「ちょっと!榊さん!!なんで俺は行けないんですか!?」
「今回は危なすぎる
自分の能力も知らないお前に行かせるわけにはいかない!!お前は死にたいのか?」
雨宮は何も言えなかった、今回の敵ですら能力を使わなければ剣は負けていた、敵の基地に乗り込むのに能力を知らない雨宮が行っても死にに行くようなもの、ただ雨宮は
土下座し
「行かせてください!!真由を助けるんです!!どんな場所でも………………
必ず助けに行くと誓ったんだ!!!!
ここで動かなかったら一生後悔する………」
その言葉に呆れた榊は
「好きにしろ………………誰も助けてはくれないぞ」
「わかってます」
雨宮の決意は本物だった
「ただ………………………死ぬなよ」
言い残し榊は部屋を出た。
「皆、今日はゆっくり休むでござる
いつものように男はここで女は女子部屋でゆっくり休む」
山田と澤井が
「おやすみ~~」
部屋には男だけが残り、布団を敷き眠りに着いた。
雨宮は眠れない、明日死ぬかもしれないと思うと恐ろしく怖くなり。
ベランダにでて夜空を見上げる。
都会なのに今日は星が見え雨宮は心が少し落ち着いた。
ベランダの扉が開き誰かが隣に座る
それは剣だった。
「眠れないのでござるか?」
「榊さんには見えはって言ったけど………やっぱ怖いです」
「拙者も怖いでござる……いや……怖くないものはいないでござる」
「剣さんも怖い?」
「あぁ、こんな戦いを早く終わらせたい、弟を殺したこの能力なんて必要ないでござる」
雨宮は衝撃を受けた。
「弟を?」
「あれは今年の4月20日…………」

剣の過去 前編

事件前日 剣道場
「め~ん!!」
「どう!!」
「こて!!」
毎日大きな掛け声が鳴り響く。
「やっぱり兄上は強いです」
「健太郎の剣はまだ遅い、しっかりと筋力をつけるのでござる!!」
「俺はいつか兄上から必ず一本取る!!」
「その意気だぞ健太郎!!」

剣健太郎(つるぎけんたろう) 16歳高校1年生
兼蔵のたった1人の弟で中学校の全国大会で3連覇を果たした。期待の新人として期待されている

「兼蔵!!健太郎!!ご飯出来たわよ」
「今行くでござる!!」
剣家は古くから剣道一家で有名で東北の田舎にある自宅はお寺で大きな剣道場があり、2人は1日中剣道場にいることが多かった。

事件当日
「ただいま!!!」
元気な声と共に健太郎が帰宅した。
「兄上!!お手合わせお願いします!!」
「よかろう!!剣道場で待っておる」
そう言い兼蔵は道場に向かう。
道場の真ん中で目を閉じて健太郎を待っている時だった……
目の前に誰かを感じた兼蔵は健太郎が来たものだと思い目を開けると、
そこには黒い影が立っていた。
「御主何者だ!!」
立ち上がり竹刀を構える
「ワタシノカラダ」
影が近づいて来る
「めん!!!」
しかし影をすり抜けて当たらない、影はどんどん近づいて来る。
何度打っても当たらない。
「ワタシノカラダ」
影は一瞬消えて目の前に現れ驚いた兼蔵は動けなかった
影が身体の中に入って来るのを感じる………すると、兼蔵は身体の自由を失った


「兄上!!お待たせしました!!」
健太郎はゆっくりと準備をし始める。
(テキ……)
身体の中の影がそう言っている
(あれは弟だ!!)
(テキ……ワタシノVisionをミセテヤル)
(何を言っているのだ)
身体が勝手に動き面を付け竹刀を持ち上げ位置に立つ、健太郎も竹刀を持ち上げ位置に立った。
「兄上!!よろしくお願いします!!」
全速力で竹刀を振りかざしてきた、
「めん!!どう!!こて!!」
健太郎の怒涛の攻撃も兼蔵は軽く交わした。
(兄上……流石です)

兼蔵は身体を力いっぱい抑えようとするが止まらない、
今度は兼蔵のどうが健太郎に向かう、健太郎は竹刀で受け止めようとするが…………健太郎の竹刀が粉々に折れ飛ばされた

だが兼蔵の身体は止まらず素早い動きで健太郎の面に突きをする、命からがら横に交わした。
「兄上!!どうかしたんですか!?
今日の兄上おかしいですあのまま突きが当たってたら俺……」
兼蔵の身体は止まらない、素早い動きで背後に回り込み竹刀を振りかざした何とか健太郎は交わした
(もうやめろ!!!)
兼蔵の心の叫びも届かず身体は勝手に動く。
健太郎は壁に掛けてある竹刀を取り構えた
(兄上がおかしい……正気を取り戻してください)
いつもの兼蔵ではない事に健太郎は気付いていた、兼蔵に勝てば正気に戻ると信じていた。
(逃げろ!!健太郎!!)
想いも裏腹に健太郎は向かってきた
(コロス)
(やめてくれ!!)
「めん!!」
健太郎の面を軽く交わし兼蔵の強烈な面が当たった、衝撃波と共に面が割れだが健太郎は意識が朦朧としていた中で銅を打つ……………しかし竹刀は兼蔵の身体をすり抜けた。
(えっ??)
後ろに気配がすると思い振り向くと
(やめてくれ~~~~~~~~~~)
兼蔵の竹刀が振り落とされる
すると健太郎の身体から大量の血が吹き出し倒れた。

その後兼蔵の身体の自由が解けた。

vision

vision

どこにでもいるような高校生雨宮だいき 彼は高校受験に失敗し家族、親戚から見放されている。 そんな彼にも大切な友人もいる。 だがとある事件をきっかけに彼に特殊な能力が芽生える 様々な人が巻き込まれ その能力を使い何かをしようとする者が現れる。 その能力とはいったい何なのか?? 奴らの目的は??

  • 小説
  • 短編
  • ファンタジー
  • 冒険
  • アクション
  • 青年向け
更新日
登録日
2011-09-22

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted
  1. 1
  2. 第2話 覚醒
  3. 第3話 自由と幸福(ニルヴァーナ)
  4. 能力者の力
  5. 剣の過去 前編