ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ
3/23・24日 『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』 松下IMPホール
キャスト
ヘドウィグ=山本耕史
イツァーク=中村 中(あたる)
会場の松下IMPホールについては3月25日の日記に書きましたので、そちらをご覧ください。
舞台は絵や文字を書きなぐったような暗い抽象画のような背景の前にあの『メタマク』でも使われた電飾スクリーンが設置され「HEDWIG・AND・・・・」の文字が繰り返し映し出されている。
上手には小部屋のような造りの中に椅子があり赤やオレンジの鮮やかな色をしたウイッグが10個くらいもあったろうか?下手には生バンド・私のところから見えたのはギターの人が3人だけだったが他にキーボードとドラムが有ったらしいが気が付かなかった。音楽が始まると上手からソバージュヘヤーをバンダナで包み黒いサングラスをかけたイツァークが登場しマイクを片手に男性のような声でヘドウィグを呼ぶと、下手の客席の中ほどの通路からヘドウィグが現れる。金色のウイッグにブルーのアイシャドウをごてごてと塗った上にキラキラ光る銀粉、口紅は真っ赤で唇から大きくはみ出して描かれ、星条旗の模様の毛皮のコートを羽織って登場して来た!実はチラシやパンフレットに載っている山本耕史さんの妖艶なヘドウィグが見られると、とっても楽しみにしていたのだけど期待は完全に裏切られたーーー!(爆)
舞台の登場するとすぐ最初の曲が始まったが途端に観客は総立ち、手を大きく振りながら歌にあわせて体を揺らし、まるでライヴ状態・・・(笑) 観客のほとんどが若い女性で山本フアンなのだろう、お約束のように立ち上がる所を見ると殆どがリピーターだと思われる。
イントロダクション(公演パンフレットより)
1960年代、少年ハンセルは旧東ドイツに生まれた。
彼の夢は自由の国アメリカに渡り、ロックスターになる事。
そしてもうひとつ、少年時代に母親から聞かされた、魅惑的な「愛の起源」の物語、
そこに登場する自分の“カタワレ”を見つけることも、胸に秘めた大きな目的だった。
そんなある日、「壁」のそばで一人のアメリカ兵と出逢う。
アメリカ兵との結婚を選んだハンセルに待ち構えていたのは、渡米のための“性転換手術”。
だがハンセルの股間には、手術ミスのため「怒りの1インチ(アングリーインチ)」が残ってしまう。
母の名ヘドウィグを名乗り、渡米を果たすもあっという間の離婚。
どん底の生活の中、彼女のロックへの情熱が再び蘇る。
それは彼女に新しい運命、少年トミーとの出会いをもたらすのだが・・・。
ヘドウィグは自分の魂である歌を取り戻せるのか。
そして、彼女が捜し求めていた“カタワレ(=愛)”を見つけることは・・・?
うぅーーーん、難解な舞台だった!(笑) でもつまらなくは無かったよ!
まず女装の山本さん、パンフのイメージは全く無かったけど、並の女性よりも美しいと思われるようなすらりとした足にロンドンブーツを履き、ピタッとした黒の短いパンツに右肩から袈裟懸けに羽の付いた黒のレザーを着ている。そして1時間45分の上演時間のほとんどを一人で語り、歌い踊っている。声も身体もよく持つものだと感心した。
舞台の最後に鬘をかなぐり捨て、着ているものを剥ぎ取りパンツだけの姿のなるのだが、なんとその上半身は筋骨逞しい男性そのものの鍛えられた美しい身体になる。脂肪の全く付いていない逆三角形の見事な身体は日頃から鍛錬を欠かさない事を証明している。公演パンフレットはまるで山本耕史の女装写真集のように金髪の素晴らしい美人の写真が何枚も載っているのに・・・、あの姿を見たかったなぁ?(*^-^*)
相手役の中村中(あたる)さんも謎の雰囲気もありとっても良かったよ!ヘドウィグの相手役の何人かになりギターを弾きながら共に歌ったりするのだが、それ以外にもシャボンを吹いたり鬘の髪を梳いたり、トマトを投げたり・・・、そうそう母親になって、ヘドウィグにそのトマトを投げるシーンで、このトマトをヘドウィグが受け損ねて・・・(笑) 山本君が体で止めようとしたのだが舞台の下に落ちちゃった?(^O^)/ で舞台の下まで取りに行った山本君は「ここで止められる筈だったのに・・・」とかなんとか、ぶつぶつとつぶやいていたなぁ?(笑)
ヘドウィグはアメリカ兵の父とドイツ人の母の間に生まれ東ドイツで暮らしていた。だから東西分断のベルリンの壁は大きな意味を持つと同時にゲイであるヘドウィグの心の中にも壁があるのだろう。ヘドウィグはベルリンの壁の崩壊をアメリカのテレビで知り泣いたと言う。泣いていないと笑っちゃうから、とも・・・。この作品はこの「壁」に随分こだわっているようだが果たして壁の崩壊で解決したのだろうか? そこが私にはよく判らない。
ロックミュージカルと題されているようにこの舞台の中では11曲が歌われているのだが残念な事に私は全然知らない曲ばかりだった。しかもパンフを読むとその曲にこの作品の重要な事が歌い込まれているらしいのだ。せめて歌の意味だけでも知りたかったなぁ?!折角電飾スクリーンが設置されているのに映し出されていたのは英語の歌詞だった。歌の意味が判ればもう少し理解できたかも知れないのに何で日本語訳を出さないの?「メタルマクベス」の時なんて日本語で歌っているのに歌詞が出たんだよ!
だが意味はよく判らなくても、前回「ラストファイブイヤー」をチケットを取りながら検査入院のため観る事が出来なくてとても残念だったので、今日とてもセクシーな山本君の舞台を見ることが出来ただけで満足・満足!!(笑)
ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ