「見える」と言う女。
暑くなると、やれ温暖化、巨大台風も温暖化です。
100年ぶりとかの、記録更新で凄いと思う前に100年前はそんな事誰も言ってない事実、
史上最大の台風っていつから記録しているのでしょう、精々ここ50年でしょう。
最近になってCO2も言わなくなりましたが、依然として幅を利かせていますね。
そしてそこに税金使われていくのを、ただ見守るだけの我々・・・・
本当にいい加減にして貰いたいです。
霊感は突然に・・・。
地方都市に住むエイ子は絵にかいたような家庭に育っていた。
共働きの両親に三歳年下の弟が一人だったが、エイ子が小学生になる頃に両親は仕事の忙しさに任せてエイ子に弟の世話を任せっぱなしにしてしまったが女子の六歳と男の子の三歳では発育度、知能が全然違う。
チャンと弟の身の回りの世話をする一方で、子供特有のイタズラも、し放題で三歳の弟など簡単に騙せた。
例えば「おねぇちゃん、おやつがなくなったよ?」と言えば「あっ本当だ!きっとお庭の小人が食べたんだよ?」で済ませての横取り、「おねぇちゃん、遊んで」が面倒臭くなると「早く寝ないと、宇宙人にさらわれるよ、」と躾のための怖がらせも、覚えた。
弟も姉以外に頼る存在がなかったから、かなり成長するまで姉を信じ続けたので、すこし霊的なトラウマが憑いてしまった。
しかしやがてエイ子は退屈な毎日の高校時代、憂鬱な思春期を迎えていた。
ある夜のこと、久しぶり弟と一緒にテレビ番組を見ていると、窓の外を何かが通った。
「ちょっと、アキラ今何か通ったよね?」エイ子は偶然舞い上がったごみ、(コンビニ袋)をみただけだった、エイ子自身もそしてそれが、コンビニ袋だとうっすら気が付いていた。
「・・・いや、俺テレビ見てたし」答えた弟アキラは言葉と裏腹、明らかに動揺している、「そう?なんか人の顔にも見えたし、庭に誰かいるんじゃない?」わざと声をヒソメテ言うと、エイ子の思惑通りに弟は「止めてくれよ、幽霊なんている訳ないじゃん」 「誰も幽霊だとは、言ってないよ?、泥棒かも知れないし、ちょっとアキラ見て来てよ」「やだよ~」「あんた、男でしょう!意気地なし」
こんなやり取りがしばらく続くと、エイ子は気分が高揚してきたのに気が付いた。
(人を怖がらせて、心の弱みを責めると気持ちがいい!)これまで退屈しきっていたエイ子の心に、再び邪悪な火が灯ったのだった。
翌日、エイ子は数少ないクラスメートにその事を話した。
昨日の高揚感が忘れられず、おしゃべりが、したくてしたくてしょうがなかったから。
「昨日の夜ね、庭に何か、変なものが見えたんだよ、弟に見て来てって、言ってもこわがってさぁ」
思い悩む感じで言ってみた。
すると「エー何それ、何かの見間違いだよ」と初めは取り合わないが、別のクラスメートが思いついたように
「そういえばさぁ、エイ子の家の近くで、事故あったジャン、それと関係ない?」と言った。
やはりこの手の話は尾ひれ、羽ひれが付いて回る、確かに事故はあったが誰も死亡していなかった、しかし今はその事故の、詳細な結末など関係ない。
「エーやっぱり、そうなの?ヤダー」とエイ子も怖がってみせた、怖がってみせることで話はより盛り上がる事を知っている。
続けて「ねぇねぇ、やっぱ、供養とかお祓いした方がいいかな?」と聞いた。
この手の話にはなぜか知ったかぶりの、人間が一人二人いるもので、案の定普段は、親しくないクラスメートの、りん子が、「そうだねぇ、庭に出るってことなら地縛霊だよ」「地縛霊?」と一同は顔を見合わせ、真剣な表情になった。
皆があまり深刻な顔で悩むのでエイ子は「そっか・・・地縛霊なら、簡単にお線香を庭の隅で炊いてさ、成仏してくださいってすれば、大丈夫だよね」と言ってみた。
いつかのテレビ、バラエティーで霊能者が言っていた事だ、その時は「トンダデタラメ」と思っていたが、友達を安心させるために、いざ自分で話すと、なぜだが、自身に特別な能力があるように思えた。
そしてある事に気が付いた、(霊能者は霊そのものより、人の勘違いをを霊だと思わせる職業?)
(霊の正体は勘違いで、霊がいない事を霊能者が一番知っている!だから人を怖がらせる事が出来るんだ、本当に居るのなら真っ先に逃げ出すはずじゃないの?)そう思うとバラエティー番組で真剣に霊体験を語るタレントたちの顔が浮かんできて帰宅しても、先程の事が思い出されて、思い出し笑いが止まらない。
ひとしきり笑うと。今度は妙に腹が立ってきた、「アハハ、バカみたいでも…なぜだろう、本当に怖い話は、本当は作り話だと、分かっていても誰も真実を追求しないのは?世間の暗黙の了解?出演しているタレントも一流大学卒で、決してバカではないみたいだし・・・・必要悪?」
エイ子は社会の矛盾に行き当たった、こんな事が許されている社会は幸せなのか?大人の戯言を本気で否定すのは、
確かにカッコ良くはないが、過剰に反応する女性アイドルはどう何だ!「あんな怖がりしていたら、日常生活に支障きたすでしょう?怖がるのも仕事なの?」あれこれ考えていると、テレビで天気予報がはじまった。
天気予報は女性のお天気キャスターが伝え、大体が美人と形容されている。
衛星からの情報を元にしてつくられた天気図をマスコットの付いた指示棒で説明する、雨のマークや晴れの太陽マークも(可愛いい)を意識して作られていた。
「いいなぁ、美人はお天気伝えるだけで仕事になってさ、アイドルは怖がるだけだけど」と羨ましがった、エイ子は残念ながら人並みの容姿だったが、天気予報の資格さえあれば、私にもできるかもと、思ってしまった。
「あっこれだよ、霊よりも信じてくれるし、世間の注目も集められるし」エイ子の心を満たす不純な動機は強い意志を生んだ、かくしてエイ子の猛勉強がはじまった。
よく似た物。
気象予報士の受験資格はない、誰でも受けれるのだが、合格率が5%前後の難関だ。
エイ子は大学に進学すると、気象学と気候学を学んだ。
2回生の時に気象予報士の試験に合格したが、その後も熱心に研究したので気象予報士より上の気象博士となり、ついに世界気象機関の委員になった。
委員と言っても特別に活動することは何もなかった、スイスのジュネーブ本部でたまに行われる会合に出席するのが唯一の晴れ舞台で、後は偶に送られてくるデータを気象庁に提出するだけだった。
学生時代に思い描いたような気象予報士お天気キャスターの、華やかさは全くなかったが、収入もよく何より国の役人に対して優位に意見できた。
しかし「何か退屈だわ、もっと注目されてもいいんじゃない?」あの霊能者のように、世間を騒がしてみたい、「自分だけが答えを知っていて他人がアタフタするのを、心の中で楽しんでみたい」あの霊能者の様に。
暇で安定した収入があると実生活は考えないで良いから、余計な事ばかり考えてしまう、そんなエイ子の生活を一変させるような、報告書がスイスの本部から送られてきた。
≪地球はここ100年の間に気温が最大で6,4度の上昇、それに伴う南、北極の氷の融解で海水面の上昇で水没する地域が広範囲に渡る・・原因として二酸化炭素・・・≫
いわゆる地球温暖化の報告、国連IPCCからである、エイ子はすぐに過去の気温の折れ線グラフが意図的に大きく上昇されている事に気が付いた、わずか0,5度の上昇を急上昇したかのように細工してある事に。
「なぜ、これは・・・わざと、演出したいのね、それに気温が上がっても氷が解けても海水面は上昇しない、むしろ逆なのに」
なぜなら氷河期に地球が全面結氷していたと言う学説を覆すことになるし、アルキメデスの原理を否定することになる。
「でもこれで、報告しても良いのかしら」と念の為に本部に問い合わせると、「いや、君の話はよく分かるが、その方がこちらの都合も良いし、あちらの方の要請は断れないんだ、利権が動いているんだ、君だって今の仕事失いたくないでしょう?」
エイ子は、もやもやを感じながらも「分かりました」と返事した。
それからというもの、マスコミはこぞってCO2を悪者にした、「温暖化をストップしろ」水没する島の住民は涙ながらの訴えに先進国の市民は罪悪感を感じた、その島はただ地盤沈下で水没しているのに、まるで自分たちが出したCO2でそうなったと思ったから。
しばらくしてマスコミはエイ子は出演要請を受けた、気象変動の権威として分析結果をバラエティー番組でコメントすると、世間は食い入るようにエイ子のコメントを聞き感嘆した、これこそがエイ子の探し求めていた感覚だった。
あの霊能者の様に、霊が実在しないと知っていて、世間を騒がせる事と、温暖化が嘘で固められていると知っていて世間に警告を与える事はよく似ている、そして違うのは霊能者はやはりどこかで疑われるが、博士は尊敬された。
かくしてエイ子は売れっ子タレントになり様々なメディアに出演し、時にはグルメ番組やモノマネ歌合戦の審査員までこなした。
「もう、今更温暖化は嘘って言えないわ、それにしても温暖化を口実に経済どころか政治まで動かしていく、恐ろしいこの世の亡霊ね、巷の心霊現象なんか可愛い戯言にしか思えないわ」
元はと言えば、気温が0.5度上昇しただけの事だ、「皆、騙された振りしてくれているのね、本当は?」
あの日見たコンビニ袋が思い出されてふっと思った。
「勘違いをワザと演出すれば、お金に成ると最初に気が付いたのは誰かしら、遠い昔の支配階級・・・だからマスコミでやっているんだ。」エイ子は身震いしたがその後すぐ思った「気づかない振りが一番ね、騙されていたアイドルは可愛いしね」
(完)
生死一如。
「見える」と言う女。
地球温暖化に限らず、「自由」もそうかも知れません、「自由な人」っていてますか?
思い付くのは、独裁国家の元首ぐらいです。