唯二篇

変な夢を見た。
大きな葉を持つ不思議な木が径の右と左にずらりと整列していて、私がその真ん中を自転車で風を切りながら通っていく。
沢山の道があるけれど、木のある方がいいんだ。
ふと、ポケットサイズの植物図鑑を持ち運んでいたのを思い出して自転車を止める。
ああ、そっか、あれはあの時机の上に……。
初めて見た木だから……。
蓮の葉みたいに一枚が大きくて、風を受けて周りとぶつかり合ってる。葉が大きいから、幹の存在が危ぶまれている。
変な木。
何だか嫌だ。
そういえば地面に日光が余り当たっていない。暗い。
植物図鑑……と後悔して私は、自転車に正しく乗っかった。


玩具

塞ぐ。
けれど、塞いでも流れてくる。
覚えたての我慢は扱いきれなくて、自我を振るっているんだ。
私は見物人で居たいよ。
このままのお洋服で居てもいいでしょう?
あのね、何方にせよ、我儘。
ロシアの玩具が欲しいよ。
お金ならあるわよ。
誤った日程に連中と大盤振る舞いした日々と、口紅と、掠れた生命を捨てた。
この篇の主人公は、ある女。
身勝手で強がりで、寂しがり屋のお転婆娘。
良家の御令嬢。
粋がって見せているだけの弱虫。
最後に一言を。
貴方も精を尽くして生きましょう、なんて言っちゃってね。

唯二篇

唯二篇

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-11-08

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