鈍獣

2003/9/4 『鈍獣』 アステールプラザ

作=宮藤官九郎

演出=河原雅彦

出演

古田新太・生瀬勝久・池田茂志

西田直美・乙葉・野波麻帆

今日の開演は7時だと思い込んでいて午前中はゆっくりと片付けなどをして一段落、さぁ広島行きの準備をしようかなとチケットを取り出してみてビックリ!! ナ・ナント開演は2時だよぉ?!

その時の時刻は10時15分・・・、慌てて時間表を調べるがJRではもう無理・・・、高速バスの11時10分があるがバス停まではマイカーで30分・・・支度が間に合うか・・・?

と大慌てで10分で身拵えをして家を出たが、今日に限って赤信号へは全部ひっかかるし駐車場も満杯だし・・・、でもなんとか間に合いましたぁ・・・ふぅーっ!

そんな今日の舞台『鈍獣』だが、実は最初どうも気乗りがしなくて会員優先では申し込まなかったのだが、面白かった!良かった!との風評が聞こえてきたり好評に付き広島公演も追加決定!等と宣伝があったりして急に観たくなり、かなり遅れて申し込んだ座席はA席・・・3階の後ろから3番目のセンター・・・、だから支度が忙しかったにもかかわらずちゃんとオペラグラスを持参してきた(笑)

客層は若い女性が圧倒的に多かった。会場に入るとすぐ目の前に主演3人の等身大のボクサー姿の切り抜きが立ててある。購入したパンフレットにもリングの中で打ち合う3人の男達の姿、それぞれにセコンドとして付き添う3人の女性、傷だらけで倒れている写真が何ページも有ったし、チラシもそうだったので、てっきりボクシングの場面が出てくるものだと思い込んでいたのだが・・・(笑)

お話は3人の幼馴染が繰り広げた殺人の模様だった!

舞台セットは中々手が込んでいた。下手壁際にはボトルを並べた棚がありその前にバーのカウンターと丸椅子3個ほど、正面にエレベーターの入り口が見えるが、このエレベータが大活躍をする。ボタンを押せば開き中へ入ってボタンを押せば閉じる本物のエレベーターみたい!上手には壁面に此処のオーナーである江田(古田新太)の写真が何枚も飾られ、その前にソファーとテーブルが幾つもあり此処がクラブである事がわかる。舞台はそのセットの前に突然現れたキヨスクの売り場から始まった。

中には3人のおばちゃん達(古田新太・池田茂志・生瀬勝久)がいてそこへ女性が買い物に現れる。やり取りがあって何故か突然カラオケが始まり池田さんが中々良い声を聞かせ、古田さんが太めの体にも関わらずリズムに乗ってパラパラのような振りの軽やかな踊りを披露・・・、この辺りから会場は度々笑いが起きた。

この女性記者・静(西田尚美)が作家の凸山(池田茂志)を探しているという・・・。

このお話は詰まるところ江田が色んな方法で凸山を殺す過程のお話なのだが、その手口が自動車事故だったりトリカブトだったり、江田の手下だと思っていた岡本(生瀬勝久)が実は警察官でそのピストルで撃たれたり、究極はダンボールに詰め込んだ死体を線路の上に置いて列車に衝突させる、と様々に有るのだが、その度に絶対に死んだと思った凸山がエレベーターから傷ついた姿で「まだ 良いーい?」と登場してくる(笑) 最後の列車事故では全身血だらけ、手足が捥がれた状態で現れる怖さというか面白さというか・・・、う?ん・・・・。「笑いとホラー」 が謳い文句だけに確かに可笑しい場面が度々有って会場は度々笑いに包まれ、私も何度も笑ったけど、でも気持の良い笑いではなかったように思う。今はこんな舞台が受けるのかなぁ?やっぱり私好みの舞台ではなかったな。

しかし始めて舞台で観た古田さんはやはりスゴイ!と思った。顔もスタイルもそんなに良いというわけでも無いのに(失礼!)何故人気が有るのだろう?と不思議だったが醸し出す雰囲気としか言えないけど、惹きつけるものがあるのは確かだ。女性群では野波さんが中々頑張っていた。舞台はこれが始めてだそうだが台詞も良く通るし着物姿で派手に喧嘩めいた動きもするが不自然ではない。超ベテランの古田さん演じる江田の情婦の役だが決して見劣りしなかった。乙葉さんは台詞がキイキイと甲高い声で何を言っているのか判らない場面も有りイマイチ。

なんと言ってもこの舞台の見所は凸山を演じる池田茂志さんの、殺されながらその度に色んな傷つき方でエレベーターから出てくるシーンだろう(笑)

カーテンコールも最初は片手も片足も無く、頭を包帯でぐるぐる巻きの血だらけの姿のままだった!カーテンコールの回を重ねるごとに手が生え足が出て血糊を拭いながらの姿に変身していった(笑)

鈍獣

鈍獣

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2011-09-19

Copyrighted
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