プリズム。
私は、眠りについている。
そして、夢を見ている。
それは、ずっとずっと遠い夢。
それは、届きそうにもない遠い夢。
だけど、私はその夢に辿り着いた。
そして、貴方もその夢に辿り着いた。
変わらない朝〜start〜
「ん…。」
目が開く。
どうやら僕は目が覚めたらしい。
何故だろう。何故か今日は珍しい起き方をしている気がする。
いつもと同じなのに…。
今日も、自身の身体が自由に動いている。
いや。動かせていると言うのだろうか。
動くと言うのだろうか。
今日も何事のない、平凡な一日になりそうだ。
もう分かっている。今から起こること、することなんて目に見えている。
僕は微かに、この平凡な毎日に飽き飽きとしていたのだ。
「…何かすごい事でも起これば良いのにな。」
思わずそんな台詞を吐いてしまう。
自分は現実逃避をしたいのだろうか。
「そういえば今日は学校無かったんだっけ。…にしても詩音遅いなあ。
この時間だと何時もなら起きてる筈なんだけど。」
詩音、と言うのは妹の事だ。
名前は、星乃詩音(ほしの しおん)。妹と言っても実の妹と言う訳ではなく、僕の親に引き取られた養子だ。
話すと長くなるが9歳の頃、詩音は両親をなくした。
何故亡くなったのか本人は知らないらしい。
しかし、両親を亡くした詩音の顔色は変わらず明るい顔をしていた。
何故なのか。僕には全く解らない。
そんな昔の事を少し思い出しながら僕はリビングに行った。
丁度今母はニューヨーク、父はフランスに居るので僕が詩音を見なければならない。
「詩音ー。居るー?居たら返事してくれないか?」
返事がない。
「はあ。部屋に行ってみるかな…。」
そうして僕は詩音の部屋へと進む。
「詩音ー。寝てるのかー?それとも、勉強でもしてるのかー?」
また返事がない。
「入るよ」
僕は少しノックした後、ドアを開けた。
「相変わらず綺麗に整頓されてる部屋だなあ…。僕も見習わないと。」
詩音の部屋はかなり殺風景だ。
一応詩音はアニメオタクだが、ポスターやフィギュアといった小物もないし、だからと言って雑誌やアクセサリーと言った女の子な物も全くない。
「…まだ寝てるのか。詩音ー、そろそろ起きろよー。」
返事がない。
「…爆睡してないで早く起きろって。もう正午回ってるよ。」
いくら揺さぶっても、いくら言っても返事がない。
おかしい。
絶対におかしい。
「ま、まさか息してないとか無いよな…。」
そう思い、僕は心臓の音を聞いたり脈が動いているか確認したが動いていた。
一応、生きているみたいだ。
「な、なあ…本当にどうしたんだ…?」
流石に怖くなってくる。
生きているのに何も返事がないなんて。
生きているのに
まるで死んでいるように見えるなんて。
「た……………たすけて…。」
え?
今、何て言った?
助けて、って言ったよな。
「聞こえる!?僕だよ、詩音の兄の青羽だぞ!聞こえるか!?」
「兄さん……たすけて…」
何故か、眠くなってきた。
何で?
さっきまで寝ていたじゃないか。
なのに…何で…。
ああ。
目の前がとても、とても、とても、とても遠くなっている気がする…。
まるで、眠りに吸い込まれるかのように。
まるで、夢の世界に連れ込まれるかのように…。
プリズム。
始めまして、琴宮さくらです。
初めての小説作りと言うことでかなり頑張りました。
これはまだ「始めのはじめ」くらいなので、終わりが中途半端ですが気にしないで下さい(^_^;)
さて、ここで登場人物の紹介をしておきましょう。
◆星乃青羽(ほしの あおば)
この作品の主人公。
身長165cm、体重55kg。
「僕〜」という一人称。妹に可愛いとよく言われている。
性格はどんな人にでも優しくでき、真面目で一途。
しかし、たまに鬱になるのが欠点。
自分は強い、と言い聞かせながら生きている。
◆星乃詩音(ほしの しおん)/愛川詩音(あいかわ しおん)
この作品のヒロインであり、主人公の妹。
星乃家(青葉達)の養子で青葉と同じ15歳。
身長152cm、体重38kgで痩せ型。(ガリガリと言う程では無いが)
元の名前は愛川詩音(あいかわ しおん)だった。
黒髪ロング、瞳が綺麗、細身と言うことで学校でも憧れの的になっている詩音だが、一度栄養失調で亡くなりかけた事がある。
さらに、前の学校でいじめにあった事も。